タイ、デンマーク、フィリピン、フランス、ベトナム、中国などから家具を輸入するには?家具の輸入となれば、コンテナなどで輸送するため、宅配輸入よりも難しいイメージがあります。そこで、この記事では、海外から家具を輸入するときのポイント、輸入手順、規制、関税、輸入申告、D/O処理などをご紹介していきます。
家具を輸入する方法
海外から家具を取り寄せるとなると、何だか大変なイメージがあります。でも、大丈夫です。少しつずつ、確実に手順通りに進めていけば、だれでも家具の輸入はできます。
購入するときに考えること
家具を輸入するときは、どのようなことに気をつければいいのでしょうか? 自分の家に適した家具を購入するのはもちろんです。それと合わせて、次の2つの点について、あらかじめ考えておくと良いです。
- 送料はどちらが持つのか?
- 日本側の通関はどうするのか?
1.送料は、どちらが持つのか?
海外で家具を購入するときは、外国から日本まで何らかの方法で輸送しなければなりません。ご存知の通り、家具の輸入は、コンテナなどを使い輸送する必要があります。そのため、外国から日本の送料は、どちたが負担するのか?を決めておく必要があります。一般的な購入は、CIFという条件で商品を購入することが多いです。
CIFとは、外国から日本までの輸送料金と保険代金を輸出者側(家具を販売した会社側)が負担する契約です。
例えば、あなたが大阪周辺に住んでいるのであれば、海外の家具屋さんに対して、次のような見積もり書を作成してもらいます。
「CIF OSAKA JAPAN」
これを伝えることにより、輸出者(販売者側)は、日本までの送料と保険代金をこちら側(輸出者側)が負担して、見積書を作成すれば良いと理解できます。そして、これは同時に、大阪港以降の全ての手続きをご自身で行うことを意味します。ここでいう手続きとは、税関への申告、船会社への手続き、国内配送などです。もちろん、これらの作業は、すべて代行業者にお任せもできます(詳しくは後述)
2.日本側の通関はどうするのか?
CIF大阪であれば、大阪港までは、輸出者が届けてくれます。また、輸入者は、大阪港以降の手続きをご自身で行います。日本側の手続きは、税関への輸入申告、いわゆる通関です。
家具を購入するときは、この二点について、ある程度、考えておくことをお勧めします。特に、個人で輸入する方は、通関業者が依頼を受けてくれにくいのが現実です。要は、通関業者としても、完全に個人、素人の荷物を代行申告するのは、リスクが高いと考えている所が多いです。もし、ご自身でする場合は「自社通関の手引き」をご覧ください。
家具の輸入規制と注意点
家具の規制があるのでしょうか? 家具が当てはまるHSコードは、9401~9406です。このコードを「他法令データベース」で確認した所、特に輸入規制はされていないようです。ただし、税関の輸入申告上、家具は、疑いの目をかけられやすいです。なぜなら、家具には、様々な物を「中に仕込んで」輸送ができるからです。
例:白い粉や金塊など
これらの物を家具の空きスペースに仕込んで輸送する人がいるため、税関も目を光らせているのです。つまり、輸入が初回であり、個人で輸入申告する人は、ほぼ100%税関検査になると考えておきましょう。ちなみに、税関検査は、拒否はできません。強制です。しかも、検査にかかる費用は、すべて輸入者の負担です。このような注意点があることをあらかじめ覚えておきましょう!
その他の観点:ワシントン条約に該当しないのか?など。
家具の関税は?
家具を輸入するときの関税は、どれほどかかるのでしょうか? ウェブタリフを確認すると、9401~9406に属する貨物は、無税~最大でも4%前後に設定されています。ただし、あなたが輸入する家具が以下の国の物であるときは、EPA(関税ゼロ)を適用して無税にできます。忘れずにチェックしておきましょう。
2018年7月現在のEPA締約国一覧 | ||||
シンガポール | マレーシア | タイ | インドネシア | ブルネイ |
アセアン全体 | フィリピン | ベトナム | インド | モンゴル |
オーストラリア | メキシコ | チリ | ペルー | スイス |
もし、輸入する家具のインボイス価格が33万円以内(商売目的の場合は、商品+配送料=20万円以下)であれば、関税の免除を受けるための書類は不要です。一方、34万円以上のときは、輸出者から特定原産地証明書と呼ばれる書類を入手することにより、関税の免除を受けられます。
家具の関税のまとめ
平均的に0%。一部の品目は4%前後の関税が設定されています。ただし、輸入する国が上記のEPA締約国の場合は、関税をゼロにできる可能性があります。ゼロにするためには、輸入申告時に「EPA税率を適用したい旨」を税関または通関業者に伝えておきます。もし、あなたの輸入する価格が日本円換算で34万円以上であれば、輸出者から特定原産地証明書を入手すると関税の免除を受けられます。
輸入申告で必要な書類
家具を輸入するときの注意点などをご理解いただけたかと思います。それでは、もう少し具体的に、輸入時に行うべきこと、必要な書類をご紹介していきます。家具を輸入するときに必要な書類は、以下の5つです。
- インボイス
- パッキングリスト
- B/L
- アライバルノーティス
- イラスト
インボイス | いくらで購入したかを証明 |
パッキングリスト | 貨物の梱包内容を説明 |
B/L | 貨物の輸送方法、船名等を証明 |
アライバルノーティス | 日本の港へ到着したことを示す書類 |
イラスト | 輸入申告するときに、商品の詳細を説明する資料 |
販売者からインボイスなどを送付してもらうタイミングは?
多くは、輸出国を出港したときに、電子メールなどで送付されてきます。貨物が到着するときに緒に届くわけではないためご注意ください。輸出者に対して、ご自身で請求します。
輸入手続きをする2つの方法
実際に、家具の輸入手続きをするときは、大きく分けると、次の2つの方法があります。
1.自分で輸入申告する
2.通関業者に任せる。
1.自分で輸入申告する
実は、輸入や輸出申告は、誰でも自由にできます。ただし、その代理を業として行うときは、通関業の許可がいるということです。したがって、少しでも輸入費用を安くしたいのであれば、輸入申告をご自身で行うことも一つの方法です。自分で輸入申告するときは、次の6つのステップを順番に踏んでいきます。
1.搬入場所を調べる
2.配送会社を調べておく
3.搬入倉庫の管轄税関を調べる
4.必要書類をそろえて、税関菅署に出向く
5.ナックスで輸入申告
6.税関検査に対応できるようにトラックをチャーターしておく。
1.搬入場所を調べる
まずは、ご自身の貨物は、日本のどこに一時保管されているのか?を確認します。倉庫の場所は、アライバルノーティスの左下にある「○○倉庫」という所です。
2.配送会社を調べる。
保税倉庫の場所がわかったら、トラック手配を考えておきます。トラックは、輸入申告時の税関検査、その後の通常配送をしてもらうために必要です。トラックは、保税倉庫の近くにある会社にお願いをすると良いです。トラック会社に話をするときは、保税蔵置場の場所、荷物の重さと容積、荷物の内容、届け先などを伝えると、相手も「遊びでない人」と判断します。
もし、このトラックさえもご自身で手配したいのであれば、その辺のレンタカー会社からトラックを借りて輸送すればいいです。
3.搬入倉庫の管轄税関を調べる
税関は、担当するエリアが決まっています。大阪であれば、大阪税関本関の他、南港出張所、大阪外郵出張所などがあります。どこの税関へ輸入申告するのかは、1番の保税倉庫の場所で決まります。もし、わからなければ、税関に電話をして、保税蔵置場の名前または、コードを伝えて申告先を聞きましょう。
4.必要書類をそろえて、税関菅署に出向く
輸入書類(インボイスなど)の用意ができたら、担当する税関の官署に向かいます。ただし、個人の方が輸入申告するときは、前日までに税関にその旨を伝えておいた方がいいです。輸入審査や税関検査の関係上、なるべく早めに伝えておくと、スムーズに進む場合が多いです。
あなたの貨物が保管されている倉庫を管轄する税関。そこに輸入申告します。
5.ナックスで入力する。
税関の官署には、ナックスと呼ばれるパソコンがあります。輸入申告は、このナックスを通して行います。輸入価格、数量、HSコードなどを順番に入れていけば、だれでもできます。もし、わからないときは、税関の職員に聞けば、優しく教えてくれます。多分…汗 「私は正しく申告をしたいと考えているので、教えてもらえませんか?」と伝えれば、税関には、拒否する理由はどこにもありません。
6.税関検査に対応できるようにトラックをチャーターしておく。
実際に輸入申告をすると、税関審査が行われます。基本的に、初回、かつ個人での申告は、間違いなく税関検査にあたります。税関検査は、現在、保管されている倉庫で行われていることもあれば、指定の検査所まで持ってきて欲しいと言われることもあります。そのため、トラックをチャーターしておき、待機してもらう必要があります。
無事に税関検査も終わり、指定の関税や消費税の納付が行われれば、正式に輸入手続きは完了します。輸入許可を受けると、貨物は外国貨物から内国貨物へと変化して、日本国内どこへで動かせます。
アライバルノーティスの処理を完了させよう!
1~6までのステップで、関税法上は、いつでも貨物を引き出せます。しかし、実は、この関税法とは別に、貨物の搬出ができないときがあります。それが「D/Oの未処理」です。D/Oとは、船会社の代理店が倉庫などから貨物を搬出しても良いという「貨物のリリース券」です。これは、アライバルノーティスに記載されている各種チャージを振り込むことで発行されます。
アライバルノーティスに載っているこの部分の料金(1番)を2番に対して支払います。これにより、2番の会社から倉庫に対して、貨物の搬出許可が出ます。このD/Oの処理と税関の輸入許可の2つが揃うと、初めて倉庫からの引き取りができます。
2.通関業者にお任せする。
1番の方法は、輸入申告をご自身で行う方法です。もし、難しい手続きはいや!何でも代行してほしいとき、通関業者にすべてお任せします。通関業者に任せるときは、インボイス、パッキングリスト、B/Lなどの書類をEメールなどで送るだけです。後のD/O処理、輸入申告、検査の立ち合い、配送手配などはすべて業者が代行します。
通関業者に頼むときのおよその費用は、次の通りです。業者によってもかなりばらつきがあるため、参考程度にお願いします。
- 通関手数料 11800円
- 取り扱い料 20000円前後
- 税関検査立ち合い料 10000円
- トラックチャーター代 4T 片道50km程度 30000円~40000円前後
その他、関税と消費税を支払う必要があります。
以上、家具を輸入するときに必要になる知識でした。
関連記事:注意!通関業者に依頼をしたら2つのミスがあったお話
その他、考えるべきポイント
無事に輸入許可になりましたら、次は配送部分を考えます。この配送には、次の2つの意味が含まれています。
- 倉庫からご自宅(会社)までの配送
- 自宅(会社)の中での配送
よく勘違いされる方がいらっしゃいますが、1番に含まれる配送とは、倉庫からご自宅の戸口までの配送です。配達員が「家の中の指定する場所」まで運んでくれるわけではありません。戸口から先の部分(家の中の配送)は、すべてご自身で行います。では、自身で荷物の運搬ができないときは、どうすればいいのでしょうか? この場合は、便利屋などに依頼します。
。
まとめ
- 海外から家具を輸入するときは、外国からの送料、日本の港での処理、国内配送の3つを検討しましょう。
- 基本的に、個人輸入者は、税関からも通関業者からも疑いの目を向けられます。
- 通関業者は、個人からの依頼を受けない所も多いです。
- すべてを自分で手配もできますが、全体の流れを把握している人にサポートしてもらった方が賢明です。
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