プロが答える輸出通関。今回は、輸出時のインボイスの話題です。インボイスとは、○○をいくらで○○さんに売ったことを証明する書類です。輸出入共に税関申告の証明書の一つとして提出します。今回は、このインボイスに関連する疑問です。
質問なのですが、インボイスに記載するべき事項に関してDescription of Goodsの欄には輸出国側のHSコードを記載するケースが多いというのは、品名を記載した上で任意でHSコード記載するという意味なのでしょうか?
品名を伏せた上でHSコードのみを記載していても輸出申告及び輸入通関は可能なのでしょうか? 引用元:読者ハマムラ様
- HSコードは不要
- 品名のみで十分
- ただし、B/LにHSコードの記載が求められることが多い。
インボイスには、HSコードの記載義務なし
とは、売り手と買い手の契約内容(売買内容)を明らかにする書類です。記載事項には、次の物があります。
- 売り手及び買い手の住所
- 商品名
- 商品の金額
- 数量
- インコタームズ
税関は、インボイスに記載されている事項を基準にして「輸入(輸出)」されようとする商品の「妥当性」を判断し、適切な関税や消費税の申告がなされているのか?を判断します。インボイスの重要なポイントは「適正な課税」にあります。
その他、次の観点でも確認されています。
- 輸入元国と商品金額のバランスを考えて、平均から逸脱していないのか?
- インボイスに記載する貨物以外をのせていないのか?
- 輸入するときに特別な認可や商品が必要ではないのか?
- 輸出する先が「輸出禁止国」「輸出禁止人」ではないのか?
などを判断しています。同じインボイスでも、輸出時の観点と輸入時の観点で微妙に違います。輸出時のインボイスは、主に輸出禁止品、輸出貿易管理令の該当品のチェックなどが中心です。
一方、輸入時のインボイスは「課税価格の適切な算出(脱税をしていないか?)」及び「他法令の確認」「輸入禁止品に該当するのか?」に重きを置いています。基本的には、輸入通関(受け入れ国側)の方が厳しい審査があります。
以上がインボイスに関する基本的な知識です。それでは、質問者さんの疑問に答えていきましょう!
質問1.Description of GoodsにHSコードは必要?
インボイスには「Description of Goods」の欄があり、主に品目を記載します。輸出者さんによっては、この欄に品目の他、HSコードを記載する方もいます。ただし、HSコードの記載は任意です。むしろ、記載するだけ無駄とも言えます。
と言いますのは、インボイスにHSコードの記載があろうとなかろうと、インボイスの記載内容(HSコードなど)がそのまま輸入国側の税関に受け入れられるわけではないためです。あくまで輸入国側の関税に関する法律に照らし合わせて判断されます。
例えば、日本の輸入HSコードは9桁で運営。アメリカと中国は10桁で運営されています。HSコードの世界共通部分は上位6桁までであり、その後の桁は、各国ごとに運用方針が異なります。
日本のHSコードと諸外国のHSコードが完全に一致していないため、インボイスに輸出国側(例:日本)のHSコードを記載しても、ほとんど意味がないのです。但し、買い手によっては、インボイスにHSコードを求めてくる方もいらっしゃいます。その場合は、記載すればいいと思います。
質問2.品名を伏せた上でHSコードのみで輸出入りはできる?
こちらは、無理だと思います。先ほども述べた通り、HSコードは、各国ごとに微妙に違います。
例えば、緑茶を考えてみましょう!2021年2月現在の実行関税率表を見ると..
- 緑茶:0902.10.000→ 関税率17%(WTO)
- 緑茶(くず):0902.20.100→ 関税率0%
いかがでしょうか? 似たようなHSコードでも、ほんの少し違うだけで関税率は大きく変わります。仮に、本来17%の物を0%で申告していた場合は、どうなるのでしょうか? 課税価格が100万円の場合は、約17万+消費税の脱税行為に該当します!
何度も申し上げている通り、HSコードは、各国ごとに微妙に違うため、売り手発行のインボイスの内容(輸出国側のHSコード等)をそのまま適用して輸入申告するのは無理です。したがって、インボイスにHSコードのみを記載し、品名等を除くことはできません。
輸入申告の際は、インボイスの他、イラスト、写真、カタログ等の補足資料を添付します。税関は、インボイスの品目とこれらの補足資料を照らし合わせながら、適性を見ているのです。この点だけでも、HSコードだけの記載では不十分なことがわかります。
まとめ
- インボイスには、HSコードは不要
- インボイスにHSコードの記載のみは無理
- B/LにHSコード(6桁)の記載を求められることは多い。
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