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関税ゼロでも損?EPAを“あえて使わない”という輸出判断3つの基準

EPA(経済連携協定)を活用すれば、関税がゼロになる可能性がある——多くの輸出者がそう考えるのは自然なことです。しかし、実務の現場では「EPAを使わない方が得をする」「使わなかったことでトラブルを回避できた」というケースが珍しくありません。

本記事では、EPAを“あえて使わない”方が合理的となる3つの判断基準を解説します。小規模な輸出事業者にとって本当に役立つ判断軸を手に入れましょう。

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なぜ「EPA=得」とは限らない?

EPAは、協定に基づいて関税が免除または軽減される制度です。多くの輸出者は「使えるなら使った方がいい」と思いがちですが、実際には原産地証明の準備や通関でのリスク、相手国側の事情などによって「使わない方が結果的にスムーズで安価だった」という判断に至るケースもあります。EPAを活用するかどうかは、金額や手間だけでなく、相手国の制度理解度、書類不備によるリスク、納期の制約など、総合的な観点から判断すべきです。

証明書取得コストが商品価格に見合わない

EPAの利用には、原産地証明書の取得が必要です。商工会議所を通じて発行してもらう場合や、自社で発行する自己申告制度でも、作成には一定の時間とコストがかかります。

たとえば、1件あたり3,000円から1万円程度の手数料が発生し、書類作成・確認のために半日から数日かかることもあります。これが1回の輸出取引において1万円以下の商品や、ロットが少ない取引であれば、関税をゼロにしたとしても全体コストで見ると「逆に損」になる可能性があります。

また、証明書作成に不慣れな場合、書類の不備による修正や再提出が生じることで、さらにコストと時間がかかることもあります。実際に、証明書の不備により再発行を求められ、1週間以上の遅延と再送料を負担した事例も報告されています。小口・少額取引をメインにしている小規模事業者にとっては、こうした負担が無視できない要素になります。このような場合、「通常輸出」を選ぶ方がシンプルでリスクも少ないのです。

納期遅延リスクがある

EPAを利用するには、輸出書類に加えて原産地証明書を相手国の税関に提出しなければなりません。このプロセスにおいて、書類に不備があると、通関がストップし、バイヤーに貨物が届くまでに大幅な遅れが生じることがあります。

例えば、書類の不備によって輸入通関が保留となり、予定納期より10日以上遅れたケースもあります。特に食品や季節商品のように納期が厳密に定められている場合、関税をゼロにできたとしても、納品遅れによる信用失墜や取引キャンセルの方が損失が大きいです。

加えて、EPAを利用した通関では、相手国の税関担当者がEPAに慣れていないケースもあり、かえって審査が長引いたり、意図しない追加書類を求められることもあります。このような予測不能なリスクを考慮すると、多少の関税を支払ってでもスムーズな通関を選ぶという判断が、実務者としては合理的です。

相手国バイヤーがEPAを望まないケース

輸出側がEPAを使いたくても、相手国の輸入者がそれを望まない場合もあります。

例えば、現地税関へのEPA適用申告に慣れていない、EPA適用による業務が煩雑になる、あるいは原産地証明の言語が日本語であることから処理が困難といった事情が理由です。

また、相手国によっては、EPAを使うことで、かえって輸入側が税関から厳しくチェックされることを嫌がるケースもあります。実際に、ASEAN地域ではEPAによる輸入品に対して追加の書類審査を求める国も存在します。そのため、商談の初期段階で「EPAを利用する予定があるか?」「原産地証明書を提出する必要があるか?」といった点を事前に確認することが重要です。

EPAを使うべきケースとの比較

一方で、EPAの利用が非常に効果的なケースもあります。

例えば、輸出金額が数十万円を超えるような取引で、関税が10%以上かかる場合や、バイヤー側がEPAの仕組みに精通しており、それを前提に価格交渉をしている場合などです。

また、繰り返し輸出が発生する商品であれば、最初に原産地証明の体制を整えておくことで、今後の取引コスト削減に大きく寄与する可能性もあります。したがって、「EPAを使うべきかどうか」は、その都度の取引条件や相手先の事情を踏まえて判断すべきです。

まとめ

  • EPAは使えば得とは限らず、証明コストや納期リスクを考慮すべきです。
  • 少額輸出や1回きりの輸送では、通常輸出の方がトラブルが少なく結果的に安くなる場合もあります。
  • 相手国の税関対応状況やバイヤーの意向も判断材料に含めるべきです。
  • ケースバイケースで柔軟に対応する姿勢が、小規模事業者には特に重要です。
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