貿易のリスクを小さくする4つの保険戦略

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海外への輸出ビジネスを行う場合は、さまざまリスクを想定して、なるべく安全に取引を行えるように「備え」をしておくことが大切です。貿易でいう備えとは「契約書」と「保険」のことです。

海外との取引はすべて契約書に基づくことで「責任を明確化」できます。これは、貿易上の損害をどこまで負担するべきなのかを明らかにすることでもあります。また、貿易は、外国と外国との取引であることから、さまざまな「外部の影響によるリスク」をできる限り小さくすることが求められます。

例えば、輸送中の船が沈んでしまったり、作業員のミスにより貨物が損傷してしまったりすることがあります。これだけではありません。商品を輸出した先の会社が倒産するといったリスクも考えられます。このように貿易を行う上では、さまざまなリスクが存在します。そこで、この記事では、貿易上のリスクを小さくしてくれる「保険」についてご紹介します。

貿易を行う上での保険戦略

海外との取引を行う上では、既述の通り、様々なリスクが存在します。これを少しでも小さくするには「保険戦略」が必要です。

しっかりとした契約書を作り、これで補えない部分のリスクは保険でカバーするイメージになります。貿易に関する保険は「マリン保険」と「ノンマリン保険」の二つに大別されます。マリン保険の下には、さらに三つの保険があります。これらの内容やカバー範囲をしっかりと理解して貿易上のリスクを減らすことが保険戦略です。

マリン保険とノンマリン保険

貿易で関係する保険は「マリン保険」と「ノンマリン保険」の二つに大別されます。それぞれの意味は、以下の通りとなります。

マリン保険

貨物海上保険のことです。日本と外国とを結ぶ船上で発生するリスクをカバーします。(一般的にいう海上保険です。)この保険を申し込む人は、FOB(本船渡し)であれば輸者です。CIFなどであれば、輸者側が海上保険をつけることになります。

関連記事:海上保険とは?

ノンマリン保険

上記の海上保険以外の保険を言います。具体的には「貿易保険、PL保険、FOB保険」の三つの総称を言います。各保険の意味は、以下の通りとなります。

1.貿易保険

輸出した先の会社が倒産などをしてしまい、商品代金や投資したお金が回収不可能になってしまったときに補償される保険です。独立行政法人 日本貿易保険と各損害保険会社などが提供しています。

貿易保険を利用する場合は、相手先の企業が経済産業省の「海外商社名簿」に登録されて、なおかつ、一定以上の格付けが必要になります。そのため、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)の保険を掛ける場合は、民間保険会社が運営する貿易保険よりも厳しい条件がつけられていることになります。なお、海外商社名簿は、NEXIのサイトへ会員登録すると確認ができます。

保険がカバーする部分:商品代金や投資資金の回収が不能になったときに支払われる保険
効果:相手が「信用取引(月末締めの翌月払いなど)」を希望されたときに、それに対応するためのリスクを減らせます。

関連記事:貿易保険とは?

2.PL保険

商品にはPL法(製造物責任法)とよばれる法律が適用されます。これは商品を製造した者や、その商品を輸出入した者に商品事故の責任を取らせる法律です。

例えば、スケートボードの下についている車輪部分が外れてしまい、利用していた人がケガをしたとします。このようなときは「不良な商品」を製造したとして、製造者や輸出入者が責任を取らなければならないことになります。

ここでいう責任とは、金銭的に問題の解決を図ることになります。この損害補償の部分をカバーしているのが「PL保険」です。特にアメリカなどの訴訟大国では、このような法律を基にした「合法的なお金の巻き上げ」が行われやすいです。そういう意味でも必ず付帯しておきたい保険です。

保険がカバーする部分:製造物責任法に基づく賠償などに対する保険
効果:万が一、自社の商品によって消費者がケガをしたときの企業的なリスクを減らせます。(もちろん、安全な商品を作ることは大前提です。)

3.FOB保険

インコタームズ(貿易条件)のFOBは、輸出者が本船への船積みまで責任を持つように規定しています。船積みをするには、工場から港までの陸送しなければなりません。輸送途中に事故などによって貨物が破損してしまっても、それらはすべて輸出者が責任を取ることになります。そこで大切なのが「FOB保険」です。輸出国側の工場から、本船にのせるまでの空白部分をカバーしてくれる保険です。

三井住友海上には「グローバル・サポートワン」と呼ばれる保険があります。輸出国側のA地点から輸入国側のB地点までのすべてをカバーしているため、カバーエリアごとに加入が必要になる保険契約も不要になります。

保険がカバーする部分:輸出国側の工場から、本船に載せるまでの輸送部分のリスク
効果:輸出国側の工場から港までの陸送時に発生する輸送リスクを減らせます。

保険の使い分け

マリン保険、ノンマリン保険の内容をご紹介してきました。それぞれの保険がカバーするものを理解したうえで取捨選択することが大切です。保険契約を考える上では「貿易条件」が大きく関係してきます。既述のFOB契約であれば、必要であれば輸入者側が保険を付けます。インコタームズによると、輸出者側が保険をつけなくても良いことになっているからです。

一方、あなたが輸入者の立場で、相手先の工場で貿易取引を完了する場合(EXW)、相手国の国内輸送時のリスク、相手国と日本との海上輸送のリスク、日本の港から納入先のへの輸送リスクなどをカバーできる保険でなければなりません。つまり、インコタームズ通りに保険手続きを済ませて「保険が適用しない穴」ができないように保険を取捨選択するようにします。

まとめ

多くの場合、貿易上で発生するリスクは、保険によって小さくすることができます。貿易保険には、マリン保険とノンマリン保険の二種類があります。さらにノンマリン保険には、貿易保険、PL保険、FOB保険の三種類があります。それぞれの保険がカバーするエリアをしっかりと理解して、貿易上発生するリスクをなるべく小さくするように努めることが大切です。それが貿易を行う上での保険戦略となります。

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