貿易の「一問一答コーナー」、今回は、アルカリイオン電池/バッテリーの輸入に関するトラブルです。
■質問内容
中国上海よりアルカリイオンボタン電池を使用した商品を輸入する
のですが、先日試作5個を●●●で日本に送ろうとしましたが通関検査ではねられてしまいま した。アルカリイオンボタン電池は危険物ではないので引っ掛からないと 思っていたのですがなぜでしょう。 MSDSは添付しませんでしたので検査時にアルカリイオンボタン 電池かどうかがわからず引っ掛かったのでしょうか。 MSDSがあれば大丈夫なのでしょうか。また今後は例えば陸路で香港までもっていき香港から出荷しようと 思いますが、香港からは大丈夫ですか?ご連絡いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。 引用元:株式会社K・K様の質問
結論:事実関係を整理し、原因を特定しましょう! 香港から出荷すればいいのか〜など、表面的な解決策を求めるのではなく、問題だと考えられる箇所を切り分けて検証します。
例えば、ゆで卵を作ろうとして失敗したとします。この場合の原因には、次の物があります。
- 温度が高すぎた。
- 卵が古すぎた。
- 早く上げすぎた。
- 急に火力を大きくしすぎた。
などです。同じ失敗にも、それに至る原因は様々です。今回のケースであれば、アルカリイオン電池の輸送で引っかかったという「結果」に対して、原因の可能性となる部分の整理ができていないです。関係企業から理由を聞いたり、考えられる要因部分を一つ一つ潰していきましょう!
結局、関係諸機関に質問することが最善の解決方法だと思います!
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アルカリイオン電池/バッテリーの輸入(輸送)トラブル
専門家からの回答
今回は、中国物流の専門企業、フレートマンロジックス株式会社の山田氏の回答をお届けいたします。
ここから先は、山田氏の回答内容です。===↓↓
お問い合わせの内容は、発生した事実と要因が混在していると見受けられます。
- 上海税関が輸出申告時に止めたのか?
- ●●●(民間の輸送会社)が運送の受託を拒否したのか?
税関の要因
税関が止めたのであれば、アルカリイオンボタン電池が問題ではなく、試作品の商品そのものが規制の対象であった、書類の不備やShipperに問題があったと推察いたします。
民間輸送会社の要因
バッテリーに対して規制を設けているのは、運送会社であり、ここではクーリエの●●●、または輸送受託をしている親会社の航空会社が、バッテリーの輸送を厳格に規制していると察します。仮に、●●●が受託を拒否したのであれば、民間企業なので理由をお尋ねすればよいでしょう。
上海の輸出通関検査では止められた要因が、アルカリイオンボタン電池が内蔵しているためであったならば、要因を取り除き、アルカリイオンボタン電池を内蔵しない状態で、同じ試作品を輸出してみれば、結果が判明すると察します。
MSDSが裏目にでる?
SDS(=MSDS)を用意していれば、電池の種類は明確ですが、あらゆるバッテリーの輸送に対して敏感になっている運送会社を刺激します。正攻法ではありますが、何らかの理由付けをして、受託拒否に繋がる可能性があることも、考慮された方がよいでしょう。
貨物輸送条件鑑定書のサンプル
余談ですが、リチウムイオンバッテリーや、リチウムイオンバッテリー内蔵商品の場合には、貨物運送条件鑑定書(Certification for Safe Transport of Chemical Goods)を要します。海上、航空、陸送など輸送方法によって、取得すべき貨物運送条件鑑定書の種類が異なります。
昨今、上海の物流現場において、バッテリー関連の事故が複数回発生したと言われています。国際ルール上は輸送できる商品であっても、船会社や航空会社の自主規制が厳格化されてきています。特に、上海を寄港する船会社は、バッテリーの種類を問わず、バッテリー単体の輸送は受けない傾向が強いです。同時に、バッテリー内蔵商品についても、とても敏感に反応します。
ここまでが山田氏の回答内容です。===↑↑
HUNADEの見解
ここからは、山田氏の回答を拝見したHUNADEの追記です。
私が今回の質問を拝見したときの印象は、主語や状況が不鮮明でよくわらからない。この一言につきます。質問をする方は、自らのことであるため、状況を完全に把握しています。
しかし、第三者には、その状況は不明です。質問者様は、この事実を理解していただき、質問に答える側のことを考えていただけると助かります。
→中国上海よりアルカリイオンボタン電池を使用した商品を輸入するのですが、先日試作5個を●●●で日本に送ろうとしましたが通関検査ではねられてしまいました。
例えば、上記の文章です。この文章を見たときに、こんな疑問を感じました。
- アルカリイオン電池→アルカリイオン電池の単体なのか?内蔵なのか?
- 質問者の立場は? 輸入者として?
- ●●●(輸送会社)→ 航空輸送なの? 海上輸送なの?
- 通関検査ではねられた→ 中国税関の? それとも日本税関の?
- 結局、結果は、どうなったのか?
最大の疑問は、誰から、どういう通知を受けているのか?です。 こういうことがすべて不明確になので、回答する側としても非常に答えづらいです。山田氏は、今回の回答を通して3つのポイントをご指摘されています。
- 誰の指示による結果(留められた)なのか?
- 考えられる原因を一つ一つ消していく。
- 正攻法が裏目にでることもある。
まず重要なことは、税関と国際輸送の部分は、全く別である点です。
例えば、上海税関、日本税関等の公的な機関の指示による留置ならば、何らかの法律に違反する物。政治的な意図により規制する物。国際規約による物、輸出申告に必要な書類の不備等の観点で貨物をチェックします。
一方、国際輸送の部分(輸送会社)は、あくまで貨物を安全に輸送できるのか? 他の荷主の貨物に危害を与える物ではないのか?の観点から検討される物です。両者は、違う観点で貨物を捉えていることを覚えておきましょう!
この点、山田氏は、原因が不明なら直接、輸送業者に理由を聞くか、問題だと考えられる部分を一つ一つ検証していくしかないとおっしゃっています。
例えば、ゆで卵の例なら。。。
- 温度が高すぎた。
- 卵が古すぎた。
- 早く上げすぎた。
- 急に火力を大きくしすぎた。
上記の4つの内、1番の温度部分の条件だけを変えて、2〜4を同じ条件にする。それにより、ゆで卵を作れたなら、1番に問題があったと考えられる。これと同じでの税関の原因では?と予想する物を取り除いても、なお、貨物が留められるなら、民間企業(運送会社側)の都合だと考えられます。
今回の事例は、おそらく、輸送機関の方に原因がありそうです。しかしながら、予想は予想の域をでないです。仮にMSDSを添付しても、山田氏が指摘するように、それが裏目に出て、輸送拒否につながる可能性もあります。
運送会社は。。。
「MSDSがあるなら安全に輸送ができる〜〜〜考えるより、MSDSがあるなら、ちょっと面倒そうだよね? 面倒だから、テキトーな理由をつけて輸送拒否しておこう!」
という結論に至る可能性があるということです。
上海物流でバッテリー関係の事故が起きたこと。航空輸送上のリチウムイオンの発火時等が発生しているため、基本的には、バッテリー関係は、輸送が難しい商品だと考えたほうが良いでしょう。結局、個別具体的なことは、関係諸機関に直接、聞く方が早いと思います。
ワンポイント:航空輸送で拒否された場合は、海上輸送を検討すると良いです。航空輸送の危険品輸送の基準と海上輸送の基準は若干、違います。
【危険物】リチウムイオン電池の海上・航空輸送ガイド SP188
カテゴリ
種別 | 積み地 | 揚げ地 | 品目 | 輸送モード |
法人 | 上海 | 名古屋 | 革製品 | フェリー輸送 |
法人 | 鹿児島 | バンクーバー | さつまいも 500kg | 海上輸送 |
法人 | 広州 | 浜松 | ガラスフィルム | LCL |
法人 | 上海 | 名古屋 | 革製品 | フェリー輸送 |
法人 | 鹿児島 | バンクーバー | さつまいも 500kg | 海上輸送 |
法人 | 広州 | 浜松 | ガラスフィルム | LCL |