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【HUNADE】輸出入と国際輸送ガイド 学習コース

第3回:関税の仕組みとEPA活用によるコスト削減

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関税の仕組みとEPA活用

このレッスンで学べること

  • 関税とは何か?どのようにして決まるのか、基本的な仕組みを理解できます
  • 「CIF価格」に基づいた関税の計算方法と、具体的な算出例を学べます
  • EPA(経済連携協定)を使って関税を削減するしくみと、その背景を解説します
  • 実際にEPAを使って輸出する場合の手順や注意点、リスクへの備えも把握できます
  • 日本が締結している主なEPAと、対象となる国や商品についても整理して学べます

関税とは?輸入時に課される「国境税」の正体

関税とは、海外からの貨物が国内に持ち込まれる際に課せられる税金です。原則として輸入者が支払うものであり、日本国内に輸入された商品の価格(CIF価格に基づき課税されます。

この関税制度は、単に財源確保という役割だけでなく、国内の農業や製造業などの産業を守るためにも機能しています。

たとえば、安価な外国産農産物に高い関税をかけることで、国内の生産者が価格競争で不利にならないよう調整されています。

 

輸出については、日本から出ていく物品には通常関税は課せられませんが、輸出先の国で「輸入関税」が課せられる点を念頭に置いておく必要があります。

 

課税価格の計算:CIF価格が基準となる理由

関税は、商品の価格(インボイス価格)のみを基準に課税されるわけではありません。

国際物流では、保険や輸送に関わる費用も含めた「CIF価格(Cost + Insurance + Freight)」を基に関税額が計算されるのが一般的です。

関税は、以下の公式で求めます。

計算式:関税額(円)= CIF価格(円)× 関税率(%)

計算例

  • 商品本体価格:100ドル
  • 保険料:10ドル
  • 運賃:20ドル

合計でCIF価格は130ドル。この130ドルに、たとえば10%の関税率が適用されれば、関税額は13ドルです。

関税額を加えた課税標準(CIF価格+関税額)に対して、日本では輸入消費税(現行10%)が課税されます。これもCIF価格+関税の合計額に対してかかります。

  • (A:商品の代金+送料+保険代金)×関税率=関税額
  • (A+関税額)×0.1=消費税額
  • 納税合計額=関税額+消費税額

関税・消費税の計算方法

関税の種類:最恵国税率・一般税率・特恵税率の違い

関税には「最恵国税率」「一般税率」「特恵税率」など、いくつかの種類があります。どの税率が使われるかによって、支払う関税の金額が変わります。

同じ商品でも、どの国から輸入するか、どの協定を使うかによって、適用される税率が変わることがあります。逆に、国が違っても同じ協定なら同じ税率が適用される場合もあります。

種類内容適用例
一般税率日本が経済協定を結んでいない国に対して適用される基本税率協定外の国からの輸入(例:一部アフリカ諸国)
最恵国税率WTO加盟国などに適用される標準的な税率米国、EU、中国、韓国など主要な貿易相手国
特恵税率開発途上国などを対象に税率を軽減または無税にする制度ネパール、バングラデシュなど

これらに加え、EPAやFTA(自由貿易協定)によって、さらに関税が低減・撤廃される場合もあります。

【図解】関税とは?輸入ビジネス・海外通販に対応!


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EPAとは?関税が安くなる貿易のルール

EPA(経済連携協定)は、日本と他の国が結ぶ協定で、関税をゼロまたは引き下げる仕組みです。これにより、日本の商品が海外で売れやすくなります。輸出のコストを下げ、他国とのビジネスをしやすくするためのルールです。

EPAの仕組み

たとえば、日本とEUが結んでいるEPAにより、多くの工業製品や食品などで関税がゼロになります。通常10%程度の関税がかかる品目でも、EPAを利用すれば免除され、買い手側にとって大きなメリットになります。

主なEPA締約国

2025年2月現在
発効済(利用できる国)シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP12、TPP11日EU・EPA米国、英国、RCEP(韓国+中国+アセアン+オーストラリアなど)
交渉中トルコ、コロンビア、GCC、日中韓
その他(交渉中断等)カナダ、韓国

EPAを使うための条件と流れ

どうすれば、EPAを活用できるのでしょうか? EPAで関税を安くするには、次の3つの条件があります。

  1. 輸出先がEPAの対象国であること
  2. 輸出する商品がEPAの対象品目であること
  3. 商品が「日本製」と認められること(原産地要件)

EPAを利用するまでの流れ(カンタン解説)

EPAを輸出で活用する流れは次の通りです。

  1. 商品のHSコードを調べる
  2. 日本製と認められる条件(加工内容や材料)を満たしているか確認
  3. 商工会議所などで「原産地証明書」を発行してもらう
  4. 相手国の税関にその証明書を提出する

注意点

  • 証明書の書き間違いや記載ミスで、関税がゼロにならないこともあります
  • 書類は後から確認されることがあるので、しっかり保管しましょう
  • 一部のEPAでは「認定輸出者制度」に登録すれば、証明書の提出が不要になる場合も有り

詳細解説:関税ゼロで貿易コストを削減!EPAを活用しよう!

EPAの注意点とリスク

しかし、EPAの利用には、以下の落とし穴もあります。

  • 相手国の税関で証明書が受け入れられず、関税が安くならない
  • 関係者がEPAのルールを理解しておらず、正しく使えない
  • 原産地の条件が複雑で、自社の商品が条件を満たしていないことがある

さらに、関税がゼロになっても、現地で消費税(VAT)や環境税などがかかることがあります。どちらが負担するか、事前にきちんと話し合っておきましょう。

EPAを利用する際は、取引契約時に買主側と「EPA利用条件(原産地証明書の提出、輸入側での税務確認など)」を明確に取り決め、書面で残すことが重要です。

補足情報

EPAとFTAの違い

EPAとFTAはどちらも関税を下げるための国同士の約束です。

  • FTA:主に「モノのやりとり(貿易)」を自由にする協定
  • EPA:FTAに加えて「投資・サービス・人の移動」なども含む広い協定

HSコードとは?

HSコードは、商品を分類するための世界共通の番号です。これで関税の金額やEPAの対象かどうかが決まります。輸出入するときは、このコードを正しく調べて書類に書くことが必要です。

EPAの事後確認と認定輸出者制度

EPAを使って輸出したあとでも、相手国の税関が内容をチェックすることがあります。「認定輸出者」になると、毎回の証明書が不要で、自己申告だけでOKになる場合があります。これにより、書類作業が減り、手続きが早くなります。

EPAでコスト削減できる例

例えば、100万円の商品に通常10%(=10万円)の関税がかかるとします。でもEPAを使えば、この10万円がゼロになることも。関税が減ることで、利益が増えたり、値段を下げて売りやすくなったりします。

関税・EPA活用に関するスタートアップのよくある疑問と回答

Q1. 関税はいつ、誰が支払うのですか?

A. 通常、関税は輸入者(買主)が輸入通関時に納付します。日本では、通関時にCIF価格を基準に計算され、関税・消費税をまとめて支払います。輸出者が負担するわけではありません。

Q2. 関税はすべてCIF価格が基準になるのですか?

A. はい、多くの国では関税はCIF価格(商品価格+保険+運賃)を基に計算します。FOB価格をベースにしない点に注意が必要です。

Q3. 最恵国税率とEPAの税率、どちらが優先されますか?

A. EPA(またはFTA)の関税率が最優先されます。EPA対象品目で、原産地証明書を提出すれば、通常の最恵国税率より優遇された税率(ゼロまたは低率)が適用されます。

Q4. EPAを使えばすべての関税がゼロになるのですか?

A. いいえ。EPAは対象品目に限り、関税をゼロまたは低減できる制度です。対象外品目には適用できません。また、原産地規則を満たす必要があります。

Q5. 原産地証明書は誰が、どこで発行するのですか?

A. 通常、商工会議所や特定登録制度を通じて輸出者が取得します。一部のEPAでは「認定輸出者制度」に登録すれば、自社で簡易に発行できる場合もあります。

Q6. EPAを使ったのに現地税関で関税が取られたのはなぜ?

A. 証明書の不備、相手国税関での制度理解不足、または申告ミスが原因で適用拒否された可能性があります。輸出前に証明書の記載を再確認し、取引先と事前に制度理解の共有をしておくことが重要です。

Q7. EPAを使ってもVATや環境税は免除されますか?

A. いいえ。EPAは関税のみに適用されます。相手国の付加価値税(VAT)や環境税、その他の税金は通常通り課税されます。必ず相手国税制も確認し、税負担の取り決めを契約書に明記しましょう。

Q8. EPAを使った取引でも、契約書にEPAのことを書くべき?

A. 必ず書くべきです。EPA利用を前提にする場合は、取引契約に「EPA適用条件」「原産地証明書提出」「税金の取り扱い」を明確に記載しておくことで、通関トラブルや誤解を防げます。

まとめ

  • 関税は輸入時に課されるものであり、CIF価格を基準に計算される
  • EPAを使えば、関税を削減またはゼロにでき、バイヤーにとっても大きな利点になる
  • ただし、制度を正確に理解し、必要な書類や証明手続きを怠らないことが成功の鍵
  • 輸出者・輸入者双方がEPAの仕組みを理解していなければ、制度を活かせない

 

次の記事>>「第4回:輸出に必要な書類とは?主要5種類と作成方法

 

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