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発酵乳製品(ヨーグルト等)|輸入食品監視指導計画に基づく実務ポイント

発酵乳製品(ヨーグルト等)

  • 発酵乳製品輸入は衛生(リステリア・サルモネラ等)、成分規格、残留薬物、添加物、表示適法性の5項目確認が必須。
  • 国別違反傾向:フランス(リステリア)、トルコ(乳酸菌数不足・未許可香料)、豪州(残留抗生物質)、中国(成分・微生物規格不足)。
  • 必要書類:輸入食品等届出書、動物検疫証明、成分・微生物・残留薬物・添加物の各証明書、輸送温度記録、賞味期限証明。
  • 輸送管理:冷蔵(2〜6℃)維持、賞味期限50%以上残存、データロガーで温度記録保存。
  • 違反時対応:検疫所通知→販売停止・隔離→原因調査→再検査/返品→改善後輸入再開。

発酵乳製品の輸入で注意すべき背景とリスク

発酵乳製品とは、ヨーグルト、ケフィア、飲むヨーグルトなど、乳を主原料として乳酸菌や酵母で発酵させた製品です。これらは欧州、アジア、オセアニアなど多くの地域から輸入されています。

乳由来の製品には、微生物汚染、動物由来病原体、残留薬物などの衛生リスクが伴うため、毎年のように重点監視品目に指定されやすい傾向があります。特に生乳や低温殺菌乳を使った製品では、輸送条件や製造時の衛生管理が不十分だと、品質劣化や食中毒につながる危険性が高くなります。

発酵乳製品の輸入で必ず確認すべき監視項目

微生物規格

大腸菌群、一般生菌数、大腸菌(E. coli)、サルモネラ属菌、低温でも増えるリステリア・モノサイトゲネスの有無を確認します。

成分規格(乳等省令)

  • 無脂乳固形分や乳脂肪分の最低基準を満たしているか。
  • 乳酸菌数が1gあたり1,000万以上などの規定を満たしているかを確認します。

残留薬物

抗生物質(テトラサイクリン系、ペニシリン系)やホルモン剤の残留がないかを検査します。

添加物

香料、着色料、甘味料が日本の食品添加物公定書で許可されているものかを確認します。

表示の適法性

食品表示法に基づき、アレルギー表示(乳成分)や原産国表示などが正しく記載されているかを確認します。

違反が多い輸出国とその傾向

主な違反傾向事例
フランスリステリア検出熟成期間や低温管理基準の差による違反
トルコ乳酸菌数不足、未許可香料使用規格未達・添加物基準不適合
オーストラリア残留抗生物質基準超過複数回報告あり
中国成分規格不足、微生物基準違反無脂乳固形分不足など

最近の違反事例

  • フランス産ヨーグルト:リステリア・モノサイトゲネス 50 cfu/g(基準超過)
  • トルコ産飲むヨーグルト:乳酸菌数不足(規格の半分以下)
  • オーストラリア産ヨーグルト:テトラサイクリン系抗生物質検出(基準値超過)
  • 中国産発酵乳:無脂乳固形分不足(規格値を1%下回る)

必要書類一覧

  • 輸入食品等届出書(FAINS/NACCS)
  • 動物検疫証明書(Veterinary Certificate)
  • 成分規格証明書(乳等省令準拠)
  • 微生物検査証明書(リステリア、サルモネラ等)
  • 残留薬物検査証明書(抗生物質、ホルモン剤)
  • 添加物証明書(使用添加物と使用量)
  • 輸送温度記録データ(データロガー出力)
  • 賞味期限・製造日証明

追加で押さえておきたい最新防疫・規制情報

防疫・規制情報

  • 家畜伝染病発生国からの特定乳製品は、一時輸入停止措置が取られることがあります(例:ランピースキン病発生地域からの生乳由来製品)。
  • 最新の輸入可否情報は農林水産省や動物検疫所の公表資料で必ず確認します。
  • 特定国からは、熱処理条件や熟成期間による条件付き輸入許可が存在します。

輸送・保管管理

  • 冷蔵輸送(2〜6℃)を維持し、コンテナ温度記録を保存します。
  • 日本到着時に賞味期限の50%以上が残っていること(例:製造後60日なら残日数30日以上)。

国別必須検査項目例

  • フランス:リステリア、乳酸菌数
  • トルコ:乳酸菌数、添加物適合性
  • オーストラリア:残留抗生物質
  • 中国:成分規格、微生物規格全般

輸入時の注意点

  • 製造国の衛生証明書(動物検疫証明書)を確保します。
  • 冷蔵コンテナでの輸送温度管理(2〜6℃)、データロガーで記録を保存します。
  • 輸入時に賞味期限が全体の50%以上残っていること(例:製造後60日の場合は残30日以上)。
  • HSコードを適正化(0403.10:ヨーグルト/0403.90:その他の発酵乳)。
  • EU産品などはリステリア事前検査証明を添付して命令検査を回避。

違反時の初動対応フロー

  1. 検疫所から通知を受ける
  2. 販売停止・在庫隔離
  3. サプライヤーに原因調査を依頼
  4. 再検査または返品手続きを実施
  5. 製造工程や輸送条件の改善を確認後、輸入を再開

発酵乳製品輸入の実務TIPS

  • 初回輸入時は検疫所と規格や成分表を照合して事前相談を行う。
  • 自主検査は国内公的検査機関を利用し、リステリア検査はISO法に準拠する。
  • 表示ラベルは輸入前に翻訳し、法令適合性を確認する。
  • 輸出国の製造工程に日本規格を組み込むことで、長期的に検査頻度を減らせる。

まとめ

発酵乳製品の輸入は、衛生・成分・薬物残留・添加物・表示の5領域での安全確認が重要です。さらに、防疫上の輸入制限や最新規制、消費者保護の観点からの表示義務、リコール対応計画まで含めて管理体制を整備することが、安定的かつ安全な輸入実務の鍵となります。

食品届(輸入貿易コンサル

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