国際輸送で貨物を輸送するときは、輸出国側と輸入国側における「貨物の輸送形態」を意識します。この場合の輸送形態とは「FCL(CY)」や「LCL(CFS)」などです。そこで、この記事では、国際輸送における4つの輸送形態と、それに関連する費用をご紹介していきます。
国際輸送4つの形態
海上輸送には、どのような物あるのでしょうか? まずは、海上輸送の基本的な知識を復習していきます。海上輸送を大別すると、CYとCFSに分かれます。同義の言葉には、CY=FCL、CFS=LCLがあります。
参考書籍:基礎から分かる海運実務マニュアル / オーシャンコマース
CYとCFSの意味と違い。
CYは、コンテナヤード、CFSは、コンテナフレイトステーションの略です。どちらも港の保税地域の一角を指す言葉であり、あわせて「ヤード」と表現する方もいます。コンテナヤードは、コンテナ単位で荷物を取り扱う所。対して、CFSは、コンテナ未満の貨物を取り扱います。
コンテナヤード(CY)とコンテナフレイトステーション(CFS)の図解
例えば、輸出時には、一旦、CFSでバラバラの荷物をコンテナ化した後に、コンテナヤード(CY)に移動。一方、輸入時は、コンテナヤードからCFSに移動。その後、CFSでデバン作業(コンテナを取り出す作業)などをしています。
- CY=コンテナ単位の荷物をやり取りする場所
- CFS=コンテナ単位にするための積み込み。又は、コンテナからの荷卸しをする場所
また、貿易実務の現場では、CYのことを「FCL」や「コンテナ輸送」、CFSのことを「LCL」や「混載」の意味で使う方も多いです。FCLは、一荷主が一つのコンテナを独占して輸送する方法。LCLは、一つのコンテナスペースを複数の荷主で共有して輸送することです。
詳細:FCL(コンテナ輸送)とLCL(混載輸送)のメリット・デメリット
そして、このCYとCFSによる輸送には、次の四つの型があります。これらは、輸出国の船社側(港側)又は、輸入国の船社側(港)で、どのような形態で荷受けをされるのかを表します。
- CY TO CY(コンテナのまま輸送)
- CFS TO CFS(混載貨物→混載貨物)
- CY TO CFS(コンテナ→混載貨物)
- CFS TO CY(混載貨物→コンテナ単位)
1.CY TO CY(コンテナのまま輸送)
輸出国のCY(コンテナ単位)にまとめて、輸入国側でも、そのままの状態(関連記事:ドレーとは?)で運ぶ形態です。一般的に「輸入する」と聞いたときに、すぐに思い浮かぶ姿です。この形態で輸送するときは、次ような費用が発生します。
- CYチャージ
- 通関料
- 取扱料金
- ドレージ代(コンテナを引っ張るお金)
- 税関検査
2.CFS TO CFS(混載貨物→混載貨物)
輸出国側で混載貨物として輸送開始、そのまま輸入国側も「混載貨物」として配送する方法です。この場合は、日本側の倉庫でデバン(コンテナから貨物を取り出すこと→関連記事:バンダシとは?)をするため、バンダシ手数料(CFSチャージ)が発生します。
- CFSチャージ
- コーロード費
- 輸入通関料
- 取扱料金
- トラック代金
3.CY TO CFS(コンテナ→混載貨物)
輸出国側でコンテナ単位にした上で輸送開始、その後、日本側の倉庫でデバンをした後、配送します。この場合、次の2つのパターンがあります。
- 最寄りの倉庫でデバン後、配送する
- 最寄りの倉庫でデバン、保管、配送する
1.最寄りの倉庫でデバン後にすぐに配送
最寄りの倉庫でデバン後、すぐに混載便などにより出庫するときは、倉庫に貨物を入れないため出庫費用などは掛かりません。請求される可能性がある費用は、次の通りです。
・CYチャージ
・通関料・取り扱い手数料
・コンテナショートドレー
・バンだし費用
・混載便費用など
入出庫、保管料は発生しません。
2.最寄りの倉庫でデバン、保管、配送する
輸入通関後、倉庫でデバン、その後、倉庫に保管をして、需要にあわせて適宜配送する形です。この場合は、倉庫に保管するため、出庫費用と保険料金が発生します。関連記事:倉庫代金の請求方法とは?
・CYチャージ
・輸入通関
・取扱料
・ショートドレー
・デバン
・入庫
・出庫
・保管
・トラックによる配送代金
ポイント:揚げ地(輸入国側)のCFSで荷受けのときに、コンテナの外観やシールに異常がなければ、船会社の責任は終了
4.CFS TO CY(バラ貨物→コンテナ単位)
輸出国側では混載貨物として発送、輸入国側で「コンテナ単位」にまとめて運送する方法です。非常にまれなケースであるため、詳細は省略します。
以上、4つの輸送形態をご紹介しました。輸送形態により、輸入国側でかかる費用がかわることを覚えておきましょう!
まとめ
- 輸出国から輸入国側には、4つの輸送形態がある。
- 輸送形態により、輸入国側で発生する費用が異なる
- 国際輸送は、海上費用だけを見るのではなく、それに付随する費用も含めて検討します。