貿易の「一問一答コーナー」、今回は、海外からアンティーク銀器を販売する方からの質問です。
■質問内容メッセージ: 欧米から輸入したアンティーク銀器を販売(オンラインと催事)しております。設立2年目です。
“ebay”で仕入れをしており、仕入先は個人・個人事業主です。品物は5万円前後のものが大多数であり、数点合計しても20万円を超えたことは一度もありません。「国際郵便」「FEDEX」「UPS」で送られてきます。これまで「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」は受け取ったことはありません。
「輸出入者コード」はまだ取得しておりません。
観賞用・装飾品と明記して販売しておりますが、食器の形状をしたアンティーク品(カトラリー類/皿)については「食品等輸入届出書」「確認届」を提出は必要でしょうか?必要であればどの様に対応すれば良いかお知らせください。
質問者様:合同会社V●●●●●L様
食器は、常に食品検疫の対象なのか?
海外から食器類を輸入する場合、税関とは別に、食品検疫所から「食品届出済証」を受け取る必要があります。食品届とは、食品衛生法に基づき、食べ物の他、人が口に含む可能性があるすべての物を規制する仕組みです。
今回、ご相談される商品は「銀器」とのことですから、原則、食品届が必要です。しかし、適用外のケースもあります。
食器を「食器以外の方法で利用」することが前提の場合です。
ポイントは使用の目的にあり!
同じ食器でも食品検疫の対象になる場合とならない場合があります。違いは、使用目的にあります。
例えば、輸入後に…….
- 鑑賞して楽しむ
- 食器として使う
この2つの目的を比較した場合、1番は、そもそも口に入れないため、安全性を確認しなくてもいいですね! 2番は、食器として使うわけですから、体に有害な成分が含まれているのか?どうかの確認が必要です。
同じ「食器」を輸入する場合でも、輸入後の目的によって、規制対象になるのか、ならないのかが変わります。
- 鑑賞用として使用する場合は、食品届は不要
- 食器として使用する場合は、食品届は必要
確認願とは?
とは、食品届の必要性を判断するための仕組みです。実務上は、このように求められることが多いです。
- 税関への輸入申告→ 通常、食品届が必要な貨物だけど食品届出済証がない。
- 税関から質問を受ける→ 「なんでこれ、食品届出済証ない?」
- 輸入者→ 理由を説明する
- 税関→ 「うーん、ちょっと微妙だから、食品検疫所から確認願をもらってきて」
- 輸入者が食品検疫所に事情を説明し、確認願を発行しもらう。
- 輸入者→ 税関 確認済証を提出して、問題がないことを証明する。→ 輸入許可
このような流れが多いです。上記の事後的なやり取りを避けたい場合は、輸入日よりも前の日から、最寄りの食品検疫所に相談をして、確認願いの発行を受けておいた方がいいと思います。
スムーズな通関のためには、事前に準備が大切。申告時に指摘されたら~の戦法でもありですが、スマートではないです。少し微妙な商品は、あらかじめ、確認願を受けておくことをお勧めします。
参考情報:石鹸の輸入
今回と似たケースとしては「石鹸」があります。石鹸は、薬機法の規制対象のため、基本的に輸入不可。「雑貨」として申告すると、輸入ができます。実際、部屋の消臭目的で石鹸を使う方もいらっしゃるため、使用目的としてはあり得ます。
但し、申告時に雑貨として申告をしたものの、実際は、目的外に使用する前提で販売する場合は、虚偽の申告です。税関等は、石鹸のラベル部分の説明書き、販売サイト(URLの提示)などを含めて総合的に判断します。
例えば、税関申告時は、雑貨としているのに「よく泡立つ」「汚れが落ちる」「お肌にやさしい」等の記載があるのはおかしいですよね。そういう辻褄が合わない部分は、どんどんとツッコミを入れてきます。必要な場合は、税関検査を実施し、実物の確認もします。現物を確認して輸入不許可の場合は、全量破棄(滅却)またはシップバックに至ります。それほど、厳しいです。
どのような場合でも虚偽の申告は許されないです。正しく申告をしましょう!虚偽申告による全ての責任は輸入者にあります。
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