中国輸入で使える国際輸送はどれが良い?
中国から日本への輸入で最も一般的な船便輸送。コストは抑えられる反面、航空便と比べて時間がかかり、手続きも複雑です。この記事では、中国から日本へのコンテナ船の輸送日数、海上輸送の基礎から、港別の所要日数、実際の費用、手続きの流れ、コストを圧縮するための具体的な手段を解説していきます。
記事の結論としては….
- ある程度の規模感がある方は、フェリー輸送がコストと迅速性から最適解
- 小規模の方は、航空輸送がおススメ。
- とにかく価格の安さを重視する方は、コンテナ船がおススメ。
中国輸入の国際輸送、効率的な海上輸送を実現する方法
中国から日本への海上輸送(コンテナ船)で必要な日数
中国から日本への所要日数
中国の各港から、日本各地まで輸送するときの日数は、次の通りです。
港 | 東京 | 大阪&名古屋 |
上海 | 7日前後→ フェリーなら3日 | 7日前後 |
深圳 | 12日前後 | 12日前後 |
大連、天津、青島 | 7-11 | 7-11 |
蘇州、船山 | 7日前後 | 7日前後 |
厦門、営口 | 10日前後 | 10日前後 |
広州 | 12日前後 | 12日前後 |
寧波 | 7日前後→ フェリーなら5日 | 7日前後 |
香港 | 14日前後 | 14日前後 |
但し、日本と中国との間には、高速で運航するフェリー船があります。実は、このフェリー船を使用してコンテナ輸送することで、上記の日数よりも短く輸送ができます。

フェリー船は、海上輸送なのに航空輸送級に速いです!
参考:中国(上海)発、第三国向けの所要日数
上海発→全世界
上海/中国 | ニューヨーク/アメリカ | 9~30 |
ロンドン | 30-35 | |
台湾 | 1-3 | |
バンコク | 7-10 | |
ドバイ | 25-30 |
中国輸送のコツ
海上輸送(船便)は、中国から日本への輸入で一般的な輸送手段です。大量の荷物を比較的安価に輸送できる反面、所要日数が長いのが特徴です。ここでいう船便(海上輸送)は、郵便などの小包ではなく、コンテナやLCLなどのお話です。
輸送方法を選ぶときの考え方
中国からの国際輸送費は、輸入原価に占める割合が最も大きいです。中国輸入の利益率は、物流費のコントロール具合によって大きく変わります。
中国のサプライヤーと交渉を重ねていくと、国際輸送は、どちらの手配するのか?と問われるときが来ます。国際輸送は、インコタームズ(貿易条件)とも密接に関係し、
国際輸送の手配方法=インコタームズの選択
の存在です。国際輸送を理解しようとするときは、あわせてインコタームズの理解が必要です。この前提の下、国際輸送には、基本的な考え方があります。
餅は餅屋に任せる!=輸送のプロに任せよう。
餅は餅屋に任せるとの言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。国際輸送における餅屋はフォワーダーです。国際輸送、輸入通関、国内輸送は、フォワーダーに任せるのがおススメです。
物販の目指す所は、日本国内に商品を流通させ販売する所です。その過程にある部分は、できるだけ外部の業者に任せて、ご自身の事業領域に集中することが重要だと考えます。

基本的に国際輸送は、フォワーダに任せよう!
中国からの代表的な輸送手段を覚えよう。
- 海上輸送
- 航空輸送
1.海上輸送
海上輸送は、国際輸送の中心的な存在です。縦横無尽、24時間、飛行機が飛んでいても、国際輸送に占める海上輸送は、圧倒的です。
海上輸送は、重い貨物を。大量に。かつ、価格を安くして運びたいときに利用します。
2.航空輸送
航空輸送は、高単価の貨物を。最短で輸送したいときに利用します。海上輸送と比較して圧倒的に短い時間で輸送できます。欠点は、海上輸送代金と比較して、数十倍の価格差があることです。
- 直行便
- 経由便
- 混載便
- チャーター便
3.フェリー輸送
大阪・神戸と上海を結ぶフェリーなどが存在します。このフェリーを使えば、コンテナ等で輸送するよりも圧倒的に日数を短縮できます。(詳細は後述)
海上輸送と航空輸送の比較表
- 輸送費を安くして大量に運びたい人=海上輸送
- 輸送費が高くても素早く運びたい人=航空輸送
中国からの海上輸送に関する一般知識
- 海上輸送は、FCLとLCLの2種類。
- 輸送コストが航空便の1/5~1/10程度
- 所要日数は通常4日~10日(港により異なる)
- 大量の貨物の輸送に適している
- 天候や港の混雑による遅延リスクがある。
海上輸送のメリット、デメリット
FCLとLCLのメリット、デメリット
海上輸送費用の内訳・計算方法
中国からの輸送費の計算方法は、輸送形態で決まります。
- コンテナ輸送=コンテナ1本分の定額
- LCL輸送=貨物の基準重量による従量制料金
中国フォワーダー選定のポイント
中国からの海上輸送を実現する時に活躍するのがフォワーダーです。詳細は「中国フォワーダーの探し方」をご覧ください。
中国のサプライヤーと輸送の交渉はどうする?
中国のサプライヤー(売り手)とやり取りをするとき、「海上輸送はどうするか?」という話が出てきます。ここでは、その流れをわかりやすく説明します。
交渉はいつする?
→ 基本は、商品を注文する前に「送料の話」もしておきましょう。
アリババなどで商品を探していると、「日本までの送料がよくわからない」ということがよくあります。このときは、以下の2つのパターンで送料を見積もってもらいます。
パターン①:日本の港や住所まで届ける価格を聞く
この場合、売り手側が輸送を手配します。中国のフォワーダー(輸送業者)と提携して、港まで送ってくれます。
ただし、こういった中国側のフォワーダーは、サプライヤーから「紹介手数料(キックバック)」を受け取っている場合があります。料金が高めになることが多いため、注意が必要です。
パターン②:中国の港でこちらが引き取る(FOB)
この方法では、日本側でフォワーダーを選んで輸送を手配します。中国の港(たとえば上海や深圳)で商品を受け取る「FOB」という条件で見積もりをもらいましょう。
さらに工場や倉庫で引き取る場合は「EXW」という条件になります。
伝え方の例:
「こちらで輸送を手配しますので、FOB(またはEXW)の価格で見積もってください」
フォワーダーに伝える内容(見積もり依頼時)
- 日本側のフォワーダーに見積もりを依頼するときは、次の情報を伝えるとスムーズです:
- 荷物の出発地と届け先(港や倉庫など)
- 現地での引き取りが必要かどうか
- インコタームズ(FOBかEXWか)
- 荷物のサイズと重さ(サプライヤーから確認)
- 数量と梱包状態(パッキングリストなど)
- 商品の種類(SKU)
- ラベルの貼り付けが必要かどうか(FBAなど)
海上輸送の見積もり完全ガイド|必要な9情報と費用内訳・見積書の見方
補足:フォワーダーはラベル貼りなども対応可能
フォワーダーは輸送だけでなく、ラベル貼りや書類作成のサポートなどもしてくれます。たとえば、Amazonに納品する商品なら、中国の現地で「FBAラベル」を貼ってもらうなどです。

サプライヤーからの見積もりと、フォワーダーの見積もりを比較して選ぶのがコツです。
5.中国からの海上輸送を最短、最速にする方法
フェリー輸送が最適解です。フェリー輸送には、このような特徴があります!
- 搬入作業、船速が早い。(基本、コンテナのHDS相当が標準)
- スケジュールを読みやすい。
- 航空輸送よりも割安かつ緊急輸送可能
- 現地の工場から港までも安定している。
- 当然、輸入許可まの時間も短く、リードタイムを削減できる。
- 輸送品質が高いため、精密機器の輸送にも利点があり。
- リードタイムが非常に短いため、無駄な在庫を抱えなくてもよい。
- 入港日の当日搬入が可能。1パレットから輸送できるのが良い
コンテナ輸送と比較すると、フェリーは、運賃自体は、高いもの、貨物を素早く輸送できる点や、航空輸送よりも割安な料金体系が決定的な違いです。
- コンテナよりも貨物を早く輸送できる。
- 航空輸送よりも安く輸送できる
- ぎりぎりまで生産ができる。
ギリギリまで貨物を生産できる!とは、本船が出航するギリギリまで商品を製造することです。このぎりぎりまで生産できるポイントがカット日です。
カット日とは、輸出予定の船に貨物を積む混むための期限です。各荷主は、このカット日に間に合うように、輸出商品の準備や書類の準備を終えておく必要があります。コンテナ船とフェリー船は、このカット日が違います。
中国からフェリー輸送の日数例
フェリー、コンテナ、航空輸送の違いと優位性(魅力)
航空輸送 | リードタイム | ●●● |
コスト | ●●●●●●● | |
輸送品質 | ●●● | |
フェリー輸送 | リードタイム | ●●●● |
コスト | ●●●● | |
輸送品質 | ●●●●●●● |
資料の引用元:関光汽船株式会社作成の資料
フェリー船とコンテナ船との比較
フェリー | 比較ポイント | コンテナ |
入港当日 | 搬入日 | 基本は入港日翌日 |
〇 | 定期航路・定期搬送 | △ |
速い | 船速 | 普通 |
少し割高 | 料金 | 大量の物を割安に運ぶ。 |
〇 | 料金のわかりやすさ | 不明確な部分が多い。 |
フェリー?航空便?コンテナ船?の基準例
- 一回の輸送が100KG~×最速で輸送したいなら航空便
- 一回の輸送が100KG~×ある程度の速度で良いならコンテナ船
- 一回の輸送が100KG~超えた場合×航空機並みの速さを求めるならフェリー船
6.輸送コストを減らすには?
「どうすれば輸送費を安くできるのか?」これは簡単なようで、実はとても奥が深い問題です。ただ、基本的な考え方はあります。以下の6つを意識してみましょう。
1.輸送と商品の買い付けは分けて考える
輸送は輸送のプロに、仕入れは仕入れのプロに任せた方がコストを抑えやすいです。サプライヤーにすべて任せると、不要な手数料が加わることがあります。
2.フォワーダーと長く付き合う
輸送業者(フォワーダー)とは、単発ではなく長く付き合うのがおすすめです。信頼関係ができると、料金や対応が良くなることが多いです。
3.複数のフォワーダーと関係を作る
メインの業者1社に加えて、予備で2社ほどお付き合いしておくと安心です。船が混んでいるときなど、緊急対応がしやすくなります。
4.コンテナのスペースを無駄なく使う
コンテナの料金は、荷物を多く詰めても変わりません。できるだけたくさん詰めると、1個あたりの送料が安くなります。ただし、雑に詰めて壊れると本末転倒なので注意しましょう。
5.不良品を減らす
到着した荷物に不良品が多いと、それを処理するコストがかかります。品質を安定させることも、輸送コストを抑える大切なポイントです。
6.保税倉庫を使ってみる
日本に着いた荷物は、すぐに輸入申告(=税金発生)しなくても、保税倉庫で一時保管ができます。売れた分だけあとから輸入手続きをすることで、無駄な税金を減らせます。
その他、CIF価格からFOBに切り替えて、輸送コストの透明化をはかることも重要です。自社の中国輸送の最適化を図りたい方は、学習コース>>CIFで損していませんか?をご覧ください。