「海上輸送費や注意点などが知りたい。」
このような疑問や悩みをお持ちですか?
温度管理が必要で需要は高いのに、それを専門に解説した記事は、少ない印象です。そこで、この記事では、リーファーコンテナの「海上輸送費」について説明していきます。
具体的には….
- リーファーコンテナの海上運賃やその他費用
- ドライコンテナとの料金の比較
- CYカットやオープン、国内配送について
- リーファーコンテナの注意点や代替方法
といった内容を3分ほどで読めるように、わかりやすく書いていきます。
リーファーコンテナの海上運賃は高い!
海上運賃は輸出入量によって大きく変わります。毎月200本のコンテナを輸出入している人と年に数本のみ輸入している人とでは前者のほうがお得意様です。当然、海上輸送費も安いです。また、リーファーコンテナは、温度調整可能であり、運賃はドライコンテナに比べて高いです。
リーファーコンテナの海上運賃
現在、私は、リーファーコンテナを使い地中海から商品を輸入しています。そこで、今回は地中海地域から東京港へ船積みしたケースで海上輸送費をご紹介していきます。
普段は、ドライコンテナでの輸入がメインのため、リーファーコンテナの経験が少ない方です。ただ、これからリーファーコンテナで輸入を検討されている方の参考にはなるはずです。
地中海(スペイン、イタリアなど)~ 東京港のリーファー輸送の費用例
リーファー20F | リーファー40F | ドライ20F | ドライ40F | |
FOB(ALL IN) | JPY 30,000~JPY 35,000 | JPY 30,000~JPY 35,000 | ||
海上運賃 | JPY 420,000~JPY 450,000 | JPY 440,000~JPY 480,000 | JPY 115,000~JPY 161,000 | JPY 150,000~JPY185,000 |
AFR(出港前報告制度) | USD 40.00/BL | USD 40.00/BL | USD 40.00/BL | USD 40.00/BL |
日本国内側費用 | ||||
THC | JPY 42,000 | JPY 60,000 | JPY 32,000 | JPY 48,000 |
DOC | JPY 4,000 | JPY 4,000 | JPY 4,000 | JPY 4,000 |
D/O | JPY 5,000 | JPY 5,000 | JPY 5,000 | JPY 5,000 |
通関以降の費用 | ||||
輸入通関料 | JPY 11,800/件(基本的に自由化) | |||
輸入取り扱い料 | JPY 10,000/件(通関業者により差が大きい) | |||
配送料 | JPY 40,000 ~ JPY 50,000/コンテナ | JPY 20,000 ~ JPY 30,000/コンテナ | ||
MGシャーシ | JPY 25,000 ~ JPY 30,000/コンテナ | ー | ||
3軸シャーシ | ー | JPY 5,000~ JPY 10,000 |
- ※DOC(ドッグフィー)、DO(デリバリーオーダー)、輸入取扱手数料、配送料、各シャーシーには消費税加算される。
- ※税関検査、PSS(ピークシーズサーチャージ)など別途費用が発生する場合があります。
*海上運賃は状況により変動します。あくまで参考程度にお願いします。フォーワーダーや条件によって海上輸送費は異なりますので、数社に見積依頼することをおすすめします。
米国、香港のリーファーコンテナの海上運賃
米国西海岸や香港から東京港へのリーファーコンテナ代金の例は次の通りです。ここでもリーファーコンテナの運賃の高さがわかりますね!
米国西海岸~東京港 | 香港~東京港 | |||
20F | 40F | 20F | 40F | |
FOB(ALL IN) | JPY 500,000 | JPY 540,000 | JPY 180,000 | JPY 230,000 |
- ※FOB(ALL IN)に海上運賃も含めて記載
- ※AFRと国内費用は地中海と同料金
- ※税関検査、PSS(ピークシーズサーチャージ)など別途費用が発生する場合あり。
海上運賃だけじゃない、リーファーコンテナは他の費用も高い!
海上運賃以外の費用はどうでしょうか? 一般的なリーファーコンテナのフリータイム、デマレージ、ディテンションチャージをドライコンテナと比較してご紹介します。
リーファーコンテナのフリータイムとデマレージ(CYでの保管料)
前提条件として、利用する船会社や条件や料金は大きく変わります。ここでは一般的なフリータイム、デマレッジについて説明をします。
フリータイムとデマレッジ | ||||
コンテナタイプ | フリータイム(船が着岸した翌日から起算) | フリータイム後(土日祝日をカウント) | 20フィート | 40フィート |
ドライ | 6日間(最初の土日含まず) | 1~4日目 | ¥3,000~¥5,000/日 | ¥5,000前後/日 |
5~9日目 | ¥6,000~¥12,000/日 | ¥10,000~¥18,000/日 | ||
10日目以降 | ¥12,000~¥20,000/日 | ¥20,000~¥30,000/日 | ||
リーファー | 3~4日間(最初の土日含まず) | 1~4日目 | ¥8,000/日 | ¥13,000前後/日 |
5~9日目 | ¥20,000~¥25,000/日 | ¥30,000~¥35,000/日 | ||
10日目以降 | ¥35,000前後/日 | ¥50,000~¥60,000/日 |
:船が着岸した翌日より起算して4営業日(土日祝はカウントしない)までが CYに無料で保管できますがドライコンテナより短めに設定されているようです。
デマレージ:フリータイムを過ぎてもCYにコンテナを引き取らない場合は保管料が発生します。上記金額に消費税が加算されます。デマレージは土日祝日を含みます。リーファーコンテナのデマレージはドライコンテナの約2倍です。いかにリーファーコンテナの費用が掛かるのか分かりますね。
リーファーコンテナのディテンションチャージ
ディテンションチャージは、CYからコンテナを搬入先まで運搬し、期日までにコンテナをターミナルに返却しなかった場合に課せられる延滞料です。
ディテンションチャージ | ||||
コンテナタイプ | フリータイム(CYからコンテナを搬出した翌日より起算) | フリータイム後(土日祝日も日数のカウント対象) | 20フィート | 40フィート |
ドライコンテナ | 4日間(土日祝日はカウント対象外) | 1~5日目 | \1,000 前後/日 | \1,500~2,000/日 |
6~7日目 | \3,000 前後/日 | \4,000~6,000/日 | ||
10日目以降 | \5,000 前後/日 | \10,000 前後/日 | ||
リーファーコンテナ | 4日間(土日祝日はカウント対象外) | 1~5日目 | \3,000 前後/日 | \5,000~6,000/日 |
6~9日目 | \7,000~9,000/日 | \10,000 前後/日 | ||
10日目以降 | \12,000~15,000/日 | \10,000~30,000/日 |
ドライコンテナのディテンションチャージも船社や条件によってかなり差はありますが、どの船社もドライコンテナより高額です。
リーファーのCYカットやCYオープン、国内配送はどうなっているの?
CYカット日はドライと同じで出港日の前日または前々日です。CY オープンはドライの場合、出港日の7~10日前が多いですが、リーファーコンテナもドライと同じか1日遅いかです。但し、地域などによって異なりますのでフォーワーダーに事前確認したほうがいいでしょう。
リーファーコンテナの国内配送は、MGシャーシーを使います。(MG(発電機)付きシャーシー)コンテナの台座(シャーシ)に発電機を付けることにより、リーファーコンテナの冷却装置を稼働させたまま陸上輸送(日本国内配送)ができます。海上輸送費でMGシャーシーの金額も記載しておりますが、MGなしのシャーシーに比べてかなり高額です。
リーファーコンテナを輸送するドレー代金も高額です!
リーファーコンテナの注意点や困ったこと
リーファーコンテナで輸送する製品は食品が多いですが、私は壁紙やインテリア製品などを輸送する際にもリーファーコンテナを使用しています。なぜなら、欧州から東京までの船足は約40~45日と長く、その間に密閉されたコンテナの中で製品が劣化してしまうからです。
赤道付近を通過する際はドライコンテナだと熱で製品の変色や壁紙の表面の一部がしわになったり、結露などでカビが生えたりします。リーファーコンテナだと温度が調整出来るので、このような問題がおきません。このように、リーファーコンテナは、非常に優れた機能を持っています。しかし、いくつかの注意点もあります。以下、4つがその代表例です。
- 輸送費が高い。
- ブッキングが困難
- 湿度の調節はできない。
- ラッシングが困難な場合がある。
1.輸送費が高い
これは既出ですが温度調整機能が付いており、輸送中の電気代も含まれているためドライコンテナに比べて輸送費が非常に高いです。
2.ブッキングが困難
リーファーコンテナは本数が少ないためブッキングしづらいです。特に20フィートは数が少ないので注意が必要です。早めにフォーワーダーへブッキングすることをおすすめします。
通常のドライコンテナよりも予約できる枠が少ないです!
3.湿度の調整はできない
温度の調整はできますが湿度の調整まではできません。湿気が気になる場合は乾燥剤や除湿剤をコンテナ内に入れたほうがいいかもしれません。
コンテナの除湿剤には、様々な製品があります。「コンテナ 除湿」等のキーワードを使い、探してみましょう!
4.ラッシングできない場合がある
荷崩れ防止のためロープやワイヤーなどでラッシングをします。比較的軽量で壊れにくい物だと問題ないのですが、重量物で破損しやすい製品だと床に釘を打って固定させられます。しかし、ドライコンテナの床(木材)とは異なり、リーファーコンテナの床はアルミ製の断熱材が敷かれているため重量物のラッシングが特殊な方法となり難しいです。
リーファーコンテナの代替方法はある?
チーズなどの食品は、常に温度を保つ必要があるため、リーファーコンテナが必要です。特にワインは、リーファー輸送で運ばれたことを証明するために、ワインラベルに「リーファーコンテナ番号を記載すること」ほど、保温輸送にこだわることが多いです。
しかし、私が扱っているインテリア関連に限れば、赤道付近の暑い地域を通過するときのみ製品のダメージが発生する可能性が高いため、リーファーコンテナを使用しないこともあります。ドライコンテナの床と側面にサーマルブランケット(断熱材)を貼って温度変化を防ぎます。
温度変化により腐敗する製品は、リーファーコンテナを使います。しかし、そこまで温度に敏感でない製品は、コスト面との兼ね合いで慎重に選んだ方が良いです。実は、ドライコンテナを使い、リーファーコンテナのように輸送ができる特殊な発泡スチロールのコンテナや遮熱シート等もあります。
いくつかの選択肢をテーブルの上に並べて、最適なコールドチェーンを築きましょう。もし、よろしければ、リーファー博士の有料相談サービスも提供しています。
まとめ
リーファーコンテナの料金を中心に配送やメリットデメリットをご紹介いたしました。あくまで目安として参考にしていただければ幸いです。
海上輸送費、フリータイム、デマレージやディテンションチャージは船社やフォーワーダーによっても異なります。また地域、利用状況や経済状況によっても変動します。必ずフォーワーダーなど海貨業者に確認してください。3社ほど複数社に見積依頼をし、信頼できる業者に依頼するのがベストだと思います。
- リーファーコンテナを使えば、温度を維持しながら貨物を運べる。
- リーファーコンテナ=食品と考えるのは間違い。実は、他にも適用している製品がある。
- リーファーコンテナの輸送料金やその他の費用はとにかく高い。
- デマレッジ、ディテンション等もかなり高額。