【CPTPP/TPP11】新しく加わる国は2か国のみ。日本の狙いとメリット

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    *当サイトの記事を編集・加筆等し、公開する行為をお断りいたします。

    ベトナム・ダナンで開かれたAPECにて、TPP11(CPTPP)は、大筋合意に達しました。今後、各国の国会において「承認」と「批准」が行われる予定です。特にカナダは、アメリカとのNAFTA交渉(北米自由貿易協定)もあり、TPP11との釣り合いをどのように保つのかに注目です。そこで、この記事では、TPP11における日本のメリットをご紹介していきます。

    ゼロから学ぶTPP(環太平洋パートナーシップ協定)

    CPTPP・TPP11と日本

    TPP11は、太平洋を囲む11カ国で、物品分野、サービス分野、投資分野を自由化する仕組みです。「関税が~」と言われるのは、物品分野の自由化をとらえている物であり、実体は、もう少し広い自由化を意味します。

    例えば、一時入国に関する規制を緩やかにすること、公共事業の外国企業への開放、特許基準、安全性基準の緩和などがあります。今回は、日本にとってのTPP11のメリットを中心に説明していきます。なお、以降の記事は、TPP11に統一して表記します。

    TPP11の加盟国は?

    TPP11の加盟国は、日本を含めて11か国です。加盟国数だけを見ると、一気に増える気がします。しかし、実は、新しく自由貿易協定を結ぶ国は、カナダとニュージーランドだけです。その他の国々とは、すでにTPPと似ているEPA(経済協定)を結んでいます。

    TPP11加盟国一覧

    日本カナダニュージーランドメキシコ
    ペルーチリオーストラリアブルネイ
    シンガポールマレーシアベトナム

    既存のEPA締約国地一覧

    日本が結んでいる15のEPA。この中にないのは、カナダとニュージーランドだけです。

    2018年7月現在のEPA締約国一覧
    シンガポールマレーシアタイインドネシアブルネイ
    アセアン全体フィリピンベトナムインドモンゴル
    オーストラリアメキシコチリペルースイス

    今後の予定。発効とは?

    発効とは、TPP協定で決められた協定の効力が加盟国で有効になることです。具体的には、次の流れをたどり有効に至ります。

    1. TPP11、大筋合意
    2. 各国の国会に持ち帰り審議
    3. 承認
    4. ニュージーランドの通知する=批准(批准)

    この1~4の流れを加盟国11カ国がそれぞれ行います。そして、この11カ国の内、六か国以上が批准することにより、TPP11は、正式に効力をもたらします。つまり「発効」に至ります。

    2018年12月30日 TPP11 発効決定!

    関税削減のメリットはある?

    TPP11は、日本にとってメリットがあるのでしょうか。日本は、TPP11の加盟国に含まれている多くの国々とは、すでに経済協定を結んでいます。

    例えば、メキシコとは「日メキシコEPA」、ペルーとは「日ペルーEPA」をすでに結んでいます。また、ベトナムやマレーシアとは「日ベトナムEPA」や「日マレーシアEPA」、さらに東南アジア全体で適用される「日アセアンEPA」などが結ばれています。

    下の表をご覧ください。こちらは、各国の輸出額をベースにした「自由化率」を表しています。自由化率とは、相手国に輸出している額の内、どれほどの割合で、関税を削減しているのか?を示すものです。

    例えば、日チリEPAであれば、相手国側が99.8%、日本側が90.5%ですね。これは、日本からチリに向けている輸出金額の内、およそ99.8%が自由化していること。一方、チリから日本への輸出金額は90.5%が自由化されていることを示します。そのため、TPP11で新しく広がる市場は、主にカナダやニュージーランドです。そのため、TPPが結ばれたからといっても、その他の国々への市場アクセスがいきなり大きくなるわけではありません。

    日本と各国との自由化率
    対象国相手国側日本側
    カナダ未締結未締結
    ニュージーランド未締結未締結
    メキシコ98%86%
    ペルー99%99%
    チリ99.8%90.5%
    オーストラリア99.8%93.7%
    ブルネイ99%99.99%
    シンガポール100%94%
    マレーシア99%94%
    ベトナム88%95%

    では、TPPのメリット、デメリットを確認してきましょう!

    TPPのデメリット

    TPPによるデメリットは、次の2点です。

    1. 関税面、その他の自由化による弊害
    2. 公共入札に外資が参入する可能性

    1.関税面の他、人、サービスなどが自由化による弊害

    TPPの最大の特徴は、関税面と非関税障壁の2つの分野を大きく自由化することです。関税とは、外国から日本に商品が入ってくるときの税金。非関税障壁は、関税以外の分野で国と国との「壁」になるものを指します。例えば、労働ビザに関する基準、製品の安全性診断の基準などです。

    一般の人のデメリット:

    • 外国の品質基準の商品をつかまされる可能性が高まる。
    • 安全性基準が低い食品が流通する可能性が高まる。食品検疫は、ほぼ機能していないと考えてもよい。
    • 就職試験などのライバルが日本人だけではなく、外国人も含まれる。

    ビジネス目的のデメリット:

    • とにかく外国商品との競争にさらされる可能性が高い。
    • 既存の「常識」や業界の「慣習」が通じない人達を相手にする必要がある。
    • 価格競争の値下げ圧力が高まる。
    • 優秀な人材を獲得できる企業とそうでない所の差が広がる。

    2.公共入札に外資が参入される。

    TPPでは、公共事業の入札を外国企業に等しく与えるとの規定があります。これは、東京などの都会だけのお話ではなく、●県○○市などの地方における公共入札も対象です。

    例えば、入札に外国企業が参入できるよう、英語での情報発信などをする必要があります。もし、英語などで等しく情報を提供していないときは、外国企業は、ISD条項により、その地方公共団体を提訴できます。

    ビジネス目的の人:地域の企業との闘いから、外国企業を含めた争いになる。仮のお話として地域企業の慣習で「公共入札で何らかの不正行為」をしていれば、それらを含めて「不当な差別扱い」を受けていると、訴えられる可能性があります。

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    日本のTPPのメリット

    一方、TPPにおけるメリットを確認していきましょう。主な物は、次の10個です。

    1. 輸入商品の価格が下がる
    2. 日本の農業が鍛えられる
    3. カナダとニュージランドとの発効
    4. 多面的な展開が可能
    5. インターネットビジネスの活発化
    6. 共通の原産地規則で対応
    7. 通関制度の迅速化
    8. サービス業の規制を緩和
    9. 模造品の対策
    10. 日米自由貿易協定の基準
    11. 完全累積制度

    1.輸入商品の価格が下がる

    TPPにより工業製品、農林水産物に関わらず、ほとんどの商品の関税は下がります。特に協定発効後、5年目(2024年前後)から関税がゼロ(最終:99.9%)になるものが多いです。これにより、TPP各国からの輸入品の流通価格が下がり、これに引っ張られるように国内産品の価格も下がる見込みです。これを「輸出者の観点」で申し上げるなら、相手国に関税ゼロで輸出ができる分、価格競争力があがり、輸出ビジネスを拡大できる可能性があります。

    2.日本の農業が鍛えられる

    私は、農産品に対する関税が撤廃されることで、むしろ農業が活発化されると考えています。こんなことを言うと「海外の農産品は安すぎるから太刀打ちできない」と主張する方がいますが、この場合は、次の2つの考えが欠如しています。

    1. 日本の農産品は非常においしい。他国産と十分に戦える。
    2. 関税がなくなることが問題ではない。農業の生産性が低いことが問題

    「日本の農業を守らなければならい!」と主張する人に限って、海外の農産品と日本の農産品との品質レベルを全く理解していません。これまで20以上の国に行った経験から考えても、やはり日本の農産品は、非常にレベルが高いです。関税がなくなることは、そこまで問題ではありません。いつまでも「趣味のような農業」をして、生産性を上げないことに問題があります。日本の農産品は、生産性を上げれば、十分に勝負ができます。

    なぜ、関税が無税なのに「東洋一の花き市場」が日本にあるのでしょうか? 関税なくなるとの理屈は、どうなったのでしょうか? 関税をゼロにしたことにより、むしろ活発化した「事実」を見るべきです。

    3.カナダとニュージランドとの発効

    TPPは、これまで経済協定を結んでいなかったカナダやニュージーランドとも自由貿易圏にしてくれます。どちらの国も非常にレベルが高い農産品を輸出する国として有名です。TPPを結んだことで、これらの国の産品の価格が下がる見込みです。

    4.多面的なビジネスの展開が可能

    TPPは加盟国が11か国です。この一大経済圏の中で原料を調達する所、加工する所、販売する所、協定国内で自由にビジネス展開ができます。

    例えば、ベトナムで仕入れた綿を使い、ブルネイで生地にする。これをシンガポールの工場で縫製して最終完成品に仕上げる。その後、オーストラリアに輸出する等のビジネスモデルを作れます。各協定国内は、すべて一つの経済圏であるため、物品を輸出入するときに関税等の税金が発生しないため、このような多国間ビジネスを展開ができます。

    5.インターネットビジネスの活発化

    TPPは、インターネットを活用したビジネスを活発化しています。

    例えば、あるソフトウェアを開発したときのソースコードの開示要求を禁止したり、ビッグデータの移転を禁止したりすることはできないです。情報の移動制限がなくなっているため、日本で受注した案件をベトナムに外注して、それを日本のクライアントに、電子的に納品することも可能です。

    6.共通の原産地規則で対応できる

    商品が協定国の原産品であるかどうかは、原産地規則と照らし合わせて考えます。TPPは、加盟国が一つの原産地規則を共有しているため、TPPの原産地規則を満たすもの=原産品=協定国であれば、どこでも「TPP原産品」の扱いを受けられます。

    7.通関制度の迅速化

    TPPは、通関制度の迅速化についても規定しています。具体的には、次の3つです。

    1. 6時間ルール
    2. 48時間ルール
    3. 事前教示制度

    TPP協定では、急送貨物扱いの物は、6時間以内。一般貨物は、48時間以内の貨物を引き取れるように通関手続きを進めなければならないと規定しています。(各国税関に対して)これにより、リードタイムが短縮されて、より迅速な納品を可能とします。また、事前教示制度とは、外国税関における商品のHSコードを事前に判断する仕組みです。事前教示制度で確定したHSコードは、実際の輸入時に優先的に適用されるため、HSコードの間違いによる様々なリスクを小さくできます。

    TPPの事前教示制度 HSコードと原産地規則の調査

    8.サービス業の規制を緩和

    TPPは、協定国内のサービス業(コンビニなど)の進出基準も緩やかにしています。

    例えば、対象の国にスーパーを進出させるときは、不明瞭な手続きや許認可が必要となり、なかなか出店が進まないケースが多いです。TPPは、それらの手続きを透明化し、外資がサービス業に参入しやすい環境を整備しています。

    9.模造品の対策

    TPPは、模造品(偽物)への対策を強化しています。商標権などの侵害している可能性が高い商品は、加盟国の税関が職権で差し止められます。また、商標権などを侵害している貨物には、刑事罰などを規定しています。

    10.日米自由貿易協定の基準

    TPPから離脱したアメリカは、対日輸出で非常に不利な状況に立たされています。その理由は、アメリカのライバル国であるオーストラリア、ニュージーランド、カナダの産品の関税(日本)が削減されているからです。米国は、これに不満を持ち、日本に対して「日米自由貿易協定」の締結を迫ています。この日米交渉の基準として、TPPがある一定の役割を果たします。

    以上、TPPのメリットとデメリットの説明でした。

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    11.完全累積制度の活用

    累積原産性とは、TPP加盟国における部材などを「累積(合計)」できる仕組みです。

    例えば、ある完成品があります。この中には、パーツA、B、Cが使われています。パーツA、B、Cの原産国は、それぞれ日本、ベトナム、シンガポールです。本来は、それぞれ別の国であるため、原産国が違います。しかし、TPPに加盟している国の産物であれば、どこの国で作られても、すべて「TPPの原産品」にできます。完成品も、それに使われている部材もすべて「原産品」として合わせられます。

    また、既存のEPAよりも関税削減の幅が広くなっていることも大きな特徴です。

    例えば、既存のEPAでは、発効後、すでに10年以上経っているにも関わらず関税が維持されている物があります。具体例を申し上げれば、天然はちみつ(0409)などがあります。ところがTPP11では、この天然はちみつの関税であっても、次のスケジュールで完全撤廃されます。

    2018年10月現在の関税率 25.5% 削減日程:B8

    2018/12/302019/4/12020/4/12021/4/12022/4/12023/4/12024/4/12025/4/1
    22.3%19.1%15.9%12.7%9.5%6.3%3.1%完全撤廃
    既存のEPAでは、削減対象になっていない。しかし、TPPでは、関税の削減対象になっている物が多数あります。

    日本の狙いとは?

    日本のTPP11における狙いは、次の3つがあると考えられます。

    1. 市場を広げる。
    2. FTAAPを見据えて
    3. アメリカの二国間FTAの交渉を有利にしたい

    1.市場を広げるとは?

    日本は、少子化により市場がどんどんと小さくなっています。国という単体の経済力でみれば、いまだ日本は、世界第三位の経済大国なのかもしれません。しかし、TPPのような経済ブロック単位で考えれば、日本の経済力であっても、小さな国になってしまいます。これが現実です。そこで、TPPのような多国間協定に入り、自由に商売ができるエリアを広げる必要があります。

    2.FTAAPを見据えて

    実は、TPP11などは、FTAAPの前段階にあるともいわれています。FTAAPとは、太平洋を囲むAPEC参加国の自由貿易構想です。もちろん、この中には、超大国のアメリカや中国などが含まれています。これらの国を全部含めて、巨大な自由貿易圏にするのが「FTAAP」です。

    なぜ、日本が主導してTPP11を締結したかったのか? やはり、それは、将来的には「FTAAP」への加盟が視野に入っているからだと思います。TPP11を主導して締結させた実績を作り、少しでもFTAAPの交渉や立ち位置を有利なものにする狙いがあるはずです。

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