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「ATAカルネ」海外出張時の商品見本等を簡単に通関できる!書き方や流れ等を紹介

日本の商品を輸出(持ち出す)すると、相手国で関税(税金)がかかります。個人的な旅行で持ち込む場合、多くは免税となり、関税は意識しないです。

しかし、これが一つ100万円もする商品サンプルであると、話は別です。仮に商品の関税率が10%であれば、100*0.1=10万円の関税を支払わなくてはなりません。

バイヤーに商品見本を見せるだけなのに見本に関税が掛かるのは困ります。では、どうすれば関税を回避できるのでしょうか? それが「ATAカルネ」です。

ATAカルネとは、一時的に商品を輸入する人が「関税を支払わずに輸入(持ち込み)できる仕組み」です。カルネ書類を見せるだけで、無税輸入ができるため、海外に商品サンプル等を持ち込みたい人には、便利です。

そこで、この記事では。ATAカルネの基本的な知識から、申請方法、取得、利用方法までを詳しく説明していきます。

ATAカルネとは?

ATAカルネとは、ATA条約によって決められている「一時的な持ち込み品に対する関税を免除する仕組み」です。具体的には、取材旅行や見本市、製品サンプルを一時的に持ち込みたいときに、外国政府から関税や消費税等の課税を免除してもらえます。

例えば、海外のバイヤーと新しく取引を始めるとします。商品の品質条件を決める為に、海外のバイヤーのに商用サンプルを持っていく場合などが考えられます。海外現地にて、ATAカルネ通関をすることで、輸入国側の税関に税金を支払わずに持ち込めます。また、次のようなケースも考えられます。

あなたは、取材クルーだとしましょう!現地の映像を撮影するために、高性能なカメラ機器を持ち込もうとします。一般的には、カメラはとても高価な物であるため、輸入すれば、大きな関税がかかります。

しかし、このケースでも、入国時に「ATAカルネ」を使えば、製品の関税を支払うことなく、輸入ができます。このように、ATAカルネを使って輸入すれば、本来かかるはずの関税が免除されて輸入(持ち込み)ができます。

ATAカルネ2つの役割・メリット

ATAカルネは、一時的に外国製品を持ち込むときに、商品にかけられる関税を留保する役割があります。実はその他、もう一つの役割があります。それが「通関書類としての役目」です。

一般的に何らかの商品を外国へ輸入(もちこむ)するときは、インボイスなどの書類を用意しなければなりません。単なる商品見本を持っていくだでも面倒です。

しかし、ATAカルネを使えば、これらの書類も不要です。現地の税関に対して、ATAカルネの手帳を見せるだけで、全ての輸入手続きが完了します。

ATAカルネの仕組み

「ATAカルネの基礎部分、誰が、どのような仕組みで整えているのか?などについて、もう少し具体的に説明していきます。

ATAカルネは、ATA条約に加盟する国の中で、お互いに「一時的な商品持ち込みをする人に関税の恩恵を与えること」を認める仕組みです。このATAカルネに関係する人は、次の4者です。

  1. 商品を持ち出す人
  2. 関税や消費税の支払いを保証する協会
  3. 日本の税関
  4. 相手国の税関

1.使う人(商品をATAカルネを使って持ち出したい人)

ATAカルネを使って、商品を持ち出したい人です。この方は、2番のATAカルネの協会に登録申請します。使用したい人は、保証協会に必要な担保を差し入れたり、財務諸表を提出したりして、ATAカルネに関する審査を受けます。

2.関税や消費税の支払いを保証する協会

ATAカルネは、ATA条約に加盟する国同士、一時的な物品で使う物の関税を免税にする仕組みです。この仕組みの「キモ」が保証協会です。

保証協会は、ATAカルネの原則である「輸入したものは、必ず輸出する」が守られなかったときに、各国の税関に対して関税や消費税の支払いを保証する所です。この保証があることによって、ATAカルネを使って輸入すれば、関税などの支払いを免除してもらえます。

3.日本の税関

日本から商品を持ちだすときに最初にチェックする機関です。この後、現地税関(一回目)→二回目現地税関(出国)→日本税関(帰国)となります。

4.外国の税関

日本から到着した人に対してATAカルネを使った輸入を確認します。現地での滞在が終ったら、今度は現地を出国するときに確認を受けます。

ATAカルネを使った持ち出しは、以上の4者が関わると覚えておきましょう。ここで大切なことは、ATAカルネを使って輸入した物は、必ず輸出をしなければならないことです。これが守られないと、現地税関→保証協会→あなた の順番に関税や消費税の請求が来ます。次に、ATAカルネを使った全体的な流れについてご紹介していきます。

ATAカルネを使うための流れ

ATAカルネは、使う人、保証する協会、外国税関、日本税関の4者が関わります。この関係性を頭に入れた上で、全体的な流れを確認していきます。ざっくりと説明すると、以下の1~4がATAカルネの取得~使用、そして返却までの流れです。

1.ATAカルネを申請します。
2.カルネの証書を手に入れます。
3.日本や相手国の税関に提出します。
4.使用後、返却します。

1.ATAカルネを申請。

ATAカルネを使って商品を持ち出したい方が保証協会に申請します。カルネの申請をするときの条件は「日本国内に住所がある個人または法人であること」、これにプラスして、担保や担保措置料を支払うことになります。さらに、これと併せてATAカルネを使える国である事も確認しておく必要があります。

2.カルネの書類を手に入れる。

無事に登録が完了すると、カルネの書類が手に入ります。飛行機で飛び立つときに、この書類と商品をもって、空港の税関窓口へいきます。

3.日本や相手国の税関に提出します。

2番で発行されたカルネの書類をもって、日本から出国するときに税関から確認を受けます。現地に着いたらカルネの書類を使って、荷物の手続きを終えます。これで、外国に商品を入れることができます。無事に商談などを終えて、海外から帰国します。今度は、日本で出国するときと逆の手順をふみます。外国の税関による確認→日本の税関による確認で完了です。

4.ATAカルネを返却

最後にATAカルネを協会に返却してすべての作業は完了します。

以上の1~4がATAカルネの取得から返却までの流れです。一見すると、少しだけ複雑に思いますが、日本税関→海外税関→海外税関→日本税関の流れを覚えておくと、混乱することは少ないかと思います。

具体的な申請方法

ATAカルネは「日本商事仲裁協会」に登録します。登録には、身分証明書、登録申請料金、担保 または担保措置料などを支払って審査を受けます。

  1. 日本商事仲裁協会に登録用紙や身分証明書などを提出
  2. 担保金または、担保措置料を支払う。

1.日本商事仲裁協会に登録用紙と証明書などをあわせて提出

日本商事仲裁協会の東京事務所か大阪事務所へ登録用紙+身分証明書を提出します。必要書類の提出先は、次の二か所の内、いずれかです。

  • 東京事務所:東京都千代田区神田錦町3-17 廣瀬ビル3階
  • 大阪事務所:大阪市中央区本町橋2-8 大阪商工会議所ビル5階
個人のとき

1.印鑑証明(3か月以内)
2.住民票(3か月以内)
3.所得証明書(担保措置料を支払うときのみ)
4.記名印鑑届

法人のとき

1.印鑑証明(3か月以内)
2.最新の決算書(担保措置料を支払うときのみ)
3.登記事項証明書(全部事項・3か月以内)
4.記名印鑑届・代理人専任届

2.申請料金、担保金または、担保措置料を支払う。

申請料金

14,000円+担保 または 担保措置料

担保と担保措置料

担保金とは、持ち込む商品価格の30%~50%のお金を日本商事仲裁協会に入れておくことです。もし、この担保金を入れたくないのであれば、代わりに「担保措置料」を支払います。

担保措置料は、持ち出す商品金額の額により変わります。なお、ここで注意したいことは、担保金は返金されますが、担保措置料は返金されません。

担保例:
国 名担保料金率
アルジェリア50%
オーストラリア30%
ベラルーシ50%
ブラジル50%
EU28ヵ国30%
担保措置料金例:
30万円未満1,200円
30万円以上~50万円未満1,800円
50万円以上~75万円未満2,700円
75万円以上~100万円未満3,600円
100万円以上~150万円未満4,500円

ATAカルネを使える国:
*アイルランド*ベルギーウクライナトルコモナコ公国
*イギリス*ポーランドオーストラリアニューカレドニアモルドバ
*イタリア*ポルトガルガーンジィ島、マン島、ジャージー島ニュージーランドモロッコ
*エストニア*マルタカザフスタンノルウェーモンゴル
*オーストリア*ラトビアカナダバーレーンモンテネグロ
*オランダ*リトアニアグアドループ島パキスタンリヒテンシュタイン
*キプロス*ルーマニアグアム、プエルトリコフェロー諸島(グリーンランドを除く)レバノン
*ギリシャ*ルクセンブルグコートジボアールブラジルレユニオン
*クロアチア※ カナリヤ諸島、バレアレス諸島コルシカベラルーシロシア
*スウェーデンアイスランドサンピエール島・ミクロン島ボスニア・ヘルツェゴビナワリス・フテュナ諸島
*スペインアフリカジブラルタルボツワナ、レソト、スワジランド、ナミビア韓国
*スロバキアアメリカシンガポールマイヨット島香港
*スロベニアアラブ首長国連邦スイスマカオ大洋州
*チェコアルジェリアスリランカマケドニア中近東
*デンマークアルバニアセネガルマダガスカル中国
*ドイツアンドラセルビアマデイラ諸島、アゾレス諸島中南米
*ハンガリーイスラエルタイマルチニーク島南アフリカ
*フィンランドイランタスマニアマレーシア日本
*フランスインドチュニジアメキシコ仏領ギアナ
*ブルガリアインドネシアチリモーリシャス仏領ポリネシア(タヒチを含む)

    ■申請期間
  • 初めて申請する人 4営業日
  • 二回目以降は 3営業日

カルネ通関の方法(使用方法)

実際にATAカルネを利用するときは、次の4つのチェックを受けます。このとき重要なことは「一時輸入された物品が、その国から再輸出された証拠」を作ることです。

具体的には、税関が記入するカルネの控え用紙の中にある「品目番号記入欄」に品目番号が正しく押されていること、さらに税関のスタンプが押されているのかを確認することが重要です。

  1. 日本の空港で税関のチェック
  2. 現地の空港で税関のチェック
  3. 現地の空港で税関のチェック
  4. 日本の空港で税関のチェック

ATAカルネの3つ注意点

ATAカルネには、以下の3つの注意点があります。実際に利用するときは、これらの注意点を守るようにします。

  1. カルネの有効期間は、発給日より一年間です。延長等はできません。
  2. カルネで輸入した物は輸出することが条件です。輸出されないときは、その分の関税の請求がきます。
  3. 定められた期間内に再輸出することが前提です。

まとめ

ATAカルネは「海外に商品見本を持っていきたい!」など、一時的に商品を輸入するときに便利な仕組みです。ATAカルネによって関税の免除が受けられるのは、カルネ協会による保証があるためです。万が一、「輸入した物を再輸出すること」の条件を守らないときは、各国税関から、それらのカルネ協会に対して関税や消費税の請求がなされます。請求を受けたカルネ協会は、実際に利用した人に請求をする仕組みになっています。

ATAカルネを利用するときは、この間に入っているカルネ協会の保証があって、無税輸入ができるこを意識して、なるべく迷惑がかからないよう各自が意識しましょう!

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