為替予約の仕組み 輸出者と輸入者のリスクとは?

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日本国内では「円」が使われます。ヨーロッパでは「ユーロ」ですね。外国と貿易をするときは、日本円やユーロの他「アメリカドル」が使われます。もし、あなたがアメリカの会社であれば、貿易のお金を自国の通貨で決済ができるため、とても便利です。しかし、これが日本企業やヨーロッパの企業であれば、いかがでしょうか? もちろん、米ドルで支払いを受けたとしても、自国で使うことができないため円(自国の通貨)などに交換する必要があります。

この外国通貨同士を交換することを「為替(かわせ)」と言います。為替の仕組みによって、外国の通貨で貿易をしても問題がないようになっています。

例えば、1ドルが100円の場合、あなたが1ドル札を持っていると、日本の100円に交換できます。逆に日本の100円を持っているなら、1ドル札が手に入ります。「いくらをいくらで交換できるか?」という相場は、常に変化します。そのため、この変動によっては、同じ金額の外国通貨を所有していたとしても損することがあります。特に大きな金額をやり取りする貿易では、この為替の変動が大きな収益の違いとなって現れやすいです。

そこで、この記事では、外国為替が変動しても影響が小さくなる「為替予約(かわせよやく)」の仕組みをご紹介します。

為替の予約をしてリスクを小さくする方法

為替予約の説明に入る前にもう一度、為替の仕組みについて簡単に説明をします。為替は、外国のお金同士を交換することです。

例えば、あなたの会社は日本企業であり、この度、ベトナムの会社と取引を始めるとします。日本国内では「円」が利用されています。一方、ベトナムでは「ドン」を利用しています。お互い使っている通貨が違うため「何かの通貨」に統一して取引する必要があります。それが円でも良いですし、ドンでも良いです。しかし、多くの貿易取引では、世界で最も普及している「米ドル」を通して行うことが多いです。

具体的には「インボイス(価格と数量を記載している明細書)」と呼ばれる書類をアメリカドルで作成します。日本やベトナムの会社は、この米ドルでお金のやりとりをします。このとき、一つだけ問題になることがあります。それは、お互いの国(日本やベトナム)では、貿易で受け取った米ドルをそのまま使うことができないことです。そこで「通貨の交換」が重要になります。

通貨の交換とは、外国のお金から自国の通貨にすること、または、自国の通貨から外国の通貨へ交換することを言います。では、先ほどの日本とベトナムでの貿易取引を参考にして考えてみましょう。今回は、日本の企業がベトナムの企業に対して、輸出をして米国ドルを取得したとします。この場合の日本側とベトナム側の視点で考えてみます。

まずは、貿易取引をベトナム側から見てみましょう。ベトナムは、物を購入してお金を「支払う立場」です。支払いは「5000USD」であるため、まずはベトナムのお金である「ドン」から「米ドル」へ交換することが求められます。ベトナムの輸入者は、銀行に対して、ベトナムドンを売却して「米ドル」を購入します。その後、この米ドルを日本の輸出者へ支払います。

次に日本側の立場です。こちらは貿易取引によって、物を輸出する代わりにお金を受け取ります。今回の取引では、ベトナム側から5,000USDを受けとることになっています。しかし、この米ドルの支払いを受けたとしても、そのまま日本国内では使えません。そこで、この通貨を米国ドルから日本円へ交換します。このとき、アメリカドルと日本円をいくらで交換できるのか?を示した物が「外国為替相場」です。この交換によって、日本企業は「円」を手に入れます。

これで輸出者と輸入者の双方の取引が完了したことになります。今回の一連の流れにおいて、日本の輸出者は、米ドルから日本円へ交換。ベトナムの輸入者は、ベトナムドンからアメリカドルを交換したことなります。これが貿易取引における一般的な流れです。ただ、この中で忘れてはならないポイントがあります。それが「外国為替レートの変動」です。

外国為替レートとは、自国の通貨と外国の通貨を交換するときの基準になるものです。これが高くなったり、低くなったりすることで、外貨を交換した後の収益が変わってきます。つまり、儲かる額が大きくなるのか? 小さいのか? が決まることになります。では、この為替変動の部分をもう少し詳しく見ていきましょう。

為替相場は、常に変動します。

為替相場とは、外国の通貨同士を「いくらで交換するのか?」を決めることです。ニュース番組などでは「今日は円安、円高~一ドルは100円」などと聞きます。まさに、これが為替相場を説明している言葉です。具体的な貿易取引で考えてみましょう。

例えば、1ドル=100円が為替レートだとします。日本の会社であるAは、アメリカの会社であるBへ「りんご」を輸出します。価格は、1000ドルです。つまり、売り手がA社、買い手がB社です。

アメリカのB社が日本のA社に対して1000ドルを支払えば、A社は100,000円(1000ドル×100円)の売り上げになります。このとき、もし、為替レートが「1ドル=80円」になったとしたらいかがでしょうか? アメリカのB社は、同じように1000ドルを支払うだけです。これをA社が日本円へ交換すると、80,000円(1000×80円)の売り上げしかたちません。この場合、同じ商品、同じ金額を受け取っているのに「最終的なお金」が変わることになります。

外為法 hunade

下の図をご覧下さい。右にある赤枠が為替レートです。刻一刻と為替レートが変化していることがわかりますね。貿易をするときは、この為替相場を参考にしながら、ある程度、為替が変動したとしても儲けが出るようにしています。

Hunade

画像:ソニー銀行株式会社

同じ商品金額を受け取っていたとしても「為替レートの変動」によって、最終的な収益部分が変わります。

未来の為替変動のリスクを小さくするには?

貿易で外国の通貨を受けるときは、その通貨の「レート」がポイントになることがわかりました。あなたが輸出者側の場合は、外国のお金から日本のお金に変更するため、なるべく円の価値が低くなる方が得です。円の価値が低くなるとは、1ドルが100円の時より、1ドルが130円の方が良いということです。もし、輸入者であるなら、この逆がメリットになります。

このようなことを考えると、外国為替レートの未来における動きを読む力が大切だとわかります。しかし、実際、このような予測は、プロの投資家ですら難しいです。そこで、貿易取引においては「為替予約(かわせよやく)」と呼ばれるサービスを使って、為替が変動するリスクを小さくしています。

為替予約とは?

為替予約とは、未来の決まった時期に、あらかじめ決めたレートで外国通貨を交換できるサービスのことです。

例えば、あなが輸出者だとしましょう。何だか外国相場の動きが激しいです。約2週間後には、10000ドルが入金される予定ですが、急激に円高(1ドルは100円から1ドルは80円などになること)が進んでいます。このままいくと、2週間後には、現在の1ドル100円が90円になっている可能性が高いです。そこで、このリスクを避けるため、取引先の銀行で「為替予約」をしておきます。

為替予約をすれば「二週間後の〇〇月〇〇~〇〇月〇〇日の間であれば、1ドルは〇〇円で交換する」という約束をしてもらえます。つまり、この予約さえしておけば、万が一、1ドルは90円どころか80円や70円になったしても安心です。今、説明したのは輸出者での為替予約のメリットです。

一方、輸入者としての予約をいかがでしょうか? こちらの場合も同じく外国の変動リスクを小さくするためにあります。輸出の場合と違うのは、外国為替が「円安方向(1ドルは100円から120円になること)」になることが脅威になる点です。

例えば、1ドルが100円のときに、5000ドルの取引をするとします。このときのレートであれば、輸入者は500000円(5000ドル×100円)を支払えばいいですね。では、仮に1ドルが120円になると、いかがでしょうか? この場合であれば、600,000円(5000ドル×120円)を支払わなければなりません。為替レートが20円変動すると、それを円に換算すると、とても大きな負担になることがわかります。

この事例でもわかる通り、輸入者の立場であっても為替予約は必要です。具体的には、正式な契約書を結んだ時点で、必要な金額の為替予約をしておきます。これで、仮に実際の支払いのタイミングで円安(100円→120円)になっていても、あらかじめ予約しておいたレートで外貨を手に入れられるため、安心です。この説明を図にした物が以下になります。

Hunade

売り手における為替予約の実務

では、実務上、為替予約は、どのように利用するのでしょうか? ここでは売り手の立場で考えてみます。貿易決済を安全に行う「L/C決済」は、輸出者が船積みと貿易書類を用意します。輸出者は、この2つが用意できた時点で、取引先の銀行に船積み書類の買取をお願いすることになっています。つまり、輸出者は、この船積みを終えてから銀行へ持ち込むまでの期間を指定して為替予約をしておきます。仮に船積み後、一週間後であれば、その期間に決めた為替レートで交換ができいます。

為替予約をするには、どうしたらいいの?

為替予約をすると、為替の変動リスクを小さくすることができます。では、実査に為替予約を利用するには、どのようにすればいいのでしょうか? この場合は、最初に銀行に対して「先物外国為替取引の約定書」を差し入れます。その後は、予約するたびに、為替予約表などを差し入れます。最近では、ネット上から簡単に申し込みなどもできます。いずれにしろ、普段から取引をしている銀行と相談するようにしましょう。

為替予約で関係する2つのレートとは?

為替レートには、TTBとTTSというレートがあります。TTBは、銀行が外国通貨を買って円を売るときのレートです。TTSは、銀行が円を買って外国通貨を売るときのレートです。つまり、輸出者であれば「TTB」、輸入者であれば「TTS」が大切になります。

まとめ

貿易取引と為替レートの変動は切っても切れない縁です。なぜなら、レートの変動によって日本円換算後の収益が変わってくるためです。この為替レートは、刻一刻と変動するため、中々、先を読むことは難しいです。そこで為替予約をします。為替予約をすれば、未来の為替レートがどのようになったとしても、あらかじめ確定したレートで交換できるため、安心です。あなたが輸出者、輸入者のいずれの場合であっても、為替予約を行い、為替レートの変動リスクを小さくした方が良いです。

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