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商標権侵害貨物(偽ブランド物)を輸入すると、どうなる?

海外のネットショップから、コピー商品を輸入すると、どのような問題があるのでしょうか? コピー品であるため、何らかの問題がありそうですね。ただ、そうは言いつつ、あえてコピー品を購入する方も多いかと思います。

この記事は、偽物品の輸入(商標権侵害貨物)ときに考えるべきポイントをご紹介します。



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知的財産権と輸入の関係

世の中には、アイディアを「権利」として補償して、お金で支払う仕組みがあります。「知的財産権」です。著作権、商標権、意匠権などの言葉がありますが、簡単に考えれば「アイディア料」です。知的財産権とは、アイディア料を正当に受ける権利です。

では、この知的財産権と輸入は、どう関係するのでしょうか?

知的侵害貨物を輸入するときの取り扱い

税関は、関税法の基準に従い輸入の可否を判断します。この関税法の中で、知的財産権を侵害している貨物の取り扱い方法を定めています。

具体的には、関税法69条-2および11には、知的財産権を侵害する物品の輸入と、輸入したときの罪が記載されています。

第百九条 第六十九条の十一第一項第一号から第六号まで(輸入してはならない貨物)に掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 第六十九条の十一第一項第七号から第十号までに掲げる貨物を輸入した者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 前二項の犯罪の実行に着手してこれを遂げない者についても、これらの項の例による。
4 第一項の罪を犯す目的をもつてその予備をした者は、五年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
5 第二項の罪を犯す目的をもつてその予備をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用元:税関サイト

一言で表現すれば、次の通りです。ただし、権利を侵害しているのかは「業務用として輸入しているのか?」で変わります。

10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金

こんなときは注意!商標権が問題になるとき

知的財産権を侵害する貨物の輸入は禁止されています。

では、輸入時に知的財産権が問題になるのは、どのような場合でしょうか? ポイントはその輸入が商売目的で行われているのか?にあります。

2022年10月1日より、個人使用目的を含めて、商標権の侵害貨物は輸入禁止です。詳細:税関ページ

 

例えば、有名ブランドの模造バックを輸入したとします。これを購入した上で自分で楽しむだけなら、個人使用目的です。一方、これを何らかの方法により日本国内で販売すると、商売目的での輸入です。

コピー商品を商売目的で輸入したのか? が重要なポイントです。

コピー商品でも、商売目的で輸入する場合は、商標権を侵害する貨物の扱いとなり、日本に輸入はできません。輸入できるどころか、全量破棄や滅却命令を受けます。

例えば、中国の工場で生産した商品に、有名キャラクターが描かれている場合、中国の生産工場が、ブランドを所有する会社と正規契約を結んでいるのか?がチェックされます。

もし、生産工場がライセンスを所有しないまま製造していれば、日本ではコピー商品扱いです。そして、このコピー商品を「業」として輸入すると、商標権侵害貨物です。その他、知的財産の輸入差し止め例は、次の税関ページでも確認ができます。


知的財産権 輸入

リンク先:知的侵害貨物の申し立て状況

知的財産権 輸入

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知的財産権(商標権など)を侵害すると、どうなるの?


税関から「知的財産権を侵害している」と、疑義がもたれた場合の流れを確認していきましょう!

認定手続き後、すべて没収の上、破棄される

税関から「権利侵害貨物ではないのか?」と疑義がかけられると「認定手続き開始の通知書」が発送されます。税関からこの紙が届いたら、何らいかの商品に疑義がかけられています。

認定手続きとは、ブランドの権利を所有している人と、商品を購入(輸入)する人の双方から話を聞いて「本当に真正品の貨物であるのか?」を税関が判断する手続きです。認定通知書が来たとしても、何らかの罪で罰せられるわけではありません。むしろ、個人使用目的で輸入することをしっかりと伝えます。

認定手続き=税関が双方の話を聞いて、貨物の真正品を判断することです。

この認定手続きの結果、権利侵害貨物だと判断されると、輸入者は、全量破棄などのいくつかの選択肢から選びます。権利侵害貨物が発見された後の流れは、次の通りです。

  1. 税関検査
  2. 知的侵害兼貨物を発見
  3. 認定手続きの開始
  4. 双方に通知する。(貨物を輸入する人とブランド所有者)
  5. それぞれの立場の者が証拠を税関に提出する。税関は書類をもとに判断。およそ一か月間

その結果、

  • 非該当認定(権利侵害していない)→輸入許可
  • 侵害該当認定(権利侵害している)→輸入不許可

権利侵害として認定された物は、不服申し立てができる三か月の期間が経過後、税関により処分されます。

輸入者の対処方法

では、認定手続き開始の決定を受けた輸入者には、どのような対処方法があるのでしょうか? 認定手続きで争う他、次の4つの対処法があります。

  1. 認定手続きで正当性を主張
  2. 廃棄、積戻し、輸入同意書の取得、切除

一つ目の認定手続きで主張するのは、すでに説明した通りです。税関に自分が輸入する正当性を示すいくつかの資料を添付して主張します。問題は、2つめの破棄や積戻しです。これらの言葉の意味は、それぞれ次の通りです。

破棄

輸入予定の商品を捨てることです。もちろん、破棄することになったとしても、すべての責任と費用は輸入者が持ちます。

積戻し

積戻しとは、輸入予定の貨物を輸出国へ差し戻すことです。

例えば、アメリカのZ社から届いた貨物は、そのZ社に対して商品を返品することです。ただし、返品とは、受けたった荷物を返す意味があるため、厳密にいうと、積戻しとは違います。積戻しは、あなたの元へ一切、貨物が届かないまま、港や空港で輸出国に向けて商品を差し戻します。

輸入同意書の取得

輸入同意書とは、そのブランドの知的財産を所有している人から「輸入することを認める旨」の同意を取り付けることです。

切除

切除とは、知的財産を侵害する部分を切除して輸入することです。

例えば、ブランド物のバッグがあるとします。このバッグに、ブランドを示すロゴなどがあれば、その部分をハサミなどで切り落とし、知的財産権を侵害している部分をすべて切除します。切除したことが確認されたら、税関は、輸入の許可を出します。

以上、知的財産権を侵害している貨物を輸入するときに注意するべきポイントでした。

まとめ

  • 知的財産の侵害物を輸入は禁止されています。
  • 商標権を侵害しているのかは、それを「ビジネス目的で輸入するのか?」によります。
  • 知的財産侵害貨物であると疑われると認定手続きに入ります。
  • 税関は、認定手続きで輸入者と権利者双方の意見を聞き、輸入貨物の取り扱いを決定します。
  • この結果、知的財産権侵害貨物であると判断されると、破棄、滅却、積戻しなどの対応を迫られます。
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