日欧EPA 原産地証明の方法 原産地申告書と自己申告制度

日欧EPA 原産地証明の方法TPP/日欧/日米協定
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日本とヨーロッパのEPA(自由貿易=関税ゼロ)を利用するには、商品が日本またはヨーロッパで作られていることが条件です。日欧EPAでは、この原産性の証明を「自己証明制度」で行います。そこで、この記事では、日欧EPAにおける原産地証明について説明していきます。なお、この記事は、2019年9月に行われた「日欧EPA活用セミナー/簡略化」の内容を反映しています。

日欧EPAの原産地証明方法

原産性がある商品とは、日本又は、ヨーロッパで生産をされた物であり、日欧EPAで決められている原産地基準を満たすことです。

    1. 日本又は、ヨーロッパで生産されていること
  1. 日欧EPAで決められている原産地基準を満たすこと

この2つの条件をクリアしている物が「日欧EPAの原産品」です。よくある勘違いに「これは、日本の工場でつくっているから~」は「EUで生産されているから原産品だ!」があります。しかし、この場合、1番の条件のみを満たしている状態のため、日欧EPAの原産品でありません。必ず上記2つの条件を「どちらも」満たす必要があります。なお、EPAの原産地証明は、理解し難い部分もあります。そのため、まずは全体的な部分を説明。その後、個別・具体的な部分を説明していきたいと思います。

この記事でお伝えする全体的な内容は、次の通りです。この時点では、なかなか内容を理解できないと思います。まずは、目次的な意味合いでとらえてください。あなたが「輸入」で活用するのか? または「輸出」で活用するのか?の視点で記事をご覧ください。

あなたが「輸入」で活用するときの全体像

◆輸出者による自己申告

・原産品申告書(インボイスに宣誓文を記載した書類)
・原産品申告明細書(原産品であることに係る追加的な資料)→提出できないときはどうなる?

*輸出者の自己申告の場合のみ適用

書類保存 許可日の翌日から5年間保管

輸出者自己申告の場合は、保存対象書類は、原産品申告書と提供受けている保存書類。
輸入申告の際、税関へ提出した書類は、保存義務の対象外

◆輸入者による自己申告

・原産品申告書(税関様式 C-5292-4)
・原産品申告明細書→提出を省くことはできない。
・マテリアルリストや製造工程フロー図、仕入れ書、価格など

書類保存 許可日の翌日から5年間保管

保存書類:貨物が原産品であることを証明するすべての関連書類。ただし、輸入申告の際、税関に提出した書類は、保存義務の対象外

あなたが「輸出」で活用するときの全体像

・原産品申告書の作成(インボイスに宣誓文を記載した書類)→コピーOK
・原産性ルールを満たしていることを証明する書類(ワークシート、対比表、マテリアルリスト、加工工程フロー図など)

書類の保存 書類の作成から4年間

まず理解するべきポイント

日欧EPAにおける原産地証明で最も重要なポイントは「誰が原産品だと証明するのか?」です。日欧EPAの場合、原産性の証明は、輸出者、輸入者、生産者の三者ができます。つまり、あなたがEUへ輸出をするとき、またはEUから輸入するときのどちらの立場であっても、証明行為は、輸出者、輸入者、生産者の3者ができます。

例えば、EUから商品を輸入するとしましょう。あなたは、日本に輸入する人です。このとき、EU側の輸出者が証明した書類(これはEUの原産品である)を使って日本に輸入すれば「日欧EPAの原産品=免税」の扱いを受けられます。または、あなた自身が「これは、EUの産品だ!」と自ら証明して日本に輸入もできます。

他方、あなたがEUに輸出するときは、あなた(輸出者または生産者)が「これは日本の原産品である!」と証明することもできますし、EU側の輸入者が「これは日本の原産品である」と証明して輸入もできます。日欧EPAは、この原産地証明方法に大きな特徴があります。

ちなみに、輸出者が「これは日本の原産品だ!またはEUの原産品だ!」と証明することを「輸出者による自己証明」、対して輸入者が行うことを「輸入者による自己証明」と言います。この先の説明は、輸出者による自己証明方法と輸入者による自己証明方法の2つがあることを覚えておきましょう!

■重要なポイント

  • 日欧EPAの原産品を主張できるのは輸出者、生産者または輸入者
  • 輸出者が原産性を証明→ 輸出者(生産者)による自己証明
  • 輸入者が原産性を証明→ 輸入者による自己証明

あなたが「輸入」で活用する場合

あなたが輸入で活用するときは、日本の税関に対して「EUの産品であること」を証明します。このときの証明方法は、輸出者が主体となるのか。輸入者が主体となるのかの2つがあります。

  1. 輸出者による自己証明(輸出者がこれは、日欧EPAの原産品だと主張すること)
  2. 輸入者による自己証明(輸入者がこれは、日欧EPAの原産品だと主張すること)

1.輸出者による自己証明方法

輸出者による自己証明は、日本税関に対して、輸入者が次の書類を提出して産品が原産品であることを証明します。

1.原産品申告書(インボイスに宣誓文を記載した書類)
2.原産品申告明細書(原産品であることに係る追加的な資料)

1.原産品申告書とは?

原産品申告書とは、商品が日欧EPA上の原産品であることを証明(宣誓)する書類です。具体的には、通常のインボイスに協定付属書3-Dに規定されている「原産品に関する宣誓文((宣誓文は下記))」を記載した物です。記載は、インボイス内に含めることが一般的ですが、スペースの都合上、別添で設けることもできます。この文章の日本語版、または英語版をインボイス内に記載します。(外国から発行されるものは英語が一般的)

また、輸出者の自己申告による原産品申告書は、輸出者が作成する物であり、輸入者は一切の加筆・修正等は認められません。

<英語による申告文>

( Period : from ……………. to …………..) The exporter of the products covered by this document (Exporter Reference No …………..) declares that, except where otherwise clearly indicated, these products are of …………….. preferential origin. (Origin criteria used) ………………………………………………………….. (Place and date) ………………………………………………………….. (Printed name of the exporter) …………………………………………………………..

<日本語による申告文>

(期間……………. から …………… まで) この文書の対象となる産品の輸出者(輸出者参照番号…………… )は、別段の明示をする場合を除くほか、当該産品の原産地…………… が特恵に係る原産地であることを申告する。(用いられた原産性の基準) ………………………………………………………….. (場所及び日付) ………………………………………………………….. (輸出者の氏名又は名称) …………………………………………………………..

引用:税関ホームページ

引用:税関ホームページ

2.原産品申告”明細書”とは?

先ほどは、原産品申告書の説明です。ここから先は、原産品申告”明細書”の説明です。原産品申告明細書は、原産品申告書を根拠を示す具体的な説明資料です。

例えば「この商品のマテリアルリストは、○○です。協定上のCTHの基準を満たすため、日欧EPAの原産品と主張します!」など、商品に含まれる原材料や加工工程などを説明して、原産品申告書で主張する裏付ける資料とします。原産品申告書の様式は任意ですが、税関サイトの中にある「フォーマット」を使うのが無難です。原産品申告明細書は、輸出者・輸入者のどちらでも作成できます。また、「原産品申告明細書を提出できない」と主張もできます。

営業上の理由など(理由を開示する必要はない)から輸出者から原産品申告明細書を入手できないときは、日本税関に対してナックスを使い「追加的な資料を提出できません」等の文言を入れることで、原産品申告書の提出は免除されます。(2019年12/1日よりナックスに専門コードが設けられる予定)もちろん、申告明細書の不提出による「否認」等もされません。

輸出者の自己申告は、原産品申告明細書の提出ができないことがある。その場合、ナックス上で「原産品申告明細書を提出できない」と申告すればよい。ただし、この仕組みは、「輸出者による自己申告」の場合のみである。輸入者の場合は、認められない。

その他のポイント

輸出者による自己申告の場合、輸入者が保存するべき資料は、原産品申告書と提供受けている保存書類です。輸入申告の際、税関へ提出した書類は、保存義務の対象外です。また、保管期間は、輸入許可日の翌日から5年間と規定されています。

2.輸入者による自己証明方法

上記は、輸出者による自己証明の方法です。では、輸入者による自己証明の方法を確認していきましょう。何度も申し上げますが、輸出者による自己証明、輸入者による自己証明のどちらか一方を適用して輸入申告に臨みます。比較的楽な方法をとりたいときは、輸出者による自己証明方法を利用した方が良いです。

まず、輸入者による自己証明をする場合は、大前提として「貨物が原産品であることを確認できる知識」があることが条件です。したがって、輸出者自己申告の際、設けられている「原産品申告書の提出を省くこと」はできません。輸入者の自己証明は、貨物に関する情報をすべて知った上で申告している前提があるためです。貨物が原産品であると確認できる知識とは、次のように論理展開できることを言います。

1.完成品のHSコードの品目別規則(原産地基準)は、CTH。
2.この商品の原材料は〇〇
3.原材料のHSコードと完成品のHSコードは、それぞれ○○である。
4.完成品と原材料のHSコードの変化は、CTHをクリア。
5.加工工程も「原産品とはみなされない加工には該当しない」
6.よって、この商品は、日欧EPAの原産品であると主張する

貨物に使われている原材料リストや製造工程フロー図を入手した上で、その情報を基に以下のように日欧EPAの原産品と判断できる知識があることです。いかがでしょうか? もし、十分な知識がないときは、輸出者による自己証明制度を使った方が良いです。

日本税関に提出する書類の例示

輸入者による自己証明制度を使う場合、日本税関には、次の資料を提出します。

1.原産品申告書(税関様式 C-5292-4)
2.原産品申告明細書→提出を省けない。
3.マテリアルリストや製造工程フロー図、仕入れ書、価格など

1.原産品申告書

原産品申告書は、貨物が原産品であると主張する資料です。(輸出者による自己証明は、宣誓文のインボイスがその代わりとなる)輸入者の自己証明制度の場合、規定の情報を盛り込んだ書面を日本税関に提出します。フォーマットは任意ですが、多くは「税関様式C-5292-4」で作成します。この様式を使えば、協定で決められている「含めるべき内容」を網羅できるためです。

2.原産品申告明細書

原産品申告”明細書”は、原産品申告書の根拠を詳しく説明する資料です。輸出者による自己証明制度の場合、明細書の提出は省略できます。しかし、輸入者の自己証明の場合は、提出が必須であるため注意しましょう。

3.原産品申告書や明細書を作成するための補助資料

必要な場合、日本税関から原産品申告書明細書の根拠となる資料の提出が求められます。

例えば、原材料リスト、加工工程のフロー図などです。輸入者による自己証明制度を利用する場合は、これらの資料も輸出者から入手しておく必要があります。

その他のルール

書類保存 許可日の翌日から5年間保管

保存書類:貨物が原産品であることを証明するすべての関連書類。ただし、輸入申告の際、税関に提出した書類は、保存義務の対象外です。

あなたが「輸出」で活用する場合

これまでの説明は、EUから日本に輸入するときの原産地の証明方法でした。ここでは、EUに輸出する場合の原産地の証明方法をご紹介していきます。

あなたは輸出者であり、EUに輸出する場合であっても、原産性を証明する人は「輸出者(あなた)」、生産者(日本側で産品を製造した人)または輸入者(EU側の人)のどなたでも可能です。ただ、基本的には、輸出者側が証明した方が何かと手間が省けるかと思います。よって、ここでは、輸出者の自己証明によってEUへ輸出するケースをご紹介します。

あなたが作成&保管するべき資料は次の通りです。

1.原産品申告書
2.原産性ルールを満たしていることを証明する書類

1.原産品申告書

相手に対して発行するインボイスに「3-Dで規定する宣誓文」を記載して先方に送付します。輸入者は、輸出者(あなた)から送られてくるインボイスを「原産品申告書」としてEU税関に提出をして、産品が「日本の原産品であること」を証明します。以下の日本語または英語の宣誓文をインボイス中に記載すれば良いです。

<日本語による申告文>

(期間……………. から …………… まで) この文書の対象となる産品の輸出者(輸出者参照番号…………… )は、別段の明示をする場合を除くほか、当該産品の原産地…………… が特恵に係る原産地であることを申告する。(用いられた原産性の基準) ………………………………………………………….. (場所及び日付) ………………………………………………………….. (輸出者の氏名又は名称) …………………………………………………………..

引用:税関ホームページ

2.原産品であると判断した書類を残す

あなたは、インボイス上に「原産品である」と宣誓文を記入することにより、協定で定められている「責任」を負います。記入さえすれば良いと安易に考えていると「事後検認」などで一網打尽に「否認=関税免税の拒否=すべて支払う」される可能性があります。では、輸出者として宣誓文を記入するときは、どのような点に気を付ければいいのでしょうか? 一言でいえば「なぜ、それを原産品として判断できたのか?」の根拠を示す書類を用意することです。

もう一度、いいます。あなたは、インボイスに「日本の原産品である」と宣誓するわけです。であれば、宣誓をするだけの「根拠」があるわけですね?それを書面として保管しておく必要があります。具体的には、ワークシート、対比表、マテリアルリスト、加工工程フロー図、契約書、原価計算書などがあります。保管するべき資料は、あなたが適用した原産ルールにより異なります。いずれにしろ、宣誓をするからには「根拠」が必要。それをしっかりと保管することが重要です。

なお、輸出者として自己証明をした場合は、関連するすべての資料を書類作成の日から4年間保管することが義務付けられています。

関連トピックス:日欧EPAで不正行為は許されない!事後確認の方法とは?

まとめ

  • 日欧EPAの原産地証明方法は、原産地申告書と自己申告制度のいずれかです。
  • いずれの場合も協定上の原産品であることを説明する原産資料の準備が必要。
  • この資料は、輸入者の場合、5年間。輸出者の場合は、4年間保管の義務を負う。
  • もちろん、うそや偽りによる申告は重大なペナルティがあります。

ゼロから覚える日欧EPA 原産地規則、用語の解説など

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