国際輸送には、海上輸送と航空輸送の2つがあります。また、これらには、専用輸送(FCL)や混載輸送(LCL)があります。(詳細:LCLとFCLの違いとは?) 混載便輸送のデメリットは「貨物にダメージが発生しやすい」ことです。一つのコンテナの中に複数の荷主の貨物を積めるためです。
この記事では、混載貨物にダメージが発生したときに関係する「デバンニングレポートと貨物ダメージの種類の見方をご紹介してます。
混載便にダメージが発生した場合の対処方法
LCL(混載輸送)のここに気をつけます。
混載輸送は、他の荷主の商品と合わせて一本のコンテナに詰められます。このとき、貨物が受けるダメージには、次の2つがあります。
- 輸出国の倉庫でのダメージ
- 輸送中のダメージ
1.輸出国の倉庫でのダメージとは?
輸出国の倉庫でコンテナに詰められる前のお話です。商品は、平積みで仮置きされています。このとき、作業員によって、ダメージが与えられることがあります。例えば、フォークリフトの爪などです。
2.輸送中のダメージ
輸送中の貨物同士の接触も考えられます。混載貨物は、一本のコンテナの中にさまざまな貨物が入ります。当然、コンテナの詰め方が悪いと、海上で船が揺れたときに貨物同士がぶつかります。このぶつかり合いが原因となり、貨物に大きなダメージを与える可能性があります。
LCL(混載便)での輸送は料金が安い反面、貨物にダメージが加わりやすい。
輸入貨物へのダメージはいつわかる?
上記1や2で説明した通り、輸入貨物にダメージが加わったとします。では、私たち輸入者は、どのようにして、そのダメージを確認すればいいのでしょうか。それが「デバンニングレポート」です。
デバンニングレポートとは?
LCLで輸送された貨物は、税関へ申告をする前に「保税倉庫(外国貨物を保管できる特殊な施設)」でデバンニング(コンテナから荷物を取り出すこと)をします。このデバンをしたときの貨物の状態を示す書類が「デバンニングレポート」です。
デバンニングレポートのポイント/貨物ダメージの種類
デバンニングレポートの目的は、デバンをしたときに貨物の状態を確認することです。この作業は、後の保険求償などに関係してくるためご注意ください。仮に貨物に何らかのダメージがあるときは、デバンニングレポートの下の二行ほどに下記の文言(リマーク)が記載されています。
リマークの表記例と貨物の状態
よくあるリマークが次の2つです。
- SLIGHTLY(おおむね30%)の範囲
- BROKEN(破損)している
ことを示します。中国から輸入される商品に多く、意味合い的には「外箱の段ボールにダメージがある程度」です。そのため、「BROKEN」と書かれていても、必ずしも敏感にならなくても良いです。
貨物の状態 書類上の表記例 少々(貨物全体の概ね30%未満のものを意味する。) SLIGHTLY 一部(貨物全体の概ね30%以上80%未満のものを意味する。) PARTLY 全部(貨物全体の概ね80%以上のものを意味する。) ALL バンドル切れ BANDS OFF 破損 BROKEN 破損したものを修理して中身異常なし BROKEN & REPAIRED CONT’S OK 破損修理してある BROKEN & REPAIRED 破裂 BURST 箱傷み中身不明 CASE BROKEN CONTENTS UNKNOWN こすれ CHAFED キャップ外れ CAP OFF 亀裂・ひび割れ CRACKED/SPLITED 押し潰れ CRUSHED 外装破れ・袋切れ COVER TORN 動物の死 DEAD 変形 DEFORM へこみ DENTED 汚れ DIRTY 端切れ EDGE CUT 中身が空になっている EMPTY 品名違い HINMEI 引用元:ナックス掲示板
ただし、海水で使えないなどの重大事故もあります。この場合は、CFS倉庫または、通関業者に連絡をして、貨物状態の詳細な情報を取り寄せた方が良いです。これが後々の保険求償や関税定率法10条の「変質、損傷等の場合の減税又は戻し税等」の仕組みを適用する根拠になります。
関税定率法10条とは?
輸入申告後、保税地域にある間に、損傷等を発見した場合は、正常な貨物と同額の関税を課さない。変質などをしている部分は関税額の払い戻しや軽減をする仕組みです。
まとめ
混載輸送は、少量から遅れるメリットや送料が安いメリットなどがあります。しかし、ダメージを受けやすい貨物であるともいえます。この点を含めてFCL(コンテナ輸送)、LCL(混載輸送)を選択するべきだと思います。特にFCLとLCLで価格的な差が小さければ、FCL(コンテナ輸送)をお勧めします。これはダメージだけではなく、貨物の引き取りまでの早さも異なるからです(FCLの圧倒的に早い)
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