輸入した商品は、どのように保管すればいいのでしょうか? すぐに思いつくのは、自社倉庫での保管です。この場合、倉庫スペースと人件費が必要です。EC等などのスタートアップには、自社倉庫での管理は何かと厳しいです。
そこで、お勧めするのが他社倉庫です。2021年現在、FBA、オープンロジなどの倉庫・出荷サービスが充実しています。その他、ワイン等の食料品を保管できる倉庫まであります。
この記事では、輸入品を保管する倉庫の種類と保管料金の計算方法を説明していきます。
輸入品を保管する倉庫
輸入品は、ある程度の在庫を抱えるビジネスです。となると、在庫を保管し、適切なタイミングで出荷する倉庫が必要です。ここで輸入品の「倉庫の種類」について簡単に確認しておきましょう。
輸入品を保管する倉庫の種類
輸入品を保管する倉庫には、大きく分けて次の2つがあります。
- 保税倉庫
- 一般倉庫
1.保税倉庫とは?
保税倉庫とは、税関の輸入許可を受ける前の状態の貨物を保管する所です。関税法では「外国貨物」の扱いであり、税関長が許可した倉庫「保税蔵置場」でしか保管できません。保税とは、関税や消費税が納税される前であるため、厳しい管理下に置かれています。
ちなみに、保税倉庫で貨物を保管する場合は「様々なメリット」があります。この内の一つが日本国内の売れ行きに合わせた輸入販売ができることです。(国内在庫の調整弁)その他、保税状態で転売をする「保税転売」も大きな魅力です。
なお、保税倉庫は、税関の保税蔵置場一覧のリンクから探せます。また、保税状態での倉庫保管料金に対する消費税は非課税です。
輸入するとかかる関税や消費税の支払いを必要最小にし、過剰在庫にかかる税金分の資金が眠らないようにする効果があります。
2.一般倉庫とは?
一般倉庫とは、税関長から輸入許可を受けた後の貨物を保管する倉庫です。「倉庫に保管する」と聞いてすぐに思い浮かぶのがこの一般倉庫です。
例えば、FBA、オープンロジなどが有名です。その他、各港近くにいる通関業者、混載事業者なども輸入許可後の倉庫保管などを提供しています。
小規模事業者の輸入品保管に便利な倉庫
輸入食品の倉庫例
ワインの倉庫例
もし、アマゾンやECサイトの活用など、比較的、扱う物量が少ないときは、アマゾンの倉庫で保管ができる「アマゾンマルチチャネル」が便利です。わずかな倉庫代を支払うだけで、アマゾンの最新倉庫内で自社の商品管理ができます。しかも、保管できる商品は、アマゾンで販売する商品だけでなく、楽天市場、自社サイトなど、アマゾン以外で販売する商品も保管ができます。
ある一定の規模以下のときは、FBAやオープンロジの活用で十分です。ちなみに、アマゾンの倉庫は、アマゾン販売をしていなくても使えます。
港近くの倉庫を使用する方法
しかし、一回の物量が40フィート単位となると、前途の自社倉庫での保管か、日本各地の港近くにある倉庫などを利用すると良い可能性がでてきます。一度、港等の近くにある倉庫を探してみましょう。
検索例:「東京港 倉庫 安い」など
なお、一般倉庫に商品を入れる場合は、次の流れをたどります。
- 輸入許可を取る。
- 関税や消費税は、通関業者などの立替又はリアルタイム口座で支払う。
- コンテナの場合は、港近くの倉庫へ移動する。
- 倉庫でデバンをする(貨物を取り出す作業)
- 取り出した貨物を入庫する
- 以降、荷主の指示により、決められた量を搬出する
この1~5の流れにより、倉庫で貨物を管理します。港近くにある倉庫では、貨物の保管と合わせて、様々な付帯サービスも提供しています。
例えば、貨物の検品サービス、リパックサービス、ラベル貼りなどがあります。いわゆる輸入した商品を日本国内で販売するための簡易な加工作業などです。中には、これら検品等のサービスを提供した後、アマゾンのFBAへ納品してくれる所もあります。
倉庫保管料の内訳
倉庫によっても多少の違いがありますが、倉庫を使用する上での料金は、次の物があります。
- デバン代金
- 倉庫入庫料
- 倉庫出庫料
- 保管料金
- トラック積み込み代金など
代金とは、コンテナ単位で運ばれてきた商品をコンテナから取り出す料金です。デバン代以外にかかる費用としては、貨物を倉庫へ入れる「入庫料」、指定期間保管するときの「保管料金」、保管した商品を出庫する「出庫料金」、出庫した商品をトラックに詰め込む「トラック積み込み代」などがあります。基本的に作業ごとにお金が発生すると考えた方が良いです。
倉庫の契約形態は2つ 保管料の計算方法
倉庫を借りるときの契約形態は、次の2つです。
- 寄託契約(きたく契約)
- 賃貸借契約(ちんたいしゃく契約)
寄託契約とは、倉庫のスペースを借りて、在庫の管理、出庫、入庫などの作業を含む契約です。イメージする「倉庫」の形です。一方、賃貸借契約とは、倉庫のスペースのみを借りる契約です。「○○㎡いくら~」と、倉庫のスペースのみを借りて、在庫管理などは、すべて荷主側がします。
それぞれを詳しく見ていきましょう!
1.寄託契約
寄託契約にもいくつかの種類があります。違いは「何を課金の対象にするのか?」です。大きく分けると、次の5つです。
料金が決まる要素 | 意味 |
1.個数 | 商品が同じときに、一個いくら~と個数を基準にして料金を計算します。 |
2.容積 | 商品の容積(縦×横×高さ)を基準にして料金を決めます。 例:縦50CM×横60CM×高さ50CM それが100個 1㎥=2000円のときは…… 0.5×0.6×0.5×10=1.5㎥(3000円) |
3.面積 | 保管に使用する面積を基準とします。 |
4.パレット | パレットの上に貨物を置く条件の下、パレット数により料金を決めます。 |
5.重量 | 1kgあたり○○円~など、重量を基準に価格を決めます。 |
6.期間 | 一か月を3期(10日ごと)に分けて、期ごとの在庫数により料金を決めます。私が倉庫を利用していたときも、この期間による料金の算出がされていました。保管期間の例:1~10、11~20、21~末 この期間による保管料金は、少し特殊な数え方をします。 |
期間を基準とする倉庫料金の計算方法
一か月を三期にわけて料金を計算式は、次の通りです。
前期末保管料材料数+当期の入庫数×保管料
「前期末」とは、各期の末日を示します。
例えば、11~20日の期間の前期末日は、10日。21~月末であれば、20日が前期の末日です。この計算方法により算出したのが以下の表です。
日付 | 在庫数 | 入庫/出庫 | 請求額 | |
前期 | 500 | |||
一期 | 5月1日 | 100 | 入庫 | |
5月6日 | 50 | 入庫 | ||
5月10日 | 60 | 出庫 | (500+150)×一個の単価 | |
二期 | 5月11日 | 100 | 入庫 | |
5月15日 | 200 | 出庫 | ||
5月19日 | 150 | 入庫 | ||
5月20日 | 40 | 出庫 | (590+250)×一個の単価 | |
三期 | 5月21日 | 200 | 入庫 | |
5月31日 | 50 | 入庫 | (600+200)×一個の単価 |
例えば、一期の請求金額は、前期の残り在庫数500と、一期の間に入庫した100と50を合計した物に、一個当たりの単価をかけます。これで、その期における倉庫代金が決まります。
2.保管場所を貸すだけの契約
次に保管場所を貸すだけの契約です。荷主は、まさに「場所」のみを借りる契約であり、倉庫に商品チェック、出荷などを頼むことはできません。すべて自身が行う必要がある契約形態です。この契約の場合、貨物が使用する面積または、容積を基準にして料金を決めることが多いです。
例えば、貨物の容積を基準にするのであれば、各貨物の大きさをメートル換算にして○○㎥にします。その後、倉庫が提示する㎥あたりの単価をかけると、支払うべき料金が決まります。
まとめ
- 輸入した商品の管理方法を考えましょう。
- 自分の商品=自社倉庫が必要とは考えてはいけません。
- アマゾンの倉庫、または港近くにある倉庫での保管を検討しましょう
- 倉庫料金は、重量、個数、容積、期間などが料金計算の基準です。