世界最大の経済大国アメリカには、どのような港(コンテナターミナル)があるのでしょうか。この記事では、アメリカ国内の主要港をご紹介します。日本でいえば、東京港、名古屋港、大阪港、神戸港、横浜港、博多港のような存在です。
アメリカの主要港の特徴
アメリカの港は大きく分けて、ロサンゼルスを中心とする西海岸とニューヨークを中心とする東海岸に分かれています。これらのコンテナターミナルは、内陸部とダブルスタック鉄道輸送により「IPI(主要鉄道拠点)」で結ばれているのが特徴です。
※ダブルスタック鉄道輸送:コンテナを上下に重ねて鉄道で運ぶ輸送方法
特に重要なのが西海岸のロサンゼルス港とロングビーチ港です。これらは成長著しいアジアとの玄関口として機能しており、東海岸の港よりも存在感が大きくなっています。全米のコンテナ取扱量ランキングを見ても、その重要性は明らかです。
主要港の分布
- 西海岸:オークランド、サンフランシスコ、タコマ、ヒューストン、ロサンゼルス、ロングビーチ
- 東海岸:サバンナ、チャールストン、ニュージャージー、ニューヨーク、ノーフォーク、ハンプトン・ローズ、ポート・エバーグレーズ
- その他内陸部:オマハ、クリーブランド、コロンブス、セントルイス、ソルトレイクシティ、ダラス、メンフィス、ルイビルなど
主要港の比較表
港名 | 州 | 特徴 | 日本航路 | 実務メモ |
---|---|---|---|---|
ロサンゼルス | カリフォルニア州 | アジア航路最大、輸入検査の混雑あり | 有 | 混雑による遅延が多いため早めのブッキングが必要 |
サバンナ | ジョージア州 | 東海岸最大、米南部の流通拠点 | 有 | 日本直行便は少なめ、南部市場向けに有効 |
ヒューストン | テキサス州 | 石油・化学品関連貨物に強み | 有 | 危険物やプロジェクトカーゴで活用事例多数 |
西海岸の主要港
西海岸はアジア向けの窓口として圧倒的な存在感を持ちます。ロサンゼルス港とロングビーチ港は米国最大級のコンテナ港湾で、日本を含むアジアからの貨物が集中します。タコマやオークランドも北米西岸物流を担う重要港です。リードタイムが短い一方で混雑や追加費用のリスクがあるため、スケジュール調整がカギとなります。
東海岸の主要港
ニューヨーク港は米国東部最大の港で、欧州との接続に加え東部大都市圏を支える物流拠点です。サバンナ港やチャールストン港も近年急成長しており、西海岸混雑回避や米国内市場分散の観点から選ばれることが増えています。東海岸利用は輸送日数が長くなる一方で、安定した運用が期待できる点が魅力です。
湾岸・内陸部の主要港
ヒューストン港は石油・化学品を中心とした特殊貨物のハブです。ニューオーリンズ港は農産物やバルク貨物に強みを持っています。さらに、シカゴやダラスなどの内陸都市は IPI(Inland Point Intermodal)によって港と鉄道で直結しており、港から先の流通戦略を考える上で重要です。
西海岸 | オークランド、サンフランシスコ、タコマ、ロサンゼルス、ロングビーチ |
東海岸 | サバンナ、チャールストン、ニュージャージー、ニューヨーク、ノーフォーク、ハンプトン・ローズ、ポート・エバーグレーズ、ヒューストン |
その他 | ジャクソンビル、セントルイス、ソルトレイクシティ、ダラス、ミネアポリス、メンフィス、ルイビル、タンパ、デトロイト、デンバー、ナッシュビル、ニューオーリンズ、ピッツバーグ、フィラデルフィア、ポートランド、マイアミ |
上記の港名をグーグルマップに落とし込みをしました。マップには、レイヤー機能(主要港とその他)が設定されています。地図の左上部にある赤枠の部分をクリックして、地図の表示をコントロールして下さい。
グーグルマップでアメリカの港の位置関係を確認
コンテナ取扱量上位港
アメリカのコンテナターミナル上位5港は以下の通りです(TEUベース、The Journal of Commerce調べ)。やはり西海岸の港が上位を占めています。
- ロサンゼルス港
- ロングビーチ港
- ニューヨーク港
- サバンナ港
- タコマ港
実務での港選びのポイント
- コスト:西海岸は海上運賃が安めだが、混雑リスクによる追加費用に注意。
- リードタイム:西海岸経由は短い、東海岸は時間がかかる。
- 貨物特性:食品・化学品・自動車など、港によって規制や検査体制が異なる。
- 内陸輸送:鉄道接続を前提にすれば、内陸都市への配送効率が変わる。
まとめ
- アメリカの港は西海岸・東海岸・湾岸で性格が異なる。
- 西海岸はアジア貿易に強いが混雑リスク、東海岸は安定・分散に有効。
- 湾岸・内陸港は特殊貨物や南部流通で強みを発揮。
- 実務では「コスト・リードタイム・貨物特性・内陸輸送」の4点を基準に港を選ぶとよい。
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