輸入した貨物を港から国内指定地域へ配送する場合は、価格面から「混載便」を使うことが多いです。しかし、混載便は、どのような荷物も積めるわけではありません。最大重量、最大容積(㎥)など、積載制限があります。
この記事では、輸入許可後の混載便の概要、料金の決まり方、配送上の注意点、混載便とチャーター便の違いについて、詳しくご紹介していきます。
混載便と最大重量・最大サイズの関係
輸入許可を受けた商品は、港に保管されている倉庫から「混載便」や「チャーター便」によって、国内各地へ配送します。
混載便とは?
一台のトラックに自社だけの荷物を輸送しようとすると、それなりの物量が必要です。輸入は、ある程度の量を輸入しますが、常にトラック一台分の荷物を輸入しないですね!そこで、ある一定以下の荷物を輸送するときは「混載便」を利用します。
混載便は、一台のトラックをチャーターするよりも安い料金で配送可能です。その他、以下のメリット、デメリットがあります。
混載便のメリット
料金が圧倒的に安いです。混載便は、一台のトラックを複数の荷主で共有するイメージであるため、チャーター便として用立てる場合よりも圧倒的に安い価格で配送してもらえます。
混載便の4つのデメリット
混載便ならではのデメリットは、次の4つです。
- 配送時間の指定はできない。
- 荷物を回収する時間が早い。
- 貨物の長さは、最大1.4m
- 貨物の容積にも注意
1.配送時間の指定はできない。
混載便は、配送時間を選べません。混載便は、複数荷主の荷物を一台にまとめているため「配送時間帯の指定」はできません。唯一、指定できるとしたら「午前か午後」の二択です。それ以上の指定は、チャーター便を手配した場合のみ行えます。
2.荷物を回収する時間が早い
混載便は、複数の荷主の貨物をまとめているため、貨物が倉庫を出発(回収)する時間が早いです。
税関の審査待ちであと少しで許可がおりる状況。でも、混載便の出発時間の限度を超える為、諦めるケースが考えられます。この場合「チャーター便配送に切り替えるか」「納期をずらしてもらうか」のどちからです。
3.貨物の長さは1.4m以下であること
混載便は「長い」貨物を運べません。長いの定義は「一辺の長さが1.5m以上」です。これ以上の物を混載便で運ぶ時は、運送会社に「拒否」されることが多いです。
=長尺物の輸送=チャーター便または自家用トラック
*長い貨物の例:ジュウタンなど
4.容積にも注意!
混載便は「大きい」貨物も苦手です。貿易における貨物の大きさを考えるときに重量と容積の2つがあります。重量とは貨物自体の重さのことを表し「kg」で表記されています。
一方、容積とは「容量」を表し「㎥(リッポウメートル)」です。貿易では、㎥を「エムスリーはいくつですか?」など聞かれることがあります。この場合は、貨物の容積です。
貨物の大きさは、重量と容積の2つを比べて、大きい方の値を貨物重量とするルールがあります。しかし、重量と容積の記載欄は、多くの場合、次の通りです。
「ジュウタン 200kg 1㎥」
重量と容積を見比べるときは、容積に「280」をかけます。上記の場合は次のように計算します。
- 「ジュウタン 200kg 1㎥→280キロ」
- ジュウタン→ 200キロと280キロ(1㎥)の重い方
- 答え:280kgがこの貨物の重量となる。
上記のように重量と「容積からの換算した重量」を比較します。例題の場合であれば、ジュウタンは「280キロ区分」が適用されます。基本的な荷物であれば特に気にする必要もありません。混載便は、もっとも利用価値が高い配送方法です。
チャーター便
チャーター便とは、一台のトラックを一つの荷主専用で運ぶ方法です。チャーター便は「時間指定」ができるだけでなく、いろいろな部分で融通が利きます。
トラック便(チャーター便)の大きさ
平ボディショート | 平ボディロング | ||
2トン | 長さ | 3m | 4.3m |
幅 | 1.6m | 1.6m | |
積載量 | 5.7㎥ | 10㎥ | |
4トン | 長さ | 6.3m | |
幅 | 3m | ||
積載量 | 25㎥ | ||
10トン | 長さ | m | |
幅 | 2.3m | ||
積載量 | 51㎥ |
チャーター便のメリット
- 納期の時間指定ができる。
- 保管倉庫を出発する時間も調整可能
チャーター便のデメリット
配送料金が混載便に比べて高い
専用トラックであるため、混載便を使うよりも高い場合が多いです。しかし、上記のメリット部分を考えると、混載便に比べて値段が高くなる理由もわかります。日時と時間が設定されている上で、かつ絶対納期を遅らせられないときに利用します。
混載便とチャーター便の違い(使い分けポイント)
実際、貨物の輸送方法は、これらのメリット、デメリットを考えた上で選びます。混載便とチャーター便を使い分ける基準には、以下の3つのポイントがあります。
- 容積が5㎥を超えるか または 重量が1000キロを超える?
- 長尺物(一辺が1.5m以上の長さがある貨物)ではない?
- 納期が「時間帯」まで指定されている?
これら1~3のいずれかに当てはまる場合は、混載便よりチャーター便を使ったほうが良いです。通関業者などは混載便に対して多くの利益をのせていることも覚えておきましょう!
混載便の国内配送料金が決まるポイント
配送料金が最も安いのが「混載便」です。混載便はどのように料金が決まるのでしょうか? 一般的に私たちが宅急便などで物を輸送するときは、縦、横、高さの三辺の合計と配送地域により料金が決まります。混載便には、以下3つのポイントがあります。
- 実重量
- ㎥(立方メートル)を換算した重量
- 配送距離
1.実重量とは?
輸入書類の中に「B/L(船荷証券)」と呼ばれる書類があります。この書類には「重量」と「㎥(容積)」が書かれています。この重量が1番の「実重量」です。
2.㎥(立方メートル)を換算した重量
実重量とは別に「貨物の容積」を元にした重量(容積重量)の算出があります。㎥(容積)とは立法メートルの略であり、縦、横、高さのそれぞれが1mの正方形の空間に換算した数値です。この容積から、既定の値をかけて算出した数値が「容積重量」です。
ところで、一トンの綿と一トンの鉄があるとすると、どちらが重いと思いますか? もちろん、重さは一トンで同じです。しかし、必要なスペースを考えると、綿一トンの方がたくさんいることがわかります。そのため、混載便の料金は「実重量」と「容積重量」を比較して決めています。
3.㎥(立方メートル)を換算した重量の求め方
混載便の容積重量は、次の式で求めます。
計算式=280キロ×㎥(立方メートル)
容積重量と実重量の比較検討例
■ケース1 SUITS BOX 1000 PCS 510kg 2㎥
この場合、実重量が510キロ、㎥の換算重量が280*2=560キロです。実重量より㎥の換算重量の方が重いので、560キロを採用します。
■ケース2 BOX 1500 PCS 310kg 1㎥
この場合、実重量が310キロ、㎥の換算重量が280*1=280キロです。この場合は310キロを採用します。
混載便の料金と見比べる
貨物の容積重量がわかったら、運送会社ごとに決めている下記のような料金表(値は仮)に照らし合わせます。左側の列には「貨物の重さ」右側の列には「運送距離」が書かれています。これら二つが交差する点が混載料金です。
例えば、重量が10kgであり、距離が300キロであれば、1100円が混載便料金です。
重量/距離 | 50km | 100km | 200km | 300km |
10kg | 100円 | |||
20kg | ||||
30kg | ||||
40kg | 1300円 |
上記の料金表は、混載便業者に問い合わせをすると入手できます。しかし、通常の輸入手続きであると、これら混載便の手配は、通関業者が行うことが多いです。そのため、一般的に、混載便には、通関業者の利益が上乗せされています。そのため、ある程度の輸入実績ができた時点で、混載便業者と直接取引を行うことをお勧めします。
混載便では拒否される2つの貨物条件
輸入した商品が次の2つの内、どちらかに当てはまるときは、混載便での配送は不可です。
- 容積が5㎥(立法メートル)以上 または1tの物
- 長尺物(長さがあるもの)一辺が1.5メートルを超える物
1.貨物の容積と重さの制限
貨物の容積や重量は「B/L(船荷証券)」と呼ばれる輸入書類の中に記載されています。この中にある容積や重量の部分を見て「混載便の基準である容積(5㎥)や重量(1t以上)」の基準に引っかからないか確認をしましょう! 容積重量の計算ツール
2.長尺物は不可。一辺の長さが重要
貨物の一辺の「長さ」にも注意します。混載便では、最大の辺の長さが「1.5m以内」です。これを超えると、混載便で配送はできません。(例:絨毯や反物など)
混載便で運べないときの対応方法
混載便で運べない物は、4トンまたは10トントラックをチャーターします。また、自社のトラックで倉庫に取りに行く方法があります。トラックのチャーター便は、混載便料金よりも高いです。しかし、納品時間を指定、長尺物もok、なおかつ「当日配送」にも対応してます。
参考・通関業者を省いて混載事業者を確保!
つまり、通関業者の請求書に掲載されている「国内配送料金」の中には、次の2つの料金が反映されています。
- 提携混載事業者への支払う料金(下払い)
- 通関事業者のマージン
通関業者のマージンは意外に高く、業界では「混載便料金で利益を上げろ!」と言われているほどです。輸入に関わるすべての作業をワンストップで通関業者に任せるのではなく、輸入作業を分解することをお勧めします。この場合なら、通関業者には通関許可までの取得、その先の部分は、直接、混載便事業者に依頼します。
これによって、日本国内の配送における混載便料金に通関業者のマージンをのせる余地をなくすことができ、輸入コストの削減につながります。
自社で混載便業者に依頼する手順
自社で混載便事業者に依頼する手順は、次の通りです。
- 通関業者に自分で手配する混載事業者に貨物を引き取ってもらうことを伝える。
- 輸入許可になったら、許可書のコピーを送付してもらう。
- 自分でD/Oをピックアップして、D/Oの原本と許可書のコピーを混載事業者に送付する。
この1~3の内、最も手がかかるのが「D/O」という書類のピックアップです。輸入品を倉庫から引き取るときには、必ずD/Oと輸入許可書の2つが必要です。
D/Oは、アライバルノーティスに記載されている「D/O交換先」に指定の料金を支払うと発行される貨物の引換書です。通関業者経由で混載事業者を使うときは、このD/Oのピックアップも含めて対応してくれますが、直接、自身で混載事業者を頼むときは、自らD/Oをピックアップする必要があります。その後、D/Oの原本を配送会社に送付して、配送会社が貨物のピックアップができるようにします!
混載便事業者に伝えるべき4つのこと
混載便事業者に配送を依頼するときに必要な情報は、次の4つです。特に重要になるのが貨物の容積と長さです。送る貨物の容積は、縦×横×高×貨物の個数のことです。そして、混載便の配送料金は、この容積から「換算した重量」と配送先の距離で決まります。また、混載便で送れない貨物の大きさにも注意が必要です。いわゆる「長尺もの」は、一定の大きさ以上は配送を拒否されます。混載便で送れないときは「チャーター便」で配送します。
- 商品の内容
- 貨物の容積(B/Lを確認)
- 配送先
- 引き取り先の倉庫(アライバルノーティスを確認)
まとめ
- 混載便は一台のトラックに合積みすることにより配送料が安い
- 混載便は、最大容積と最大長に制限がある。
- 積載制限に触れている物は、専用トラックをチャーターする。
- 輸入許可後、日本国内の配送は、通関業者に頼まない方が良い。
- 通関業者によるもの、提携先の混載便事業者からくる請求額を2倍ほどしている場合が多い。
- 通関業者には、輸入許可を受けるまで依頼をして、そこから先の配送は、自社が手配した方が良い。
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