この記事は、商品を輸入するときの関税の種類を説明しています。
日本に商品を輸入するときは、原産国ごと、商品ごとに「関税」がかかります。この関税は、全部で6つほどあります。この記事では、それら関税の種類と違いについてご紹介していきます。
輸入関税の種類を知る
輸入時に適用される関税の種類は6つほどあります。この6つは、実行関税率表と呼ばれる一つの表の中に収まっています。
- 基本税率
- 暫定税率
- WTO協定税率
- 特恵関税
- 特別特恵
- 経済連携協定
輸入者は、この実行関税率表の中から、次の情報を基にして、最も適切な項目を選びます。これにより、納めるべき関税や消費税等が決まります。
- 原産国
- 貨物情報
- 輸入時期等
例えば「●○商品 関税率5% 但しベトナムを原産国とする商品は特恵関税で3%とする」というルールがあるとしましょう。この場合、同じ品目でも、次の2つのルールがあるとわかります。
- ●○商品は原産国の違いによって関税率の違いがある。
- ベトナムを原産国とする貨物は、特恵関税が適用されて3%である。
これは、通常の関税は5%であるけれど、ベトナムからの商品は3%の関税にするルールです。このように商品に対する税金は、商品の情報によって異なる関税が適用されます。
実行関税率表で関税を確認する方法
表の左側の緑枠に「商品名」が載っています。右上の赤枠の部分をご覧ください。基本税率や暫定税率、特恵税率の欄が見えます。その欄を真下に視線を移動すると青枠があります。ここで基本税率や暫定税率など、それぞれに対応する関税率が表示されています。
つまり、緑枠で商品を選んだ後に、赤枠のどれを適用するかによって、青枠の関税率が違います。
6つの関税制度の詳細
輸入実務では、以下6つの関税から適切な物を適用していきます。つまり、この作業は、実行関税率表を正しく読み込むこととも言えます。それぞれを詳しく見ていきましょう!ちなみに、以下の6つの関税は、適用順位があります。(後述)
- 基本税率
- 暫定税率
- WTO協定税率
- 特恵関税
- 特別特恵
- 経済連携協定
1.基本税率
は、国定税率の中の一つです。他の関税(WTO協定や特恵税率など)がすべて対象にならないときに適用します。
2.暫定税率
は、基本税率よりも優先される関税です。暫定は、一時的に決めている意味です。つまり暫定税率は、”一時的”に基本税率よりも優先して適用する税金です。
3.WTO協定税率
WTO(世界貿易機関)という貿易に関するルールを決めている国際機関があります。日本もこの国際機関の一員であり、世界中の多くの国々も同じように加盟しています。むしろ加盟していない国の方が少ないです。
WTO協定税率(協定税率)は、WTOに加盟している国の貨物に適用される税率です。先ほども述べた通り、世界中の多くの国はWTOに加盟しています。となると、このWTO協定協定税率が実質上の基本関税率です。
4.特恵関税
特恵関税
は、発展途上国の商品に適用されます。低い関税を適用することで、国際発展に協力する目的です。他の関税制度よりも優先されて適用されます。関税は無税または、低い税率です。
5.特別特恵
は、特恵関税よりもさらに優遇されている関税率です。地域の中でも特に発展が遅れている国を「特別特恵受益国」、別名LDCと言います。このLDCの国々の産品に適用する関税です。基本的に関税は、ゼロに設定されており、6つある関税制度の中でも最も優先的に適用される制度です。
6.経済連携協定(EPA)
二国間、または複数の国と貿易に関する特別な約束をする「経済連携協定(EPA)」があります。2018年現在、日本は15の国の経済連協定を締結しています。これにより、お互いの国の関税を「無税」または「低率」など、特別に優遇した税率を適用します。日本では、上記の特別特恵国の次に優遇された取り扱いをするべき国として規定されています。
以上の6つが商品に対する関税の種類です。あなたが輸入する商品にかかる関税を計算するときは、これら6つの中から最も適した関税率を一つだけ選択して計算を行います。
関税が適用される順番は?
関税率が複数存在する場合は、優先度が高い順に適用していきます。
例えば、上記のトマトケチャップの関税を見てみましょう!
1.特別特恵の対象国のトマトケチャップを輸入する場合
基本税率25%、WTO協定税率21.3%、特別特恵無税の3つから選択
2.その他の国のトマトケチャップを輸入する場合
基本税率25%、WTO協定税率21.3%
上記1も2も関税を適用する候補が複数ありますね! これでは、どの関税を適用すればいいのか迷います。そこで、関税適用順位のルールに従ってきます。
関税の適用順位ルールとは?
商品に「どの関税率を適用するのか」を考えるとき、当てはまる候補を順番に適用して考えていきます。優先度が高い順に適用を考えていき、条件に当てはまるところが適用するべき関税です。下の説明では「1」が最も優先的に考えるべき関税、以降5に近づくほど、優先度が落ちます。
あなたの輸入予定の商品は……..
- LDC(特別特恵国)の産品であるか?
- EPAまたは一般特恵産品であるか?
- WTO協定加盟国の産品か?
- 暫定税率は設定されているか?(ケース分け:WTO加盟+暫定、WTO非加盟+暫定)
- どこにも属さない→基本税率を適用
例えば、りんごであれば、上から順番に次のように検討していきます。
まとめ
関税の種類は6種類あります。各商品の関税は、これら6つのうち、どれかを適用します。一つの商品で複数の関税を適用できる場合は、基本的に関税の優先順に適用してきます。しかし、商品によっては、この流れで適用する関税を決めると関税が高くなるケースがあります。この場合、商品に適用できる関税の中から、最も安い関税率を選びます。
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