国際取引はウィーン条約(CISG)が重要!加盟国はどこ?民法は?

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国際取引をするときに心配なことは、万が一、相手との間でトラブルになったときに、どちらの国の法律が適用されるのか?ということですね。日本国内であれば、日本の法律に従って処理されるため、それほど心配することはありません。しかし、これが例えば、ブラジルに所属する企業との間のトラブルであると、どのように処理されるのか心配です。

実は、このように国境をまたぐ取引をするときに適用される「ウィーン売買条約」という国際規約があります。ウィーン条約は、貿易など、国際間の物品取引をするときに、契約や損害賠償などの基本的な原則をまとめた規約のことです。よくある勘違いとして、輸出者と輸入者が結ぶ個別の売買契約を想像する方も多いかと思いますが、それとは別のお話です。

そこで、この記事は、ウィーン条約の概要と、ウィーン条約が適用されるケースとされないケース、さらに日本の民法などとの兼ね合いをご紹介していきます。

国際取引の大元!ウィーン条約とは?

ウィーン条約は、1988年頃に誕生した国際条約です。正式名は「国際物品売買契約に関する国際連合条約(United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods」と言います。この英語名の頭文字をとって、別名「CISG」などとも言います。

ウィーン条約の概要

ウィーン条約は、全101条から構成される世界条約です。この条約があることにより、輸出入の売買契約のなどをするときに、大枠のルールが決まっているため、何かと安心です。イメージでいうと、国際取引の大枠部分をウィーン条約に従い、それよりも細かくて、個別具体的な部分を売買契約書で補うようなイメージです。

ポイント:ウィーン条約で国際取引の大枠を決める。ウィーン条約で規定されていない細かい部分を個別売買契約で取り決める。

ウィーン条約の加盟国は?

ウィーン売買条約を締結している国に所属する企業同士であれば、仮に何も売買契約等を結んでいなかったとしても、ウィーン条約を基本として、ある一定のルールに縛られます。では、私たち日本企業と取引が多い国は、どれほど、ウィーン条約に加盟しているのでしょうか?

ジェトロさんの情報によると、2017年現在、ウィーン条約の加盟国は、日本を含めて88カ国といわれています。88カ国と聞くと、とても多い気がしますが、WTO(世界貿易機関)の加盟数から考えると、およそ半分であるため、個人的には、意外と少ない印象があります。ただ、日本と貿易取引が多い主要国は、すべてウィーン条約に入っているため、貿易取引=ウィーン条約が適用されると考えても問題はないと思います。

下の表をご覧ください。こちらがウィーン条約に加盟している国々です。アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イタリア、フランスなど、主要な国々は、すべてウィーン条約に加盟しています。*主要国の内、加盟していないのは、イギリスくらいです。

アルゼンチンオーストラリアチリカナダニュージーランド
中華人民共和国オーストリアクロアチアギニアリトアニア
エジプトフィンランドチェコスロバキア)オランダポーランド
フランスメキシコドイツ(西ドイツ)ルーマニアシンガポール
イタリアノルウェーイラクセルビアベルギー
レソトスウェーデンロシアチェコウズベキスタン
シリアベラルーシスロベニアエクアドルラトビア
アメリカ合衆国デンマークスペインスロバキアルクセンブルク
ユーゴスラビアドイツ民主共和国スイスウガンダブルンジ
ザンビアブルガリアウクライナエストニアモンゴル
イスラエルパラグアイボスニアキューバキルギス
大韓民国日本コロンビアグルジアモーリタニア
キプロスリベリアアイスランドモルドバペルー
ガボンモンテネグロセントビンセントホンジュラスウルグアイ
エルサルバドル

ウィーン条約が適用されるケース

ウィーン条約を締結している国に所属する企業の取引であれば、特に何かの取り決めをすることなくウィーン条約が適用されます。ただし、必ずしもすべての取引でウィーン条約が適用されるわけではないため注意が必要です。実は、ウィーン条約が適用されるには、次の2つの条件を満たす必要があります。

  1. ウィーン条約は、売主と買主の営業所が異なる国にあるときに適用されます=国内取引は不可
  2. 適用される対象の取引は物品取引のみです。=サービスなどは適用不可

これら2つの条件をどちらも満たすときに、ウィーン条約が適用されます。

仮にウィーン条約が適用されるときは、当事国の国内法よりも優先されます。そのため、場合によっては、ウィーン条約を適用したくないときもあるかと思います。この場合、買い手と売り手の両方が「ウィーン条約を適用しないこと」に同意をすれば、ウィーン条約の適用を除外できるとされています。

下の表をご覧ください。こちらは、売り手と買い手が所属する国がCISG(ウィーン条約)に入っているのかによって、当事者間の取引では、どのような扱いになるのかを説明したものです。

基本的に、ウィーン条約が適用されるのは、ウィーン売買条約に加盟している国同士の取引となります。ただし、ケースによっては、ウィーン条約の加盟国と非加盟国の間柄であっても、ウィーン条約が適用されることがあります。

売り手の営業所がある国買い手の営業所がある国ウィーン売買条約(CISG)
CISGに入っているCISGに入っている
CISGに入っているCISGに入っていない
CISGに入っていないCISGに入っていない×

ウィーン条約の適用が除外されるケース

ウィーン条約は、物品を売買するときに適用されます。しかし、どんな物品売買であっても適用されるのかというと、そうではありません。次の4つのケースでは、ウィーン条約が適用されません。

  1. 消費者との物品売買契約
  2. 船舶・航空機の契約
  3. 電気の売買契約
  4. サービスの契約

おそらく2~4の部分は、一般企業ではあまり関係がないと思います。これらの中で大きく関係するのが「消費者との物品売買契約」です。消費者との物品売契約の「消費者」とは、一般的な最終カスタマーを指します。つまり、ビジネスモデルでいうと「B TO C」、国際通販など「業者 → 一般個人」の取引を指します。

海外にいる一般消費者などに販売をされている方は、ウィーン条約が適用されないため、何らかのトラブルにあったときは、どのように対処するのかをあらかじめ考えておきます。この辺りは、ジェトロさんなどに相談すると、色々と教えていいただけます。

ポイント:ウィーン条約は、業者間取引のときに適用されます!

ウィーン条約と民法・商法の関係

ここまでの説明でウィーン条約の概要をご理解いただけたかと思います。最後にウィーン条約と日本国内法などの関係を説明していきます。

日本には、民法や商法という民事的なトラブルを避けるためのルールがあります。これらの日本国内法と、ウィーン条約はどのような関係性になるのでしょうか?

結論を申し上げると、基本的にはウィーン条約が優先されて適用されることになります。ただし、CISGに適用されていない分野(例:売買契約の効力や所有権移転についてのお話)などは、日本の民法と商法が適用されることになっています。

以上、ウィーン条約の概要、加盟国と適用されるケース例の説明でした。

まとめ

  • ウィーン条約は、国際物品取引をするときに大元になるルール
  • 日本を含めて世界の88カ国がウィーン条約に締結しています。
  • ウィーン条約で決められていない個別・具体的な事項を売買契約書に記載します。
  • ウィーン条約が適用される条件は、業者間の取引のみです。
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