「初級編」関税ゼロ貿易の始め方

EPA入門自由貿易(EPA)
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EPA(経済協定)関税ゼロ貿易の始め方(初級編)

EPA入門

EPAの基本知識初級編

EPAの利用は、輸出者としての活用と輸入者としての活用で「やるべきこと」に大きな違いがあります。

  • 輸入者は、輸出者が用意する特定原産地証明書を日本の税関に提出すること
  • 輸出者は、日本側で特定原産地証明書を取得した後、輸入者へ送付すること。

とても簡単にいえば、輸出者として利用する方が手続きは難しく知識が必要です。一方、輸入者として利用するときは、相手側が用意する書類を日本税関に提出するだけであるため、非常に簡単かつ、やるべきことも少ないです。

あなたは、EPAを輸入者として活用しますか? それとも輸出者として活用しますか? ぜひ、この違いを意識して記事を読み進めて下さい。文章末には、「輸出で活用する場合の具体的なステップ」と「輸入で活用するときの具体的なステップ」へのリンクが設置されています。ご自身が当てはまる方をさらに読み進めるようにしてください。

EPAの3つのポイントと2つの活用例

  1. EPAを利用するメリットは? →EPAを利用するときのメリットを説明
  2. EPAを利用する条件 →EPAを利用する上で重要な3つの条件を説明
  3. 商品の原産性とは? →何をもって原産品とするのかを説明
  4. 輸入効果例
  5. 輸出効果例

1.EPAを利用すると良いこと

EPA貿易では、商品が国をまたぐときにかかる税金(関税)が撤廃されることが多いです。関税は、個別の商品ごとに細かく決められており、輸入する側の国でかけられます。

例えば、日本の商品をタイへ輸出するときは、タイ側で関税がかけられます。一方、タイの商品を日本へ輸入するときは、日本側で関税がかけられます。EPAは、この双方でかけられる関税を撤廃まは低率にする効果があります。仮に貴社が輸入する会社なら、日本へ輸入するときにかかる関税が免税になり、その分だけ商品を安く仕入れられます

一方、輸出する会社なら、外国へ輸出したときに、現地税関で課税されなくなります。自社の商品に関税がかからないため、外国における「価格競争」を有利にできます。逆に言うと、EPAを利用しないまま輸出や輸入(貿易相手国が日本とEPAを結んでいる場合)をすることは、負け戦に参加することと同じことです。

 ■ポイント
1.ある商品が外国に入るときは、商品ごとに関税という税金がかかる。
2.EPAは、輸入する側の関税をゼロにする効果がある。

 2.EPAを利用するための3つの条件

EPAを輸者として利用すれば、相手国の関税を無税にできます。一方、輸者としての利用であれば、日本側の関税が免除されます。しかし、これは、どこの誰でも、どんな商品にでも関税が免除されることを意味しません。実は、EPAを利用するときは、いくつかの条件をクリアしなければなりません。それが次の3つです。

  1. 貿易相手がEPAの締約国であること
  2. 関税が免除される対象品目であること
  3. 貨物が原産品であることを証明すること

1.貿易相手がEPAの締約国であること

2019年現在、日本は17のEPAを結んでいます。EPAを利用するときは、最初に「相手国(貿易相手)が日本とEPAを結んでいるのか」を確認することから始めます。どれだけ入念に準備しても「日本とEPAを結んでいる国」でなければ意味がありません。

2019年3月現在のEPA締約国一覧
シンガポールマレーシアタイインドネシアブルネイ
アセアン全体フィリピンベトナムインドモンゴル
オーストラリアメキシコチリペルースイス
CPTPP(TPP11)日欧EPA
今後増えるかもしれない!?
カナダニュージーランドRCEPFTAAP

2.関税が免除される品目であること

EPAを結んでいてもすべての商品の関税が免除される(する)わけではありません。基本的にEPAでの関税は「即時関税ゼロ、数年後関税ゼロ、例外品目(削減しない)」などの三つのパターンがあります。

例えば、即時関税撤廃品目は、協定の発効と同時に関税が撤廃されます。数年後の関税撤廃であれば、毎年4月1日(日本側)に数パーセントずつ削減されていき、ある一定期間後(5年、10年、15年など)関税が撤廃されます。例外品目とは、撤廃や減税の対象外の品目です。関税撤廃の予定は「譲許表(じょうきょひょう)」という書類で確認します。

譲許表は、日本側と相手国側の二つがあります。仮にあなたが輸入者であるなら「日本側の譲許表」を確認してください。一方、輸出者であるなら「相手側の譲許表」を確認します。この譲許表で免税品目に指定されていない品目(カテゴリXなど)は、EPAによる免税扱いを受けられないです。

関税の削減予定ではなく、現状の関税率(課税状況)を知りたいときは、次の2つのリンク先で調べられます。

輸入者としてEPAを活用する人:「ウェブタリフ

輸出者としてEPAを活用する人:各国税関または「ワールドタリフ」 ワールドタリフの使い方

3.貨物が原産品であることを証明する書類を用意

*ここは、EPAを輸出で活用する人のための条件です。輸入で活用する人は、読み飛ばして「ステップ4」へお進みください。

輸出者としてEPAを活用するときは、関税削減の直接的なメリットは、貿易相手が受けます。貿易相手が関税削減のメリットを受けるには、輸出者である、あなたが日本側で「関税を削減するための証明書類」を取らなければなりません。この書類が「特定原産地証明書(とくていげんさんちしょうめいしょ)」です。

例えば、日本の商品を相手国へ輸出するときは、日本側で特定原産地証明書を取得した後、相手国(輸入者)へ送付します。逆にあなたが輸入者であるときは、相手国で発行された書類を輸出者経由で手に入れた後、日本の税関へ提出します。

 ポイント:商品がEPAを結んでいる国の「原産品」である必要があります。原産品を証明するときに必要なのが特定原産地証明書です。あなたが輸出者であるときは、特定原産地証明書が必要です。一方、輸入者であれば、相手国が発行する特定原産地証明書を待つだけです。

3.商品の原産性を証明するとは?

*このステップ3の対象は、EPAを輸出で活用する人です。

EPAを利用する上で大切なポイントは、商品が「どこで製造(生産)されたものか?」を証明することです。EPAは、対象の国同士の経済を活発にするのが目的です。そのため「本当に締約国内の製品であるのが?」がとても重要です。要は、対象国以外の商品に、関税のメリットが受けられないようにしています。この意味においても重要な書類が特定原産地証明書です。

例えば、日本とタイとのEPAを利用するとします。このとき、中国から仕入れた商品を「日本を経由」してタイへ輸出したときは、日本の原産品になるのでしょうか? もちろん、この場合は、日本の原産品とはならず中国製品が日本を経由して輸出されただけです。したがって「日タイEPA」は適用できません。EPAを締結する国で生産された商品のみが免税や減税の対象です!

 ポイント:日本と相手国の原産品以外は、EPAの対象にはならない。

4.EPAを利用した輸入効果例

実際にEPAを利用した場合、どのようような恩恵が受けられるののでしょうか?

EPAを利用して輸入する事例です。下の図は日タイEPAを利用して「タイの商品を日本へ輸入する際」にかかる場合の関税です。左側が日本で設定されている関税です。右側の赤文字がEPAを適用した場合の関税です。すべての商品の関税がゼロにはなりませんが、元々の関税よりも大幅に下がることがわかります。

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5.EPAを利用した輸出効果例

EPA貿易を利用して輸出する場合です。日タイEPAを適用して、タイ向けに日本のマンゴーを輸出します。タイの税関でかけられるマンゴーの関税は、日本の商品であればゼロです。しかし、日本以外の国で生産されたマンゴーである場合は、最高で30%の関税がかかります。

EPAは、高額な関税を一気にゼロにまで引き下げることができる魅力的な制度です。これをうまく活用できれば、最低限、海外での価格競争力は維持されます。つまり、価格競争で同じ土俵にたてるため、あとは商品力で勝負ができます。これが最も重要なポイントです。

現地で販売される商品の価格帯を考えると、日本製品であっても「高額を許容できる範囲」は決まっています。この前提を考えると、やはり少しでも安く現地で販売できる努力が必要ですね!もちろん、それぞれのコストを見直すことは必要ですが、それよりも効果的なのが「関税の削減」です。これを実現できるEPAは、大変魅力的な制度です。

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 ポイント:EPAを活用して輸入や輸出、どちらの場合であっても、貿易を行う上で有利になることは間違いありません。EPAは誰でも活用できる制度です。しかし、実際に活用するためには、それなりの知識と実行力が求められます。これをクリアしたとき、関税の免税という恩恵を受けられます。

さらにEPAを学んでみよう!

以上でEPA貿易初級編の解説は終わりです。さらに詳しく学んでみたい方のために、以下のメニューをご用意しております。ぜひ、お役立てください。

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