中国の貿易権(対外貿易流通経営者権)とは、海外と貿易をする権利です。この権利の有無により、中国企業は、中国から輸出ができるのか?が決まります。
- 貿易権なし=中国から、自社で輸出ができない。
- 貿易権あり=自社で輸出ができる。
貿易権がない企業が輸出をする場合は、貿易権がある会社名で輸出します。これは、完全自由、誰ても輸出者になれる日本とは決定的に違う点です。
この記事では、中国企業による中国から輸出(日本視点=輸入)を中心に説明しています。しかし、貿易権は、別称、輸出入ですから、中国への輸入(日本視点=輸出)にも関係してきます。
中国・貿易権がない売り手とはEXWを!
中国のサプライヤー(売り手)に問い合わせをすると「弊社は、貿易権がないから輸出ができない」といわれることがあります。これは、どのような意味でしょうか?
中国からの輸出は貿易権が必要
日本であれば、輸出に関して特別な許可等は不要です。一部の商品を除けば、誰でも輸出ができます。しかし、中国では、この輸出行為自体が「貿易権」で制限されています。
- 貿易権あり=輸出ができる。
- 貿易権なし=輸出ができない。
完全自由に輸出ができる日本とは大きく違います。
実務上で発生する問題
中国側の貿易権の有無は、輸入実務をする上で関係してきます。
例えば、中国側から「ABC」という商品を仕入れたいとしましょう。この製品を作る中国国内企業と取引をする場合は、まず「貿易権の有無」を確認します。
仮に貿易権がない場合は、取引を断られるか、貿易権を有する会社を通しての取引を勧められます。どのような取引形態でも、中国企業との取引の前提は「貿易権」です。
貿易権は非常に細分化されている
実は、貿易権は、非常に細分化されています。
例えば、ABCという商品の貿易権を所有しているからといって、BCDやXYZなどの商品の貿易権があると判断できないです。多様な商品があるように、貿易権も細分化されています。
貿易権は非常に細分化されています。
対象商品の貿易権があるかを確認する方法
では、取引相手が輸出商品(日本目線:購入予定の輸入商品)について貿易権があるのかは、どのように確認すればいいのでしょうか? 正確な方法は、次の通りです。
- HS CODE NO.(税関統計品目番号)
- MSDS上の正式な商品名
- B/L上の英文商品名
まず、対象産品のHSコードを確認します。その後、化学製品系であればMSDS(安全データシート)B/L(船荷証券)で記載する商品名等などの情報を基準にすると、中国の企業が対象産品の貿易権を有しているかを確認できます。
貿易権がない売り手とはEXWで取引をしよう!
もし、中国の売り手が貿易権(輸出権)を有していない場合は、その業者とはEXWで契約をします。EXWでは、売り手は、中国側の倉庫や工場で貨物を引き渡せるので取引を成立する可能性が高いです。
工場の引き渡しや中国の輸出部分の対応方法
売り手は、EXWで取引をして中国国内で貨物を引き渡します。EXWですから、貨物の引き渡しから先の部分(中国国内配送+通関を含む)は、買い手により手配が必要です。このときに利用するのがノミネーションフォワーダーです。
ノミネーションフォワーダーに依頼をすれば、中国側の貨物の引き取り手配から、中国国内輸送、さらには、貿易権を有する会社としての輸出にも対応しています。ノミネーションフォワーダーを活用することで、貿易権(輸出権)を有しないサプライヤーとの取引も可能です。
中国のサプライヤーの住所から日本の指定住所まで国際輸送する全手順を解説!
貿易権は利権。代行会社と物流会社を切り離すことは難しい!
但し、サプライヤーが日本側が手配するフォワーダーを受け入れるのかは別のお話です。貿易権は、利権です。既得権益や特権的な側面が強いため、非常に強い縛りがあります。
例えば、代行会社Aが使う物流会社はBなどです。AとBは蜜月の関係であるため、Bを外してAと取引をするなどを拒否することもあります。このような場合は、色々と結託行為を仕掛けてくる可能性が高い為、そもそも取引を見合わせたが方が無難です。
まとめ
- 中国には貿易権が存在する。
- 中国の企業と直接取引をする場合は、貿易権が関係する。
- 代行会社(総合商社)と物流企業は蜜月関係