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TPPの付加価値基準(RVC)の4つの計算方法と救済ルール

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)における関税の恩恵を受けるには、域内(11カ国)で生産された原産品であることが条件です。原産品であるのかの判断は、HSコードの変化で確認する方法(CTCルール)と、完成品に含まれる「与えた価値」で確認する方法(VAルール)、決められた加工を行うと原産品にできるSPルールなどで行います。

この記事では、域内で付加した価値を基準とするVAルールの4つの計算方法と救済ルールをご紹介していきます。

TPP RVC

 



 

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TPPの原産基準/付加価値基準

付加価値基準とは、完成品価格に「日本で与えた付加価値」が一定のレベルを超える物を「TPPの原産品」と扱うことです。

例えば、一つ100円のアイスクリームの内、40円が日本で付加した価値、60円が外国で生産された価値だとする場合、日本で与えた付加価値の40円に注目します。この部分を別名「RVC=域内原産割合」と言い、この割合は、商品ごとに細かく決まっています。

例えば、RVC(域内原産割合)が40%であれば、100円の内、40円の価値を日本で与えます。もし、この値が50%であるにも関わらず、40%しかないときは、基準を超えていないため、日本の原産品ではない。つまり、TPPによる有利な税率を適用できない産品だと判断します。この付加価値を基準に原産品を判断方法を「付加価値基準(VAルール)」と言います。

完成品の価格の内、域内原産割合が基準を超える物がTPPの原産品と判断する

域内原産割合の調べ方

産品の域内原産割合を調べるときは「原産地規則ポータル」を使います。下の画像が原産地規則ポータルの中にある域内原産割合です。この産品の場合は、次の2つの基準が定められています。付加価値には、積み上げと控除の2つがあり、それによって、同じ製品でも域内原産割合の値が違うときがあります。*積み上げ等は後述

  1. 35%以上であること(積み上げ方式)
  2. 45%以上であること(控除方式)

TPP RVC

域内原産割合に含まれる物

日本での付加価値=域内原産割合です。では、この付加価値には、何が含まれるのでしょうか? 主な物は、次の5つです。要は、日本の工場で付加するすべての諸経費、材料が付加価値の対象です。原産地証明書を作成する人が輸出者であれば、この価格に+して、製造工場から日本の港まで輸送する費用も域内原産割合に含めます。

  • 原産部材(TPP協定で定めている品目別規則を満たすもの)
  • 工場での生産費
  • 工場での人件費
  • 工場での間接材料費
  • 工場の利益
付加価値基準=域内原産割合が規定を超えているときに原産品とする考え方

TPPにおける付加価値基準4つの計算式

TPPにおける付加価値基準は、次の4つの計算式により、域内原産割合を求めて原産性を判断します。

  1. 重点価格方式
  2. 控除方式
  3. 積み上げ方式
  4. 純費用方式

1.重点価格方式

産品の最終価格から特定の非原産材料(FVNM)の価格を引いた後、域内原産割合の値を確認する方法です。このルールの大きな特徴は、非原産材料として扱う貨物が「特定の範囲のみ」である点です。つまり、完成品の中にある「FVNMに指定されていない非原産材料」は、日本の付加価値として扱えます。

TPP 域内原産割合 RVC

品目別規則の例示:重点価額方式を用いる場合。第・・・・・・材料のみを考慮に入れる。

2.控除方式

控除方式は、完成品に占める価格の内、非原産部材の価格を引いていき、その残り(域内原産割合)が一定以上であれば、原産品とする考え方です。

TPP 域内原産割合 RVC

完成品の価格から非原産材料の価格を引く。

3.積み上げ方式

積み上げ方式は、控除方式の逆です。日本の付加価値(原産部材、生産費、利益など)を積み上げていき、域内原産割合が一定以上であれば、原産品とします。

TPP 域内原産割合 RVC

原産部材と原産材を積み上げる。

4.純費用方式

自動車関連費用や農業用トラックなど、一部の産品に適用される方式です。商品価格の中には、長期に渡るアフターケア費などが含まれている物が多いです。最終価格から非原産材料と純費用(NC)の合計額を差し引いた後(域内原産割合)を基準にします。ちなみに、純費用とは、マーケティング費用やアフターサービス費、輸送費や梱包費などを差し引いた価格です。

TPP 域内原産割合 RVC

付加価値基準 純費用方式

価格の中に長期的なアフター費用が含まれている物に適用する。
用語意味
RVC域内原産割合
VNM生産に使用する非原産材料
NC三章9条の純費用の規定に従う費用
FNVM付属書三-Dの品目別規則で特定できる。かつ非原産であること
VOM原産部材や原産費用の合計価格(原産部材、人件費、生産費、利益などの合計)

以上、4つが付加価値基準で原産品を判断する方法です。もし、様々な計算をした結果、品目別規則に指定されている域内原産割合を超えられないときは「付加価値基準の救済ルール」を検討します。救済ルールとは、付加価値と計算する範囲を救済的に広げて考える仕組みです。域内原産割合を超えないときは、必ず検討しましょう!

まとめ

  • RVCとは、完成品に含まれる価格の内、原産部分の割合です。
  • このRVCの部分は、原産材料を合計した価格、工場の生産費用、人件費、利益などが含まれます。
  • 品目ごとに指定されている各計算法氏による割合を守るようにしましょう!

ゼロから学ぶTPP(環太平洋パートナーシップ協定)

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