日本銀行が長年続けてきた低金利政策を見直し、利上げに踏み切ることで、円高への動きが加速しています。これにより、輸出企業は新たな戦略を求められています。特に、海外市場での競争力維持や価格設定の見直しが急務となるでしょう。
この記事では、円高の影響と輸出企業が今すぐ考えるべき対策について解説します。
円高が小規模輸出企業に与える影響とは?
急激に円高が進んでいる
2025年2月10日現在、一ドルは151円30銭前後。数週間前の相場とはがらりと雰囲気が変わり、急激な円高にシフトしています。日経平均も38700円前後であり、専門家が言うには強烈な「売りシグナルが出ている」とのこと。日銀はさらなる政策金利の引き上げを予定しているようで、より一層、円高に進むのかな?と予想しています。
このような状況の下、小規模事輸出者は、どのようにすればいいのでしょうか?
そもそも円高とは?
円高とは、円の価値が他の通貨に比べて上昇することです。(例:120円→100円へ変化)
例えば、1ドル120円だった為替レートが1ドル100円になると、同じ製品をアメリカに輸出する場合、日本円での売上は減少します。これにより、輸出企業の利益率が低下し、競争力の低下を招きます。
特に、従業員10人以下の小規模輸出企業にとっては、円高による価格競争力の低下が死活問題となる場合があります。大企業であれば、生産拠点を海外に移すことや、ヘッジ戦略を駆使することが可能ですが、小規模企業にとっては現実的な選択肢ではありません。そのため、より現実的な戦略を考えなければならないです。
為替変動に対する戦略(為替予約又は通貨オプション)
為替変動に対するリスクヘッジで最も有効な方法は、為替予約又は為替オプションです。
為替予約とは、将来の為替レートを固定し、円高によるリスクを軽減する仕組みです。例えば、「3ヶ月後に1ドル=110円で換金する」などの予約を行えば、円高が進行しても一定のレートで資金を円転できます。為替予約は、主要な銀行や一部のオンライン決済サービス(例:Payoneer)でも利用可能です。これは特に長期的な輸出契約を結ぶ場合に有効です。
また、通貨オプションも為替変動の影響を小さくします。
通貨オプションとは、特定のレートでの取引を確保しつつ、為替が有利に動いた場合にはその権利を行使するのか?しないのか?を決められる仕組みです。この方法は、小規模企業でも導入できます。
すでに外貨を受け取っている場合の対応方法
もし、PAYPALなどですでに外貨を受け取っている場合は、次の方法により為替変動のリスクを小さくできます。
1. 一括換金を避けて、分散換金を行う
急激な円高リスクがあると予想される場合、一度に全額を換金するのではなく、数回に分けて換金することでリスクを分散できます。
例えば、月に3回程度、異なるタイミングで一部ずつ換金するなど。
2. 両替手数料の安い方法を選ぶ
PayPalは日本円に換金する際に高めの為替手数料が発生するため、直接円転せず、WiseやRevolutなどの低コストな送金サービスを経由して換金すると、より有利なレートで円転できます。
3. 外貨をそのまま使う(ナチュラルヘッジ)
もし海外サプライヤーとの取引や、海外での事業展開を考えている場合、外貨をそのまま保有し、仕入れなどに直接使用することで、円転する必要がなくなります。特に、海外から商品を輸入している企業であれば、外貨での支払いを活用することで、円高リスクを軽減できます。
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輸出入をする人は、意外にこの方法が有効です!
小規模輸出企業の円高対策
その他、以下の方法も円高対策として有効です。(輸出者目線)
戦略1.付加価値の高い製品へのシフト
価格競争を避けるため、製品の付加価値を高めることが重要です。
例えば、京都の伝統工芸品メーカーA社は、円高の影響で海外のバイヤーからの発注が減少しました。しかし、独自のデザイン性と職人技を強調し、「日本の文化を体験できる高級ブランド」として再ブランディングを行い、価格競争を回避することに成功しました。特に、富裕層市場や品質重視の消費者をターゲットにすることで、円高の影響を最小限に抑えられます。
戦略2.海外販売チャネルの多様化
D2C(Direct to Consumer:消費者直販)
も有効です。
例えば、オーガニック食品を製造する場合、AmazonやEtsy、Shopifyなどの海外プラットフォームを活用し、直接海外の顧客に販売することで、中間業者を省いて利益率を確保できます。
戦略3.輸出先の分散と新興市場の開拓
小規模企業は、輸出先の分散も効果的です。
例えば、これまでアメリカとヨーロッパを主要市場としていた所、ベトナムやインドなどの新興国市場を狙うなど。特に成長市場への進出は、円高の影響を軽減し、安定した収益を確保できます。
戦略4.サプライチェーンの見直しと地産地消の活用
サプライチェーンの見直しも有効です。
例えば、アパレルメーカーならベトナムに生産拠点を分散させ、一部の製品はアメリカ国内で製造する「地産地消」モデルをつくるなどです。現地生産、現地販売により為替の影響を無くします。
戦略5.クラウドファンディングを活用する
小規模企業が新たな市場に進出する際、資金調達が課題になることがあります。これに対しては、クラウドファンディング等の活用が有効です。
まとめ
円高の進行により、日本の小規模輸出企業は厳しい環境に直面していますが、適切な対策を講じることで競争力を維持することが可能です。価格競争に依存せず高付加価値を追求する戦略や、海外販売チャネルの多様化、輸出先の分散、地産地消の活用、クラウドファンディングによる資金調達など、多角的な視点での対策が求められます。特に、ECやデジタルマーケティングを活用し、直接海外の顧客とつながることで、円高の影響を受けにくい販売戦略を構築することが重要です。
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