海外から商品を輸入する際、輸入税がかかる場合があります。基本は、関税と消費税の2種類です。原産国、輸入目的によっては、免税になることもあります。
輸入税は、●●円に対して○○%と設定されています。この●●円の部分を課税価格と言います。課税価格とは、輸入税率をかける対象の金額です。
例えば、一つ100円の商品なら100円が課税価格です。一つ10000円なら10000円が課税価格です。輸入税は、これら課税価格に指定のパーセントをかけます。当然、課税価格が大きいほど、同じ税率でも支払う税額は大きく変わります。よって、輸入品の正確な課税価格を求めることは、非常に重要です。
そこで、この記事では、輸入の課税価格の決め方を個人使用目的と商売目的に分けて解説していきます。
輸入の課税価格の決め方
輸入には、主に2つの種類があります。一つは、個人使用目的の輸入、もう一つは、商売目的の輸入です。これを区別なく「個人輸入」と考える方も多いです。
しかし、税制上、これらは、全く別の取り扱いを受けます。当然、この違いは、輸入の課税価格を決める上でも違いがあります。
- 個人使用目的の輸入
- 商売目的の輸入(小口輸入)
1.個人使用目的の輸入
個人使用目的の輸入とは、個人が、自己のために使用し、又は消費する前提の輸入です。
例えば…..
- 家族や友人の代わりに輸入する。
- 輸入した物を有償、無償問わず、誰かにあげる。
- 不特定多数の人に無償で譲渡する。
- 会社で使う物を購入する
などは、全て個人使用目的の輸入ではありません。=商売目的の輸入
2.商売目的の輸入
商売目的の輸入(小口輸入)とは、上記の個人使用目的以外の輸入です。
例えば、輸入した原材料を使い新しい商品を開発する。金額の大小に関わらず、輸入した商品を国内に転売する等です。金額の大小に関わらず、売ることが商売目的です。
輸入目的に応じた課税価格の決まり方の違い。
個人使用と商売目的では、課税価格について次のように取り扱います。
- 個人使用目的=海外の小売価格に対して、およそ0.6倍した金額(送料等は含まず、商品価格のみが課税価格の対象)
- 商売目的=海外で購入した金額(卸価格など)+送料+保険代金+その他の加算項目の合計金額(CIF)
1.個人使用目的 0.6倍の計算例
海外の小売価格を0.6倍とは、どのようなことでしょうか?
例えば、アメリカのショップで小売価格100ドルで販売されているなら…
課税価格=100×0.6=60ドルが課税価格です。
仮にこの商品の関税率が10%であれば、60*0.1で関税は、6ドルです。これが個人使用目的における課税価格の求め方です。
計算例2
- 商品価格が60ドル
- 送料が10ドル
- 保険料が5ドル
上記の課税価格は、75×0.6=45ドルではなく、60ドルの0.6=36ドルが課税価格です。
2.商売目的の課税価格の算出の考え方
商売目的の課税価格は、商品の価格に、含まれていない限度額において運賃やその他の費用を加えた金額です。具体的には、次の費用を加えます。
- 運賃や保険料
- 買い手が負担している手数料
- 買い手により無償で提供された部材など
- 特殊な関係の有無を考慮
1.輸入港に到着するまでの運送費用、保険料、その他費用を加える。
まずは日本までの輸送費を課税価格に加えます。また、輸送するときには、海上保険をかけて万が一のときに備えておきます。これも課税価格に加える対象です。
最後にその他の費用です。これは、海外ネットショップで購入するときで言えば、インターナショナルシッピング費などが対象です。コンテナなどで輸入する場合であれば、アライバルノーティス(貨物到着通知)に記載されている様々な諸費用をさします。
2.買い手が負担している手数料やその他の費用
買い手が負担している費用も課税価格に加えます。
例えば、容器や包装などの費用を「買い手が負担」しているときは、それは「商品価格を構成する一部」とみなされて、課税価格に加えます。
- 仲介手数料(買い手手数料は除く)
- 輸入貨物の入れ物
- 包装に関する費用
3.買い手により無償または値引きをして、直接&間接的に提供された役務や物品、その他以下の費用
買い手が商品を生産するための金型を提供していたり、材料の一部を提供していたりするときも課税価格に含まれます。
例えば、衣類などを作るにあたり、ボタンなどの一部の商品を日本から送付して、完成品にすることがあります。このときに送付したボタンなどもすべて課税価格に含まれます。よって、日本から送付したときの各種証明書類(インボイスやems送付伝票)なども保管しておく必要があります。
- 購入品に組み込まれている材料など
- 購入品の生産に使用するための工具・型など
- 購入品の生産で消費された物品
- 購入品を作るための役務の提供
4.輸入者と輸出者に特殊な関係があるか?を考慮
売り手と買い手が特殊な関係にあると、本来の価格よりも不当に安い価格でインボイスなどを作成する可能性がありますね。そのため、特殊な関係にある売買契約の場合は「同種又は類似の取引価格」「国内販売価格」などを参考にして価格を決めます。よくあるケースは、1番の輸入貨物につき制限があるときですね。いわゆる総代理店など、ある国の市場を独占販売するための契約を結んでいるときです。
- 買い手による輸入貨物に関する制限がつけられているとき(例:独占販売権など)
- 取引価格が、対象の取引以外の価格に依存して決められているとき(例:前回の輸入で不良だった分を今回の輸入で差し引くなど)
- 買い手の収益が直接・又は間接的に売り手に帰属するもので額が明らかでないとき
- 売り手と買い手との間の特殊な関係があるとき(買い手と売り手の会社役員が同じときなど)
特殊な関係にあるときの課税価格の決定原則
上記の1~4のいずれかの特殊な関係にあるときは、以下の2つの決め方によって課税価格を決定するようにしています。なお、この知識は、通関実務をされる方が覚えておくべきことです。もし、通関を通関業者などに任せているときは、参考程度にしてください。
1.同種または類似の貨物の取引価格
2.国内販売価格又は製造原価
- 小口輸入の関税計算ツール(申告価格が20万円以下用)
- 関税の計算ツール 一般輸入(申告価格が20万円1千円以上)
- 個人使用目的で輸入するときの「関税計算ツール」
まとめ
- 個人使用目的の輸入は、価格に0.6をかける
- 算出した課税価格に簡易税率をかけると支払う関税額がわかる。
- 海外通販(個人輸入)に役立つショップリスト 43選
- 海外通販するときの関税はどうなる?複雑な仕組みを解説
- 「知識ゼロ」輸入税 / 関税の削減マニュアル
- 貿易経験ゼロでもできる!初めての個人輸入ガイド
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