HSコードとは?
このレッスンで学べること
- HSコードとは何か?その基本構造や成り立ちをわかりやすく解説
- なぜ貿易にはHSコードが欠かせないのか、その理由を具体的に理解できます
- HSコードの調べ方や便利な検索ツールの使い方、国ごとの違いも比較して紹介します
- 実務でよくあるトラブル事例と、その回避方法もあわせて学べます
HSコードとは?
HSコード(Harmonized System Code)は、世界共通の「商品の分類番号」です。税関で使われており、日本を含む多くの国で使われています。貿易でやりとりされるほとんどの貨物がこのコードで管理されています。
最初の6桁は国際共通、それ以降の桁は国ごとに細かく分けて使います。
例:
- 0901.21:焙煎していないコーヒー豆(食品カテゴリ)
- 8471.30:ノートパソコン(電気機器カテゴリ)
輸出入において、このコードをインボイスや税関申告書に正確に記載することにより、関税分類、規制対応、貿易統計が正しく処理されます。

輸出と輸入でHSコードが若干違います。
なぜ、HSコードが重要なの?
HSコードは、単なる番号の羅列ではなく、税関や関係当局が「その貨物をどう扱うべきか」を判断する基準でもあります。分類次第で、貨物の扱い方(法令上の取り扱い方法)やコスト(関税率)が大きく変わるため、正確な付番が必要です。
- 関税率の決定:HSコードにより輸入側の関税率が変わります。
- 輸入規制の有無:農産物、医療機器、電子製品など、分類によって輸入規制があります。
- FTA・EPAの適用判断:関税の免除や軽減の判断材料になる。
- 事前教示制度:輸出入通関前に税関に相談し、HSコードを確定できます。
逆に誤ったHSコードを使うと….
- 高い関税率が適用され、本来の利益が失われる
- 規制対象扱いとなり、輸入が一時保留または禁止される
- FTAの適用が拒否され、コストメリットを失う
- 虚偽申告として罰金や是正指導を受けることも

輸出する商品のHSコードがわからない場合は、税関やお付き合いのあるフォワーダーに確認すると良いです。国際郵便程度の商品であれば、郵便局のHSコード表が便利です。
輸出×HSコードが関係するトラブル事例
HSコードのトラブルは、輸出時よりも輸入時に表面化することが多いです。
事例1:誤分類による関税加算(輸入側のトラブル)
家庭用コーヒーメーカーを、一般機械類で申告。実際は「電気式」で分類すべきところを誤り、税関調査後に差額関税+過少申告加算税を請求された。
事例2:EPA申請却下(輸入側のトラブル)
魚加工品をEPA特恵申請したが、HSコード分類誤りで、EPA対象外品と判断され、通常関税が適用された。
HSコードの調べ方と実務で役立つツール
初めて輸出する商品には、必ずHSコードを事前に調査することが重要です。判断に迷った場合には複数の方法を組み合わせて確認しましょう。
1.タリフ検索システム(日本関税協会又は税関
HSコードを検索できるWEBサービスがあります。キーワードからHSコードを検索したり、その逆を検索したりできます。(輸出、輸入の両方あり)
なお、内容は同じです。使いやすい方を選びましょう。
2.通関業者フォワーダーへの相談
輸送(フォワーダー)や通関サービス(通関業者)を提供する事業者に相談ができます。特に取引する通関業者がある場合は、HSコードを調べて欲しいと依頼すれば良いです。
通関業者とは?輸出入手続きの代行 業者の選び方、費用、通関依頼手順を解説!
3.事前教示制度
各地の税関には、HSコードを特定する関税監査官がいます。いわゆる事前教示制度を使い、HSコードを特定する方法もあります。
税関の事前教示制度とは?税関にHSコードを問い合わせられる!
実務での注意点と回避策
- 商品分類の間違いに注意
似た商品でも、使い方や機能が違えば分類も変わります。 - 素材による違い
金属製とプラスチック製では分類が大きく異なります。混ざった素材の商品は特に注意が必要です。 - セット商品やキット製品
一括で分類するか、部品ごとに分けるかの判断が必要です。国際ルール(GIR)を参考にしましょう。 - 新技術製品の分類が不明確な場合
AIやIoT機器など、まだ分類基準が定まっていない商品は、税関に事前確認(アドバンス・ルーリング)をすると安心です。
※EPAやFTAを使う場合、「HSコード+原産地基準」の両方に合っているか確認しましょう。たとえば、加工で分類が変わったかどうかが重要になります。

注意:国によっては、HSコードが8桁や10桁まで細分化されており、特に中国、ASEAN諸国、EUなどでは、日本と細分類が異なるケースがある。輸出時は、現地税関のHSコードも確認し、ズレがないか照合を怠らないこと
補足情報
HSコードの基本ルール(GIR)
HSコードは「GIR(一般解釈規則)」という6つのルールに基づいて決められます。商品の用途や素材、本質をもとに分類します。セット商品や複雑な製品を分類する時には特にこのルールが重要です。
各国のコード細分化に注意
HSコードは国際共通で6桁まで同じですが、国ごとにその後の桁が異なります。
- アメリカ:HTSコード(10桁)
- EU:CNコード(8桁)
- 中国:HSコード(10桁)
輸出先ごとに細かい分類が違うので、必ず現地税関のサイトで確認しましょう。
HSコードは5年ごとに見直し
HSコードは約5年に1回改正されます。最新の改正では、AIや新しい食品などが新しく分類されました。WCO(世界税関機構)や税関のHPで最新情報をチェックしてください。
WEBタリフの使い方(簡単)
WEBタリフでは、商品名を入力すると関税率やHSコードが調べられます。初めての方は、自社の商品がどう分類されているかをここで確認しましょう。
よくあるHSコードに関するスタートアップの疑問と回答
Q1. HSコードは誰が決めるの?自分で決めていい?
最初は輸出入者が調べますが、最終的に決めるのは税関です。不安な場合は通関業者に相談するか、「事前教示制度」で確認しましょう。
Q2. WCOの6桁と日本の9桁はどう違うの?
最初の6桁は世界共通、7桁以降は日本独自です。日本で輸入通関するときは9桁以上が必要になります。
Q3. 自社製品でもHSコードは必要?
はい。自社で作った製品でも、輸出時には必ずHSコードを付けて申告する必要があります。
Q4. 国によって同じ商品でもHSコードが違うって本当?
本当です。国ごとに細かい分類が違うので、輸出先のHSコードも確認しましょう。
Q5. HSコードを間違えたらどうなるの?税金は戻る?
間違って安く申告すると追徴課税、高く申告すれば返金されることもありますが、手続きは大変です。最初から正確にするのがベストです。
Q6. HSコードがあれば関税はゼロになる?
いいえ。関税をゼロにするには、HSコードに加えて「原産地証明書」や「加工条件の確認」も必要です。
Q7. HSコードが難しい…誰に相談すればいい?
通関業者、商工会議所、JETROなどがおすすめです。初心者は一人で悩まず、専門家を活用しましょう。
まとめ
- HSコードは貿易の“共通言語”であり、関税、規制、EPAすべての起点になる
- 誤分類は、関税損失、通関遅延、トラブルの原因になる
- 税関ツール・通関業者・輸入国情報を併用し、正確な分類を心がける
- EPA活用を狙うなら「分類+原産地基準」のダブルチェックが必須
次回は「関税の仕組みとEPA活用によるコスト削減」。商品の価格に大きく影響する関税と、その削減方法について詳しく解説していきます。
関連リンク
HSコードの完全ガイド:検索方法から品目別一覧、貿易への活用まで
次の記事>>「第3回:関税の仕組みとEPA活用によるコスト削減」
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