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魚油エチルエステルの関税分類事例|医薬品原料でも「食料品」とされた理由【答申第121号】

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魚油エチルエステルの関税分類をめぐるトラブル

医薬品原料として輸入された魚油エチルエステルが「食料品」に分類された事例を紹介します。輸入時の性状が分類を左右することを解説します。

事例の資料:関税等不服審査会関税答申121号

事案の背景と経緯

ある製薬関連企業は、医薬品原料として「魚油エチルエステル(EPA・DHA混合物)」を輸入しました。当初は化学品(HSコード3824.99)として申告しましたが、後に国際分類例規の改正を受け、税関は「調製食料品(HSコード2106.90)」に該当すると判断しました。

輸入者は「食品衛生法の規制により食品として使用できないため、化学品扱いが妥当」と主張しましたが、税関は「輸入時の性状から食料品の調製に使用する種類のもの」として食料品分類を支持しました。

審査会の判断と結論

  • 輸入時の性状が基準:分類は輸入時点の性状に基づく。輸入後の用途は関係しない。
  • 国内規制の有無は無関係:食品衛生法の規制は関税分類に影響を与えない。
  • 国際分類例規の尊重:HS委員会の分類意見を踏まえ、EPA・DHA混合物は「食料品の調製に使用する種類のもの」とされた。

結論:2106.90(調製食料品)への分類が妥当。審査請求は棄却。

実務者が学ぶべき5つのポイント

1.性状優先の原則

輸入時点での成分や見た目が最優先されます。用途や国内の規制は後から考える要素にすぎません。

2.規制と関税の切り分け

食品衛生法や薬機法の規制は、関税分類の判断には直接つながりません。混同せずに別々に管理する必要があります。

3.国際的な統一性

国際分類例規が改正されると、各国で尊重されます。企業は常に最新情報を追い、輸入戦略に反映させる必要があります。

4.コスト直結リスク

化学品(税率3.9%)が食料品(税率15%)に変わるように、関税率の差は大きなコスト要因です。分類を誤ると経営に直結するリスクがあります。

5.他国事例の限界

他国での分類は参考程度です。日本では日本税関の判断が優先され、他国の分類が根拠にはなりません。

貿易経営者が押さえるべき視点

利益率への影響

関税率のわずかな違いが輸入コストに直結し、利益を圧迫します。医薬品や原材料の輸入は数量が大きいため、数%の差でも数千万円単位の負担増になることがあります。

価格競争力の低下

分類が変わりコストが上がれば、販売価格に反映せざるを得ません。その結果、競合との差が広がり、国際市場では致命的になるリスクがあります。

リスク分散戦略の必要性

1つのHSコードに頼らず、代替の原料や供給ルートを用意し、関税分類リスクを分散させることが大切です。

サプライチェーン全体での対応

原料調達や輸入計画の段階から分類リスクを考慮することが重要です。サプライチェーン全体で情報を共有し、契約に価格変動リスクを反映させる戦略が必要です。

規制動向を経営判断に直結させる

国際分類例規の改正は突然起こることがあります。経営課題として情報収集を組み込み、早めに価格調整や代替策を検討することが求められます。

実務の超重要ポイント

  • 境界領域貨物の難しさ:医薬品原料や食品原料のように曖昧な性質を持つ貨物は、関税分類リスクが高い。輸入者は「どう使うか」ではなく「どのような性状か」に注視すべき。
  • 経営層への報告:分類リスクは単なる通関問題ではなく、企業収益に直結する。経営層がリスクを理解していることが非常に大切!
  • 予防的アプローチ:事前教示や専門家の助言を受けることで、予想外のコスト発生を防げる。決して、実務担当者だけでなく、経営者が主導して取り組むべき課題といえます。

まとめ

本件は「輸入時の性状」が分類を決める決定的要素であることを示しました。国内規制や用途は分類の判断基準にはならず、国際的な分類例規が優先されます。貿易経営者にとっては、分類リスクが利益率や競争力に直結するため、情報収集・リスク分散・サプライチェーン全体での戦略対応が不可欠です。分類問題は通関担当者任せにせず、経営課題として扱うことが持続的な事業運営の鍵です。

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