落花生輸入ガイド
- 落花生は2025年度輸入食品監視計画の重点品目で、アフラトキシンB1基準は10μg/kg以下、総アフラトキシンは20μg/kg以下。
- 高リスク国:中国(殻なし汚染多発)、インド(クロルピリホス残留)、アフリカ諸国(乾燥不足・湿度管理不備)。
- 輸入前にISO17025認定ラボで自主検査、農薬使用履歴と乾燥・保管条件の確認必須。
- アレルゲン表示義務あり、国内加工時は製造ライン専用化または徹底洗浄が必要。
- 湿度60%以下管理、乾燥材・温湿度ロガー活用で品質劣化と検査遅延防止。
2025年度の輸入食品監視指導計画で、落花生が重点品目に指定されました。嗜好性と加工用途の広さから輸入量は多い一方、アフラトキシン汚染や残留農薬のリスクが依然として高く、特に中国、インド、アフリカ諸国からの輸入では過去違反事例が多く報告されています。また、落花生は特定原材料としてアレルゲン表示義務があり、国内加工時にも注意が必要です。
落花生が輸入食品監視計画の重点品目に指定
落花生の輸入・流通には以下の基準と法律が適用されます。
- アフラトキシンB1:10μg/kg以下
- 総アフラトキシン:20μg/kg以下
- 残留農薬:農薬ごとの個別基準あり(落花生についても多数設定済み)
主な関連法
- 食品衛生法(第11条:基準・規格設定、輸入時の検査命令)
- 食品表示法(特定原材料としての落花生表示義務)
- 輸入貿易管理令(輸入承認や数量制限)
- 関税法(課税評価、関税率適用)
輸入規制・関税情報(2025年時点の参考)
- 関税率(落花生・殻付き未加工):原則10%前後(EPAやFTA利用時は無税の場合あり)
- 輸入数量制限: WTO協定に基づき大枠では自由化済みだが、検疫・検査により実質的な流通制限あり
- 衛生許可:食品衛生法に基づく事前届出・検査証明が必要
最近の違反傾向(2023〜2025年最新)
- 中国産:殻なし・破砕品でアフラトキシンB1の基準超過が多発
- インド産:残留農薬「クロルピリホス」の検出が複数報告され、モニタリング強化対象
- アフリカ諸国産:乾燥不足や輸送時湿度管理不備でカビ毒汚染の発生事例あり

2025年はこれら高リスク国からの輸入で、毎ロット自主検査の実施が行政から強く推奨されています
輸入前にできるアフラトキシン・残留農薬対策と検査方法
1. 輸入前の自主検査
- ISO17025認定ラボでアフラトキシンと残留農薬の検査を実施します。
- 殻付きと殻なし、両方の検体を検査対象とします。
2. サプライヤー選定と収穫後工程・保管環境の確認
- 収穫後の乾燥工程や保管環境を事前に確認します。
- 農薬使用履歴を取得し、使用状況を把握します。
3. 必要書類の整備
- 輸出国政府発行の衛生証明書を取得します。
- ロット番号を明記した検査証明書を準備します。
- 農薬使用履歴を保管します。
4. 落花生輸送時の湿度管理と結露防止
- 湿度60%以下の保管条件を維持します。
- 海上輸送時には乾燥材を使用し、温湿度ロガーでデータを記録します。
アレルゲン管理と国内加工時の注意
落花生は特定原材料(7品目)の一つに指定されており、表示義務があります。2023年改正の食品表示基準では、以下の対応が望まれます。
- 製造ラインの専用化または徹底洗浄:アレルゲン混入を防ぐため、専用ラインを使用するか、生産前後に十分な洗浄を行います。
- 交差汚染防止措置:同一施設内で生産する場合は、物理的に生産エリアを分ける、または時間をずらして生産するなどの対応を行います。
- BtoB取引先への情報提供:アレルゲン情報と検査証明書を取引先に提供し、リスク管理を徹底します。
命令検査の流れと費用・期間の目安
- 発動条件:過去違反歴、高リスク国からの輸入、モニタリング結果
- 流れ:届出 → 検査指示 → サンプリング → 分析 → 結果通知
- 費用:1ロット数万円〜(検査項目による)
- 期間:約5〜10営業日
事前準備チェックリスト(落花生輸入版)
- 発注仕様書に「アフラトキシン・残留農薬検査済み」を明記
- サプライヤーから農薬使用履歴と乾燥・保管条件記録を取得
- 輸送用コンテナに乾燥材・温湿度ロガーを設置
- 検査結果・衛生証明書をロット単位で保管
実務者向けヒントと品質・アレルゲン管理のポイント
- 殻付き vs 殻なし:殻なしは出荷時の目視検査が容易だが、加工・割れ品は汚染リスク高
- アレルゲン管理:国内加工時は製造ラインの洗浄・表示徹底で他製品への混入防止
- 季節出荷戦略:雨季直後の出荷は避け、乾燥期に船積み
- 輸送混載対策:湿気を発生させやすい青果物との混載を避ける
- 顧客対応:BtoB顧客へ検査証明書・アレルゲン表示情報を提供
- 湿度超過時の緊急対応策:輸送中や倉庫保管時に湿度が60%を超えた場合は、即座に乾燥剤の追加投入や、除湿機・送風機を用いた再乾燥処置を実施する。長時間の高湿状態はカビ毒発生リスクを急上昇させるため、24時間以内の対応が望ましい。
- 高リスク国別の違反傾向(例):
- 中国産:アフラトキシンB1の基準超過事例が多く、特に殻なし・割れ品で高率。
- インド産:残留農薬基準値超過の事例が目立つ。
- アフリカ諸国産:乾燥不足や輸送時湿度管理不備によるカビ毒発生が散見される。
- 命令検査回避のための事前ロット選別・検査頻度目安:
- 輸入前に全ロットではなく、抜取検査(例:20〜30%)でリスク評価を行い、基準値超過の可能性があるロットは船積み前に除外。
- 高リスク国からの輸入は、毎ロット自主検査を推奨。低リスク国はシーズンごとに1〜2回の検査で十分な場合もある。
まとめ:落花生輸入を安全に行うためのポイント
- 落花生はアフラトキシン・残留農薬リスクが高く、2025年度重点品目に指定
- 自主検査とサプライヤー管理でリスク軽減
- アレルゲン表示義務があり、国内加工時も衛生管理が重要
- 湿度管理・輸送条件の徹底で品質劣化と通関遅延を防ぐ