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外国の商品を日本に輸入するときは、日本側で関税と輸入消費税が発生します。関税は、原産国、品目等によって変わり、消費税のように一律ではありません。また、各種低減制度があり、これをうまく活用することで、本来かかるはずの税金を大きく削減できます。
この低減する一つの仕組みが「特恵関税(とっけいかんぜい)」です。そこで、この記事では、特恵関税の基礎知識とEPA税率など、他の制度の兼ね合い等を説明していきます。
一般特恵関税の基礎知識とEPA
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特恵関税制度と目的
特恵関税制度とは、日本政府が独自に定めた関税優遇制度です。主に経済発展が遅れている国(開発途上国)の産品に対する日本側の関税を無税や低率にすることで、商品を日本へ輸出しやすい環境にしています。国際貢献の一環ととらえればいいです。
例えば…
- A国を原産国とする商品には、10%の関税を適用
- B国を原産国とする商品は、特恵関税の1%を適用
この場合、輸入者が日本政府に支払う関税は、B国産の商品の方が圧倒的に低いです。支払う関税が少なければ、その分だけ日本の店頭で安く販売できます。つまりB国産の価格競争力が増します。この理由から、日本へ入れるときの関税を低くして、発展途上国の経済発展に貢献するようにしています。

特恵関税は、日本政府の国際貢献に一環として定められている特別に恵まれた関税制度です。ちなみに読み方は「とっけいかんぜいせいど」です。
特恵関税のメリット
特恵関税は「国際貢献」です。しかし、これは同時に私たちの暮らしを支える物でもあります。日本は貿易立国といわれますが、同時に輸入に依存している国でもあります。
例えば、輸入ブルーベリーなどです。ブルーベリーは、日本の産地が栽培を終了して供給量が減ったときに、外国産が補う役割があります。外国産の到着と日本産の栽培終了時期がうまく合わない時は、需要と供給のミスマッチが発生し、一気に価格が高騰します。
別の例でいうと、百円均一です。これらはまさに暮らしに無くてはならない物です。私たちの生活は、外国からくる商品に支えられています。この生活を維持できるのも、日本政府が設定する「特恵関税制度」のおかげです。

特恵関税制度は、安い価格で輸入したい人にメリットを与えることで国際貢献につながるようにしています。同時に、外国から安い価格の商品が流入しやすい環境を整えることで、日本全体の物価を押し下げられるメリットがあります。
特恵の種類
特恵関税制度には、次の2つがあります。
- 一般特恵関税
- 特別特恵関税
開発途上国への関税恩恵制度である点は同じです。しかし、開発途上国といっても、上から下まで様々です。そこで、ある一定の基準を設けて、開発途上国の中でも一般と特別に区分けしています。
一般特恵は、開発途上国の中でも上位の国。特別特恵(別称:LDC)は、下位の国に対して適用します。もちろん、特恵より特別特恵制度の方が優れた関税率を適用しています。ちなみに、特別特恵国の産品は、ほとんど無税です。日本側は、最高クラスの特恵を与えているといっても良いです。
詳しくは特別特恵国とは?をご覧ください。

特別特恵関税は、関税上の特恵がすごいでです!革製品に関しては約30%もの高い税率が適用されます。このような商品であっても「特別特恵」を適用すれば、関税はかかりません。もちろん「日本の産業に重大な影響を与えない限り」という一定の制約はあります。
特恵受益国の一覧/特恵関税が適用される国
特恵関税と特別特恵国の一覧は、税関ページで確認できます。2021年2月現在は、133か国、内46か国には、特別特恵国を指定しています。特恵関税の多くは、アジア地域とアフリカ地域で占められます。また、特別特恵国は、大半がアフリカ諸国です。アジア地域は次の通りです。
*中国の産品=特恵関税を適用不可
アジア地域の一般特恵・特別特恵の状況
制度 | 国の例 |
特別特恵関税が適用される国 | ラオス、カンボジア、ミャンマーなど |
一般特恵が適用される国 | インドネシア、フィリピン、ベトナムなど |
特恵関税と卒業制度
特恵関税の目的は、発展が遅れている国の産品に優遇税率を適用して、経済発展を促すことです。そのため、ある一定のレベルで経済が発展した国に対しては、特恵関税を適用しません。特恵関税受益国から外れることを「卒業」と言います。そして、この卒業には、主に次の2つがあります。
- 全面卒業
- 部分卒業
全面卒業と部分卒業の基準は、次の通りです。根拠法:暫定措置法施行令第25条第1項
・国際復興開発銀行が公表する統計(世銀統計)において、過去3年連続で、「高所得国」に分類されている国・地域(後発開発途上国を除く。)
・国際復興開発銀行が公表する統計(世銀統計)において、過去3年連続で、「高中所得国」に分類され、かつ、世界の総輸出額に占める当該国の輸出額の割合が1%以上の国・地域(後発開発途上国を除く。)引用元:税関
なお、近年では、平成31年をもって中国、タイ、メキシコ、マレーシア、ブラジルなどが特恵関税の適用国から卒業をしています。当たり前ながら、日本と同様の水準の国は、すべて対象外です。

あなたの輸入する国は、特恵受益国?
税率/関税の調べ方
特恵関税、特別特恵関税の調べ方をご紹介します。まずWEBタリフを開きます。赤枠の部分に注目。ここの特恵が一般特恵関税、特別特恵が特別特恵関税を示します。これを下方向に見ていきます。
一方、左側で適切な品目を探します。(青矢印)これを右方向に見ていきます。赤矢印と青矢印の交点が適用する税率です。もし、特恵や特別特恵が空欄になっている場合は、適用除外品目、WTO税率で無税又は、上位部分で無税指定されているのどれかに該当します。

画像:WEBタリフを加工
特恵関税と実務の活用方法
では、実際に特恵関税を輸入実務もしくは、輸出実務で活用する場合を確認していきましょう。最初に誤解がないようにお伝えします。特恵関税制度は、輸入で活用するべき物です。この逆の輸出は、日本産品に対しては、適用されないため注意しましょう。
特恵関税とは、開発途上国の産品に対して適用される物です。
ただし、中国などに輸出する場合「日本の原産品であることを証明したい」との理由から、日本側の原産地証明書を求められることがあることは覚えておきましょう!
必要な書類
特恵国から商品を輸入する場合に、日本側で特恵関税を適用するには、いくつかの書類と条件があります。それが次の通りです。
- 原産国で発行された原産地証明書を有していること
- インボイス上に原産国の記載があること
- B/L(船荷証券)で直送していることを確認できること
1.原産地証明書
最も大切な書類が原産地証明書です。輸出国側の機関で発行された書類を日本の税関に提出します。輸入実務の場合は、売買契約の際、この原産地証明書の用意の部分を含めて交渉することをお勧めします。もし、できないと回答された場合は、別の輸出者に依頼するなどの対応も必要です。
ただし、原産地証明書は、次のいずれのかの条件を満たす場合は、提出が不要です。
- 輸入の課税価格(送料を含めて)が20万円以下であること
- 原産地証明書が不要とされている物品であること
2.インボイス
インボイス上のシッパー(輸出者)に関する情報、「Made in●●」の表記が大切です。
例えば、ベトナム産品であれば「Made in Vietnam」の表記がインボイス上のどこかで確認できなければなりません。
3.B/L(船荷証券)
特恵関税を適用する貨物は、原産国から日本へ直送されることが要件です。この要件を満たしているかを確認するために、B/L(船荷証券)の中にある「積地(輸出国の港)」と「揚地(輸入国の港)」に関する表記が重要です。
なお、積み荷輸送の効率化などの理由から第三国へ留め置き、日本に発送する場合は、第三国の税関管理下に置かれている条件をクリアしていれば、直送条件の緩和がなされる余地はございます。
特恵関税を適用するための3つの注意点のおさらい。
- 原産地証明書の原本は通関業者へ発送したのか?
- インボイス上に「Made in 原産国」の表記があるのか?
- B/L(船荷証券)の「積地」が特恵関税の対象国になっているのか?
関連疑問:輸出で原産地証明書を求められた場合は?
買い手側に原産地証明書を求める理由を確認します! 目的に応じて書類が変わります。
- EPA税率を適用したい→日本商工会議所から特定原産地証明書の発給を受ける。
- 日本の原産品であることを証明したい→最寄りの「商工会議所」に出向き、一般の原産地証明書の発給を受ける。

日本商工会議所と商工会議所は違うため気を付けましょう!
EPA、その他の関税制度との違いと優先順位
一般特恵とEPAに基づく関税の引き下げは、目的が違います。
- 一般特恵の目的=関税を低くして開発途上国の経済発展を促す。
- EPAの目的=関税を低くする、又は撤廃することにより「お互い」の経済発展を促す。
一般特恵は、一方的に利益を渡す国際貢献の側面が強い一方、EPAに基づく関税削減制度は、日本側も利益を得られるようにしています。(日本からの輸出時に相手国の関税を削減してもらう)また、EPAの場合は、人的な交流、投資交流も含めてお互いの市場を開放しているのが特徴です。
また、国によっては、このEPAと一般特恵が併存している所(例:モンゴル)もあります。この場合は、EPAと一般特恵を比較検討して、どちらか有利な方を適用して輸入します。
一般特恵とEPAの比較方法
一般特恵とEPAの比較検討方法をご紹介します。まずは、関税率を調べる実行関税率表又は「WEBタリフ」に移動します。今回は、モンゴルから4202.11200の商品を輸入するとしましょう!
モンゴルと日本は「日モンゴルEPA」を締結しています。また、日本は、それとは別にモンゴルを「特恵受益国」に指定して有利な税率を適用しています。下の画像をご覧ください。
420211.200の欄は青色です。これを右側にスライドすると、特恵(GSP)、モンゴルの欄があります。この商品に限定した場合、特恵の欄は空欄です。よって、特恵国に対する優遇措置はないです。一方、モンゴルの欄を見ると「3.8%」になっていますね。よって、次のように判断できます。
モンゴルから4202.11.200に該当する商品を輸入する場合は…
- 特恵関税=適用できない。
- 日モンゴル協定を適用=3.8%で輸入ができる。
ちなみに、日モンゴル協定を使い輸入しない場合は、WTO税率の10%を適用します。つまり、同じ商品、同じ原産国であっても「何の関税制度を使うか?」によって、納めるべき税金が変わるのです。

同じ国、同じ商品を輸入する場合でも「何の関税制度を適用するのか」
によって納税額が大きく変わることを理解しよう!
よくある疑問
20万円以下でも原産地証明書は必要?
不要です。但し、20万円以下とは課税価格のことです。商品価格の事ではないため注意しましょう
中継することはできるのか?
特恵関税を適用する物は、基本的に「直送」が条件です。作業の種類に関わらず、第三国で何かをすることは認められていません。ただし、積み替え船の利用につき第三国を経由する場合は、スルーB/L(通しB/L)を提出することで直送とみなされます。
関税の適用順位は?
関税を適用する順位は、適用できる関税の内、より有利な税率から優先的に適用していきます。
特別特恵>>EPA>>一般特恵>>WTO協定税率>>暫定税率>>基本税率
一般特恵関税のまとめ
- 特恵受益国に指定されている国の産品は税率が有利
- 特恵には、一般と特別の2つがある。
- 特恵関税は、ウェブタリフ等で調べられる。
- 複数の関税制度を適用できる場合は最も有利な物を適用する。
- 仕入れる商品は特恵が使える?必ず確認をしよう!

