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【日本酒の輸出ビジネス】ライセンス、関税、輸出先国、見込み客の開拓方法

映画「ラストサムライ」の1シーン。トム・クルーズが重傷を負う中での叫び声。

「SAKE!SAKE!SAKE!」

映画の中でも登場するように、世界では日本酒のことを「SAKE」と言います。今回は、この「SAKE(日本酒)」の関税、輸出先国、見込み客の開拓方法等をご紹介していきます。

ゼロから覚えるお酒の輸入ビジネス 関税・酒税の計算方法

日本酒の輸出ビジネス

海外向け日本酒の基礎情報

日本酒のHSコードと関税

日本酒(清酒)を表すHSコードは、2206.00-200です。日本酒の関税率は、輸入国側で決められています。特にイスラム国(禁酒国)で高く設定されていることが多いです。(例:インドネシア90%)その他の国でもアルコールに対する関税率は、全般的に高いです。しかし、日本と経済連携協定(EPA)を締結する国は、日本産の日本酒に優遇税率を設定(低率又は撤廃)しています。

例えば、2019年2月1日に発効したヨーロッパとの「日欧EPA」は、日本酒の関税率を即時撤廃。TPP、オーストラリアなどの国々でも、日本酒に対して他国よりも有利な関税率を設定しています。

一方、発効したアメリカとの貿易協定は、日本産日本酒に対する関税率を維持しています。なお、相手国の輸入規制や関税率は「ワールドタリフ」で調べられます。

2022年12月現在
発効済(利用できる国)シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12、TPP11日EU・EPA米国、英国、RCEP
交渉中トルコ、コロンビア、日中韓
その他(交渉中断等)GCC、韓国、カナダ

2022年度の日本酒の輸出先(74か国)

日本酒は、どの国へ、いくらで輸出されているのでしょうか?

2022年度における日本酒の輸出先国と平均単価は次の通りです。単価とは、日本側の港又は、空港での引き渡し価格(FOB)です。海外バイヤーは、下の費用とは別に送料、輸入国側の税金等を支払います。

例えば、アメリカ向けに日本酒を輸出している方は、日本側の港(空港)にて、1Lで1226円前後で取引をしています。平均価格の為、ルクセンブルク2600円前後、香港2500円などの価格幅があります。

データー元は、財務省貿易統計局

国名年間数量単価/L
アメリカ8248303¥1,226
中華人民共和国7160265¥1,958
大韓民国4208899¥649
台湾2887432¥783
香港2704544¥2,511
カナダ926488¥1,147
シンガポール860410¥2,389
オーストラリア732682¥1,163
タイ667168¥666
国名年間数量単価/L
ベトナム656251¥1,042
マレーシア537467¥1,049
イタリア509391¥409
オランダ463380¥737
ドイツ445318¥671
英国404192¥1,322
フランス403326¥1,338
ブラジル341561¥543
スペイン253358¥631
スイス159335¥731
イスラエル151191¥400
ニュージーランド150937¥776
フィリピン130120¥1,212
アラブ首長国連邦129800¥1,768
スウェーデン122967¥1,001
インドネシア97728¥1,731
ポーランド93242¥260
オーストリア85684¥1,561
マカオ83003¥3,575
メキシコ81340¥1,081
インド54417¥993
カンボジア53712¥1,337
ラオス47669¥1,049
ロシア39297¥573
南アフリカ共和国27931¥504
ベルギー26819¥1,477
ラトビア23547¥591
アイルランド20163¥1,251
トルコ17002¥1,784
ケニア14526¥549
デンマーク13546¥915
レバノン12894¥652
ノルウェー12805¥702
フィンランド10802¥919
グアム(米)9137¥671
モンゴル8794¥571
リトアニア8215¥1,666
カタール8043¥754
チリ6577¥784
ドミニカ共和国5776¥1,416
モルディブ5422¥4,164
アルゼンチン5222¥554
ミャンマー4636¥5,518
コロンビア4435¥963
ナイジェリア2732¥647
スロベニア2606¥1,304
スリランカ1684¥517
ポルトガル1615¥2,184
ギリシャ1605¥660
ペルー1524¥1,484
セーシェル1290¥1,898
キプロス1274¥1,079
モーリシャス1230¥1,290
ルーマニア1080¥485
ウガンダ1052¥720
カザフスタン872¥1,073
オマーン727¥692
ネパール602¥445
ルクセンブルク573¥2,628
北マリアナ諸島(米)545¥769
パラグアイ432¥1,174
仏領ポリネシア198¥1,232
バヌアツ173¥1,468
キューバ98¥2,684
ウルグアイ47¥11,383

日本側の規制、必要な許認可

日本酒を輸出するときは、酒税免許が必要です。酒税免許は、輸出先(卸なのか、小売りなのか?)、取り扱う種類によっても変わります。大別すると、以下のいずれかを取得します。

  • 海外の業者に販売するとき=輸出入酒類卸売業免許
  • 海外の一般消費者に販売するとき=通信販売酒類小売業免許

酒税免許は、最寄りの税務署が管轄です。具体的な輸出の検討に入った際は、できる限り、早めに酒税免許を取得することをお勧めします。酒税免許の取得には、多くの時間がかかり、場合によっては、輸出を延期することになりかねないです。できる限り早く酒税免許を取得したい場合は、酒販免許や酒造免許の取得に精通する行政書士に依頼しましょう!

*酒類製造者が自分で製造した酒を輸出する場合は免許は不要です!

相手国の規制

相手国側の規制は、イスラム圏か否かにより変わります。基本的に、日本酒を含むアルコール類には、各国で厳しい規制があります。国によって、輸入関税、酒税の他にも様々な税金があります。

  • 韓国=関税、酒税、教育税、付加価値税
  • 中国=関税、消費税、増値税
  • 台湾=関税、タバコ酒類税、貿易開拓サービス費
  • 香港=一部、物品税
  • 米国=州ごとに酒税や売上税

相手国側の細かい規制は、海外の販売先(売り手)に確認してもらいます。ご自身で調べるときは、ジェトロの各国情報、国税庁の日本酒輸出ハンドブックなどが参考になります。なお、EU向け輸出などは、地理的表示制度(GI)も関係します。

ラベル規制

日本酒に貼るラベルにも各国ごとに規制があります。

例えば、次の項目を記載したラベルを貼り付けます。

  • 商品名
  • 原材料名
  • アルコール度数
  • 製造業者名
  • 製造年月日
  • 賞味期限
  • 内容量

ラベルの貼り付けは、輸出者側、輸入者側のどちらかで行います。ここは貿易交渉で決めます。他、以下についても規制の確認します。

  • 放射能に関する証明書
  • 容器や包装などの要件
  • 農薬・食品添加物の有無
  • 輸入ライセンスの有無
必要な書類例

日本酒を輸出するときの書類には、以下の物があります。より具体的な情報が必要とする場合は、最寄りの税関相談センター又は、お付き合いがある通関業者で確認します。特にB/Lは、販売先から代金の内、半額を受け取るときにも重要な役割があります。

求められているお酒の把握方法

輸出先国は、どのような日本酒を求めているのでしょうか? これを把握することで、日本酒輸出の成功確率を上げられます。国税庁が作成した日本酒輸出ハンドブックによると、各国の日本酒における需要は次の通りです。

国名主な消費場所
アメリカ
  • 日本食レストラン、日系スーパー
  • 販売量の約8割が米国産。日本産は有名銘柄の定番商品
香港
  • 消費の中心は日本食レストラン
  • 男性には大吟醸、女性は梅酒や果実酒
台湾大手メーカーの銘柄&地酒の輸入
中国
  • 日本料理店(食べ・飲み放題レストラン)
  • 高級店では、日本の地酒
韓国日本食レストラン

この情報を見ると、越境ECを除くと、基本的には、現地の日本食レストランやスーパーを通した流通になりそうです。「日本酒だから高級でも売れる」との考えは通じず、各国違わず、比較的、安価で手に入りやすい価格帯の日本酒が受け入れられています。特にアメリカでは、国内で製造&流通が行われている為、低価格帯の日本酒を輸出しても勝ち目はなさそうです。

小規模事業者の輸出チャンスは、販売チャネルの変更、アレンジ、希少品種のいずれか又は、組み合わせになると思います。真正面から輸出市場に挑戦すると、見事に価格競争の波に飲み込まれそうです。

以前、ある中国の方がこのようなことをおっしゃっていました。

日本酒は、度数が低くて物足りない。

あなたは、この意見を聞いて、どのように反映するでしょうか? このように既存の日本酒にはない部分を見つけてアレンジすると受け入れられる可能性があります。他、希少品種、一般の卸流通市場にはのせられない日本酒も良いと思います。規模や価格以外の部分で勝負しない限り、日本酒の輸出は難しいでしょう。

グーグル検索からも求めらている日本酒を探せます。

海外のインターネットでは、日本酒についてどのように検索しているのでしょうか?

海外では、日本酒を「sake」又は「nihonshu」で検索する方が多いです。また、意外なことに、日本酒ではなく、精度(吟醸)、銘柄までを細かく指定して検索する方もいます。中には「濁り酒」を表す「nigori」や「unfiltered sake」などもあり、予想以上に日本酒が広まっています。

*上から順に検索数が多いです。

  • sake
  • japanese sake
  • sake drink
  • sweet sake
  • otokoyama sake
  • sake wine
  • daiginjo sake
  • hakkaisan sake
  • mio sparkling sake
  • junmai
  • daiginjo
  • nigori(unfiltered sake)
  • plum sake
  • yuzu sake
  • kubota
  • iichiko

日本酒の売り先を考える上で大切な事

日本酒の売り先は、どのように見つければいいのでしょうか? 実は、この最適解は、皆さんの状況により異なります。また、海外の「誰に?」売るのかによっても違います。

  1. 個人事業者? 小規模法人?
  2. 海外の一般客? 卸売り?

基本的には、海外に販売する場合は、相手国側で販売経路を持っている方を狙うのが良いです。

例えば、上記の日本食レストランのケースでいうと、日本食レストランオーナーに販売するのではなく、日本食レストランに卸している業者に売ると良いです。これにより、一気に販路を広げられます。このような業者と巡り合いたければ、各国で開催する食品見本市等に出展する方法がお勧めです。

もし、個人事業レベルで輸出を開始する場合は、ECサイト(集客ができているサイト)等に出品をして少しずつ拡大していく戦略が現実的です。この場合は、海外の卸相手ではなく、一般の顧客が相手です。

一般の顧客(最終消費者)に販売する場合に重要なことは、とにかく、相手先国では手に入らない日本酒にこだわることです。ここが重要です。現地のスーパー、高級百貨店、日本食レストランなどは、手に入りにくい日本酒、かつある程度、知名度がある日本酒を取りそろえることが重要です。

例えば、先ほど、香港の日本酒市場の情報の中に「女性は梅酒や果実酒」を好む層が多いとありました。実際、私も香港の方と交流がありますが、発砲系の日本酒を好んでいました。

このような事実から……

日本酒=おっさんの飲み物ではなく、女性でも受け入れやすいように改良もできます。

*YOUTUBEの中に公開されている各種、外国人の方の反応も参考にできます。

現在は、様々なツールを使うだけで、非常に多くの情報を入手できます。ぜひ、誰に? どのような酒?を売るのかを意識して色々と情報を調べてみましょう!

日本酒の海外販売方法例(見込み客の獲得方法例)

次に日本酒の販売方法、見込み客を獲得する方法例をご紹介します。事業規模、皆様の状況に応じて適切な方法を選んでいただければと思います。

  1. 展示会への出展
  2. 越境ECサイトへの出店
  3. 海外向けネットショップ
  4. Airbnb見込み客獲得戦略
  5. 新酒会への招待
  6. 海外販路開拓支援

1.展示会への出展

国内外で開かれている見本市への出展を検討しましょう。ジェトロのサイト内にある、海外見本市情報を参考にして、出展を検討します。ケースによっては、出展に関して補助金もあります。見本市に出展する際は、必ず海外のバイヤーの心にとまる資料を用意しましょう。

2.越境ECサイトへの出店

ebay、アリババに始まる国際的な電子取引サイトへ出店(出品)してみます。残念ながらebayはアルコールの出品はできません。しかし、2023年現在、他にも様々なECサイトがある為、探してみましょう!

3.海外向けネットショップ

ご自身で海外向けのウェブサイトを構築し情報発信&ネット販売ができます。

  1. ご自身のサイト(情報発信機能+ネット販売機能)、Youtube又はSNSで海外向けに日本酒の情報を発信する。
  2. 見込み客を自身のサイト(ネット販売機能のページ)に誘導し日本酒を販売する

例えば、各地の日本酒の酒蔵に関する情報をまとめてあげるのも良いでしょう。日本酒にあうレシピ集の情報をまとめるのもありです。日本酒を好む層が必要する情報をまとめてあげましょう!

この方法であれば、決済部分と国際輸送部分を構築できれば「外野からの規制(各国の法規制は別)」は一切ないです。しかも、余分な費用をかけず、自由に販売ができます。

日本酒の輸送方法例

「個人でも海外に向けて日本酒を発送できるのか?」

「小ロットで日本酒を輸出するには?」

海外に日本酒を輸出するときは、輸送ロットを明確にする必要があります。ECなどを使い、海外の最終消費者に向けて少数を輸送する場合は、ヤマトグローバルなどがあります。

しかし、各社の輸送規約や受け入れ国側の「禁止品」に該当する可能性があるため、十分に確認が必要です。商売で輸送する場合は、航空便と海上輸送の選択をします。

航空輸送は、非常に早く配送ができる反面、海上輸送時よりも価格が高いです。他方、海上輸送の場合は、日数がかかる分、商品価格に占める送料を抑えられます。仮に海上輸送をする場合は、リーファーコンテナ(温度管理ができるコンテナ)を使うことが望ましいです。最近は、リーファーコンテナサービスでも「冷凍・冷蔵小口混載」を提供している所も増えています。

4.Airbnb見込み客獲得戦略

少し裏技的な方法です。もし、酒蔵近くに宿があるAirbnbオーナーは、Airbnbの宿泊者を自社の日本酒の見込み客にできます。これは、Airbnbの宿泊費以外にキャッシュポイントを作ることです。

例えば、通常通りAirbnbで宿泊者を募ります。そこに特典を付けて「日本酒の酒蔵見学ツアー付」とします。これにより、日本酒を好む層から宿泊希望が来ます。もし、さらに改良するなら、食品衛生法が関係しない形での日本酒&軽食(例:缶詰と日本酒セット)を提供して徹底的に宿泊者の満足度を上げます。

*日本酒は、カップ等に移し替えて販売すれば、酒販免許は不要です。(そのままの状態はダメ)

最後に宿泊者に対して、自社サイト(日本酒の販売サイト)をご案内し、ライン、wechatなどのSNSに登録してもらい、いつでも顧客に対して情報発信ができるようにしておきます。この一連の流れにより、Airbnbの宿泊者をお酒を販売する為の顧客に切り替える戦略です。

5.訪日外国人に対して実店舗や新酒会への誘導を試みる

もし、あなたが酒造会社又は、酒造会社と親しい間柄なら、訪日外国人に対してアプローチする方法を検討しましょう!

例えば、ウェブサイト、SNSなどを通して、新酒会や自社店舗へ誘導します。実際に訪れた外国人に対しては、上記と同じように顧客との連絡交換をします。いつでも気軽にリピート注文ができるようにします。

4番と5番のポイントは、共に実際の接点を作ってから、見込み客リストとして登録することです。この場合のネット注文は、実際に顔を見て交流した後のやり取りになる為、信頼性が高まっています。当然、海外の顧客からしても安心度が全く違います。

  1. 実際に顔を合わせて交流を深めて信頼を構築する
  2. いつでも連絡ができるよう、各種連絡ツールに登録する

6.海外販路開拓支援

最後は、海外販路開拓支援サービスを使っていただくことです。この方法は、ある程度の規模感(法人であり従業員9名以下)がある会社様が海外の新しい販路を開拓するときに便利です。

例えば、日本で焼き肉店を経営している。牛の仕入れルートがある為、これを活かして、海外に和牛の販路を開拓したいなどです。弊社には、貿易に精通する専門家グループ(HUNADEサポートチーム)がございます。この内、2名は、数十年以上、海外販路の開拓に精通しており、一社、一社の実情に応じた顧客を開拓していきます。顧客の開拓行為に関する費用は、明朗会計、55000円~/一社です。

様々な商品に対応できるため、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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