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航空輸送と海上輸送の比較 運べない物・危険物の一覧



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航空輸送を選べば海上貨物に比べてとても早く目的地へ到着するのはご存じでしょう。距離が遠ければ遠いほどその差は歴然です。しかし、貨物の到着をそれほど急いでいないにもかかわらず、航空輸送を選ぶことは余分に輸送費を支払うことになり、賢明ではありません。

そのため航空輸送するメリットを知ることはとても大事です。さらに航空輸送では搭載できるものと搭載できないものが厳格に分けられていますので、貨物を預けるときに搭載できないと判明することがないように事前に準備しなければいけません。

そこで今回は航空貨物にかかわる知識について解説していきます。

【危険物】リチウムイオン電池の海上・航空輸送ガイド SP188

航空輸送にかかわる知識を学ぶ

  1. 航空輸送のメリット、デメリットを学ぶ。
  2. 航空貨物で運べるもの運べないものを知る。
  3. 航空輸送で使用する用語を知る。

航空貨物の特徴/海上輸送との比較

海上貨物を比較しながら航空貨物の特徴とその輸送手順を解説していきます。

世界で輸送される貨物を重量で比較した時に、航空輸送と海上貨物の割合はどれくらいかご存じですか。重量ベースで比較すると、世界の99.99%が海上貨物で運ばれています。この比率を見てもわかりますが、世界のほとんどの輸送は海上貨物だといっても過言ではありません。もちろんここには航空輸送では考えられない、石油や鉄鉱石の輸送も含まれているので当然の数字と言えます。

しかし一方、インボイス価格で見てみますと、航空貨物は世界で輸送される貨物の20%を占めているといわれています。つまり、航空輸送は重量は軽くて高付加価値の貨物という特徴が言えます。

では、航空貨物を使用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

大きなメリットは速さです。通常日本を出発した貨物は翌日にはアメリカやヨーロッパに到着します。海上貨物では一般的にヨーロッパ向けは3週間、アメリカ向けは2週間程度かかりますので、航空貨物の速さがそれだけでもわかります。

ただデメリットももちろんあります。航空輸送では独自の輸送手順で運用されますので、その手順に従ってデメリットを解説していきます。まず航空輸送では国際規格のパレットやコンテナ(ULD)を使用します。その理由は大きく分けて二つあります。

ULD(コンテナ)を利用する2つの理由

  1. 貨物搭載の時間短縮
  2. 飛行中の安全性
1.貨物搭載時間の短縮

貨物をそのまま航空機に載せると、一つ一つ運ばないといけないので搭載に時間がかかります。すでに貨物が積み付けられたULDを搭載すれば時間短縮につながります。

2.飛行中の安全性

飛行中、機内で貨物が移動してしまうと非常に危険です。過去にはある航空会社がこの理由で墜落したという事例もありました。ULDにしっかり積み付けられていれば、飛行中に貨物が移動することなく安全に輸送ができます。

航空輸送では貨物をパレットやコンテナに積み付けてから、航空機に搭載されます。つまりULDに積み付けらない貨物サイズは航空輸送すらできないのです。ここがデメリットの一つです。

パレットサイズは、旅客便では外寸は315cm x 243cm、内寸は302cmx228cmです。貨物はその中に収まるサイズでなければいけません。さらに貨物の高さは160cmを超えると貨物スペースに搭載できないのです。

 
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海上貨物で使われる40フィートコンテナが約65m3に対して、航空貨物は通常の旅客便1機で70m3程度しか積めません。つまり海上貨物とは容積において絶対的に運べる量に違いがあり、さらにサイズの制限も厳格だということが分かります。

海上貨物と比べると、航空貨物は一つ一つのサイズが小さいため、パレットの上に他の貨物と相載せして積み付けられます。航空貨物用コンテナは、内寸153cmx156cmx162cmで、全体がアルミで覆われています。通常はネットなどバンド掛けすることなく、貨物を中へ入れていきます。カートンボックスのような個数口貨物を載せることに適しています。

またコンテナ・スペースはフォワーダーを通して購入することも可能です。航空会社にもよりますが、運賃適用重量(Chargeable weight)は500kgから750kgで設定され、レートとの積が航空運賃となります。

航空貨物ではそのスピードを生かして、生鮮品や医療品など保冷が必要な貨物が多いのも大きな特徴です。もし生鮮貨物や医療品を輸送するのであれば、コンテナポジションを購入することをお勧めします。なぜならバラで貨物を搬入すると他の貨物と相積みとなり、希望通りの保冷輸送がされなかったり、ダメージの恐れがあるからです。

なお保冷貨物のコンテナポジションの買取金額は、通常貨物の1.2倍から1.5倍程度が相場です。保冷貨物を輸送する時は事前にフォーワーダーへ確認してください。

サイズの制限やコンテナ購入など海上貨物と異なる点を解説しましたが、なんといっても大きな違いは航空貨物の運賃です。海上貨物の15倍の運賃が必要だと言われています。

以上のことを表にまとめています。

航空貨物と海上貨物のメリット、デメリット

長所短所
航空貨物到着が速い金額が高い。運べる量と貨物サイズに制限がある。
海上貨物金額が安い、大量に運べる到着に時間がかかる

このように航空貨物と海上貨物は、それぞれに特徴が異なります。お互いの長所と短所を補完しあって、最適な輸送手段を選ぶことが大事です。

航空貨物で運べるもの、運べないもの/難しいもの

今までは航空貨物の特徴を紹介しながら、海上貨物を比較してメリットとメリットを解説してきました。航空貨物は早く輸送できるものの、制限が多いことが理解できたかと思います。ではここからは航空輸送にかかる制限と運べるもの、運べないものについて紹介していきます。

航空貨物は繊細な航空輸送により、いろいろな制限が設けられていますので、ここでご紹介します。

航空輸送の主な制限

  1. 危険品(危険物)
  2. 超長尺貨物
  3. 超重量貨物
  4. 爆発検査反応貨物
1.危険品(危険物)

危険品とは国際連合が定義した化学品や毒物で、9種類のカテゴリとUNで始まる番号でリスト化されています。国際民間運送機関(IATA)によって運べるものと運べないものが決められていますが、航空会社にかかわらず同じようなルールが適用されています。危険品といってもいくつかに分類されていますので、それぞれご紹介します。

1,1 危険品の中でも、量や危険度によって制限が緩い少量危険品や微量危険品があります。一般貨物と同じように輸送できる貨物が多く含まれます。

1.2 またどこにでもある磁石は、航空機の計器や電気系統に支障をきたす恐れがあるため、航空貨物においては危険品扱いとなります。一定量の磁力を超える場合、磁石は決められた位置での搭載が義務付けられています。

1.3ドライアイスも航空輸送では危険品として扱われます。制限が厳しいわけではありませんが、魚や野菜を冷やすために使われるドライアイスは、航空機一機に搭載できる上限を超えると膨張して二酸化炭素を大量に放出する恐れがあります。なお生鮮品を冷やす程度の量であれば問題ないでしょう。

1.4 驚く人もいるかもしれませんが、電池の輸送はとても厳しく制限されています。リチウムメタル電池とリチウムイオン電池はあらゆる製品に組み込まれていますが、多くの航空会社では電池単体での輸送は基本的にできません。なぜならノートパソコンやタブレットが発火した事例が幾度とあり、いずれも電池が原因だったからです。

このような危険品の輸送には航空会社が目視できるよう危険品ラベルが外装に貼られます。なお危険品輸送は旅客便と貨物専用便で許容量が変わってきます。

2.長尺貨物

長尺貨物は、ULDパレットの外寸を超える長い貨物を指します。旅客便では高さにもよりますが最長380cm程度が上限ですので、それ以上のサイズですと貨物便以外は搭載できません。

3.重量貨物

超重量貨物とはULDパレットに載せる上限に近い貨物です。サイズによりますが、4,500kgを上限とし、それ以上は貨物便以外搭載ができません。

4.爆発検査反応貨物

航空輸送ではすべての貨物に対して爆発検査を実施します。爆発物の検査方法は、一般的にX線に通す方法が採用されています。もしX線検査中に爆発物として反応すると当然輸送することはできません。この場合、警察や空港会社スタッフを呼んだり調査したりと、とても大変な作業が発生します。爆発物が発見されたのですから仕方ありません。

以上のように、航空貨物には物理的に運べるものと運べないものがしっかり分けられています。海上貨物に比べてとても制限があることがわかりました。安全な航空輸送が前提となっていますので理解したうえで、預けてください。

さてここで質問です。航空貨物として運ばれているものには、どのようなものがあるのでしょうか。先ほども解説しましたが、航空貨物は高付加価値で軽い貨物が適しています。

日本から輸出される主な航空貨物

電子部品半導体やIC回路など高付加価値で軽い貨物の代名詞的品目です。航空輸送に適しています。
自動車部品日本の基幹産業ですので、自動車部品は大量に世界各地へ輸送されます。
化学品日本では今も化学メーカーはとても重要な存在です。

航空貨物に適している?適していない?

では、ここからは航空貨物として、どのようなものが運べるのかまたは運べないのか実際の品目ごとに照らし合わせてご紹介していきます。なお大きく〇、×、△で分類してはいますが、品目ごとに細かくルールは異なりますので、注意してください。

ほとんど制限なく輸送が可能。
輸送は可能だが制限がある。また輸送不可の航空会社も多少ある。
×輸送はほとんど不可。許可を得れば場合によって輸送可能。

品目一覧

品目可否品目可否品目可否
エアゾールパソコン化粧品
お酒バッテリー酸化銀電池
オイルビール酸素ボンベ×
オーバーパックヘア・アイロン次亜塩素酸/カルシウム
ガスシリンダー×ヘア・カラー
ガス・スプリング×ペット刃物×
ガスコンロ×ポータブル電源水銀ランプ×
ガスボンベ×ボールペン精密機器
ガソリン×ホッカイロ接着剤
ギターホット・アイマスク電化製品
グリスボンド日本酒
グリセリンポンプ半導体
サスペンションマグネット美術品
スピーカーマッチ漂白剤
スプレー缶マニキュア腐食性物質
ドライ アイスマンガン 電池変圧器
ドラム缶×モーター木炭
ドローンモバイル バッテリー油圧ジャッキ
ニッカド電池×リチウムイオ 電池油圧シリンダー×
ニッケル水素電池×ろうそく油性ペン
ネオジム磁石ワイヤレス イヤホン医薬品
ノート パソコン液体バイク

航空貨物用語集

最後に航空輸送で使用する用語をまとめました。

航空貨物用語意味
AMSアメリカにおける事前自動通関システム。スムーズな通関が可能。
AWBAir Waybill。航空貨物運送状。
BB Fee貨物到着時の貨物を仕分ける際の費用。
BBPBreak Bulk Cargo。コンテナ船に入らない貨物(海上貨物用語)
BL航空貨物の場合Air Waybillの略称。海上貨物では別の意味あり。
BUPフォワーダーがULDポジションを購入して、自社で積み付けを行う。
CC FEE到着空港払い手数料。
CCACharge Correction Advice。運賃訂正指示。
CFRインコタームズ貿易条件。航空機に搭載するまでの費用と航空運賃。
CIFインコタームズ貿易条件。航空運賃と保険料も含まれた条件。
CIPインコタームズ貿易条件。売主指定の運送人に預け航空運賃と保険料も含まれた条件。
Class9危険品のカテゴリー。Class9には車やドライアイスが含まれる。
CR2032コイン型電池。リチウムの含有量によって危険品になる。
CWChargeable weight。 運賃適用重量。
Delivery Order荷渡し指図書。到着時エアライン上屋で渡すと貨物を引き取れる。
DIPLOMAIATA公認Airwaybillの記入ルールや運賃計算の資格。または危険品取り扱い資格。
FSC燃油サーチャージ。航空会社がkgごとに金額設定。
FWBMaster Airwaybillを電子化したもの。
IATA民間航空運送機関の略。
Keep Cool要保冷貨物。
IC航空輸送によってはICの詳細を記載する場合がある。
LDPLower deck パレット、旅客機下部に搭載サイズのパレット。
LDRLocal Delivery Recipt。保税輸送許可書。輸出貨物搬入時にエアラインへ渡す。
m3立法メートル。
MSDSMaterial Safety Data sheet。製品安全データ。危険品かどうかを調べるときにも使用する。
NCA日本貨物航空の略。日本で唯一の航空貨物専門会社。
NVDNo Value Declared。貨物価格を申告しないという意味。
PCBプリント回路基板。航空会社によっては別で申告用紙が必要。
PIVOTBUP使用時に課される最低重量。
RTレベニュートン(海上貨物用語)
SSCセキュリティサーチャージ。保安費用。航空会社がkgごとに金額設定。
ULDUnit Load Divice。貨物を搭載するパレットやコンテナ。
UN国連番号。危険品番号に使用される。
un3082環境有害物質。輸送には厳しいルールが設けられている。
VALValuable Cargo。貴重品貨物。
インボイス貨物の価格を表示した貿易書類。
カーゴ・アタッチ貨物の外装に貼りつけている書類。
カーゴラベルMaster Airwaybill番号を貨物の外装にも認識するように貼る。
空港止め貨物到着時に自分で取りに行く。
コンビ ラベルMaster AirwaybillとHouse Airwaibillが一枚のラベルになっている。
スタンバイ貨物到着までの余裕を見てもらう日数。
ターミナル チャージ貨物の施設使用料。
ドライシッパー生鮮ではない貨物の荷送人。
パッキングリストそれぞれのボックスに入っている商品を表示した貿易書類。
バルク航空機最後部にあるバラ積み部分。
パレタイズカートンボックス貨物をパレット化する。
パレットアルミ製の平面板。ULD。
バンク リリース銀行が保証して貨物の搬出指示がでる。
ビルドアップ貨物をULDに積み付けること。
ブレイク貨物をULDから取り卸し解体すること。
ペイロード航空機が運航する上で貨物搭載可能重量。
ベリー航空機下部エリア。
ミッシング貨物が紛失している状態。
ミニマム貨物最低運賃。
リマーク貨物のダメージの記録。
ロガー輸送中の温度を計測する装置。
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