コンテナ輸送は、貨物量に関わらず、一定の輸送料金に収められるのが特徴です。そんなコンテナ輸送には、各種チャージが発生します。
代表的な物がターミナルハンドリングチャージ。これは、港に到着した船から、コンテナをターミナルに搬入する費用です。この他、これは別に、輸入者へのペナルティの意味を持つチャージがあります。それが次の2つです。
- デマレージ
- ディテンションチャージ
これらは、どのような意味を持つのでしょうか? そこで、この記事では、デマレージ、ディテンションチャージ、コンテナ返却期限について詳しく解説していきます。
■この記事の結論
- デマレージとは、コンテナターミナルから実入りのコンテナを早く搬出しなさい。一定期間後は、課金するからよろしく!チャージ。
- ディテンションチャージとは、逆に貨物を引き取った後(コンテナのデバン後)、空コンテナをさっさと、港に返却しなさいチャージです。こちらも一定期間を過ぎると、課金されます。
ディテンションチャージとデマレージ
国際輸送で使用するコンテナは、船会社(正確に言うと、コンテナをレンタルする会社)の持ち物です。輸出者や輸入者がコンテナを所有するわけではないため、利用には一定の制限があります。この制限を上回る使い方をすると、船会社が定める以下2つの費用を支払わされます。
- コンテナターミナルから搬出しなさい!料金=デマレージ
- 空コンテナは、早く返却しなさい料金=ディテンションチャージ
デマレージとは?
デマレージ(demurrage)とは、コンテナが搬入されているターミナルから、指定の期間内(フリータイム)に運び出さないと請求される費用です。ポイントは、コンテナターミナルと指定期間内の2つです。それぞれを具体例で説明していきます。
コンテナの到着
どこかの国から日本にコンテナが到着したとします。船の甲板にたくさんコンテナがのっています。
船が港に到着すると、ガントリークレーンで降ろされます。コンテナを下すところが「コンテナターミナル=保税地域」です。
コンテナは、以下の写真の通り、規則正しく並べられていきます。次から次にコンテナが到着するため、スペースをできるだけ効率的にさばかなければなりません!
そこで、船会社は、荷主に対して次の2つを要求します。
- 実入りのコンテナをできるだけ迅速に搬出して!
- 空になったら、できるだけ早く返却して!
ようは、コンテナがいつまでもターミナルにあると邪魔ですね!そのため、さっさとコンテナを搬出するように促しているのです。しかし、早く搬出して!と口で言うだけでは効果は小さいです。そこで、迅速な搬出を促すために金銭的な罰則を設けています。これがデマレージです。
デマレージは、搬入日の翌日からカウントが始まり、おおむね5日を上回る日から発生します。5日までは、フリータイムが設定されていて、この期間内に貨物を搬出すれば、デマレージはかからないです。
フリータイムとは?
コンテナを無料で引き取れる期間は、コンテナターミナルに下ろされた日(搬入日)から5日(最初の土日はノーカウント)が多いです。この期間がフリータイムです。
フリータイムの期間は、契約するフォワーダーによっても変わります。中国の某フォワーダーは、二週間近くフリータイムを設定している所もあります。
デマレージの負担者と支払先
デマレージの負担者は、輸入者です。支払先は、フォワーダーや通関業者経由または、直接、ヤードに支払えます。もし、LCL輸送なら、貨物を保管する保税倉庫に支払います。
LCL とは、一つのコンテナの中に複 数の荷主の荷物を入れることです。コンテナから出された貨物は、輸入貨物 専門の倉庫に保管されて、税関の輸入許可を待ちます。
FCL(コンテナ輸送)とLCL(混載輸送)のメリット・デメリット
船会社や倉庫会社は「デマレージの支払い確認」ができると、コンテナヤードの係員にコンテナの搬出指示をします。倉庫の場合であれば、倉庫担当者に搬出を許可します。これで、輸入者は貨物の受取ができます。
デマレージ料金(計算方法)
デマレージの目的は「コンテナヤードからの搬出を促すこと」です。一般的な感覚であれば、この延長料金は「一定の率」になると思いがちです。しかし、デマレージは、ある一定の期間が過ぎると急激に高くなるのが特徴です。
デマレージは船会社によって異なりますが、一日あたり4000円くらいが相場です。通関業者(税関への輸出入の申告を代行する業者)に依頼している場合は、マージンが上乗せされて請求されます。この一日あたりの料金と延長した日数で、デマレージの額は決まります。
- 入港日から7日~10日目までは、一日あたり4,000円
- 入港日から11日以降は、一日当たり10,000円
という上がり方をします。そのため、税関による輸入審査の結果、長期間にわたりコンテナを保管することになったら、コンテナの保管料する必要があります。また、デマレージは、コンテナの種類(ドライやリーファーなど)によっても変わります。
デマレージの計算式
デマレージの計算方法は、次の通りです。
起算日:搬入日の翌日
例:あるフォワーダーが次のように定めているとしましょう。この条件の下、仮に搬出に16日かかる場合は、16万円です。計算方法にクセがあるため、注意しましょう!
- 1~5=無料
- 6~9=3000円
- 10~14=8000円
- 15日以上=10000円
HUNADEでは、デマレージとディテンションチャージの計算ツールを提供しています。よろしければ、ご利用ください。
参考情報:デマレージの消費税は?
デマレージは、輸入許可前の外国貨物にかかる費用のため、非課税です。
ディテンションチャージとは?(detention)
ディテンションチャージは、ターミナルからコンテナを引き取った後、指定の期間内に空コンテナを戻さないときに課されるペナルティです。
ディテンションチャージの起算日(コンテナの返却期限)
ディテンションチャージの起算日は、輸入許可となり、コンテナターミナルからコンテナを搬出した日です。一般的には、コンテナを搬出した日から、返すまでの期間は「5日」とされています。この期間内をフリータイムとし、これを過ぎてから返却すると「ディテンションチャージ」がかかります。
ディテンションチャージがかかる一例
- 輸入許可後、コンテナターミナルから搬出
- 搬出後、配送先でデバン。
- 空にしたコンテナを港に返却
- 1~3の期間が5日以内であれば、ノーチャージ
- 5日を経過すると、返却時にペナルティがかかる。
ディテンションチャージの一例
コンテナ | 日数1~5 | 日数6~10 | 日数11日以降 |
20F | 無料 | 1200 | 2400 |
40F | 2400 | 4800 |
*フリータイムが過ぎると、土日を含めてカウントします。
参考情報:ディテンションチャージの消費税は?
ディテンションチャージは、輸入許可後の国内貨物にかかる費用のため、課税対象です。
まとめ
コンテナに関する料金として「デマレージ」と「ディテンションチャージ」を説明しました。同じような名前で混乱される方も多いと思います。そのため、「デマレージは、港からの搬出が延長された場合の料金」「ディテンションは、コンテナを返しなさい料金」と覚えておきましょう!
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