一時期、輸出貿易管理令のホワイト国(現:い地域①)から韓国を除外することで注目を浴びた「迂回輸出」「迂回貿易」とは、どのような事なのでしょうか?
この記事では、迂回輸出に関する基本的な知識をご紹介していきます。
迂回貿易(迂回輸出)とは?
迂回貿易(輸出)とは、AからB地点に輸出するときに、CやDなど、A、B以外の国を経由させることです。なぜ、迂回輸出をするのでしょうか?
迂回貿易をする目的
迂回貿易をする目的は、次の3つです。当然、全て違法行為なので気を付けましょう!
- 輸出先の国が設定する輸入規制等から逃れる
- 輸出先の国が設定する関税等から逃れる。
- 輸出先の国が設定する貿易管理から逃れる
1.国が設定する輸入規制等から逃れる為
輸出先の国が国が設定する「輸入規制」から逃れる目的があります。
例えば、日本とベトナムの間では、日本の果物をベトナム側に輸出することは難しいです。但し、実際は、日本の果物があります。理由は、ベトナムと香港との検疫条件を悪用し、一度、日本から香港へ輸出し、香港の果物としてベトナムに輸出しているのですね!
2.国が設定する関税等から逃れる為
各国が設定する関税制度から逃れる為に迂回輸出する人もいます。
例えば、日本とベトナムとの間には、EPAがあります。EPAを利用すると、本来、関税がかかる物がゼロになったり、削減されたりします。この仕組みを悪用し、迂回輸出する人がいます。
例えば、日本とベトナムとのEPAを利用する為に、ロシアから日本に輸出。これを日本産品としてベトナムに再輸出するなどです。
3.国が設定する貿易管理から逃れる為
日本を含む多くの国々は、世界の平和を維持する為に武器開発につながる貨物や情報を規制しています。日本では、外為法の下、輸出貿易管理令及び輸入貿易管理令があります。(ワッセナーアレンジメントを批准)
輸出貿易管理令は、輸出先と輸出先のエンドユーザーまで確認します。そのため、仮にエンドユーザー何らかの問題がある場合は、日本からの輸出は許可されません。そこで、悪知恵を働かせて、次のようなことを考えます。
例えば、日本とアメリカの間は、お互いのコントロールができているとのことで、輸出管理を優遇しています。つまり、日本製品であれば、アメリカ側で優遇。アメリカ製品であれば、日本側で優遇などです。迂回輸出する人は、この仕組みを悪用して、一旦、日本などに輸出し、その後、アメリカ等へ輸出しているのです。
その他の国でも、日本の輸出貿易管理令(外為法)に相応する法律があります。各国における同様の制度は「Export Control+国名」と検索をすとわかります。
迂回輸出と輸出貿易管理令2つの関係性
の特徴は、次の2です。
- 非常に広範囲に規制されている。
- 輸出先と輸出先の「先」までチェックされる
1.非常に広範囲に規制されている
輸出貿易管理令は、非常に広範囲に規制されているのが特徴です。
例えば、企業がよく使う測定メーター。これを海外に持ち出して、現地で計測することも場合によっては違反行為です。また、身近な物であれば、スマホに使う「シムカード」、漁船、スクリューなど、生活物質から産業物質まで様々な物が規制の対象です。また、この法律は「知らなかった」では済まされない点も注意が必要です。違反が判明すると「外為法違反企業」として経済産業省に掲載されることがあるからです。
2.輸出先と輸出先の先までチェックされる
もう一つの大きな特徴は、どこの国の誰に輸出するのか? また、その目的は何か?までの部分を含めて審査の対象になる点です。
例えば、ある計測器を輸出するとします。この輸出先は、グループA(旧ホワイト国)だから包括的に輸出許可をする。逆に同じ物を輸出するとしても、それがグループCに属しているから、輸出は許可しない。などの審査がなされます。どうしても包括許可を受けたければ、一般包括以外の包括許可を受ける必要があります。さらに、もう一つチェックされるポイントがあります。それが輸出先の販売先、つまりエンドユーザー(最終消費者)です。
「輸出先(G社とします。)は要件を満たす。ただし、輸出先が販売する先(Z=エンドユーザー)が武器開発の懸念があるから、輸出先Gへの輸出は許可しない」これが輸出貿易管理令の2つめの大きな特徴です。
まとめ
- 輸出貿易管理令とは、世界の平和を守るため武器開発につながる技術や物品の輸出を制限すること
- 管理令の規制を受けないように、第三国を間にいれて輸出することを「迂回輸出」という。
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