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服/衣類の関税は61類~63類 メリヤス編みとクロセ編み

海外通販サイトや海外の現地ショップから衣類を購入し、日本に輸入するときは、どれくらい関税がかかるのでしょうか? この記事では、衣類の関税率の調べ方、メリヤス編み、クロセアミ編み、61類と62類の違いなどをご紹介していきます。

服(衣類)の関税率の決まり方

服の関税率を考える前に、まずは前提を確認しておきましょう。あなたの輸入は、次の内、どれに該当しますか?

  1. 海外で購入した物を個人使用目的で輸入する
  2. 海外で購入した物を販売目的で日本に輸入する
  3. 日本にいながら[個人使用目的]で輸入
  4. 日本にいながら[販売目的]で輸入

1と2のケースは「入国者の簡易税率」、3と4は「少額輸入貨物の簡易税率又は一般税率」が適用されます。また、それぞれの輸入方法により、以下の免税枠があります。

目的 免税枠 課税の対象価格
1.海外購入×個人目的で輸入 20万円+一万円以下免税(14条無条件免税) 20万円をこえる部分
2.海外購入×販売目的で輸入 一万円以下免税(14条無条件免税) 商品価格+IATAの航空代
3.日本にいる×個人目的で輸入 海外小売価格の0.6倍部分
4.日本にいる×販売目的で輸入 商品価格+送料+その他の合計

この記事では、3と4番のケースを前提に説明していきます。なお、1と2のケースは、次の2つの記事をご覧ください。

日本にいながら衣類を輸入する仕組み

クロセ編みなど、衣類に関する具体的な説明をする前に、まずは、衣類の関税率の関する基本的な仕組みを確認してきましょう!

  1. 2つの関税制度
  2. 輸入目的による違い

1.2つの関税制度

衣類輸入に適用される関税は、次の2つの内、いずれかです。

  1. 一般税率
  2. 簡易税率

上記の違いは、輸入時における「合計金額(課税価格)」です。20万円以下は、簡易税率(少額輸入貨物の簡易税率)。20万円を超えるときは一般税率を適用します。

例えば、海外のアマゾンで20万円以下の商品を購入した場合は簡易税率が適用されます。もし、20万円を超える場合(個人使用なら30万円)を超える場合は、一般税率が適用されます。

簡易税率は、輸入金額が少ない分、関税率も7つの内、いずれかを適用する仕組みです。他方、一般税率は、いわばプロ版であるため、およそ10000を超える関税率から最適な物を選びます。

簡易税率の調べ方

簡易税率は、輸入の合計課税価格が20万円以下のときに適用する税率です。区分は、たった7つしかなく、衣類は、5%又は10%が適用されます。調べ方は簡易税率表を確認します。

関税率表 HUNADE

一般税率の調べ方

一般税率は、輸入する合計課税価格が20万円をこえるときに適用する税率です。調べ方は、ウェブタリフ(日本関税協会が運営)、または実行関税率表(税関)を使います。どちらも同じ内容であるため、使いやすい方を選びましょう。調べ方が良くわからないときは、お付き合いしている「通関業者」に依頼をしたり、税関の「事前教示制度」を活用したりします。

関税率表 HUNADE

2.輸入目的による違い

輸入合計金額の他、輸入の目的も重要です。

  1. 個人使用で輸入するのか?
  2. 商売輸入で輸入するのか?

上記の違いにより、関税計算のもとになる「課税価格」の考え方が変わります。課税価格とは、税率をかける母体のことです。例:100円の商品に10%の消費税= 100円が課税価格

目的 課税価格の対象 免税枠
個人使用 商品価格×0.6倍 一品目の合計が1万円以下は免税
商売目的 商品価格+送料+保険等

まずは、輸入する合計金額と輸入目的の部分で大きな違いがあります。

衣類の関税を特定するには?

ここでは、実際に衣類の関税率を特定するために必要な情報を確認していきます。衣類の関税率は、非常に細かい要素があり、ぴったりな物を特定するのは非常に厳しいです。よって、ある程度の部分で把握をし、自分で特定が難しければ、通関業者や事前教示制度を利用します。

衣類の関税率を特定するためには、次の「要素」が必要です。なお、輸入総額が20万円以下の場合は簡易税率が適用されます。その場合は、簡易税率を参考にしてください。

衣類の関税率を決める要素

  • 輸入価格
  • 輸入目的
  • 材質
  • 原産国
  • 用途
  • 完成品か半完成品か?など

衣類の所属は、50類~63類 61類と62類の違いは?

衣類を含む紡織用繊維のHSは、50類~63類に分類されます。この中では「輸入時に完成品であるのか?」で変わります。ここでいう完成品とは、輸入時に「洋服としての機能があるのか?」です。

  • 完成品=61類~63類
  • 半完成品=50類~60類

この記事のテーマである「衣類(完成品)」は、61類~63類に分類されます。

61類の定義

61類の注目点は「メリヤス編み、クロセ編みに限定されていること」です。メリヤス編みやクロセ編みとは「かぎ針編み(レース編み)」などとも言います。セーターや靴下などの下着類は、ほとんどが該当します。

  • 関税率:5.3%~10%
  • メリヤス編み クロセ編みに限定
  • 中古の衣類や外科用機器を含まない。

ポイント:メリヤス編み又は、クロセ編みか? かつ、中古品ではないこと。

62類の定義

62類に含まれる衣類の定義は「メリヤス編みやクロセ編み」以外。かつ、中古品ではないことです。

  • 関税率:6.5%~12.8%
  • メリヤス編み または クロセ編みを除く
  • 中古の衣類や整形外科用機器、外科用ベルトなどを含まない。

ポイント:メリヤス編み又はクロセ編み以外。かつ中古ではないこと。

63類の定義

63類の定義は「衣類が中古であるのか?」です。新品の衣類であれば、61類や62類に分類されて、中古であれば63類に分類されます。また、この中古の衣類の定義は「紡織用繊維の物品」です。紡織用繊維とは、生地の材質に関わらず(人工的に作ったもの・ナイロンなど や 天然の物・綿 など)布全般を使って作られた衣服のことを言います。

  • 関税率:3.7%~10.9%
  • 61類と62類の衣類を含まない。
  • 基本的に中古の衣類が対象(紡織用繊維製の物品)

ポイント:中古の衣類であること(クロセアミ、メリヤス編み等は問わない)ただし、製品の一部または全部に革が含まているときは除外

61類~63類の定義は、上記の通りです。さらに詳しい内容を知りたい場合は、それぞれの「類注」を確認しましょう!

類注

以上が衣類の関税率を特定するための基本的な知識です。それでは、実際の輸入時を想定して関税率を特定する流れを確認していきましょう!

衣類の関税率を特定する流れ

まずは、輸入総額が20万円を超えるのか?で考えます。

  1. 輸入総額が20万円以下=簡易税率を特定する手順
  2. 輸入総額が20万円超え=一般税率を特定する手順

1.簡易税率を特定する(20万円以下)

簡易税率は、商品の類がわかるだけで、日本側の関税率を理解できます。

  1. 商品がクロセ編み又は、メリヤス編みでできているのか?
  2. 新品か?中古か?
  3. EPA対象国か?
区分 対象の類 関税率
簡易税率・区分4 62類の衣類 10%
簡易税率・区分7 61類・63類の衣類 5%

2.一般税率を特定するとき(20万円を超える)

20万円をこえる額を輸入するときは、一般税率を適用します。この場合、簡易税率を適用するよりも複雑な項目を考える必要があります。主なポイントは、次の6つです。

  1. 材質
  2. 織り方、または編み方
  3. 刺繍の有無
  4. 男性用か女性用
  5. 使用用途
  6. 生産国

1.材質

例えば、材質の部分に注目してみましょう。実際のウェブタリフの画面を見ると、次のように表示されています。繊獣毛、人造繊維、合成繊維、再生繊維、紡織用繊維など、意味がわからない言葉がたくさん並んでいます。これらの意味は、下の表の通りです。

衣類 関税率

材質は、天然系の物と化学系の産品の2つに大別されます。天然系とは、植物や動物などを通して採取したものです。他方、化学系とは、人が化学技術などで生成した物の総称です。また、天然と化学系の材料に関わらず、それらを基にして生成した衣料の総称を「紡織用繊維」と言います。「参考サイト」

例えば、材質がレーヨンであるなら、人造繊維>>再生繊維であるため、6102.30.900です。実際の通関では、この材質の配合率なども聞かれます。(例:エステル50%、綿50%など。)

天然 植物系 動物系 鉱物繊維
綿、麻など 繊獣毛 繭繊維 羽毛繊維 アスベスト
ウール、羊毛、カシミアなど シルク ダウン
化学 再生繊維 半合成繊維 合成繊維
レーヨン アセテート ナイロン、アクリル、ポリエステル

2.織り、編み

衣類を構成している材質の編み方、又は、織り方を調べます。

3.刺繍の有無

衣類の一部に、ワンポイントを含む刺繍などが施されていませんか?

4.男性用か女性用ですか?

その商品は男性用ですか?それとも女性用ですか?

5.使用用途

その商品は、主にどんな使用用途で使う物ですか? 例:作業用など

6.生産国

上記1~5の項目を調べることで、あなたの輸入する衣類の税率が決まります。しかし、ここで忘れてはならないのは「EPA」の存在です。

EPAとは、経済連携協定=自由貿易のことです。このEPAに加入している国で製造された商品は、お互いの関税を撤廃しあっています。実は、この関税の撤廃対象の中に、服(衣類)も含まれています。2019年現在、日本は17のEPAを結んでいます。もし、アパレルビジネスを行いたい方は、以下の国から衣類を仕入れられないか検討してください。

ヨーロッパ(ドイツ、フランス)、東南アジア(タイ、ベトナム、シンガポール)カナダ、オーストラリアなどを原産国とする衣類は、税率がゼロ又は減税されています。また、2019年11月現在、アメリカとは、日米貿易協定。中国とは、RCEPの締結が予定されています。それらが発効されると、現状の関税よりもぐっと低い関税率になる見込みです。

2024年4月現在
発効済(利用できる国) シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12、TPP11日EU・EPA米国、英国、RCEP(韓国+中国+アセアン+オーストラリアなど)
交渉中 トルコ、コロンビア、GCC、日中韓
その他(交渉中断等) カナダ、韓国

上記1~6の項目を一つ一つ確認することで、日本側の関税分類の特定(関税率)がわかります。もし、ご自身で見つけるのは難しいときは、税関の事前教示制度の利用も検討しましょう!

よくある疑問

Q.クロセ編みとメリヤス編みとは?

61類~63類の重要なポイントは、メリヤス編み又は、クロセ編みの生地から衣類を製造しているのか?です。メリヤス編みやクロセアミの詳しい説明は、専門サイトにお任せします。非常に簡単に説明をするなら「ニット製品」です。(下着、靴下、女性の服などに多く使われている。)

ニットの生地を使い、衣類を作っているときは、61類、それ以外は、62類。また、ニットに関わらず、中古衣類は、63類に該当します。

Q.実際の通関で必要な書類は?

衣類を輸入で必要な書類は、どのような物があるのでしょうか? 輸入の総額が20万円以下と20万円を超える場合とで、求められる書類は違いますが、一般的には、次の6つの書類を用意します。

1.インボイス
2.パッキングリスト
3.B/L
4.アライバルノーティス
5.イラスト(商品を説明する写真など)
6.特定原産地証明書(20万円以下は不要)

Q.衣類の関税と消費税を簡単に検索するには?

ご覧の通り、衣類の関税率を計算するには、非常に細かい部分まで確認する必要があります。もし「細かい部分は良い。だいたいの関税と消費税を計算したいだけ」という方は、無料で使える「衣類の関税計算ツール」をご利用ください。

子供服の輸入ビジネス

まとめ

衣類関連を輸入するときは、一般税率と簡易税率のどちらかを適用して輸入します。どちらの関税率を適用するのかは「輸入する商品の合計金額が20万円を超えるのか?」で決まります。課税価格の合計額が20万円以下の時は簡易税率、20万円を超えるときは、一般税率を適用します。

簡易税率を適用するときは、5%または10%の関税率になります。一方、一般税率を適用するときは、61類~63類の内、いずれに当てはまるのかで関税率が異なります。平均は、5%~10%の範囲の中でおさまることが多いです。また、クロセ編みやメリヤス編みとは、かぎ針編み(レース編み)と言います。セーターや、女性用の衣類、靴下などに使われている編み方です。これらの編み方が使われているときは、適用される関税率にも注意しましょう!

 

 

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