日本と中国の貿易では、円・米ドル・人民元など複数の通貨が使われています。
中国と貿易をする際、どの通貨を選ぶべきでしょうか?
最新の財務省貿易統計データを基に初心者にもわかりやすく解説します。取引を始める前に、決済通貨の基礎知識をしっかり押さえましょう。
最新データで見る!日中貿易で使われる主な決済通貨
日中貿易で使われる主な通貨
日中貿易では主に3つの通貨が使用されています。それぞれの通貨の特徴は次の通りです。中国輸入の経験しかない方は、米ドルや人民元が一般的です。しかし、実は、日本から中国への輸出は円貨で行われるのが一般的です。その比率は、なんと50%です。
それぞれの決済通貨の特徴は、次の通りです。
- 円貨決済
- 米ドル決済
- 人民元決済
円(日本円)
- 日本企業にとって最も有利な通貨
- 為替変動の影響を受けない。
- 国内での経理処理が簡単です。
米ドル
- 国際取引の標準的な通貨
- 世界中で広く使用されている(どの国との貿易でも使われる)
- 流動性や換金性、信用性が高い。
人民元
- 中国の現地通貨(基軸通貨ではない)
- 近年、国際取引での使用が増加している(グローバルサウス)
- 中国企業との直接取引をしたい企業には便利
日本から中国への輸出時の通貨事情
日本から中国への輸出では、円建て(47.4%)と米ドル建て(41.3%)が主流です。近年は、人民元建て(10.9%)も徐々に増えています。
各通貨の利用状況
- 円建て取引が最も多い理由は、日本企業側の為替リスクを軽減できるため
- 米ドル建ては国際取引の標準として広く受け入れられている
- 人民元建ては中国企業との直接取引を望む場合に選択される
日本の企業が中国から輸入するときの通貨事情
輸入時は、米ドル建て取引が70.7%と圧倒的多数を占めています。中国通販サイトで購入する人は、人民元で決済する人が多いと思います。しかし、一般的な中国輸入実務では、米ドル建てで取引する方が多いです。
通貨別の特徴
- 米ドル建て(70.7%):人民元でも日本円でもない通貨で中立性がある。
- 円建て(20.0%):日本側企業にとって有利
- 人民元建て(8.4%):中国企業にとって有利
決済通貨を選ぶときのポイント
取引で使う通貨の選択は、とても大切です。適切な通貨を選ぶことで、安定した取引を続けられます。以下の3つのポイントから、自社に合った通貨を選びましょう!
- 取引先との関係性
- 為替リスクへの対応
- 銀行での手続き
取引先との関係
良い取引関係を築くためにお互いが使いやすい通貨を選びましょう!
取引における立場の影響(立場が強い方が有利)
一般的に、取引上の立場が強い方が決済通貨を指定することが多いです。
例えば、大手メーカーが部品を購入する場合、メーカー側が希望する通貨での取引となりやすいです。また、自社にしかないオリジナル性が高い商品などの取引をする場合は「為替リスクを負わない」との立場で取引を進めることも多いです。
例:日本からの輸出(重要部品)
取引先の希望する通貨について
- 新しく取引を始めるときは、まず取引先が普段、使っている通貨を確認しましょう。
- 取引先の希望に沿うことで、スムーズな取引開始ができます。
- ただし、取引先に合わせすぎるのは不可です。
取引の継続性を考える
- 1回だけの取引なのか?、長く続ける取引なのか?で、選ぶ通貨が違います。
- 長く取引を続ける予定なら、両社にとって無理のない通貨を選びましょう!
- 将来的に取引量が増える可能性がある場合は、その点も考慮します。
価格との関係
- 取引する量や商品の種類によって、通貨を選ぶ際の交渉の余地が変わります。
- 同じ業界の他社がどんな通貨を使っているかも参考にできます。
為替リスクへの対応
為替レートの変動で損をしないように、しっかり検討することが大切です。
自社で対応できるリスクを知る
- 為替レートが変動したとき、どのくらいまでなら会社が耐えられるかで考えます
- 取引金額が大きいときは、特に慎重に考えます。
- 最初は少額から始めて、徐々に取引額を増やしていきます。
為替リスクから身を守る方法
- 為替予約で、将来の為替レートを固定できます。
- 銀行に相談して、自社に合った対策を見つけましょう
- 特に小規模事業者にとって信用金庫は助かる存在です。
コストの管理方法
- 為替の変動で、予定より費用が増えることがある。
- 取引価格に少し余裕を持たせておくことも重要
- 定期的に収支を確認して、必要に応じて使う通貨を見直す。
銀行での手続き
実際の取引に必要な手続きについても、事前に確認しておきましょう。
銀行口座の開設
- 新しい通貨で取引を始める場合、その通貨用の口座が必要になることがある。
- 口座を開くために必要な書類や時間も確認しておきましょう
手数料を確認する
- お金を送るときの手数料は、通貨によって違う。
- 円を外国通貨に替えるときの手数料も考慮する。
- 毎月の取引なら、1年間でかかる手数料の総額も計算する。
決済にかかる日数
- お金の受け渡しに必要な日数は、通貨によっても違う。
- 土日祝日や、各国の営業時間の違いも影響する。
よくある質問と回答
為替リスクとは何ですか?
為替レートの変動により、想定していた取引金額が変わるリスクです。例えば、米ドル建ての取引で、円安が進むと支払額が増加します。
貿易と為替の関係 利益や差損を生む経済指標との関係も含めて解説!
どの通貨が最も安全ですか?
一般的に、自社の主要な通貨(日本企業の場合は円)での取引が最も安全です。ただし、取引条件全体を考慮して判断が必要です。
取引先と通貨について相談するコツは?
取引開始時に、双方にとってメリットのある通貨を選択しましょう。価格や数量などの取引条件と合わせて総合的に交渉します。
まとめ
- 日本からの輸出取引では、円建て取引が多い。
- 日本への輸入取引では、ドル建て取引が多い。
- 取引量が増えたら、他の通貨の活用を検討する。
- 定期的に為替動向をチェックすることが重要
- 必要な場合は、為替予約をしよう!
取引を始める前のチェックポイント
- 取引先の希望する通貨は何か?
- 自社で為替リスクを管理できるか?
- 銀行での手続きに問題はないか
これらの基礎知識を踏まえた上で、自社に最適な決済通貨を選択してください。不安な点がある場合は、取引銀行や専門家に相談することをお勧めします。
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