輸入食品の安全性 自由貿易(FTA)時代に知るべきこと

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TPPや日欧EPAなど、外国との貿易を活発にする自由貿易が次々と締結されています。自由貿易により加盟国間の関税等が撤廃されて、経済交流が活発になる。その末、経済発展を目指すのがFTA(EPA)の目的です。2019年1月現在、日本は、TPPを含めて16のEPAを結んでいます。来月2月1日からは、日欧EPAもスタートするため、いよいよ大自由貿易時代に突入します。

さて、そんな自由貿易で気になるのが食の安全です。実は、自由貿易による効果として関税の他に、さまざまな輸入障壁の撤廃もなされます。(非関税障壁)

例えば、医療、サービス分野、検疫制度の基準などが該当します。この内、検疫制度の緩和などには、食の基準、植物の基準などが含まれます。

仮のお話として、日本がEPA(FTA)に規定されいる以上の安全性を設定すると、他国産品に対して非関税障壁を設けているとして、加盟国企業などから「ISDS条項」に基づき訴えられる可能性があります。つまり、食の安全基準なども、よくも悪くもグローバルスタンダードな基準で判断されていくのです。今後は、自らの力により、正しい情報を収集し、判断するのが重要です。

そこで、この記事では、輸入食品の違反実情をご紹介していきます。

■この記事の結論

  • 輸入食品に対する検疫は、ほぼザル状態。
  • 検疫所の職員数の不足により、ほぼそのまま流通していると考えてよい。
  • この記事でご紹介している違反は「ほんの一部」に過ぎない。(たまたま見つかっただけ)
  • 例えるなら、降りしきる雨の中、一粒の雨粒を手に取り、安全性を判断していることと等しい。
  • 輸入食品は危険と考え、少しでも「危険性が低い物を選ぶ」のが賢明

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輸入食品の実情

毎日、コンテナなどによって、大量の外国産の食品が入ってきます。これらの輸入食品は、本当に検査をされているのでしょうか? 輸入食品の検疫を担当する食品検疫所のデータと、私の実体験から考える、輸入食品の実情をご紹介していきます。

結論から申し上げると、輸入食品の安全性は、守られていません。日本への輸入時における輸入食品検査は、ザル中のザルであり、ほぼ危険なものがそのまま日本国内へと流通しています。なぜ、このような状態になっているのでしょうか? それは、2つの大きな問題が関係しています。

輸入食品における2つの問題点

  1. 職員が足りていない。
  2. 検査率(検査方法)

1.職員が足りていない

輸入検疫を担当する食品検疫所の職員が全く足りていない現状があります。日本には、毎日、大量の食品が輸入されてきますが、それらの検査を担当する職員は、北の北海道から南の沖縄までは、たった数百人しかいない状況です。この少ない職員数によって、貨物の物量に対して輸入検査が追い付いていません。ほぼ書類審査が主となり、検査は、かなり少ない。=ザル状態です。

2.検査率(検査方法)

職員数の不足に加えて、輸入検査の方法にも問題があります。輸入食品の検査は、強制的な検査の他、モニタリング、自主検査などがあります。ただ、これらの検査は、輸入の都度、全量に対して行われるわけではありません。一度、輸入実績ができると、二回目以降は、一回目の実績を基準にして、輸入の可否を判断しています。(書類審査のみ、検査不要)

例えば、10日に一回の割合で1トンほどのジャガイモを輸入しているとしましょう。初めて輸入したときに、ジャガイモに対する輸入検査をしました。検査の対象は、1トンのジャガイモに対して、ほんのわずかな量です。検査の結果、輸入基準に適合していると確認できた場合、1トン全体のジャガイモは、輸入食品基準に適合しているとして、輸入許可に至ります。

つまり、検査サンプルとして100キロのジャガイモをとった。それらのジャガイモが安全であった=残りの900キロのジャガイモも安全であると、判断しているのです。また、それだけではなく、このときの検査の結果は、二回目以降のジャガイモの輸入にも適用することができます。

  • 輸入する量のごく一部を取り出し、安全と判断する。
  • 一部の取り出しによる検査結果が二回目以降の輸入にも適用される。

よって、一回目のジャガイモの輸入時に違反していない=二回目のジャガイモの輸入時も安全である

このような考え方を基本として運用されているため、危険な輸入食品も、ほぼノー検査で通過しています。まぁ、毎日、膨大な数の食品が輸入されてくる中、そもそも、全量を輸入検査するのは不可能であることは誰でもわかりますね。これをまとめると…..

・輸入食品は、ほぼノーチェックで輸入されている。
・輸入食品の安全性は、輸出国側の食品安全基準に依存している。
・輸出者または輸入者の倫理観に期待している。

であり、輸入食品は危険であるという前提に立つことが重要です。

輸入食品の違反の実情 年間600件越えの違反

では、実際の数値として、どれほどの違反件数が出ているのでしょうか? 食品検疫所が発表するデータによると、平成30年4月~平成31年1月の間に、発見に至っているだけで、およそ600件の違反がありました。(56カ国からの産品)この内、中国産食品とアメリカ産食品の違反件数だけで、43%を占めます。違反件数の内訳は、次の表の通りです。

*発見に至っている件数が600件です。何度も申し上げる通り、これは氷山の一角の一角の一角です。実際は、数字として出てこないものがたくさんあることを覚えていきましょう。

国別違反件数

国別の違反件数の一覧です。一位の中国が圧倒的です。食品から食器まであらゆる分野から衛生違反が発見されています。(この表は、各国別の輸入数量を算出していないため、全体に占める違反割合はわかりません。)違反件数だけを見れば、中国、アメリカ、ベトナム、タイ、イタリアなどの順に多いです。

ソース:厚生労働省(食品検疫所)/平成30年4月~平成31年1月

国名 違反件数 国名 違反件数
中国 148 ニュー・ジーランド 3
アメリカ 112 香港 3
ベトナム 39 ロシア 3
タイ 37 アルゼンチン 2
イタリア 35 ネパール 2
フランス 22 ペルー 2
韓国 22 ミャンマー 2
ガーナ 19 メキシコ 2
フィリピン 19 モロッコ 2
台湾 16 ウズベキスタン 1
エクアドル 11 ケニア 1
インドネシア 10 コートジボワール 1
インド 9 コロンビア 1
パキスタン 9 スイス 1
スペイン 8 スーダン 1
イラン 7 スリランカ 1
オーストラリア 6 タンザニア 1
ブラジル 6 ノルウェー 1
ベネズエラ 6 パラグァイ 1
マレーシア 6 パレスチナ(ヨルダン川西岸及びガザ) 1
トルコ 5 ハンガリ- 1
ブルガリア 5 フィンランド 1
南アフリカ 5 ベルギー 1
イギリス 4 ホンジュラス 1
カナダ 4 モーリシャス 1
チリ 4 ラオス 1
ドイツ 4 ルーマニア 1
エチオピア 3 合計 600件

違反内容の詳細

上記の違反事例の内容は、次の通りです。アフラトキシン(カビの一種)、大腸菌に関する違反が群を抜いて多いです。

違反内容 件数 違反内容 件数
アフラトキシン(カビ) 126 健康を損なうおそれのない量を超えて残留 フェンバレレート(殺虫剤) 3
成分規格不適合 大腸菌群 陽性 78 サルモネラ属菌 3
E. coli 陽性(大腸菌) 41 シアン化合物(焼き入れなどに使用) 3
細菌数 37 使用基準不適合 イマザリル(殺菌、防カビ) 3
異臭、腐敗、変敗及びカビの発生 30 成分規格不適合 クロラムフェニコール(抗生物質) 3
健康を損なうおそれのない量を超えて残留 2,4-D(除草剤の一種) 21 沈殿物又は固形の異物 3
パツリン(カビ) 16 細菌試験 陽性 3
材質別規格不適合
乳等の容器包装の規格不適合
蒸発残留物 16 マンガン 3
使用基準不適合 ピロ亜硫酸カリウム(漂白剤) 14 有毒魚 シガテラ毒魚 3
成分規格不適合 pH(水素イオン指数) 12 健康を損なうおそれのない量を超えて残留 チアメトキサム(殺虫剤) 2
フィプロニル(殺虫薬) 12 プロシミドン(農薬) 2
使用基準不適合 亜硝酸ナトリウム(発色剤) 11 使用基準不適合 亜硫酸ナトリウム(発色剤) 2
指定外添加物 サイクラミン酸(人工甘味料) 9 安息香酸ナトリウム(飲料水の保存料) 2
成分規格不適合 クロルピリホス(農薬などに使用) 8 食用赤色40号、食用黄色5号、着色料=対象外使用 2
チアメトキサム(殺虫剤) 8 ソルビン酸(保存料) 2
健康を損なうおそれのない量を超えて残留 プロメトリン(海産物の多い) 7 指定外添加物 パテントブルーⅤ(リキュールなどに多い) 2
一般規格不適合 エンロフロキサシン(犬・猫用の注射剤) 7 使用基準不適合 サッカリンナトリウム(人工甘味料) 2
指定外添加物 TBHQ(酸化防止剤) 6 指定外添加物 キノリンイエロー 2
健康を損なうおそれのない量を超えて残留 ハロキシホップ(農薬) 5 成分規格不適合 ホルムアルデヒド(清涼飲料水に多い) 2
使用基準不適合 酢酸エチル(エチルアセテート) 5 細菌試験 2
三二酸化鉄(赤色発色用) 5 純度試験(塩化物) 2
二酸化硫黄(酸化防止) 5 放射性物質 2
成分規格不適合 イミダクロプリド(殺虫剤) 5  認めている着色料以外を使用 4
フラゾリドン(抗菌剤) 5 食品衛生法第9条第2項に規定する衛生証明書の不添付 4
保存基準不適合(常温で保存) 4

上位5カ国違反事例の詳細

上位5カ国における代表的な違反産品と、違反内容は、次の通りです。

  1. 中国
  2. アメリカ
  3. ベトナム
  4. タイ
  5. イタリア

1.中国

圧倒的な数の違反事例があります。中国の場合、日本に入ってくる物量が圧倒的に多いため、食品から食品器具まで広い分野に違反があります。食品器具(プラスチック製の容器など)といえば、百円均一などでたくさん販売されています。今一度、この事実をしっかりと受け止めたほうがよさそうです。

L-グルタミン スッポンの肝臓 ポリ塩化ビニル製パッキン 煮込穴子スライス
合鴨スモークロース にんにくの芽 豆類の調整品 焼き鳥
あさり さやえんどう 水煮 さといも
いか類 そば メラミン樹脂を主成分とするもの しょうが
いったピーナッツ たこ唐揚げ 焼き鳥 たまねぎ
うずら串フライ たまねぎ ヤリイカ玉子 にんにくの茎
えだまめ チョコレート 安息香酸 パセリ
えのき とうがらし 飲食器具 赤ピーマン
えび類 ナツメグ 液状スープ類 大粒落花生
おくら 二枚貝 殻付きアサリ 炭酸水素ナトリウム
お好み焼き はぜフライ 活あさり 着色料製剤
かきフライ バターピーナッツ 釜煮込真穴子チップ 漬け物
殻付きあさり 火鍋調味料 乾燥生姜 豆類調整品
殻付あさり ブロッコリー 干豆腐 剥き栗
カロニン抽出エキス ボイル殻付あさり 菊の花 白焼きうなぎ
乾燥あおさ ほうれんそう 魚肉ねり製品 白身タルタルフライ
コハク酸二ナトリウム ホウロウ引き製 鶏もも肉のトマト煮 白身魚フライ
ささみカツ ポリカーボネート製 穴子八幡巻 米飯類
しそ ポリスチレン製 五香豆腐干 棒餃子
白身魚フライ ポリプロピレン製 菜の花 有色明太フレーク
冷凍ニンニクペースト 冷凍 いか類 冷凍カリフラワー 冷凍 まぐろ
冷凍ゆでだこ 冷凍刻み油揚げ 冷凍たまねぎ

■主な違反内容

・アフラトキシン
・大腸菌群 陽性

・成分規格不適合(チアメトキサム、チアクロプリド、クロルピリホス、アトラジン、E. coli )
・指定外添加物(サイクラミン酸、TBHQ)
・材質別規格不適合(カドミウム)

2.アメリカ

中国の次に多いのがアメリカです。アメリカは、乾燥系のナッツ類、清涼飲料水、冷凍ベーグルなどに違反が多いです。

乾燥いちじく 粉末清涼飲料:EnerLift
乾燥なつめやし 粉末清涼飲料:SISELRIPT
小麦 冷凍ベーグル
生鮮ラズベリー 冷凍牛肉:テール

■違反内容

・シアン化合物
・アフラトキシン
・アミド化ペクチン
・使用禁止=亜硝酸ナトリウム
・異臭・腐敗・カビ
・過量=ピロ亜硫酸ナトリウム
・使用禁止=サイクラミン酸
・大腸菌群 陽性
・保存基準不適合(常温で保存)

3.ベトナム

ベトナムは、魚介類です。特にエビ系は、過度な養殖により、様々な意味で危険だといわれています。元々、水質自体もキレイではない上、さらに、養殖による大量の薬品の使用が非常に危険性を高めています。

えびフライ マヒマヒカツ チョコレート 小海老フライ
えび類 ミックスナッツ なまず 生鮮ドラゴンフルーツ
えび天ぷら むきえび バナメイ海老 粉末ココア
えび類 冷凍ゆでだこ 姫高野巻 冷凍 いか類
かわはぎ 冷凍養殖むきえび ベトナム産バナメイえび串 冷凍フクロダケ
スープ 原材料用果汁 マグロカツ 冷凍フルーツミックス
マグロ粉付き 炙り金目鯛フィレ

■主な違反内容

・一般規格不適合(エンロフロキサシン)
・成分規格不適合(大腸菌群、細菌数、フラゾリドン、E. coli)
・アフラトキシン

4.タイ

タイは、ナッツ類、米や果実関係、エビなどに違反が多いです。ベトナムよりも加工された食品にも違反事例が見つかっている点に注目です。

いったピーナッツ もち精米 醤油 銀鮭焼きハラス
ミックスナッツ 飲食器具 清涼飲料水 野菜の調整品
うるち精米 アジフライ 金目鯛フィレー ホットソース
シロップ漬け えびカツ 生食用冷凍鮮魚介類 マンゴー
塩あじえだ豆) えびフライ 半発酵茶 果実の調整品
果汁入り飲料 えびワンタン えび類 原料用果汁
チリソース ローストレッグ バナメイボイルムキエビ 蒸し鶏

■主な違反内容

・アフラトキシン
・カビの発生、異臭
・成分規格不適合(E. coli、大腸菌)
・製造基準不適合(殺菌不十分)

5.イタリア

イメージにより「イタリア食品は安全」と、考えている方も多いかと思います。しかし、イタリア産の食品も、違反件数が5番目に多いです。特にリキュール系や高度に加工された食品を中心として違反が多いことがわかります。上記5つの中では、最も加工食品の違反が多い点が特徴です。

リキュール類 非加熱食肉製品
ブランデー 乾燥食肉製品
ミネラルウォーター(COURMAYEUR) いったカフェインレスコーヒー豆(M. LA DECAFFEINATO SACC. )
いったカフェインレスコーヒー豆 チョコレート類
アイスミルク(TIRAMISU) ブランデー(GRAPPA BAROLO INVECCHIATA)
乾燥食肉製品(LONZINO STAGIONATO) ピスタチオナッツペースト
ミネラルウォーター チョコレート

■主な違反内容

・メタノール
・使用基準不適合(酢酸エチル、三二酸化鉄、ピロ亜硫酸カリウム)
・指定外添加物(パテントブルーⅤ検出)
・成分規格不適合(E.coli、水分活性、細菌数、水分活性、大腸菌)

上記、5カ国の違反事例をご覧いただきました。やはり、中国産の食品=何かしらの問題がある可能性が高いと、考えたほうが良さそうです。ただし、輸入食品の安全性は、先進国であっても安全とは言えないです。あまり国のイメージで判断せず、しっかりと実情を把握して、取捨選択するつことが重要です。

危険な輸入食品から少しでも遠ざかるためのポイント

日本で流通している食品は、国内外問わず、決して安全性が高い食べ物とは言えません。これは事実であり、どんな方でも薄々感じられているはずです。つまり、輸入食品であるかを問わず、自分は、どこまでを受け入れられるのか?を考えます。もし、輸入食品をすべて排除するなら、この日本で生きていくことはほぼ不可能です。

高級なフレンチレストランであっても、輸入食品または輸入調味料が紛れていることは十分にあります。もちろん、高級な和食のお店であってもです。輸入食品から完全に逃げ切ることは不可能であると認識した上で、少しでも危険な輸入食品を取り入れないようにするのがポイントです。

例えば、なるべく危険な輸入食品を食べたくないのであれば、外食は避けること。さらに、どのような輸入違反事例が見つかっているのかを把握することもできます。輸入違反事例のデータは、厚生労働省のサイトの中に掲載されています。このデータには、違反した食品の種類、産出国、メーカー、原因、輸入者などのすべてのデータが記載されています。これらを適宜、確認することをお勧めします。

もし、普段行くスーパーなどで、異常に安く輸入食品が販売されているときは、何かしらの問題が発見されて、少しでも早く在庫を吐き出したいという思惑があるかもしれません。一昔前、ブラジル産の鶏肉から薬品が発見されたときがいい例です。当時、かなり大きな単位でブラジル産の鶏肉が投げ売りされていたことを覚えています。

これからの事実を踏まえると、大貿易時代に向けて、一人ひとりが正しい情報により、判断をすることが何よりも重要だと言えます。

まとめ

  • 輸入食品は危険と考えても問題はない。
  • 危険の前提に立ち、自分がどこまでを受け入れられるかを考える。
  • 違反事例を知ることで、多くの輸入食品から少しでも危険性がすくない物を選択できる。
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