EPAを利用した輸入ビジネスの始め方 原産地証明書で関税ゼロ!

輸入の便利なこと自由貿易(EPA)
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日本へ商品を輸入するときは、商品ごとに決められている税金(関税)を支払います。関税は、無税の物から30%近い物まで様々であり、輸入者が輸入するときに、日本税関に対して支払います。この仕組みがあることによって、輸入者が国内販売するときに、この関税分を上乗せして販売するため、日本にある国内産業の保護につながります。

しかし、今、この関税を廃止する動きが活発になっています。その要因が「EPA(経済連携協定)」です。EPAとは、国と国が「貿易の壁」をなくして、お互いの経済発展を目指す仕組みです。この貿易の壁とは、どのような物がなのでしょうか? 大きく分けると、関税障壁と非関税障壁の2つがあります。

関税障壁とは、物が国境をまたぐときにかかる関税を指します。一方、非関税障壁とは、関税以外の分野、例えば、製品として必要としている規格基準などが当てはまります。これらの壁をなるべく低くして、お互いの市場を開放し合うのがEPAです。ちなみに、TPP11や日欧EPA、そしてRCEPなどもすべてEPA(FTA)の一種です。

では、実際、EPAは、輸入ビジネスの中では、どのように関係してくるのでしょうか? 一言で言えば、本来、とても高い関税が発生する物を無税で輸入できます。そこで、この記事では、EPAの概要・仕組み・知っておきたい基本的な知識などを初心者向けに解説していきます。

輸入の便利なこと

EPA(経済連携協定)とは何か?

日本に商品を輸入するときは、商品ごとに決められている関税を支払います。関税を支払う人は、輸入者であり、支払う先は輸入国の税関です。この日本へ商品を持ち込むときにかける関税をなくす仕組みが「EPA(経済連携協定)」です。EPAは、この関税をなくしたり、低くしたりすることによって、貿易活動を活発にして経済発展を目指す仕組みです。

例えば、日本とオーストラリアがEPAであれば、日本政府とオーストラリア政府が自国の自治を残しつつ、両国の民間企業がお互いの市場で、経済活動がしやすいようにしています。具体的には、次の3つの分野について市場を開放しあっています。

  • 関税の撤廃
  • 投資に関する規制の緩和
  • 人的交流の緩和

関税の撤廃であれば、日本がオーストラリアの製品について優遇措置を与える一方、オーストラリアも日本に対して優遇措置を与えます。その他、投資や人的な交流(ビザの発給要件緩和など)の分野も日本とオーストラリアの双方で優遇しあっているのが特徴です。

では、この優遇の一つである関税の削減とは、具体的に、どのようなことを言うのでしょうか?

EPAを利用するメリットとは?

EPAを利用する最大のメリットは「関税の削減効果」です。この場合の関税とは、日本へ輸入する人が日本の税関に支払う税金を指します。EPAを利用すれば、この関税を支払わずに輸入ができる点が最も大きなメリットです。関税削減のインパクトを知るために、具体例を見てみましょう!

例えば、日本へ革靴を輸入するとします。革靴は、関税の中でも特に高い物として有名です。どのような革靴を輸入するのか?によっても違いますが、およそ30%または4300円/足の関税(赤枠部分)がかかります。10,000円の革靴であれば、その価格と同等くらいの関税がかかるとかかると考えても良いです。

しかし、このような高い関税率が設定されている革靴であっても、関税がかからない例外的なルールが設定されています。それが以下の画像です。この中にあるメキシコ産やマレーシア産の革靴の部分を見ると、なんと「無税で輸入できる」と書かれています。これは次のようなことを意味しています。

「日本へ輸入する革靴は、一足当たり4300円の関税を徴収する。しかし、EPAを結んでいるメキシコやマレーシアからの革靴であれば、無税にする」ということです。日本は、メキシコとは「日メキシコEPA」、マレーシアとは「日マレーシアEPA」を結んでいるため、これらの国からの革靴に優遇措置を与えているのです。

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画像:日本関税協会「ウェブタリフ」

この革靴にかかる関税の削減効果は、単なる一例です。このように本来は「〇〇%かかるのに無税になる」という物が山ほどあります。これがEPAによる関税の削減効果です。逆にいうと、EPAを利用しないまま輸入をしていると、それだけでライバルに関税分の差をつけられることになります。

どこの国とEPAを結んでいるの?

関税を無税扱いで輸入できるのなら、どこの国と締結しているのかが気になりますね。ここではEPAを締結している国と、締結予定の国をご紹介します。

発行済の国

以下の地図をご覧ください。2018年現在、日本は15の国と地域との間に、EPAを結んでいます。15の国のうち、半数以上が東南アジア諸国です。人口爆発と経済発展が著しい東南アジアの成長を取り込みたいという日本政府の狙いがあると思われます。すでにこれらの国々との関税は、撤廃又は低率になっているため、日本の国内市場における価格が下落傾向にあります。

例:チリワインの流入によるワイン相場の下落など

地図の中心へ

EPAを利用するには、どうすれば良いの?

これまでの説明で輸入ビジネスでは、EPAを活用しないと大きな損をする可能性があることがわかりました。では、実際にEPAを利用するには、どのようなことがポイントになるのでしょうか? より具体的な解説は「EPAマニュアル輸入編」で紹介するとして、ここではざっくりとした説明をしていきます。

EPAを利用るときの大きなポイントは、次の3つです。

  • 何を、どこから輸入するのか?
  • 必要な書類(特定原産地証明)は手に入るのか?
  • 輸入する貨物の総額は20万円を超えるのか?

1.何を、どこから輸入するのか?

EPAを活用した関税ゼロ輸入をするときは、輸入する商品が関税ゼロの対象品であるのかがポイントになります。実は、EPAを結んでいても、必ずしも関税がゼロになるわけではありません。品目によって、関税ゼロ、関税削減、関税削減除外などの指定がされているため、自身が輸入する商品は、どこに分類されているのかを確認が必要です。

この確認をしたいときは「ウェブタリフ」と呼ばれる関税率を調べるためのサイトが便利です。この中に表示されているEPA締約国の部分と、輸入する商品との交点を見れば、対象の商品に設定されている関税率を確認できます。

■チェックポイント
・どこの国から輸入するの?=日本とEPAを締結している?
・その商品は、関税削減の対象?

2.輸入する貨物の総額は20万円を超えている?

輸入する貨物の合計価格も関係してきます。実は、EPAを利用するときは、後述する「特定原産地証明書」が必要です。特定原産地証明書は、貨物の原産国を証明する書類であり、これを輸入国の税関(日本など)に提出することにより、関税の減免が受けられる仕組みです。

EPAを利用するときは、特定原産地証明書が必要です。したがって、あなたが輸入者であるときは、輸出者に頼んで、この特定原産地証明書を取得してもらう必要があります。しかしながら、実は、この特定原産地証明書が免除されるケースがあります。それが「貨物の輸入合計額が20万円以下のとき」です。

もし、あなたが輸入しようとしている貨物が20万円以下であれば、特定原産地証明書等は不要でEPAを活用することができます。

■チェックポイント
・輸入する貨物の総額は20万円を超えますか?超えるときは、輸出者に頼んで特定原産地証明書の発行をお願いしましょう!
・20万円以下であるときは、特定原産地証明書は不要で輸入できます。

3.必要な書類(特定原産地証明)は手に入る?

20万円を超える場合は「特定原産地証明書」が必要です。これは商品を輸出する国が「商品の原産国が確かにEPAを結んでいる国であること」を証明するための書類です。輸入者は、輸出者を通して、この特定原産地証明書を取得した後、これを日本の税関に提出することで、EPAによる有利な関税率を適用できます。

例えば、ベトナム商品を日本へ輸入するときを考えてみます。この場合は、次のようなプロセスにより、輸入時にEPAを利用することができます。

  1. 輸入者(あなた)から特定原産地証明書を取得してほしいと頼みます。
  2. ベトナム側の輸出者は、ベトナムにある証明書の発行機関にお願いをして、特定原産地証明書を取得します。
  3. ベトナムの輸出者は、日本にいる輸入者に対して、取得した特定原産地証明書を送付します。
  4. 日本の輸入は、ベトナムから届く特定原産地証明書を日本の税関に提出します。
  5. 無事に認められると、本来、かかるはずの関税が減免税されます。

実際にEPAを活用するときの手順とは?

では、これまで説明した内容をふまえて、実際にEPAを利用した輸入をするときの細かいプロセスを説明しています。

  1. EPAを発行している国かを確認します。
  2. EPAによって関税が探す貨物かを確認します。
  3. 税関にHSコードを確かめます。
  4. 輸出者にHSコードを伝えます。
  5. 輸出者は、日本側のHSコードを基にて特定原産地証明書を発行します。
  6. 輸出者は、証明書を輸入者(日本側)へ提出します。
  7. 輸入者は、特定原産地証明書を税関に提出します。
  8. 免税や減税の措置が受けられます。

1.EPAを結んでいる国かを確認します。

日本とEPAを結んでいる国なのかを確認します。2018年現在、日本は15の国と地域との間でEPAを結んでいます。

2.EPAによって関税が下がる貨物かを確認します。

EPAを結んでいる国でもすべての関税が無税になるわけではありません。EPAの締結後、すぐに関税がなくなるものと、10年かけて徐々になくなる物があります。これらは、協定や貨物ごとに細かく決まっているため注意しましょう。

現状の関税率を調べるときは「ウェブタリフ」を使います。将来的な関税率の下がり方を知りたい場合は、ワールドタリフワールドタリフの使い方)を利用します。いずれも無料で利用できます。

3.税関にHSコードを確かめます。

相手国で特定原産地証明書を作成してもらうときは、商品を表すHSコードを日本側に合わせてもらう必要があります。詳しい説明は省きますが、輸入する商品を税関にいる原産地調査官に相談をして、特定原産地証明に記載してもらうべき適切なHSコードを聞いてください。

4.輸出者にHSコードを伝えます。

日本側の税関で確認したHSコードを輸出者へ伝えて、それを基に相手国で特定原産地証明書を発行してもらうようにしてください。

5.輸出者は、日本側のHSコードを基にて特定原産地証明書を発行します。

外国にいる輸出者は、日本側で示されたHSコードを基にして、現地の機関で特定原産地証明書を取得します。

6.輸出者は、証明書を輸入者(日本側)へ提出します。

輸出者は、取得した特定原産地証明書を日本の輸入者へ送付します。このとき、EMSなどを使い、貨物とは別に送付することが一般的です。

7.輸入者は、特定原産地証明書を税関に提出します。

輸入者は、特定原産地証明書を税関へ提出します。通関業者を利用している場合は、通関業者へ送付するようにしてください。

8.免税や減税の措置が受けられます。

無事に許可となり、免税や減税措置をうけて貨物を引き取ることができます。

もっと、本格的に学びたい方は「EPAマニュアル導入編」をご覧ください。

まとめ

お互いの市場を開放しあうEPA制度は、これからの貿易ビジネスでは必須の仕組みです。今回はEPAを活用した輸入の方法をお届けしましたが、輸出時の活用などもあります。この機会にぜひ、EPAについての理解を深めるようにしてください。

ポイント

  • EPAを利用すると、関税が低率になったり、無税になったりします。
  • 2018年現在で利用できるのは、全部で15です。
  • EPAによる減税は、協定ごと、貨物ごとに異なります。
  • 関税は、協定発効後にすぐになくなる物。ある一定期間かけてなくなる物、または、減税対象になってい物などが細かく決まっています。
  • ウェブタリフとワールドタリフの2つのツールを利用します
  • 20万円を超える場合は、特定原産地証明書が必要です。
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