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安全性が高いL/C決済とは? 初めての信用状入門

貿易をする上で最大のポイントが「お金の回収」です。商品を送り、客先への納品も終わったにも関わらず、代金を受け取れないと大変です。代金決済を回収できない原因は様々です。一番多いのが販売先の倒産です。この場合、貿易保険をかけていなければ、商品代金がそのまま損失です。売り上げの拡大どころか、損失が出ているようでは、本末転倒です。このようなことを防ぐため、貿易には「安全な決済」が求められます。

そこで、今回は、貿易取引における実務上、最も安全に決済ができる「L/C決済(エルシー)」についてご紹介していきます。

 



 

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L/C決済入門

貿易の世界でいう「L/C」は、Letter of Creditの略です。日本語では、「エルシー」や信用状と言います。L/Cを一言で示すと、銀行が作成する信用状です。輸出者と輸入者の貿易取引を「銀行」を挟むことで、取引に関わるリスクを小さくします。取引のリスクには、何があるのでしょうか?

例えば……

  • 輸出者であれば「貨物を発送したけれど、お金を回収できない」
  • 輸入者であれば「代金を支払ったけれど、貨物が届かない」

などがあります。いずれの場合も相手に信用だけを頼りに取引を進めた結果、起こり得る可能性があることがわかります。このようなリスクを小さくするためにL/Cがあります。L/Cは、銀行が輸出者と輸入者の間に入り貿易代金の仲介します。常にお金と書類がセットになり、銀行を通して行われるため、輸出者と輸入者だけの二者間取引よりも大幅にリスクが小さくなります。

【図解】初心者向けL/C(信用状)の流れ

L/Cを使うメリット・デメリット

では、実際にL/C決済を導入したときのメリットとデメリットを確認していきましょう!

L/C(信用状)のメリット

  1. 銀行が入ることによって決済の安全性が高まります。(輸入者と輸出者目線)
  2. 仮に輸入者側がつぶれても、決済上の問題はなし。(輸出者)
  3. 輸入者側がL/Cを開設できるかで、輸入者の財務力=信用力がわかる。(輸出者、輸入者)

■ポイント

L/C決済をするときは、輸入者側から手続きします。輸入者が取引銀行に「LCをオープンしたい」旨を伝えて「開設可能であるのか?」の審査を受けます。L/C決済は、輸入者側の銀行における与信行為でもあるため、常に輸入者の財務状態などをチェックしながら可否を判断します。

L/Cを開設できる輸入者=ある程度、信用がある輸入者

L/C(信用状)のデメリット

  1. 銀行が間に入ることによって手数料がかかる(輸出者と輸入者目線)
  2. 貿易書類が銀行経由で回ってくるため、貨物の引取りに時間がかかる。(輸入者目線)
  3. L/Cに関する知識が必要になる。(輸出者、輸入者目線)
  4. ディスクレ(買取拒否)の危機があります。(輸出者目線)

■ポイント1

L/Cを利用するときは、自社にL/Cの経験がある人材が必要です。L/C(信用状)が契約書通りに正しく記載されているのか? 間違いがあれば、それを訂正してもらう作業(アメンド)も必要です。ディスクレにならないために、ミスがない貿易書類の作成スキルも必要です。

■ポイント2

L/C決済は銀行経由で貿易書類をやり取りすることで、取引の安全性を高める仕組みです。あえて逆に言うと「銀行が入る分、貨物の受け取りが遅い」です。もし、緊急性が高い貨物のときは、あえてL/C決済を使わず、T/T決済で安全性を高めた取引をします。

■ポイント3

ディスクレとは、貿易書類の内容とL/C(信用状)の内容が不一致である事で銀行が買取を拒否することです。あなたが輸出者の場合、LCの記載通りに船積みを完了させた後、その書類を銀行へ差し入れて買い取ってもらいます。このとき、信用状と貿易書類の一致が求められます。このディスクレである場合、改めて特別な手配をしない限り、銀行は貿易書類の買取をしません。

特別な手配とは?→ケーブルネゴ、L/Gネゴ 詳しくは「L/Cの流れ」をご覧ください。

L/C決済の本質な目的は?

L/C決済の本質的な目的は、次の2つのポイントに集約されます。結局は、輸出者と輸入者の間にある「信用」をL/Cが補っています。

・輸出者は、決められた書類と商品をそろえれば、支払いを確約される。→効果:貨物代金の踏み倒し防止。
・輸入者は、支払いをすれば、商品の受け取りを確約される。→効果:支払い代金の持ち逃げ防止。

余談:L/C決済と合わせて考えるT/T決済とは?

L/Cは、輸出者と輸入者の間に銀行が入ることで「代金の支払い」と「商品の受け取り」を保証してます。

では、貿易代金の決済方法には、L/C以外には、どのような物があるのでしょうか? いくつかの手段がありますが、最も一般的なのは「T/T決済(銀行振り込み)」です。T/T決済は、銀行振り込みのことであり、主に少額の取引をするときに利用することが多い決済方法です。

  • L/C決済 決済リスク=小さい 手数料=高い
  • T/T決済 決済リスク=大きい 手数料=低い

L/C決済の方が取引の安全性の面では間違いなく良いです。しかし、銀行への手数料がかるため、小資金を決済するときや、何度も取引をしてある程度の信用がある所は、T/T決済で行う場合が多いです。

では、ここで質問です。このT/T決済は、輸出者と輸入者、どちらにリスクがあるでしょうか?

答えは「輸入者側」です。T/T決済は「輸入者側が代金を決済した後に船積み」をします。この仕組み上、最初に輸入者側がリスクをとることが前提です。一方、輸出者側は、代金が支払われるまで「何もしなければいい」だけであるため、リスクはありません。T/T決済は、輸入者側に大きなリスクがあることを覚えておきましょう。

もし、あなたが輸入者側であるのなら、今一度、相手の素性調査をすることが重要です。T/T決済では、輸入者側が代金を先払いすることが多いため「お金を支払ったのに、商品が送られてこない」という状況になりかねません。そのため、このリスクを少しでも減らすように、実務上は「分割送金」などの対応をしている所が多いです。

例えば、契約時に前金で半分。残りの半分は、船積み後、B/Lが発効された時点などです。→関連:T/T決済でも輸入者が納得する方法(リスクを半々にする)

  • L/C決済=大きな取引で使う。決済スピードは遅い。でも、安全。
  • T/T決済=小さな取引で使う。決済スピードは速い。でも、リスクがある。

関連:L/C決済以外の決済方法とは?

韓国と信用状(L/C)の関係 日本が停止するとどうなる?

まとめ

L/C決済は、輸出者と輸入者の間にある「信用問題」を解決するための一つの方法です。両者の間に銀行が入ることにより「輸出者目線:代金を受けとれる」「輸入者目線:商品を受け取れる」を実現できます。ただし、安全性を高められる反面、貨物の引取りに時間がかかる場合もあります。また、実際の貿易取引においては、少しずつL/C決済を行うことが少なくなってきています。とにかくT/Tにする!という言い張る方も珍しくないです。

 

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