貿易の「一問一答コーナー」、本日は、通関業者の採番ミスによる責任問題に関するご質問です。
■ご質問内容
通関業者に通関を依頼しています。もし、通関業者の申告にミスがあり納税額に過不足が発生した場合は、どうなりますか?
株式会社ト●●●様
■答え
基本的に採番ミスは発生しにくい仕組みになっています。仮に発生しても、通関業者は、加算税部分の負担に留まると考えた方が良いです。
通関業者と採番ミスのお話
貨物を輸出入するときは、税関の許可が必要です。貨物は、この税関の許可により外貨又は内貨に切り替わります。
外国貨物を不正に取得して日本国内に流通させること。逆に内国貨物を外国に持ち出すことは、どちらも法律違反です。
- 輸入許可を持って、内国貨物に切り替えて日本国内へ
- 輸出許可を持って、外国貨物に切り替えて海外へ
必ず、上記の原則に従い、税関の輸出又は輸入の許可を受けます。そして、この許可を受けるために輸出者(輸入者)は、税関に輸出入申告をします。
輸出又は輸入申告をする方法
輸出又は輸入申告は、次の2つの方法があります。
多くは、手間や費用の関係から2番の通関業者に依頼して、輸出入申告をしています。
通関業者がすること
輸出入者から依頼を受けると、通関業者は、貨物の適切なHSコードを特定し、税関に申告及び納税をします。そして、このHSコードの特定作業のことを「採番」と言います。
採番ミスとは?
採番ミスとは、通関業者が不適切なHSコードを特定することです。HSコードと関税率は、密接な関係があり、最終的に輸入者の納税額に大きく関係してきます。
例えば……
- HSコード〇〇番は、関税率5%
- HSコード××番は、関税率10%
上記の通り、HSコードごとに細かく関税率が決められています。つまり、通関業者が不適切なHSコードを特定した場合は、輸入者が支払う輸入諸税が増えたり、減ったりするのです。
今回の質問・採番ミスによる責任は、どこまで負う?
では、今回の質問に戻りましょう。
もし、通関業者が採番ミスをした結果、依頼者の納税額が増えたり、減ったりした場合の責任は、どのようになるのでしょうか? この点、現役の通関業者によると、次の通りです。
*業者ごとに運営方針はバラバラであることが前提です。
例えば、ある通関業者の場合なら、基本的に採番は、ダブルチェック体制で行っています。最初に通関士歴が少し浅めの人が行い、それをベテランがチェックしています。
また、AEO(認定通関業者)の場合は、ミスに厳しいため、採番により、大きく関税率が変わる可能性がある場合は、申告前に、必ず関税監査官に相談します。
- ダブルチェック体制
- 少し微妙な物は関税監査官へ
それでもミスが発生。加算額が発生した場合は?
上記の体制でも採番ミスが発生。不適切なコードにより、輸入諸税の増額があり、さらに過少申告加算税等が上乗せされた場合は、まずは事情を説明し協議に入ります。
協議の結果、通関業者ができる最大の妥協点は、加算税部分の負担のみです。仮に通関業者の採番ミスでも、本来の輸入所税額に修正されただけであり、加算部分以外は、当然、申告者(輸入者)が負担するべきだと考えています。
見解の相違を防ぎたければ事前教示を利用べし
このように税関や通関業者により、若干、見解が分かれる物は、輸入税額を確定させる意味(HSコードの確定)でも事前教示を利用するべきです。
事前教示×書面であれば、審査を担当する税関職員の見解よりも優先して適用されるため、HSコードの見解の差によるブレをなくせます。つまり、より正しい輸入原価計算ができます。
まとめ
- 通関業者の採番ミスは、ダブルチェック体制及び関税監査官への相談により発生し難い環境を整えている。
- 採番ミスにより納税額の過不足が発生した場合、通関業者は、加算税の負担が最大の妥協点
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