現代は、非常にスピードが求められます。もちろん、これは貿易でも言えることです。輸入商品の卸先に「できるだけ早く欲しい」と要求されることも多いです。
本日は、このような迅速性が求められるときに有効な「予備申告」をご紹介していきます。
予備申告
予備申告とは、予備の言葉からわかる通り、税関の本申告の前に行う”予備の申告”です。実は、輸入貨物に関する申告は、原則的に、日本に貨物が到着、船から降ろされて搬入された後に行います。
しかし、この原則を貫くと、審査時間が非常に長くなり、貿易の仕組み上、問題があります。そこでこれを解決するために「予備申告制度」があります。
予備申告制度は、日本に貨物が到着する前に「税関審査」を受けられる仕組みです。貨物が到着した後ではなく「前」に審査を受けられるため、その分、貨物の迅速な引き取りができます。通関業者に「予備申お願いします!」と伝えておけばいいです。
通関業者への支払い。利用料金はかかるの? → 無料です。
メリット
予備申告のメリットは、次の3つです。
- 審査時間が早くなる
- 税関検査になるのかがわかる
- 同時に他法令の審査もできる
1.審査時間が早くなる
予備申告は、本船が到着~搬入までの時間(約一日~半)を使い、税関の検査を受けられるため、その分、貨物の引き取りが早まります。予備申告を入れると、あなたの輸入実績に応じて税関の「審査区分」がわかります。(あなたがどの区分で許可になったのかは、輸入許可書の上部にある「審査区分」で確認)
- 区分1=簡易審査扱い(税関審査終了)
- 区分2=通常審査
- 区分3=税関検査
区分1は輸入実績があるため、予備申告を入れたと同時に「税関審査」が終了します。その後、搬入が上がると輸入許可が出されます。区分2は、通常審査扱いです。通常通り、税関職員が書類の確認をします。書類に対する質問は、通関業者を通して行われます。このとき「検査が必要」と判断されると、区分落ちをして税関検査が行われます。区分3は、ほぼ税関検査が確定です。
関連記事:税関発給コード(輸入者符号)の申請方法を一から解説
2.税関検査になるのか?がわかる
予備申告を入れると区分が判明します。この区分が「3」であるときは、税関が「撤回」しない限り、そのまま税関検査が行われます。
一般的に、この税関検査がわかった時点で、納期遅れになるため、関係機関に連絡が必要です。この連絡を早めにできる点が大きなメリットです。また、税関検査を受けるためのドレーの手配も必要なため、この意味においても、予備申告による「区分の判明」な重要な意味を持ちます。
東京港におけるドレージ不足は深刻!東京揚げは注意!
3.他法令の審査も受けられる
予備申告をすると、同時に「他法令」の審査も受けられます。他法令とは、税関の許可を受けるにあたり、他機関からの確認を受けることです。
例えば、食品であれば、食品検疫所(厚生省所管)、植物関係であれば、動植物検疫所(農林水産省所管)より「確認」を受けた後でなければ、税関からの輸入許可は下りません。税関への予備申告をすると、同時に、これらの他法令の審査も受けられます。
以上、3つが予備申告のメリットです。特に予備申告のデメリットはないため、必ず予備申告をしましょう!
予備申告のタイミングは?
予備申告ができるタイミングは、次の2つの内、いずれか遅い方とされています。
- 輸入申告予定日における外国為替相場が公示された日
- アライバルノーティスが発行された日
税関の公示レートは、税関のサイトに表示されます。このページに輸入申告日に適用する公示レートが表示されていること。または、日本に船が到着する間際に発行される「アライバルノーティス」を入手した日とされています。私の経験上は、アライバルノーティスが揃ったタイミングで行うことが多いです。
予備申告に必要な書類
予備申告で必要な主な書類は、次の四つです。
この他、貨物の内容にっては、ライセンス書などが求められることもあります。
予備申告は、いつ許可になるの?
予備申告すると、税関審査が始まります。記述の通り、この審査は区分に従い行われます。あなたの輸入実績が少ないこと、過去に何らかの違反をしたことがあるなど、輸入者の情報により審査時間は変化します。いずれの区分にしろ税関が審査を終了すると「審査終了状態」に至ります。あとは、貨物の搬入が上がるのを待ちます。搬入があがったら、予備申告を「本申告」に切り替えて輸入許可を受けます。
輸入許可=税関の審査終了+搬入があがる
関連的な知識:できるだけ早く引き取りたいときは?
予備申告をする前提で、さらに貨物を早く取りたいときは、フォワーダー等に「ホットサービス又は個別搬入ができないかを確認してみましょう。輸出国側で船をブッキングするときに、これらのサービスを利用すると、日本側での搬入時間が短くなります。
まとめ
- 予備申告は、貨物が搬入される前に税関の審査を受けられる仕組みです。
- 予備申告をすると、貨物の引き取りを迅速にできます。
輸出入と国際輸送の手引き
タグ一覧
新着記事の一覧
記事を検索する
種別 | 積み地 | 揚げ地 | 品目 | 輸送モード |
個人 | 東京 | バンコク | 日本酒 250kg | リーファー |
個人 | サントス | 東京 | パワーストーン | FCL |
法人 | 羽田空港 | チャンギ空港 | 調理器具 | 相談希望 |
個人 | 東京 | バンコク | 日本酒 250kg | リーファー |
個人 | サントス | 東京 | パワーストーン | FCL |
法人 | 羽田空港 | チャンギ空港 | 調理器具 | 相談希望 |