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日本酒輸出の完全ガイド:個人・小規模事業者向けのビジネス戦略

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日本酒の海外人気は年々高まり、世界各国で「SAKE」として親しまれるようになっています。日本の伝統的な酒造技術によって生み出される繊細な味わいは、海外のレストランやバー、高級スーパーで需要が拡大しています。(2024年の輸出総額434.7億円)

この記事では、個人や小規模事業者が日本酒を輸出する際のポイントや手続き、市場動向について詳しく解説していきます。

日本酒輸出ビジネスの概要

日本酒の輸出ビジネスは、国内の酒造メーカーや販売事業者が海外市場へ向けて日本酒を販売することです。日本酒は、アメリカ、香港、中国、シンガポールなどの国で特に人気が高く、日本食ブームの拡大に伴い、消費量が増加しています。

2024年上半期の日本酒の輸出額は204億円となり、前年同期比で約15%増加しており、海外市場の拡大が続いています。

2022年度の日本酒の輸出先(74か国)

日本酒は、どの国へ、いくらで輸出されているのでしょうか?

2022年度における日本酒の輸出先国と平均単価は次の通りです。

単価=日本側の港又は、空港での引き渡し価格(FOB

海外のバイヤーは、下記のFOB価格に加えて送料、輸入国側の税金等を支払います。

例えば、アメリカ向けに日本酒を輸出している方は、日本側の港(空港)にて、1Lで1226円前後で取引をしています。平均価格の為、ルクセンブルク2600円前後、香港2500円などの価格幅があります。

データ元は、財務省貿易統計局

国名年間数量単価/L
アメリカ8248303¥1,226
中華人民共和国7160265¥1,958
大韓民国4208899¥649
台湾2887432¥783
香港2704544¥2,511
カナダ926488¥1,147
シンガポール860410¥2,389
オーストラリア732682¥1,163
タイ667168¥666

主な輸出形態

輸出ビジネスには、酒造メーカーが直接海外へ販売する方法、輸出専門の卸業者を経由する方法、ECサイトや越境ECプラットフォームを活用する方法があります。特に個人事業者や小規模事業者にとっては、オンライン販売を活用したビジネスモデルが現実的な選択肢です。

さらに、日本酒の輸出においては、現地パートナーの確保も成功の鍵となります。現地のディストリビューターやレストラン、リカーショップと提携し、販路を拡大することで、日本酒の認知度向上と安定した販売ができます。特に、現地の文化や嗜好を理解し、それに適したマーケティング戦略を実行することが重要です。

日本酒の輸出を始めるための手続き

日本酒の輸出をするには酒税免許が必要です。酒税免許は「輸出先の形態」で異なります。

  • 海外の業者に販売するとき=輸出入酒類卸売業免許
  • 海外の一般消費者に販売するとき=通信販売酒類小売業免許

税務署で手続きをする

免許の問い合わせ、申請、取得は、最寄りの税務署で行います。具体的な輸出の検討に入った際は、できる限り、早めに酒税免許を取得することをお勧めします。免許の取得には、多くの時間がかかります。時間を短縮したい場合は、酒販免許や酒造免許の取得に精通する行政書士に依頼しましょう!

*酒類製造者が自分で製造した酒を輸出する場合は免許は不要です!

各国ごとの規制を理解する。

反対に各国の輸入規制を確認しましょう!代表的な国は、次の通りです。仮にあなたが日本側の輸出者なら、商品の用意とは別に、輸入国側の規制をクリアするための各種の資料の用意が必要です。

  • アメリカ:州ごとにアルコール販売規制が異なり、一部の州ではライセンスが必要。
  • EU(ヨーロッパ):地理的表示(GI)保護のルールが適用される場合があり、適正なラベル表記が求められる。
  • 中国:酒類の輸入には衛生検査や成分分析が必要。
  • 韓国:税関において教育税や付加価値税が課される。
  • シンガポール:アルコールの輸入には事前に輸入許可が必要。

各国規制は、ジェトロのサイト、海外調査サービス等で行いましょう!

日本酒のラベル規制

日本酒のラベル規制にも注意が必要です。多くの国では、製造年月日、アルコール度数、原材料名、内容量、輸入業者名の明記が義務付けられています。規制に適合しない商品は、現地側の通関で拒否されることがあります。

例えば、次の項目を記載したラベルを貼り付けます。

  • 商品名
  • 原材料名
  • アルコール度数
  • 製造業者名
  • 製造年月日
  • 賞味期限
  • 内容量

ラベルの貼り付けは、輸出者側、輸入者側のどちらかで行います。ここは貿易交渉で決めます。他、以下についても規制の確認します。

  • 放射能に関する証明書
  • 容器や包装などの要件
  • 農薬・食品添加物の有無
  • 輸入ライセンスの有無

情報の調べ方:ジェトロの各国情報、国税庁の日本酒輸出ハンドブック

日本酒の関税とHSコード

日本酒の輸出入にはHSコード(関税分類コード)2206.00-200が使用されます。関税率は国によって異なります。

例えばアメリカやEUでは日本との貿易協定に基づき、関税が優遇されるケースがあります。一方で、イスラム圏の国々ではアルコール飲料に対して非常に高い関税や禁止措置が取られることがあります。(例:インドネシア)

HSコードの完全ガイド:検索方法から品目別一覧、貿易への活用まで

2019年2月1日に発効したヨーロッパとの「日欧EPA」は、日本酒の関税率を即時撤廃。TPP、オーストラリアなどの国々でも、日本酒に対して他国よりも有利な関税率を設定しています。

一方、発効したアメリカとの貿易協定は、日本産日本酒に対する関税率を維持しています。なお、相手国の輸入規制や関税率は「ワールドタリフ」で調べられます。

2025年2月現在
発効済(利用できる国)シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12、TPP11日EU・EPA米国、英国、RCEP(韓国+中国+アセアン+オーストラリアなど)
交渉中トルコ、コロンビア、GCC、日中韓
その他(交渉中断等)カナダ、韓国

必要な書類例

日本酒を輸出するときの書類には、以下の物があります。より具体的な情報は、最寄りの税関相談センター又は、お付き合いがある通関業者で確認しましょう。特にB/Lは、販売先から代金の内、半額を受け取るときにも重要な役割があります。

求められているお酒の把握方法

輸出先国は、どのような日本酒を求めているのでしょうか? これを把握することで、日本酒輸出の成功確率を上げられます。国税庁が作成した日本酒輸出ハンドブックによると、各国の日本酒における需要は次の通りです。

国名主な消費場所
アメリカ
  • 日本食レストラン、日系スーパー
  • 販売量の約8割が米国産。日本産は有名銘柄の定番商品
香港
  • 消費の中心は日本食レストラン
  • 男性には大吟醸、女性は梅酒や果実酒
台湾大手メーカーの銘柄&地酒の輸入
中国
  • 日本料理店(食べ・飲み放題レストラン)
  • 高級店では、日本の地酒
韓国日本食レストラン

この情報を見ると、越境ECを除くと、基本的には、現地の日本食レストランやスーパーを通した流通になりそうです。「日本酒だから高級でも売れる」との考えは通じず、各国違わず、比較的、安価で手に入りやすい価格帯の日本酒が受け入れられています。特にアメリカでは、国内で製造&流通が行われている為、低価格帯の日本酒を輸出しても勝ち目はなさそうです。

小規模事業者の輸出チャンスは、販売チャネルの変更、アレンジ、希少品種のいずれか又は、組み合わせになると思います。真正面から輸出市場に挑戦すると、見事に価格競争の波に飲み込まれそうです。


 

以前、ある中国の方がこのようなことをおっしゃっていました。

日本酒は、度数が低くて物足りない。

あなたは、この意見を聞いて、どのように反映するでしょうか? このように既存の日本酒にはない部分を見つけてアレンジすると受け入れられる可能性があります。他、希少品種、一般の卸流通市場にはのせられない日本酒も良いと思います。規模や価格以外の部分で勝負しない限り、日本酒の輸出は難しいでしょう。

グーグル検索からも求めらている日本酒を探せます。

海外のインターネットでは、日本酒についてどのように検索しているのでしょうか?

海外では、日本酒を「sake」又は「nihonshu」で検索する方が多いです。また、意外なことに、日本酒ではなく、精度(吟醸)、銘柄までを細かく指定して検索する方もいます。中には「濁り酒」を表す「nigori」や「unfiltered sake」などもあり、予想以上に日本酒が広まっています。

*上から順に検索数が多いです。

  • sake
  • japanese sake
  • sake drink
  • sweet sake
  • otokoyama sake
  • sake wine
  • daiginjo sake
  • hakkaisan sake
  • mio sparkling sake
  • junmai
  • daiginjo
  • nigori(unfiltered sake)
  • plum sake
  • yuzu sake
  • kubota
  • iichiko

日本酒の売り先を考える上で大切な事

日本酒の売り先は、どのように見つければいいのでしょうか? 実は、この最適解は、皆さんの状況により異なります。また、海外の「誰に?」売るのかによっても違います。

  1. 個人事業者? 小規模法人?
  2. 海外の一般客? 卸売り?

基本的には、海外に販売する場合は、相手国側で販売経路を持っている方を狙うのが良いです。

例えば、上記の日本食レストランのケースでいうと、日本食レストランオーナーに販売するのではなく、日本食レストランに卸している業者に売ると良いです。これにより、一気に販路を広げられます。このような業者と巡り合いたければ、各国で開催する食品見本市等に出展する方法がお勧めです。

もし、個人事業レベルで輸出を開始する場合は、ECサイト(集客ができているサイト)等に出品をして少しずつ拡大していく戦略が現実的です。この場合は、海外の卸相手ではなく、一般の顧客が相手です。

一般の顧客(最終消費者)に販売する場合に重要なことは、とにかく、相手先国では手に入らない日本酒にこだわることです。ここが重要です。現地のスーパー、高級百貨店、日本食レストランなどは、手に入りにくい日本酒、かつある程度、知名度がある日本酒を取りそろえることが重要です。

例えば、先ほど、香港の日本酒市場の情報の中に「女性は梅酒や果実酒」を好む層が多いとありました。実際、私も香港の方と交流がありますが、発砲系の日本酒を好んでいました。

このような事実から……

日本酒=おっさんの飲み物ではなく、女性でも受け入れやすいように改良もできます。

*YOUTUBEの中に公開されている各種、外国人の方の反応も参考にできます。

現在は、様々なツールを使うだけで、非常に多くの情報を入手できます。ぜひ、誰に? どのような酒?を売るのかを意識して色々と情報を調べてみましょう!

日本酒の海外販売方法例(見込み客の獲得方法例)

次に日本酒の販売方法、見込み客を獲得する方法例をご紹介します。事業規模、皆様の状況に応じて適切な方法を選んでいただければと思います。

  1. 展示会への出展
  2. 越境ECサイトへの出店
  3. 海外向けネットショップ
  4. 新酒会への招待
  5. 海外販路開拓支援

1.展示会への出展

国内外で開かれている見本市への出展を検討しましょう。ジェトロのサイト内にある、海外見本市情報を参考にして、出展を検討します。ケースによっては、出展に関して補助金もあります。見本市に出展する際は、必ず海外のバイヤーの心にとまる資料を用意しましょう。

2.越境ECサイトへの出店

ebay、アリババに始まる国際的な電子取引サイトへ出店(出品)してみます。残念ながらebayはアルコールの出品はできません。しかし、2023年現在、他にも様々なECサイトがある為、探してみましょう!

3.海外向けネットショップ

ご自身で海外向けのウェブサイトを構築し情報発信&ネット販売ができます。

  1. ご自身のサイト(情報発信機能+ネット販売機能)、Youtube又はSNSで海外向けに日本酒の情報を発信する。
  2. 見込み客を自身のサイト(ネット販売機能のページ)に誘導し日本酒を販売する

例えば、各地の日本酒の酒蔵に関する情報をまとめてあげるのも良いでしょう。日本酒にあうレシピ集の情報をまとめるのもありです。日本酒を好む層が必要する情報をまとめてあげましょう!

この方法であれば、決済部分と国際輸送部分を構築できれば「外野からの規制(各国の法規制は別)」は一切ないです。しかも、余分な費用をかけず、自由に販売ができます。

日本酒の輸送方法例

「個人でも海外に向けて日本酒を発送できるのか?」

「小ロットで日本酒を輸出するには?」

海外に日本酒を輸出するときは、輸送ロットを明確にする必要があります。ECなどを使い、海外の最終消費者に向けて少数を輸送する場合は、ヤマトグローバルなどがあります。

しかし、各社の輸送規約や受け入れ国側の「禁止品」に該当する可能性があるため、十分に確認が必要です。商売で輸送する場合は、航空便と海上輸送の選択をします。

航空輸送は、非常に早く配送ができる反面、海上輸送時よりも価格が高いです。他方、海上輸送の場合は、日数がかかる分、商品価格に占める送料を抑えられます。仮に海上輸送をする場合は、リーファーコンテナ(温度管理ができるコンテナ)を使うことが望ましいです。最近は、リーファーコンテナサービスでも「冷凍・冷蔵小口混載」を提供している所も増えています。

4.訪日外国人に対して実店舗や新酒会への誘導を試みる

もし、あなたが酒造会社又は、酒造会社と親しい間柄なら、訪日外国人に対してアプローチする方法を検討しましょう!

例えば、ウェブサイト、SNSなどを通して、新酒会や自社店舗へ誘導します。実際に訪れた外国人に対しては、上記と同じように顧客との連絡交換をします。いつでも気軽にリピート注文ができるようにします。

4番と5番のポイントは、共に実際の接点を作ってから、見込み客リストとして登録することです。この場合のネット注文は、実際に顔を見て交流した後のやり取りになる為、信頼性が高まっています。当然、海外の顧客からしても安心度が全く違います。

  1. 実際に顔を合わせて交流を深めて信頼を構築する
  2. いつでも連絡ができるよう、各種連絡ツールに登録する

5.海外販路開拓支援

最後は、海外販路開拓支援サービスを使っていただくことです。この方法は、ある程度の規模感(法人であり従業員9名以下)がある会社様が海外の新しい販路を開拓するときに便利です。

日本酒輸出の成功事例

成功事例1:アメリカ市場への直接販売

ある日本の小規模酒造メーカーは、越境ECを活用してアメリカ市場への直接販売を実現しました。SNSやインフルエンサーを活用したマーケティング戦略を展開し、クラフトSAKEとしてのブランド価値を高めることで、高価格帯の商品を販売することに成功しました。具体的には、オンライン販売を開始してから1年で売上が5000万円を突破し、リピーター率も40%を超える成果を上げました。

成功事例2:香港市場でのプレミアム展開

香港市場では、日本の酒造メーカーが現地の高級スーパーと提携し、限定ボトルの販売キャンペーンを実施。プレミアム日本酒としての認知を高め、富裕層をターゲットにした販売戦略で成功を収めました。この結果、輸出台数が前年比で約30%増加し、高級酒市場への本格進出が実現しました。

まとめ

日本酒の輸出ビジネスは、海外市場の拡大に伴い大きな成長の可能性を秘めています。特に、小規模事業者や個人でも、越境ECや現地パートナーシップを活用することでビジネスを拡大することができます。輸出に必要な手続きを理解し、市場ごとのニーズに合わせた販売戦略を立てることが、成功のカギとなります。

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