「海外から種子を輸入して、日本国内で販売したい!」とお考えですか? この場合、植物防疫法の輸入検疫をクリアする必要があります。
そこで、この記事では、海外から種を輸入して販売するために必要な手続き、関税率、輸入規制、仕入れサイト、輸入検疫の調べ方などをご紹介していきます。なお、この記事と合わせて植物の輸入ビジネスマニュアルもご覧ください。
国際郵便で植物を輸入する方法
海外の種販売サイトを見ると様々な物が売られています。日本では見ることができない種も多く、これを日本に輸入して販売したいと考える方も多いでしょう。ただし、海外販売サイトの中には「大●に関する種」もあり、日本に輸入禁止の物も紛れているため注意が必要です。
また、合法的な種であっても、日本に輸入するときには、植物検疫があります。この検疫に合格しない限り、輸入はできないです。
輸入規制と関連法規
まずは種の輸入規制をご紹介します。種は、植物ですから、植物防疫法で規制されます。これは、個人輸入、商売輸入に関わらず、植物類を輸入するときの全てに関係します。
次に、気を付けるべき点は「ワシントン条約」です。これは、絶滅の危機にある種の保存をする条約であり、革製品などの他、サボテンなどの植物(種子)にも関係します。この規制に当てはまっていないかを確認します。
- 植物防疫法
- ワシントン条約(cites)
種の輸入を検討する場合は、上記2つの規制をクリアできるかを確認しましょう!
HSコードと関税率
種類の輸入は、HSコードが1209前後、関税率はWTO協定で無税です。したがって関税は発生せず、輸入額に応じて消費税が発生します。(関税率法14条の無条件免税に該当する場合は免税)
手続き方法/輸入の流れ
では、実際に「輸入できる種子であるか?」を確認する方法をご紹介していきます。
植物防疫法上、問題がないかを確認する方法
最もキモになるポイントは、植物防疫上、輸入禁止の種子でないことであるため、まずは、この確認をします。植物防疫法の規制は「植物の輸入条件データベース」で調べられます。
輸出先の国(ショップ所在地)を選ぶ、輸入する植物を入力。その後、部位の部分を「種子」にします。下の画像の場合は「中国からひまわりの種子を輸入するときの条件」です。
ひまわりの中にもいくつかの種類があります。いわゆる「学名」と呼ばれる所です。この部分がわからない場合は、ショップに問い合わせをしましょう。
参考文:「Could you tell me the scientific name of this item number (花の名前)?」
適切な学名を選ぶと、下の画面が表示されます。このひまわりは「通常の検査で持ち込みができる」と表示されているため、輸出国側の検疫証明書を手に入れられれば、日本に輸入ができます。
上記方法により、植物防疫法上、問題がないことが確認できました。
ワシントン条約上、問題がないかを確認する方法
次にワシントン条約上、問題がないかを確認します。ワシントン条約は、主に動物と植物をリストにして、種別ごとに輸入規制を定めています。種子の場合であれば、サボテン類が規制にかかりやすいです。詳細な調べ方は「ワシントン条約入門」の記事をご覧ください。
相談と申請先
上記2つの観点から、種子の輸出入の可否を判断できます。ただし、すべてをご自身で判断するのも危険です。そこで、次に管轄行政庁に相談をしてみます。
- 植物防疫法→各地の植物検疫所
- ワシントン条約→貿易経済協力局 貿易管理部 貿易審査課 野生動植物貿易審査室
植物検疫の場合は、輸出と輸入、国内検疫など、様々な問い合わせ先があります。適切な所に電話をしないとたらいまわしにされます。また、ワシントン条約の相談は経済産業省で対応していますが、あまり対応はよくない場合が多いです。
もし、聞きづらい等のときは、各地の税関に相談をすることをお勧めします。
申請に必要な書類
一般的な種子の輸入であれば…
- 植物防疫法上→ 通常検査でも持ち込める
- ワシントン条約→ 該当しない。
この2つの条件をクリアすれば、輸入はできます。そして、一つ目の「通常検査でも持ち込む」場合に必要な書類とは、輸出国側の「検査証明書/植物検疫書/Phytosanitary Certificate」です。具体的には、現地の購入先に依頼をして取得しもらい、それを日本に輸送してもらいます。
→海外発送対応のショップに依頼をして、追加の費用を支払い、検疫証明書を取得してもらう。
輸入した物を販売するには?
輸入後、その種子を国内販売する場合は、次の法律が関係する可能性があります。
- 種苗法
- 育成者権
- 食品衛生法
例えば、種子の輸入といっても、その目的は様々です。種子を「食べる目的」で輸入する場合は、食品衛生法が関係します。
仕入れサイト(輸入サイト)
アメリカ、EUなどには、たくさんの種子販売サイトがあります。実際に、これらのショップを使う場合は、海外発送に対応しているのか? また、その費用は別にいくらかかるのか?などを確認します。多くの場合、検疫証明書の取得費用が取られます。
ショップ名 | URL | |
一般 | rareplants.eu | http://www.rareplants.de/shop/ |
Magic Garden Seed | https://www.magicgardenseeds.com/ | |
PLANT WORLD SEEDS | https://www.plant-world-seeds.com/ | |
HOMEGROWN CANNABIS CO | https://homegrowncannabisco.com/ | |
多肉植物 | SuccSeed | http://succseed.com/ |
CactusStore | https://www.cactusstore.com/category_90/ALL-PLANTS-INDEX.htm | |
CactusPlaza | https://www.cactusplaza.com/product-category/seeds/succulent-seeds | |
Koehres | https://www.kaktus-koehres.de/shop/ | |
野菜 | BURPEE | https://www.burpee.com/ |
HARRIS | https://www.harrisseeds.com/ | |
PARK SEED | https://parkseed.com/ |
みんなが気になってる?種子
検索キーワードから、次の種に興味があることがわかります。参考情報として紹介します。
- 多肉
- 野菜
- エケベリア
- サボテン
- ハオルチア
- パキポディウム
- パパイヤ
- リトープス
- 花の種
海外に発送するには?
最後に種子を輸出(海外発送する場合)する場合をご紹介します。海外発送する場合は、輸出先ごとに条件があり、それに従います。農林水産省の植物の輸出ガイドは、主に「植物」が対象となっており、種子を確認できないです。
アメリカの規制を見ても、パッケージ要件などが細かく決まっているため、安易に考えず、しっかりと、植物検疫所に確認したほうが良さそうです。
参考情報:国際郵便で受け取る場合はどうなる?
国際郵便を使えば、ダンボール一つから輸入ができる上、植物防疫法を含めて、通関処理を自動的にしてくるためです。ただし、国際郵便を使って輸入するときであっても、次に示す4つののポイントを守る必要があります。
- 輸入禁止の植物ではないこと
- 輸出国で発行される検疫証明書を用意すること
- 小包としてパッキングされていること」
- 外装に適切なラベルをはりつけること」
この1~4を守ることが大切です。1番と2番は、すでに説明をした通りです。輸入禁止になっていないことやワシントン条約に該当しないことが条件です。国際郵便で輸入する場合は、それらの条件の他、次の2つを守るようにします。
3.小包としてパッキングされていること
国際郵便物として植物を輸入するときは、必ず小包などとして「単体」かつ「密閉されていること」が条件です。これは、国内へ病害虫を混入させない目的を考えるとわかります。また、この病害虫の侵入を防ぐため、土がついている植物は、一切輸入できないことも理解しておく必要があります。
4.外装に適切なラベルを貼り付けること
植物を入れている小包の外装には「植物在中」や「植物検疫対象品」などと、大きな字でハッキリわかるように記載します。この部分が書かれていないと、検査が後回しにされやすくなり、結果的に通関処理が遅くなります。=配達されるまでの日数が延びてしまいます。
以上の4つが国際郵便で植物を輸入するときのポイントです。ただし、実は一見すると、植物防疫の対象であるかの商品であっても、対象外になる物がいくつかあります。代表的な物としては「コーヒー」「乾燥フルーツ」「編んだ木製品」などがあります。いずれの貨物も植物であることは間違いありませんが、何らの加工がされているため、植物防疫法の対象外です。
関連記事:輸入できないときのリスクを考えていますか?積戻しと滅却処分
まとめ
何となく海外から植物を輸入することは難しいように感じます。しかし、一つずつ手続きを進めていけば、特に困ることは少ないはずです。最大のポイントは、輸入可能な植物を調べること、そして、輸出国で発行される植物検疫書を入手することです。この2つのポインができれば、比較的簡単に、誰でも植物の輸入はできます。
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