個人輸入(海外通販)をしたときに、本来、納めるべき関税よりも多く支払っていることがあります。この場合、その処分があった日の翌日から3か月以内に「再調査の請求(不服申し立て)」ができます。この請求により、輸入時に徴収されすぎた関税と、それを基にして計算している消費税の一部が還付される可能性があります。そこで、この記事では、税関に対して行う「再調査の請求」を詳しくご紹介していきます。
再調査の請求
個人輸入(海外通販)をすると、時々、本来の関税よりも多く徴収されることがあります。
「自分では2000円と計算していた。でも、商品が届いたら5000円も徴収されていた」
このようなケースです。本来よりも関税が高く感じる理由は…
- そもそも自分が関税の仕組みを間違えていた。
- 課税側の人為的なミスにより発生
の2つが考えられます。一つ目の関税の仕組みを間違えは自己責任として、2つめの課税側のミスにより、多く徴収されているのは問題です。
例えば、郵便であれば、税関外郵出張所にて、税関職員により課税処理されます。その後、各地へと配送されていきます。一方、フェデックスやDHLなどの民間輸送便は、フェデックスやDHLの職員が税関に対して、申告をした後、必要な関税や消費税を納めた上で配送しています。同じ個人輸入であっても、利用する輸送方法によって、関税の課税や徴収までの流れが違います。
ただし、共通して言えることは、いずれの輸入方法も、人が課税処理をしているため、必ず一定の率で、人為的なミスが起きる点です。つまり、本来、納めるべき税金よりも多く徴収されていたり、少なかったりする可能性が十分に考えられます。もし、個人輸入のときに、自分が考えていた関税よりも明らかに高いと感じるときは、徴収ミスが起きている可能性があります。
そこで、今回は「課税ミスかも!?」と感じたときに行う「再調査の請求」をご紹介していきます。なお、個人輸入の関税に関する仕組みをゼロから学びたいときは「知識ゼロからの個人輸入入門」をご覧ください。
再調査の請求とは?
再調査の請求とは、税関が決定した関税額などに不服があるときに、税関長または、財務大臣に対して、異議を唱えられる仕組みです。
「関税額が自分の計算額と合わないから、もう一度、再調査をしてほしい」と伝えることですね。
実は、少し前まで、この再調査の請求を「異議申し立て」と言っていました。しかし、平成28年の4月1日から名称が「再調査の請求」となり、請求できる期間も3か月になりました。再調査の請求ができる期間は、税関長の処分の通知を受けた日(輸入許可の日)の翌日から3か月です。この期間内に申請をして税金が過大であると認められると、関税は還付されます。
また、これは参考程度ですが、仮にこの再調査の請求に対する回答について、なお不服があるときは、財務大臣に対して「審査請求」ができます。さらに、この審査請求に対しても不服があるときは、最終的には、裁判所に訴えを起こすこともできます。つまり、以下の流れに沿って、上級の行政庁に異議を伝えるイメージです。
ステージ | 申立先 | 請求できる期間 |
1 | 処分(課税)を行った税関長 または、財務大臣 ここで不服ならステージ2へ | 処分を知った日から3か月間 |
2 | 財務大臣 ここで不服ならステージ3へ | 処分を知った日から1か月間 |
3 | 裁判所 |
:(関税法第89条~第93条、行政不服審査法第18条、第54条、行政事件訴訟法第14条)
「国際郵便」再調査の請求をする方法
では、実際、再調査の請求をするときは、どのようにおこなうのでしょうか? 再調査の請求は、一次的に配送会社に伝えます。その後、必要に応じて税関へ連絡をします。なお、関税に不服があるときは「一旦、受け取り拒否」することが重要です。
- 「自分で計算した関税額よりも多いから、税関に対して再調査の請求をしたい」と郵便局員に伝える
- 1の上で、税関に連絡して欲しいといわれたときは、各地にある「税関外郵便出張所」に連絡する。
例えば、東京周辺に住んでいる人であれば、東京外郵便出張所か川崎外郵出張所です。名古屋や大阪であれば、中部外郵出張所や大阪外郵出張所が連絡先です。その他の地域は、こちらの外郵出張所一覧のどこの官署で通関された後、各地へ配送されていきます。この辺りは、郵便局員に聞いてください。
また、戸口へ配達された時に(配達員から関税や消費税を請求)明らかに関税額がおかしいことがわかったら、その場では荷物を受け取らず、一旦、持ち帰ってもらいます。配送員に関税などを支払わないことがポイントです。その上で、税関に対して「C-7000」の用紙を使い「再調査の請求」をしましょう!
DHLの関税問い合わせ
FEDEXの関税問い合わせ
再調査の請求で使う「C-7000」
税関に対して再調査の請求をするときは、税関付属の「C-7000用紙」を使います。必要事項を記入して、なるべく早く税関に提出します。また、この用紙の他、税関に対して関税の計算が間違っている!と主張する根拠を示す書類なども必要です。
一般商業輸入の申し立ては?
一般商業輸入における申し立ても可能です。
例えば….
- 過少申告加算税に納得できない
- 無申告加算や重加算税に納得できない。
- 関税分類の決定に納得ができない。
- ○○を輸入しようとして不許可とされた。けれど、納得できない。
- 関税評価の見解に納得ができない。
などがあります。税関が処分した内容に対して納得ができない点を「再調査」してもらう仕組みだと考えましょう!ちなみに、一般商業輸入の場合は、まずは取引をしている通関業者。その後、税関等に相談をした後に行うことをお勧めいたします。
まとめ
- 個人輸入したときに関税が多いときは、税関に不服を申し立てられます。
- 税関への不服は「再調査の請求」という制度を使います。
- 実際に再調査の請求をするときは、C-7000用紙を使います。
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