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【輸入税の支払い】利子0%の立替金に頼る輸入者の末路

輸入するときの関税や消費税を立て替える仕組みは魅力的にうつります。日銀が利上げをし、市中金利が上昇している中でも、立替金の利子率は、なんと0%。通関業者やフォワーダーがおこなうボランティア活動です。(商売とは言えない)

そんな立替金は、輸入者の立場から見ると魅力的です。最大30日前後まで支払い期限を無料で引き延ばせるので、その分、手元にキャッシュが残ります。

しかし、そんな立替金は、間違いなく、依存性を高め、少しずつ輸入者の財務健全性を下げます。この記事では、輸入税の立替金を利用する末路・弊害をご紹介していきます。

私の経験上、立替金を利用する会社は、戦略的に活用している所と運転資金が枯渇しそうな所の2つがあります。前者は、立替金をフル活用してもいいでしょう。後者は、時間の問題で運営が困難になることが多いです。



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立替金を前提とする輸入者の末路

立替金とは?

立替金とは、日本に輸入する際の税金(関税・消費税)を輸入者以外の者が立て替えることです。本来、輸入税は、輸入者が輸入許可を受ける前に納税をするべきものです

しかし、現実は、この輸入税を輸入通関や国際輸送を担当する業者が一旦、立て替えた後、後から輸入者に請求する仕組みが一般化しています。いわゆる立替金問題です。

この問題は、非常に根深く、貿易業、国際物流業界全体に関わる大きなテーマです。これについては、公正取引委員会も「優越的地位の濫用つながる可能性が高い」との見解を出しています。個人的には、さっさと規制し消滅させるべき制度だと考えております。

令和4年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について

今回は、この立替金制度の弊害について注目していきたいと思います。立替金制度は一見、魅力的な選択肢です。利子0%は、短期的な資金繰りに役立つように感じます。

しかし、返済期間が20日から30日と短いこともあり、実際には様々なリスクがあります

勘違いする過程:立替金によりキャッシュフローが良くなったと勘違い

立替金制度は、輸入税の支払いを一時的に先延ばしにする仕組みです。主に輸入許可を取得する際に関係する通関業者などが輸入者に対して独自の与信枠を設定し、その範囲の中で、輸入税を立て替えることが一般的です。(通常、20日~30日以内)

立て替える期間、金額は、輸入者の会社実績、資金力に応じて決まります。輸入者は、一時的に関税を立て替えてもらうことで、輸入税分の資金を留めておけます。

輸入税額の目安=輸入商品価格の20%前後分

例えば、100万円分の商品を輸入するなら、20万前後の税金がかかります。この20万円を立替払いの返済期日までに用意すればいいのです。

ご存じの通り、お金には色がついていない為、立替払い分のお金、その他のお金と区別することは難しいです。あるのは、自身による適切な管理だけです。この管理がおろそかになると、立替金分を他の事に使用し、みるみると立替金が積みあがります。

焦る過程:売上の不安定さと立替金の返済期間の短さに焦り始める。

立替金の支払い期間は、意外に短いことに気付き始めます。最初は、立替金の支払い期日が来る前に売り上げを上げればいいと考える方が多いです。所が売上金の入金サイクル等を考えると、そこまで都合がよく用意できないことに気付きます。

例えば、B TO B取引の場合、支払いサイトは、月末締め、翌月末払い。又は月末締め、翌月15日払いなどが多いです。この期間を考えると、立替金に充当するには、少し無理があることがお分かりいただけると思います。

結果、売上のタイミングと立替金の返済のタイミングが合わず、手元資金が足りなくなることがよくあります。立替金で多少、支払い日までを引き延ばせたとしても、結局、ご自身の資金から支払う可能性が高くなるため、その分、資金管理が煩雑になりやすいです。

私の個人的な考え方としては、そんな煩雑なことをするより、輸入時に輸入税を支払い、手元の資金量を正しく把握した方がいいと思います。

ボロボロになる過程:財務体質が徐々に弱体化してくる。

さらに立替金に依存し続けていると、徐々に立替金が無くてはならない、かかせない存在になってきます。当初は、立替金はあってもなくてもどちらでもよいの存在であったにも関わらず、徐々に体を蝕まれるように依存していきます。

また、通関業者の与信枠は絶対的ではないため、業者側の立替金に対する運用方針が変更されると、一気にビジネスモデルが崩壊する可能性があります。立替金に依存している分、財務体質がぜい弱になり、気付いたときには、大きな経営リスクをかかえています。

最終形態:立替金の分を次の仕入れや運転資金に利用するようなる

最終的には、完全な依存体となりmす。悪い意味での「完全体」と言えるでしょう。立替金を使い、商品の仕入れなどの運転資金に利用しているでしょう。まさに依存の依存です。この頃になると、通関業者側も「危険顧客リスト」としてマークされるため、新たな立替金には応じないです。つまり、輸入許可を得ることも難しくなり、ついには、国内販売のめども立たなくなります。

サラ金の多重債務のような運営状況に陥り、全てが後手後手に回り始めます。かつ、通関業者なども立替金の早急な回収(取り立て)を始める為、さらにキャッシュが無くなります。こうしてついには、破産に追い込まれることになります。

実際、私自身の通関業者の経験から立替金地獄に陥った業者を何度か目にしています。自転車操業、立替金をアテにした輸入をしていた為、短い期間で急速に立替金額が膨らむ様子を見ていました。

結局、その会社は、多分に漏れず、事業終了となりました。本来、輸入者が輸入の時点で即時支払うべきお金を人のお金で賄おうとすること自体があり得ないです。手元キャッシュを確保しておきたいのなら、本来は延納制度を利用するべきです。

輸入税の立替は、ご自身で完全にコントロールできない限り、最後は、自滅の道を歩むことになると考えた方が良いと思います。

立替金などに頼らないことが重要です。

リアルタイム口座を開設し、輸入税を直接、口座ひき落としできるようにしよう!

 

まとめ

利子0%の立替金は、短期的な資金繰りの改善には効果的かもしれませんが、返済期間の短さや為替リスク、資金管理の負担などを考慮すると、必ずしも最善の選択肢とは言えません。立替金に頼りすぎると、長期的な財務健全性に悪影響を及ぼし、事業の成長を阻害する可能性があります。輸入者は、立替金を一時的な手段として利用するのではなく、自社の資金管理能力を高め、リスクを最小限に抑えることが重要です。

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