【関税削減】 輸入者としてEPAを活用するための全手順

EPA輸入活用 全手順 特定原産地証明書
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輸入国側の関税を削減できる仕組みが「EPA自由貿易」です。2020年現在、日本は、17のEPAを締結しています。(東南アジア、EU、TPP、米国)もし、あなたがこれら17の協定国から商品を輸入するときは、EPAを適用することで日本側の関税を削減できます。そこで、この記事では、EPAを輸入者として活用するための手順をご紹介していきます。

関連記事:関税削減・EPA輸出活用する全手順 ゼロから体系的に説明

EPA輸入活用 全手順

関税削減・EPAを輸入者として活用

EPAを輸入者として活用するための手順は、次の通りです。

  1. 適用できる国の確認
  2. 産品のHSコードを特定する。
  3. 関税の削減と手間とのバランスを考える。
  4. 原産地基準の確認
  5. 特定原産地証明書の発行を依頼する

なお、4番のステップは、輸出者側がすることです。EPAを輸入で適用する場合は、基本的には「日本側のHSコード」を伝えるだけで、あとの作業はすべて輸出者側が行うのが特徴です。それでは、それぞれを詳しく確認していきましょう!

1.適用できる国の確認

2020年現在、日本は、TPP、日欧EPAなどの多国間EPAを含めて、17のEPAを結んでいます。締約国は、次の通りです。

地図の中心へ

日本が最も多くのEPAを結んでいるのは「東南アジア地域」です。この地域は、経済が発展していて、国民の所得がグングンと上昇しています。この成長著しい地域の市場を目指して、世界のさまざまな工場が東南アジアへと移転し続けています。近年では、工場を建設するだけではなく「最終消費地」としての魅力がどんどん高まっています。

東南アジア地域(7+3)合計10か国

東南アジア地域は、二国間EPAと多国間EPAが併存する珍しい地域です。二国間EPAとは、日本とシンガポール、日本とマレーシアなど、二か国だけに適用するEPAです。一方、多国間EPAは、名前の通り多数の国で適用される制度です。東南アジアでは、このEPAが並存しているため、輸入する商品によって、適切な方を選んで輸入します。

二国間EPA 多国間EPA
シンガポール
マレーシア
タイ
インドネシア
フィリピン
ベトナム
ブルネイ
ミャンマー
カンボジア
ラオス

上の図をご覧ください。背景が黄色の国々は、2018年現在、日本との間で二か国EPAは結んでいませんが多国間EPAには加盟しています。もし、ミャンマー、カンボジア、ラオスから輸入するときは「日アセアンEPA(多国間EPA)」を利用して輸入します。又は、カンボジア・ラオスであれば「特別特恵制度」を利用できます。

ポイント:

  • 東南アジアは、二国間EPAと多国間EPAが併存する地域
  • 商品ごとに異なる税率を見比べて、有利な協定を適用します。
  • カンボジア・ラオスあたりは、EPAではなく、最も優遇されている「特別特恵」を利用します。

北米+南米地域(3か国)

2016年ブラジルのリオでオリンピックが行われました。そんなブラジル周辺にある三カ国も日本とEPAを結んでいます。チリ産ワインが急激に増えた理由も、商品その物の品質の高さと、EPAによる関税削減の恩恵を受けていたのですね。関連記事:チリのワインが増えている理由

EPAの交渉をする中で最も強豪だった国は「メキシコ」です。日本は、メキシコ側にかなり譲歩したと言われています。特に日本で高関税の代表格である「革靴」は、メキシコ製品に対して、かなり優遇を与えています。革靴のバイヤーさんは、メキシコ産の良い革靴がないのかを確認することをお勧めします。

国名 二国間EPA
カナダ TPP
メキシコ
ペルー
チリ

アジア地域(2カ国)

モンゴルとインドともEPAを結んでいます。「クレムリンメソッド」と呼ばれる本の中には、少子高齢化の日本が唯一、生き残っていけるのが、いくつかの国と強く連携することと紹介されています。その中の一つが「インド」です。一方、モンゴルは、中国と国境を接することで、あらゆる意味で「牽制」ができます。また、資源が豊富な国としても知られています。

国名 二カ国EPA
インド
モンゴル

先進諸国(2か国)

先進諸国であるスイスやオーストラリアともEPAを締結しています。日本とオーストラリアとのEPA交渉は、特に農産物分野にて困難な交渉だったようです。基本的に、オーストラリアは、第一次産業(農産品)を日本へ輸出することを強く希望しています。それは、2016年あたりに議論されたTPPでも同じでした。日本側は、その分野はできるだけ開放したくないのが本音であり、双方の利害がぶつかりました。困難な交渉を乗り越えて、日オーストラリアEPAは取り合わされました。

国名 二カ国EPA 多国間EPA
スイス
EU
オーストラリア
ニュージーランド TPP

2020年現在、日本とEPAを締結している国々のまとめ

EPAを適用できる国の一覧です。こちらのリストの中にある国の産品であれば、EPAによる有利な関税を適用できます。

国名 二カ国EPA 多国間EPA
シンガポール
マレーシア
タイ
インドネシア
フィリピン
ベトナム
ブルネイ
ミャンマー
カンボジア
ラオス
メキシコ
ペルー
インド
チリ
モンゴル
オーストラリア
スイス
ニュージーランド
カナダ
EU
アメリカ

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2.商品のHSコードを特定する。

世の中には、同じ商品を指しているのに、別の名前であることがよくあります。

例えば「フライパン」があります。一般的な日本人であればフライパンを「フライパン」と呼び人が多いです。しかし、中にはこれを「鉄鍋」と表現する人がいるかもしれませんね!言語が違う世界では、当然、その可能性は高くなります。そのため、商品名だけで内容を理解することが難しい場合がありあMす。そこで、世界にある商品を6桁の数字で表し、これを世界共通で使用するようにしています。この数字が「HSコード」です。

HSコードとは?

HSコードは、世界中の国で商品の内容を理解しやすいように、6ケタの数字で示した物です。このコードと商品の対応表を各国が共有しているため、数字だけで「商品の内容」を理解できます。ちなみに世界共通の部分は、6桁までであり、そこから先は、各国が独自で設定してます。(日本は9桁を採用)EPAでHSコードを使うときは、世界共通の6桁までを利用します。

下の表をご覧ください。品目とコードが細かく対応していますね。赤文字の「ばれいしょ」は「生鮮」なのか「冷凍」なのかによって、HSコードが違います。

例えば、履物のHSコードを決定するときは、靴の底の材質、甲の部分の材質、付属の部分の有無などの要素によってHSコードが決まります。服であれば、服そのもの材質に加えて「編み方」「織り方」「染め方」などによって決まります。さまざまな決定要素によって細かくHSコードが分かれること、逆にこのHSコードがわかれば、ある程度、商品の内容がわかります

品目 HSコード
トマト(生鮮品) 0702.00
ばれいしょ(生鮮) 0701.90
ばれいしょ(冷凍) 0710.10

EPAのHSコードは?

EPA輸入するときのHSコードは、日本側の関税率と原産性ルールの特定で必要です。関税率を特定することで、日本に商品を輸入するときの関税額がわかります。また、原産性ルールは、原産品とみなす条件のことです。日本側の完成品コードがわかることで、あなたの相手(輸出者)は、原産性条件を理解でき、それに沿った特定原産地証明書を用意できます。

輸入者は、日本に輸入する商品のHSコードを特定した後、それを輸出者に伝えます。これにより、日本税関に提出する特定原産地証明書を用意できます。

HSコードの特定方法

では、日本側のHSコードは、どのように特定すればいいのでしょうか? 大きく分けると、次の2つの方法があります。

  1. 実行関税率表を使い調べる
  2. 税関の事前教示制度を利用する
1.実行関税率表で調べる方法

日本に輸入するときの関税率は、税関が公表する「実行関税率表(貨物ごとに関税を定めている表)」に記載されています。下の画像をご覧ください。こちらが実行関税率表(ウェブタリフ)の画像です。左側の緑枠にはHSコード、右側の赤枠には、EPA(経済連携)国に対する関税率が記載されています。この赤枠の中に書かれているのがEPA税率です。

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(*画像引用元:ウェブタリフ)

例えば、上から二番目の「6404.11」のHSコードに該当する商品であれば、メキシコ、マレーシア、チリなどでは無税、フィリピンは1.5%の関税がかります。このように左側に「HSコード」上段にある「原産国」をクロスさせて「対応する関税率」を調べます。

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あなたが輸入者としてEPAを活用するときは、この実行関税率表に記載されているHSコードを輸出者に伝えて必要な証明書を取り寄せます。
2.事前教示制度で調べる方法

日本に輸入する予定の貨物のHSコードがわからないときは、税関による「事前教示制度」を利用できます。事前教示制度とは、輸入予定である貨物の現物または資料などを税関に提出して、商品のHSコードを特定してもらうことです。この事前教示制度による回答(文書)は、実際の輸入時に優先して適用されるため、HSコードの特定ミスによるリスクを小さくでできます。詳しくは「事前教示制度」の記事をご覧ください。

セクション2のまとめ

  • 日本に輸入する商品のHSコードを特定して関税率を調べる。
  • HSコードの特定方法は、実行関税率表と事前教示制度
  • 特定したHSコードを輸出者に伝える。
  • 輸出者は、輸入者より伝えられた完成品HSコードをもとにして特定原産地証明書を取得する。
  • 輸入者は、輸出国で発行された特定原産地証明書を日本の税関に提出して関税の免税を受ける

3.関税削減のバランスを検討する。

EPAを利用するには、輸出国で発行される「特定原産地証明書が必要です。輸入者は、この書類を日本の税関に提出することで、免税を受けられます。EPA輸入では、輸出国側で特定原産地証明書を発行してもらうために、輸入者と輸出者の間で、正しい情報の共有が欠かせません。特定原産地証明書は、日本側(輸入国側)のHSコードを基準にして作成するためです。

特定原産地証明書の取得は、輸出者にとって、手間と時間がかかる作業です。輸出者の本音は、できるだけ特定原産地証明書の取得をしたくありません。関税の免除は、輸入者側にあり、輸出者側に直接的なメリットが小さいからです。そのため、輸出者に特定原産地証明書の依頼をするときは「発行の手間」と「削減できる関税額」を基準に考えます。

仮にEPAを使ったときの削減額が「1万円程度」にしかならないのであれば、あえてEPAを適用することなく、有税で輸入することも「一つの輸入ビジネスの戦略」です。要はかける時間と得られるリターン(この場合削減額)を計算して判断します。商品にEPAを適用できるとしても、適用するメリットが小さければ、輸出者の手間だけがかかります。

EPAの特定原産地証明書は、輸出国側で取得するための手間がかかる。

EPAを利用するメリットがあるのか?を検討する!

EPAを活用する大きなメリットは、本来かかるべき関税を「無税または低率」にできる点です。仮に関税がそこまで下がらなければ、あえてEPAを使わないのも一つの方法です。そのため、EPAの適用を考えるときは、少し立ち止まり、以下の3つのポイントを考えてみましょう!

  1. 関税がかかる貨物なのか?
  2. 特別特恵国ではない?
  3. 関税が無税や低率になることにより、大きな削減を見込める?
1.関税かからない商品とは?

日本は貿易立国といわれるほど「市場が開かれている国」です。工業製品は、元々無税や低率の場合が多いため、輸入する商品の「元々の関税」を確認します。すでに関税が無税であるのに、手間をかけて、EPAを適用する理由はありません。

2.特別特恵国ではないのか?

日本の関税は6種類あります。この税の中の一つに「特別特恵税率」があります。LDC(後発発展途上国)とも呼ばれ、これらの国の産品は、関税がかからないです。実は、EPAを適用できる国の中にも、この特別特恵税率を適用できる国があります。この税率を適用できる国からの輸入すれば、あえてEPAの適用を考えなくても良いです。

3.関税の削減は見込めるのか?

上記の1と2の条件を考えても、なお「EPAを適用したほうが良い」と考える場合は、最後にEPA適用による「削減できる額」を検討します。もし、削減できる関税額が少なければ、無理にEPAを使わず一般的な輸入(特恵制度やWTO税率など)を検討してみましょう。

この1~3の順番に検討していき、EPAを使うメリットがあるのかを検討します。

EPAによる関税の削減額を検討する方法

では、実際の貨物を例にして、上記の1~3を検討します。今回は、オリーブを輸入するにあたり「どの関税制度を適用して輸入するのが良いのか」を考えてみます。

商品:オリーブ 原産国:タイ 輸入額:100万円

ウェブタリフを使ってオリーブに関する関税を調べたのが以下の画像です。緑枠部分が適用される関税率です。

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緑枠部分をまとめた物が以下の表です。

品名 基本 WTO 特恵 特別特恵 EPA
オリーブ(0711.20) 15% 9% 4.5% 無税 無税

たくさんの種類の関税が表示されていますね。輸入申告は、この中で最も適切な関税率を一つだけ選びます。基本税率、WTO、特恵など、それぞれの関税制度の詳細は「輸入するときに支払う関税・6種類の違い」で確認をしてください。今回の輸入条件は、商品:オリーブ、原産国:タイ、輸入額100万円です。この条件で、どの関税率を適用すればいいのかを検討します。

1.WTO税率は?

タイはWTOに加盟している国であるため、WTO税率(協定税率・MFN税率)を適用できます。この税率を適用すると、100万円の9%で9万円関税がかかります。(*実際はもっと複雑な計算が必要です。細かいことは考えずに大枠で考えてください。)

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2.特恵関税は?

タイは「日タイEPA」と「アセアンEPA」の両方を適用できる国です。したがって一般特恵を適用できる品目は制限されています。この表の中にある、オリーブの「0711.20」は含まれていないため、特恵関税を適用できません。

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3.特別特恵は?

タイは、LDCに含まれていないため、特別特恵を適用できません。2017年現在、LDC(特別特恵受益国)に指定されているのは、47カ国です。

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4.EPA(経済連携協定)はどうなるのか?

2019年現在、タイと日本は「日タイEPA」と「日アセアンEPA」を結んでいます。EPAを適用すれば無税で輸入ができます。

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関連:タイからオリーブを輸入するときはEPAがお得なの?

タイからオリーブオイルを輸入するときは、特恵制度と特別特恵は適用不可のため、検討する関税は「WTO協定税率」か「EPA」のどちらかです。

今回、輸入する額は100万円ですから、WTO協定税率を適用して輸入すると、9%で9万円の関税がかかります。一方、EPAを適用すればこの9万が無税扱いです。9万円もの削減幅が見込まれるため、EPAでの輸入を検討するべきです。もし、削減幅があまりにも少額であれば、EPAを適用することなくWTO税率で輸入することも戦略としては有りです。

具体的にいくらであればEPAを適用したほうが良いなどは、明確な答えはありません。適用できる「削減額」と、EPAで必要になる原産地証明書発行のための「手間」のバランスを考えてEPA輸入を検討しましょう!

セクション3のまとめ

  • 相手国に対する日本側のWTO税率を確認する。
  • 相手国に対する日本側のEPA税率を確認する。
  • WTO税率とEPA税率を比較し、削減効果が望めるかを検討する。
  • 労力に見合わない削減であれば、あえて適用しないのも一つの方法

4.原産地基準の重要な関係

以下の内容は「輸出者側」が行うことです。輸入者側が何かをする必要はありません。輸入者の方は、前回の手順3までで行うべきことは終了しています。輸出国側で特定原産地証明書を取るには、色々と考えるべきポイントがあることを感じ取る程度でokです。

EPAを利用するときは「商品の原産国」が大切です。商品の原産国が「EPAを結んでいる国」であれば、無税または低率の関税が適用されるからです。しかし、どのような物を「原産品とし取り扱うのか」を決めておかなければ、輸出者・輸入者や税関など、それぞれの判断により「原産品として勝手に判断」してしまいます。

例えば、A国はみかんを製造しています。B国はミカンジュースを製造しています。A国は、B国へミカンを輸出します。B国はみかんを輸入して「ミカンジュース」にします。このとき、原産地はどこになるのでしょうか。実際、ミカンジュースは、B国で製造されているため、B国の原産品だと判断するのが当然の気がします。

次の事例もあります。A国は鉄鉱石を産出する国です。B国は鉄鉱石から「鉄」などを生産する国です。このB国で製造された鉄は「B国での原産品になるのか?」です。商品の原産地を考えるだけでも、様々な観点があります。解釈しだいでは、原産国が大きく異なる可能性もありますね!そこで、このような解釈の相違を防ぐために、原産品と判断する基準=原産地基準を定めています。

原産地基準は、非常に深いテーマとなりますので、この記事ではさわり程度に留めていきます。詳しく知りたい方は「関税ゼロ貿易発展編の記事」をご覧ください。

3つの原産地に関するお約束

商品の原産国を決めるときの重要なポイントは、次の三つです。これらの内、いずれかに該当しなければ、原産品としてはみなされません。つまりEPA税率を適用できません。

  1. 完全な生産品
  2. 原産材料のみからなる物
  3. 実質的な変更基準を満たす商品
1.完全な生産品

完全な生産品とは、EPAを結んでいる国の中で自然的に得られるものや、産出できるものです。

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例えば以下の物が当てはまります。これらの産物の共通点は、特に何かの加工をすることもなく、収穫などをした物が「そのまま商品」になる点です。これが完全生産品の定義です。

1.漁師さんが獲った「魚」
2.牧場で育てた「牛の肉」
3.牧場で育てている牛から出てくる「牛乳」
4.植物、花
5.油や鉄鉱石など

詳細解説記事:完全生産品とは?

2.原産材料のみから製造された製品

原産材料のみで作られる物の中には、二つあります。一つは、本当にすべての原産品が自国の中でとれている物(原産品基準を満たしている物)のみを使って製造する場合です。この場合は、比較的スムーズに考えられます。しかし、もう一つの方は、少し頭が混乱するかもしれません。原産材料のみから製造される物も、大元をたどれば「海外の原料」にあたる物があります。

例えば、自動車があります。これを製造するときに使う材料の一つに鉄があります。鉄の原料は「鉄鉱石」ですね。つまり、最終の製品から材料をさかのぼると…自動車 → 鉄 → 鉄鉱石です。では、この鉄鉱石が「外国から輸入された物」であるときは、どのような取扱いになるのでしょうか? 答えを申し上げると、この場合も「原産材料のみから作られた製品」です。

あえて深く説明しませんが、最終完成品(自動車)から見て、鉄を一次材料、その鉄の原料(鉄鉱石)を二次材料といいます。品目別規則によると、たとえ大元が外国産品(二次材料)であっても、一次材料(鉄)がEPA締約国の原産品であれば問題ないことになっています。

では、もう一つの例を出します。

「小麦粉」「砂糖」「チョコチップ」三つの材料を使いEPAの締約国Aの工場で「チョコチップクッキー」を製造します。A国では、干ばつの影響により思うように「小麦(二次材料)」をとることができませんでした。そのため、A国の小麦粉を利用せず、お隣のB国から「小麦」を輸入することにしました。

B国から輸入した小麦をA国の提携している会社で「小麦粉(一次材料)」に加工してもらいました。このとき、原産地規則のルールによって「小麦粉」はA国の原産品に変化します。(理由は省略します)。そして、この小麦粉を使ってクッキーを焼いたときは、原産材料のみから製造されたクッキーになり、A国の原産品として扱われます。

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3.原材料の加工をして、大きな変化を与えた製品(牛乳→チーズなど)

実質的変更を満たす物は、輸入した物品に加工を行い「大きな変化をさせたとき」に原産地として認めています。

例えば、牛乳から作る「バター」や「チーズ」、小麦粉から作る「クッキー」「パン」、サトウキビなどからできる「飴玉」などが考えれます。これらの物は、元々は牛乳、小麦粉、サトウキビにすぎなかった物が「加工」によって、その姿が変化しています。EPAでは、この変化を「HSコード」でとらえます。原材料のHSコードと、完成品のHSコードに変化があれば、十分な加工をしたとみなします。

もちろん、食料品だけではなく、機械製品などもこのルールを適用することが多いです。

例えば、ある家電を製造しているとします。その中に使われている部品は、様々な国で製造されています。この場合であっても、完成品のHSコードと、各部品のHSコードに「協定で決められている変化」があれば、原産性を満たす物として取り扱われます。

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5.特定原産地証明書の発行依頼

輸入者は、輸出者を通して、現地の政府機関が発行する「特定原産地証明書」を取得します。輸入者側では「EPA利用ガイド手順1~3」の内容を確認した上で、その旨を輸出者に伝えます。

日本側の輸入申告において、すんなりと通関ができるように、誤りがない証明書類を発行してもらいます。特に特定原産地証明書に記載する「HSコード」は重要です。必ず日本側の輸入申告で使うHSコードを輸出者に伝えて、そのHSコードを基にして特定原産地証明書を発行してもらいましょう!HSコードの特定は、できるだけ「事前教示制度」を利用することも重要です。

輸出者が特定原産地証明書を取得すると、貨物とは別便(EMSなど)で重要書類として届けられます。この書類は、下で詳しく説明する通り、税関へ提出します。

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日本側のHSコードの特定は、実行関税率表または税関の事前教示制度を利用する。

特定原産地証明書を使には?

輸出者から発送されてきた原産地証明書は、該当の貨物が日本に届き、税関の輸入申告を行うときに必要です。原産地証明書を使う場合の関税額、消費税などを計算した上で、添付書類として特定原産地証明書の原本を提出します。税関審査において、HSコードなど、EPAを締結している国の貨物であることが確認できたら、EPA税率による輸入が許可されます。

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まとめ

原産地証明書の発行は、輸出国側で行うことです。したがって輸入者側から輸出者側へ発行してほしい旨を伝えます。このとき、本当にEPAを利用するべきか、商品の元々も関税、商品のHSコードなどを調べたうえで輸出者に伝えましょう。以上、ステップ1~5でEPA輸入ガイダンスは終了です。すべての記事を通しでご覧いただきEPAの理解を深めていただければ幸いです。

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関税ゼロ貿易(導入編)
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