アーモンド監視リスク
- アーモンドは総アフラトキシン15µg/kg、B1 10µg/kgが国内基準で、推奨LOQは総AF0.5〜1.0、B1 0.2〜0.5µg/kg、苦味種はシアン化合物管理が必要。
- 高リスク国:米国(雨濡れロット)、イラン(虫害果)、豪州(長期保管スポット汚染)で全ロット検査・乾燥湿度管理を徹底。
- 含水率6%以下、15℃・RH65%以下、防湿袋+乾燥剤、虫害果残存率1%以下を維持。
- 品種分別義務化とアミグダリン分析でシアン化合物混入防止、COA・水分・温湿度・外観・表示確認必須。
- 焙煎前の迅速検査で汚染ホットスポット除去、濡れロット完全乾燥、品種証跡確認で違反・混入を防止。
アーモンド特有の収穫・乾燥・保管工程によるカビ毒・シアン化合物リスク
アーモンドは収穫時に外皮が裂け、殻付きのまま乾燥・保管されます。この過程で降雨や朝露による再湿潤が起こると、Aspergillus属カビが侵入しアフラトキシンを生成します。特に未成熟や虫害を受けた果実は汚染リスクが高くなります。また、一部品種では苦味種アーモンドに含まれるシアン化合物(アミグダリン)の管理が必要で、加工段階での混入防止が重要です。

注意:以下の数値は推奨管理値であり、法的義務ではありません。国内基準(食品衛生法)は総アフラトキシン15 μg/kg、B1 10 μg/kgです。検査・判定は必ず最新法令を参照してください。
関連法令・基準(2025年8月時点)
アーモンド中のアフラトキシン基準
- 総アフラトキシン:15 μg/kg以下
- アフラトキシンB1:10 μg/kg以下
シアン化合物(アミグダリン)
- 日本の食品衛生法では、全ての食品に一律の数値基準はありません。
- ただし、苦味種や杏仁など類似種については、急性中毒防止のために管理値を設定している国があります。
- 例:欧州連合(EU)では、加工食品中の遊離シアン化水素含有量を50 mg/kg以下に制限しています。
- 輸入時には、輸出国が発行する証明書や分析結果を確認することが有効です。

最新の法令や基準値は、必ず厚生労働省・消費者庁の公式資料や官報で確認してください。
近年の違反傾向と原因(国別アフラトキシン・シアン化合物事例)
- 米国(カリフォルニア州):機械収穫後に降雨にさらされたロットや、収穫後に地面に長時間放置されたロットでアフラトキシン濃度が高くなる事例が発生。
- イラン:虫害を受けた果実が原因で、アフラトキシン汚染が多発。
- オーストラリア:長期間の輸送や保管中に、一部のロットでスポット的な汚染が発生。

焙煎処理を行っても、一部に「ホットスポット」が残る場合があり、輸入時の検査で不合格となる事例が報告されています。
アーモンドの実務管理基準(推奨値)
推奨検出限界(LOQ)
- 総アフラトキシン:0.5〜1.0 μg/kg
- B1:0.2〜0.5 μg/kg
サンプリング方法
- 殻付き:全ロットから均等採取し、合計10kg以上→均等に縮分して約5kgを検査試料に。殻を割り内部も含める。
- 剥き実:同様に均等採取。
- 粉砕品:全体を混合後、公定法(例:四分法)で採取。
乾燥・保管条件
- 含水率:6%以下(穀物水分計や赤外線法で測定)。
- 温湿度:15℃以下・相対湿度65%以下。防湿袋+乾燥剤併用推奨。
虫害対策
収穫後直ちに虫害果・異物を除去(比重選別・X線検査など)し、残存率1%以下を目標。
シアン化合物管理
- 仕入先での品種分別義務化。必要に応じ年1回以上アミグダリン分析実施。
- 欧州・豪州など輸出国の規制値も参照。
アーモンド輸入で頻発する失敗事例と改善策
焙煎後にアフラトキシンが検出される
改善策:焙煎前にロットごとの迅速検査を行い、汚染箇所(ホットスポット)を除去してから加工する。
雨に濡れたロットを十分に乾燥させずに出荷
改善策:濡れたロットは別に管理し、完全に乾燥していることを確認してから出荷する。
苦味種が混ざりシアン化合物が検出される
改善策:品種ごとの分別管理を徹底し、仕入れ段階で証跡(記録や証明書)を必ず確認する。
アーモンドの表示ルールとアレルゲン・有機認証表示時の注意
- 名称表示:基本は「アーモンド」と記載。加工状態に応じて「ローストアーモンド」など適切な名称に変更します。
- 原材料名表示:単一品の場合は品名のみを記載。添加物を使用する場合は、用途名と物質名を併記します。
- アレルゲン表示:食品表示基準で「特定原材料に準ずるもの」に分類され、義務的に記載が必要です。
- 有機表示:有機JAS認証品は、認証事業者名と認証番号を表示します。輸入時に証明書を提示できるよう保管しておきます。
- 産地表示:国名の記載が必須。複数の産地が混合されている場合は、配合割合の高い順に表示します。
国別違反傾向・推奨LOQ・サンプリング方法と管理メモ
国・地域 | 近年の違反傾向 | 推奨LOQ(総AF/B1) | 推奨サンプリング | 実務メモ |
---|---|---|---|---|
アメリカ(CA) | 雨濡れロットでAF検出 | 0.5/0.2 | 全層均等採取 | 機械収穫後の天候管理を徹底 |
イラン | 虫害果由来のAF高値 | 0.5/0.2 | 同左 | 虫害果の除去と低温保管を実施 |
オーストラリア | スポット検出 | 0.5/0.2 | 同左 | 防湿性包装と乾燥剤使用で長期保管対応 |
入荷時チェックリスト
- COA(分析項目、LOQ、分析日)の確認とロットID一致。
- 水分測定:6%以下を確認。
- 温湿度ロガー記録:異常値なしを確認。
- 外観確認:カビ、変色、虫害果の有無。
- 表示確認:名称、原産国、加工内容、アレルゲン情報、有機認証情報。
- 過去3か月以内に違反履歴のある産地は検査頻度を強化。