輸出するときの価格の決め方 いくらにすれば良い?

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海外向けに販売する商品の価格は、どのように決めればいいのでしょうか? 国内取引で考えた場合「商品の製造原価+自分の利益」になります。いくらで物を作ったのかを考えた上で、自分が欲しい利益をのせるだけですから、比較的に簡単に商品価格を決められます。

では、この商品を海外向けに製造したとすると、その価格はどのようにすればいいのでしょうか。 ぱっと考えただけでも、商品の代金の他、外国へ輸送するための費用が掛かりそうです。また、商品について何らかの税金がかかると思われます。このようなことを考えると、国内販売価格よりも複雑な計算が必要になる気がしますね。

そこでこの記事では、自社の商品を輸出するときの「価格の決め方」についてご紹介していきます。

輸出価格を考えるときのポイント

外国で販売されている商品価格を詳しく調べていくと、販売されるまでには、さまざまな費用がかかっていることがわかります。

例えば、商品を製造するときの費用、それを港へ配送する費用、さらに外国間を輸送する船賃などが考えられます。輸出したときの価格にさまざまな費用が上乗せされた結果が、外国での店頭価格になることがポイントです。これを前提とした上で次の2点について順番に説明していきます。

  1. 輸出国から外国の店頭へ並ぶまでに追加される費用とは?
  2. 輸出価格を決めるときに、影響を与える2つのポイント

まずは、輸出国から外国の店頭へ並ぶまでには、どのような費用が追加されるのかを説明します。

外国商品に含まれている10個の費用

スーパーなど販売されている外国の商品価格には、輸出国側でかかる費用と、輸入国側でかかる費用が含まれています。具体的には、下の1~10の費用があります。主な物としては、商品価格と、物流費用、そして輸出入をサポートする通関費用になります。これらの費用と、輸出者、輸入者、小売店などの利益が含まれた物が最終的な「商品価格」になっています。

この内、商品の販売者(輸出者)が考えるべきことは「下の1~6の部分の合計額(輸出価格)をいくらにするのか?」ということです。川の上流が下流に影響を与えるように、輸出国側の価格戦略が、輸入国側の価格戦略や売れ行きに影響を与えます。そのため、適正な輸出価格を考えるときは、7~10の費用を意識して決めることが大切であるとわかります。

輸出国側(売り手側)でかかる6つの費用

  1. 商品の生産代金
  2. 生産した工場から輸出港までの輸送費用
  3. 通関業者へ支払う輸出通関費用
  4. 輸出港~輸入港への輸送費用
  5. 海上保険金
  6. 生産者の利益

輸入国側(購入者側)でかかる4つの費用

7.輸入地での輸入通関費用
8.輸入港~納品先までの費用
9.輸入者の利益
10.スーパーの利益

■ポイント
川の流れを意識します。上流部分で「川の流れの早さ(価格)」や「水の量(物量)」を変えると、下流に影響を与えます。これと同じです。海外への輸出だからといって、何でも高くすればいいわけではありません。輸出にも適正な価格があり、これを大きく外れる価格設定をしても、そのうち、相手にされなくなります。なぜなら、インターネットの発達により、自分が思っている以上に情報が筒抜けになっているからです。私たちが海外の情報を簡単に取れるように、海外の人も日本の情報を簡単にとれる時代です。特に向こうも商売ですから、本気のリサーチをしてきます。輸出ビジネスに夢を見すぎないことが大切です。魔法の杖のように、国内で売れない物がバンバンと売れる。しかも、いくら高くても売れまくると勘違いをしない方がいいです。

輸出価格の決定に影響を与える2つのポイント

外国商品には、1~10の費用が含まれています。そして、私たち販売者側(輸出側)は、1~6の価格をいくらにするのかを考えます。これが輸出価格を決めることになります。実は、この輸出価格を考えるとき、あわせて次の2つのポイントが大きく関係してきます。「1.貿易条件によって負担する部分が変わる」「2.為替のリスクがある」です。

1.貿易の取引条件によって輸出価格はかわります。

海外との取引をするときは、国際的な商慣習である「インコタームズ」を使います。これは、貿易取引における「輸送費用」や「危険負担」について定義しているルールのことです。国際的に取引をするときは、このインコタームズに定義されているルール通りに行っていきます。

例えば、インコタームズの中には「FOB」があります。この場合、輸出者は輸出国側の本船に乗せるまでの費用と責任を負います。貨物を本船に乗せた以降の日本への輸送費用などは、すべて輸入者側が負担をすることになっています。

では、もう一つの例を見てみましょう。CIFと呼ばれる物もあります。この場合は、輸出者が輸入港へ届けるまでの費用を負担することになります。先ほどは、輸入者が船賃を負担していましたが、CIFの場合は、これが逆になります。このようにインコタームズによって、どちらが船賃などを負担するのかが変わります。

では、先ほど説明した輸出国側で負担するべき費用をもう一度、確認してみます。下に記載している1~6をご覧ください。

この内、4と5の部分に注目します。下の輸出国側が負担するべき費用の中に、海上運賃や海上保険代金が入っていることがわかります。したがって、この場合は、少なくともFOBではなく、CIFなどの取引を前提にしていることがわかります。CIF条件では、外国間の船代金、海上代金は輸出者が負担します。したがって、輸出者が買い手に提示するべき輸出価格は、船の代金と海上保険代金を含めた金額になります。

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もし、下の項目のうち、4番や5番の費用を輸入者側が負担するなら、輸出者であるあなたは「輸出国に停泊している本船に積み込むまで」の費用を負担すればいいことになります。つまり、この場合は、1~3と6番の合計金額が相手側に提示する輸出価格になります。

  1. 商品の生産代金
  2. 生産した工場から輸出港までの輸送費用
  3. 通関業者へ支払う輸出通関費用
  4. 輸出港~輸入港への輸送費用
  5. 海上保険金
  6. 生産者の利益
■ポイント(どちらが船賃などを負担するのか?)
輸出者側から相手側に輸出価格を提示するときは、海上運賃や海上保険がどちらが負担するのかを決めなければなりません。これがインコタームズを決めることになります。もし、輸出者側が船の送料を負担する条件で取引するときは、商品代金+船賃=輸出価格(1~6の合計)になります。一方、輸入者側が船賃などを負担するのであれば、1~3と6の合計費用が輸出価格になります。

2.為替変動リスクを忘れてはいけません。

外国の企業と取引をするときは、外国通貨で決済を行うのが一般的です。ほぼアメリカドルで行うと考えても問題はありません。このとき、一点、困ることがあります。それが「外国為替の変動リスク」です。外国為替とは「1ドル=100円や120円」と交換できるレートのことです。皆さんもご存知の通り、このレートは世界の情勢によって刻一刻と変化していきます。では、次のような事例を考えてみてください。

4月16日の時点で1ドルは100円だとします。このとき、A社は、B社に対して1000ドルの機械を販売する契約をしたとします。契約した4月16日に1000アメリカドルを受け取り、同日中に日本円に変更した場合、1000円×1000ドル=100,000円になります。よって、B社へ行った輸出は、100,000円の売り上げもなりました。では、これとは違うパターンを考えてみます。

4/16日に1000ドルで輸出する契約をしたとします。それから約1カ月たった後に、取引が完了して1000アメリカドルを手にしました。しかし、ここで困ったことがおきました。なんと、一カ月前は1ドルは100円だった為替が、5月16日では1ドルが80円になっています。このレートで日本円へ換算したら、80円×1000ドル=80,000円の売り上げになってしまいました。

先の例では、1000ドルのアメリカドルに対して100,000円の日本円を手に入れることができました。しかし、後者の方は、同じ1000ドルなのに80,000円しか手に入れられません。1000ドルであることは変わりませんが、日本円に切り替えると、受け取る額に大きな違いが出ることがわかります。これを「為替リスク」と言います。この事例からもわかる通り、輸出価格を決めるときは、この為替の変動も含めて考えなければなりません。

関連記事:為替リスクを小さくする方法(為替予約)

■ポイント
外国のお金で決済をするため、常に為替の変動があることを忘れないようにします。契約当初は1000ドルの価格を設定すれば十分な利益が取れていたとしても、為替が変動することによって利益がぐっと少なくなることも多いです。もちろん、この逆で契約当初より利益が増えることもあります。要は為替は常に変動することを前提として、先を見据えた輸出価格を設定することが大切になります。

以上の2つが輸出価格を決めるときのポイントです。それでは、もう一度、ここまでの内容を簡単に復習してみます。

ここまでの小まとめ&輸出価格の参考にできる4倍ルールとは?

外国で販売されている商品の価格には、次の10個の費用が含まれています。このうち、輸出価格に当たるものは1~6です。ただし、この中の4番や5番は、インコタームズと呼ばれる貿易条件によって、どちらが負担するのかが変わります。もし、輸出者側が船賃などを負担するのであれば、1~6の合計が輸出価格になります。一方、輸出者が船賃を負担しないのであれば、1~3と6の合計が輸出価格になります。

  1. 商品の生産代金
  2. 生産した工場から輸出港までの輸送費用
  3. 通関業者へ支払う輸出通関費用
  4. 輸出港~輸入港への輸送費用
  5. 海上保険金
  6. 生産者の利益

輸出価格に含めるべき費用の基本的な部分は上記の通りです。ただし、この説明だけでは、実際の輸出価格を決めるのは難しそうです。そこで、もう少し具体的に輸出価格を決める方法をご紹介します。それは現地の相場から逆算していく方法です。日本側の費用を合計していくのではなく、すでに海外で販売されている価格から逆算していく方法になります。

具体的には、海外で販売されている商品価格から、中間流通などが占める部分を引いていくようにします。すると、平均的な数値として、日本側の出荷金額の4倍~5倍が現地の小売店での販売価格になることがわかります。つまり、現地のスーパーで一個200円でリンゴを販売しようと考えるなら、少なくても日本側の輸出価格を50円より小さくなるようにしないと、海外での販売は難しいとの判断ができます。

まとめ

貿易を川に例えると、上流が輸出国、下流が輸入国です。常に適正な水の量を流さないと、下流側にうまく水が行き渡らなくなります。貿易であるなら、川の流れでいう早さが価格、水が商品の供給数量ということなります。あなたが輸出する商品は、下流に行くまでの間にたくさんの業者が関係します。それら業者の利益が乗ったとしても、現地の小売店などで勝負ができるのかを考えます。

海外だからと言って闇雲に価格を設定するべきでではありません。海外には、日本以外の国からもたくさんの商品が流れています。これらの商品相場と明らかな違いがあるときは、もう少し輸出価格を検討するべきです。仮にMade in Japan製品であったとしても、現地の商品相場より10%~20%程高い価格が心理的な限界と言われています。それよりも高い価格は、もはやプレミアの域です。

どんな商品もこのようなプレミアであればいいのですが、実際はそうはいきません。やはり外国の市場における相場を大切にする必要があります。輸出価格を決める一つとして「現地小売り価格を÷4」する方法があります。もちろん、÷4というのは平均値です。業界や取扱っている商品によってこの数字は異なるため、現地リサーチなどによって、適正な輸出価格はいくらになるのかを調べるようにしましょう。あくまで目安とするだけです。

関連記事:輸出価格調査・便乗輸出マーケティングとスーパーマーケットリサーチ法

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