外国から商品を輸入して日本国内の売り先へ販売する場合、輸入品の引き取り可能日と日本国内販売先への納品日の調整が重要です。この調整をしないと、国内取引先への納期遅れが発生します。
そこで、この記事では、輸入品の国内販売時の納期設定に関するポイントをご紹介します。
国内販売先への輸入品の納期設定
国内の取引先へ輸入商品を届けるときの納期は、次の要素を総合的に考えて設定します。もし、これらを無視して納期の設定をすると、納期遅れが発生する可能性が高いです。
それぞれを詳しく確認していきましょう!
- 本船の到着日(ETA)
- 輸入形態(CYかCFS)
- 搬入
- 税関審査
- 搬出可能時間
1.本船の到着日(ETA)
日本へ本船が到着する日をETAと言います。後ほど説明する「搬入日(船からコンテナをおろす日)」などは、このETAが基準です。そのため、まずは、ETAを調べて本船の入港日を調べてください。ETAがわかると、そこから搬入日、許可日、お客さんへの納品日に予想を立てられます。
参考記事:ETAを調べる三つの方法
2.輸入形態(CYまたはCFS)
貨物を輸入するときの形態は、CY(コンテナ単位)またはCFS(コンテナ未満)です。
コンテナ単位の輸送とは、コンテナを丸ごと一本レンタルして、その中に貨物を運ぶことです。一般的な商業輸入や、一定量以上の貨物を輸入する場合に用いられます。
一方、コンテナ未満は、一本のコンテナの中に複数の荷主の貨物が載せられて輸送されます。いわゆる合積みによる輸送です。
これらの輸入形態の違いによって、3番で説明する搬入日が異なり、それが客先へ納品できる納期の違いです。ちなみに、どちらの輸入形態かは、船荷証券(B/L)を確認すればわかります。
- CY=コンテナ単位での輸入
- CFS=合い積みでの輸入
3.搬入日
搬入日とは、港へ到着した貨物が港や港近くにある倉庫に保管されることです。別称→搬入があがった
搬入日は、2の輸入形態で変わります。コンテナ単位は、ETAの翌日に搬入があがります。コンテナ未満は「ETAの翌々日」です。輸入許可が出される条件は、貨物が搬入されていることが必要です。つまり、輸入形態によって、貨物の搬入日が異なり、それが輸入許可日の違いです。
輸入許可の条件=搬入されていること 輸入形態によってこの搬入日は異なります。許可日が変わり、客先への納品日も変わります。
4.輸入実績(税関審査)
税関は、輸入者の実績によって、簡易審査に留めるのか?、税関検査をするのか?を審査します。もし、輸入実績が豊富な会社なら、税関検査と納期はあまり関係しないです。
しかし、輸入実績が乏しい会社は、税関検査が行われる可能性が高く、検査の内容によっては、輸入許可を受けるにための時間もながくなります。
時期によっては税関検査が一杯であり、税関検査が決定しても、検査の日付を翌日以降にしなければならないこともあります。この場合は、検査の決定時点で、納期遅れが確定します。*いずれの場合も「予備申告(貨物の到着前に税関の書類審査をうける方法)」をしておきます。
貴社の輸入実績が豊富であるなら、税関審査による納期遅れを失敗しなくても良いです。乏しい場合は、税関検査がある前提で納期を設定しましょう。
5.納期を設定するシュミレーション
上記でご紹介をした4つの点を含めて、客先への納期設定を考えてみます。
ケース1.コンテナ単位の輸入+輸入実績豊富な場合
ETA | 予定通り |
輸入形態 | コンテナ単位(CY) |
搬入日 | ETAの翌日 |
輸入実績 | 豊富(区分1) |
上記の条件通りの輸入であれば、ETAから2日後を客先への納期としてご案内しても大丈夫です。余裕を持たせるのであれば、3日後にします。
ケース2.コンテナ単位の輸入+ETA遅れ
ETA | 一日遅れ |
輸入形態 | コンテナ単位(CY) |
搬入日 | ETAの翌日 |
輸入実績 | 豊富(区分1) |
この場合、さらにETAが遅れる可能性を含めてお客さんにご案内することをお勧めします。確実な情報を集めてからお客に案内をするようにしてください。ETA当日に、港のオペレーターなどに電話をして、本船が搬入される予定日を確認することをお勧めします。搬入日がわかったら、その翌日、または翌々日に納期を設定します。
ケース3.コンテナ未満単位の輸入+豊富な実績
ETA | 予定通り |
輸入形態 | コンテナ未満単位(CFS) |
搬入日 | ETAの翌日 |
輸入実績 | 豊富(区分1) |
税関審査が順調に言ったと仮定してETAの2日後に搬入があがり許可にいたります。ETAを基準とした場合、ETAから三日後がお客さんへの納品日です。ただし、このとき配送手段として「混載便」を利用する場合は、許可のタイミングによってはさらに一日後の納品日になる可能性があります。
ケース4.コンテナ単位の輸入+輸入実績が乏しい
ETA | 予定通り |
輸入形態 | コンテナ単位(CY) |
搬入日 | ETAの翌日 |
輸入実績 | 乏しい(区分2または3) |
最後に輸入実績が乏しい場合を想定してみます。この場合は、税関の審査の結果「税関検査」が行われる可能性があります。税関検査が決定されると、次のように輸入手続きが進みます。税関検査場が混んでいる場合とそうでない場合を想定してみます。
税関検査場が混んでいない場合
- ETA日(本船の到着日)
- 一日後、搬入があがります。税関検査検査場の状況により、この日に検査が可能です。何も問題がなければ、輸入許可です。
- 二日後、お客さんの納品先へ貨物をつけることができます。
税関検査場が混んでいる場合
- ETA日(本船の到着日)
- 一日後、搬入があがります。税関検査検査場が混んでいるため、翌日に検査を予約します。
- 二日後、税関検査を受けます。何も問題がなければ、そのまま輸入許可です。
- 三日後、無事に、客先への納品ができます。
まとめ
輸入品の納期を考える場合は、基本的にCYかCFSのどちらのケースを基準としてします。これにイレギュラーとして税関検査などがあると、納期が大きくずれる可能性があります。いずれの場合も納期がずれる可能性があります。その場合を見越して客先への納期を設定することが望ましいです。
CYやCFSの場合の納期設定は、短くしようとすれば、一日分短縮もできます。しかし、納期がずれることを考えると、厳しい設定をすると、自分の首を絞めることもなりかねません。
- CYは、ETAの3日後を設定しておいた方が安全です。
- CFSは、ETAの4日後を設定しておくようにしましょう。
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