中国から商品を輸送する際は、インコタームズに悩みます。一体、何が良いのでしょうか? 弊社は、EXW>>FOB>>CIFの順に検討されると良いと思います。特に中国からCIFで輸入することは、全くお勧めはしません!
この記事では、中国から商品を輸入する際、CIFをおすすめしない理由を説明します。
中国輸送×インコタームズはCIFを選ばない方が良い!
中国から商品を輸入する際、インコタームズは、EXW又はFOBを選んだ方が良いです。理由は、中国サプライヤーと中国フォワーダー結託を防止するためです。
結託とは、どのような物なのでしょうか? その解説を始める前に、まずは、中国貿易で良く利用されるインコタームズをご紹介します。
中国貿易で利用が多いインコタームズ
FOB (Free On Board)
FOBは、中国側の港に停泊する本船の甲板で貨物の引き渡しが行われます。FOBを選択することで、輸入者(買い手側)は、国際輸送と海上保険を自分で手配できます。このときに選択するフォワーダーをノミネーションフォワーダーと言います。
ノミネーションフォワーダーを選択することで、買い手側は、フォワーダーを自由に選択できる。輸送ルートを自由に組み立てられることが魅力です。=自由度が増す。
- 売主(中国側)=中国側の本船に貨物を積み込むまでの責任を負う。
- 買主(日本側)=本船の積み込み以降の全ての費用と責任(海上輸送、保険、通関)
CIF (Cost, Insurance and Freight)
CIFは、輸入港到着までの輸送費、保険が含まれる条件です。売り手側が国際輸送や保険手配をしてくれるため、買い手としては楽な条件です。但し、これは、国際輸送の手続きの主導権を握られることを意味します。
- 売主(中国側)=輸出通関、海上輸送と保険手配をする。
- 買主(日本側)=日本側の港費用、通関代、国内配送代
EXW (Ex Works)
EXWは、中国側の工場や倉庫などの特定の施設で貨物を引き渡す条件です。
- 売主(中国側)=特定の施設で貨物を引き渡すだけです。
- 買主(日本側)=貨物の受け取り後、全ての手続きと費用負担が必要
基本は上記3つのいずれかで見積もりを提示されることが多いです。買い手は、これらのインコタームズの特徴を理解し最適なものを選ぶようにします。
しかし、実際、中国側のサプライヤーは、CIFの条件で取引を持ち掛けることが多いです。その理由は、サプライヤーとフォワーダーの結託ビジネスにあります。
中国輸入では、CIFを避けた方が良い理由
- 中国のサプライヤー(販売者)=A
- 日本の輸入者(買い手)=B
- 中国側のお抱えフォワーダー=C
例えば、中国のサプライヤーA社から日本のB社が輸入するとしましょう。このとき、中国のサプライヤーA社は、お抱えのフォワーダーC社などがいます。つまり、サプライヤーAは、フォワーダーCを使う前提の下、日本のB社にCIF価格を提示します。
この時、フォワーダーCは、このようなことをする可能性があります。
- 中国側の輸送費用を日本側に支払わせる。
- 貨物をロックする。
1.中国側の費用を日本側に支払わせる。
- 本来、中国のサプライヤーAが負担するべき輸送費用をゼロにする。
- 日本のB社は、輸入時にA社が負担するべき輸送費用を払わされる。
具体的には、日本側で貨物を受け取る際に発行されるアライバルノーティスの請求項目の中に、本来、中国側のA社が負担するべき費用を加えているのです。日本のB社は、日本の港までの貨物を到着させる条件で、すでにサプライヤーに送金しています。ですが、この結託行為は、サプライヤーにも、フォワーダーにも送料を二重で払わさられることです。
2.貨物をロックする。
貨物のロックとは、B/Lのコンサイニー欄(荷受人)が、フォワーダーC(●●代理店など)など、本来の輸入者以外の名義(上記の場合は日本のB社)になっていて、貨物が留め置かれることです。
非常に簡単に表現すると、フォワーダーC社から「貨物を受け取りたければ、余分に料金を支払え(シッパーへの料金とは別)」と、物理的に留め置かれて追加の諸費用を請求されます。しかも輸入側の港に到着したときに通知をしてくるため、引き取りまでの時間の関係から、嫌々、払わさられることがあります。
上記2つの仕組みは、中国側の販売者とフォワーダー(代理店)による結託行為によるものです。CIFは、あらゆる部分で過大に請求をして、その利益を両者(中国側の販売者、フォワーダー)で分かちあう仕組みです。
特にCIF以外の取引は拒否するようなサプライヤーとは付き合わない方が良いです。上記の結託にはめ込まれる可能性があります。
輸送の主導権を自社へ。他社に依存する部分を減らすことが大切
この結託行為から逃れるために、インコタームズはFOB又はEXWがおススメです。上記の説明の通り、FOBで契約をすれば、中国側の港までの手配は輸出者が行います。輸入者(買い手)は、中国側の港から先の手配を自社がお付き合いをするフォワーダーに依頼します。これにより、中国側のサプライヤーやフォワーダーが付け入る隙がなくなります。
純粋な商品価格を比較したければ、EXWを選ぶべき
もし、可能であれば、FOBよりもさらに売り手側で取引をするEXWをおすすめします。EXWは、中国側の施設から先の全ての費用と手続きが必要です。逆に言うと、純粋に商品価格で比較検討ができる為、サプライヤーに価格競争力があるのかを判断できます。
EXWは、CIFと比べて輸送知識が必要です。本来は、初心者向きではないタームであることは間違いないです。ですが、最近では、中国の郵便番号や住所と日本側の郵便番号を指定するだけで一気に国際輸送をしてくれるサービス(中国側の引き取りサービス)もあります。これを使えば、貿易初心者であってもEXWでの取引を実現できます。
余談:見積を取得する上でのインコタームズの重要性
例えば、今、ある商品を購入しようとしているとしましょう。
- A社は、一つ5ドル(EXW)
- B社は、一つ6ドル(FOB)
上記は、どちらのサプライヤーの方が価格競争力があると思いますか? 当然、答えは、わからないです。但し、少なくてもB社の価格が高いからといって、A社よりも価格競争力がないとは言えないです。理由は、インコタームズが違うからです。
インコタームズ上、上記の2つは、商品の引き渡し場所が全く違います。販売者側の負担するべき費用や義務等も違う為、当然、価格差があります。
中国のサプライヤーから見積もりを受け取る場合は、必ず見積条件を揃えましょう!
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